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【レビュー】Oveja Negra「Gearjammer Dyneema」
評価:5
Oveja Negra(オベハネグラ)の大容量サドルバッグです。アメリカ・コロラド州でハンドメイドされています。
購入動機
購入動機は、以下のレビューに詳しく書いています。
私はメーカーからの直販で買いましたが、日本でもAlternative Bicyclesが代理店となって販売されています。
製品概要
サイズはM(6~10L)と、L(8~12L)の2種類。
素材については、前半分と後半分で別の素材を使っており、後半分の素材は以下の3種類から選択可能です。
②X-PACK VX21
③X-PACK VX07 (Ultralight)
④Dyneema (Race Ultralight)
上ほど重く、下ほど軽くなります。①~③に関してはメーカーサイト上のフォームから注文が可能ですが、④に関してはメールでの注文が必要となります。在庫しておらず、都度作成するからだそうです。このため、④は①~③に比べて10%のアップチャージが発生します。
今回は④のMサイズを購入し、重量は316g。知人の買った③の重量は307g。アレ、④よりも③が軽い……?この謎の答えは「使用感」で述べます。
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サドルへの固定は、シートポストとサドルレールの3点固定です。かなりガッチリ固定できます。
底面には、ベルトとD字型のフック。これをどう使うのか解らなかったので開発元に聞いてみたら、
「キャンプツーリングの時に、燃料缶などを吊り下げるために付けてる。
ただ、その使い方はあなたの自由だ」
と帰ってきました。タイヤまでの距離に余裕があれば、輪行袋をぶら下げるのも良さそうです。私は、GarminのeTrex用の温度センサ(Garmin Tempe)をココにつけています。
使用感
美ヶ原ツーリング(90km/3000m↑)や、AJたまがわの600kmブルベ(100kmリタイヤ)で使用した結果をレビューします。
軽量化
想定よりも重かったため、まずは原因調査を行いました。重さの原因は、形状を保つためのプラ板。底面に入れられており、着脱が可能です。どうやら私のバッグに入っていたこのプラ板は特別厚く(3mm)、重いもの(52g!)が使われていたようでした。
Amazonで1mm厚のタミヤ製プラ板を購入し、同じ形に加工。出来たプラ板の重さは25gと、27gの軽量化に成功しました。強度的にも問題なし。さすが世界のタミヤ。これにより、全体重量は289gとなりました。suewのFast Cruise αと同程度の重量だと思います。
容量
ある程度以上(公称では6リットル)の容量を入れないと、形状が安定しません。短い距離のツーリングでは、タオルなど容積の大きいものを突っ込んでやる必要があります。
一例として、私が600kmブルベに出るときに収納した荷物と、その荷物を入れたときの外観画像です。これは最低容量以上を詰め込んでいますが、まだまだ余裕がありますね。1200kmブルベでも十分な容量を持っていると思います(あくまで私の場合)。
使いやすさ
ロールアップ形状を採用している他社のサドルバッグ(ex. Suew「Fast Cruise」, Revelate Designs「Pika」)は、バッグのサイド2箇所で、口が開かないように固定しています。また、1箇所だけで固定するFairweatherのSeat bagもあります。
これに対して、Gearjammerはバッグのサイド2箇所に加えて、中心部の1箇所を加えた計3箇所で固定する仕組みを取っています。固定箇所が増えれば増えるほど、バッグの中身を出し入れする際に必要な手間は増えます。「サイドの2箇所があれば、中心の1箇所の固定は不要では?」と最初は考えていました。
実は、この中心部の固定は、容量を多く詰め込んだ場合に効いてきます。内容量が増えるほど、後部分が伸びて行きます。この部分が途中で折れて垂れ下がってしまうのを防ぐ役割を担っているわけです。この部分には底面のプラ板などの補強も入っていないわけで、垂れ下がりを防ぐには有効な仕組みだと感じました。ただ、やっぱり毎度出し入れのたびに3箇所固定するのは面倒に感じます。ここは安定性とのトレードオフでしょうか。
あと、競合製品に比べてサドルバッグの「口」部分が狭いのもちょっと残念な所です。ORTLIEBやRevelate Desingsのバッグは口がかなり広く設計されているため、荷物の出し入れもしやすくなっています。
Gearjammerは完全防水ではないため、防水のスタッフバッグに荷物を詰め込みます。これが口に引っかかるのが残念なところ。もう少し口を広く設計して欲しいですね。
防水性
先に記述したように、完全防水ではありません。小雨程度なら問題ないですが、大雨だと縫い目から浸水します。このため、浸水して困るものは防水の内袋に入れる必要があります。
私はSea to summitの8リットルバッグを内袋に使っています。大雨の中を走りましたが、内袋の中身は無事でした。
安定性
シートポストとサドルレールの2箇所で自転車にバッグを固定する形式ですが、とても安定しています。ダンシングしてもほとんど揺れることはありません。さすがに、重量のあるものを詰めてダンシングすると慣性は感じますが、自転車とバッグが別に動く感じはありません。
また、大容量サドルバッグの宿命として、シートポストに接触する部分が潰れやすいという点が挙げられます。
中身の荷物がパンパンに詰め込まれていれば、荷物が外に膨らもうとする圧力と、シートポストに押し付けられる圧力が釣り合って形状を保てるのですが。いつも十分な容量を詰め込めるとは限りませんし、ある程度硬い荷物がシートポストとの接触部分に詰まっていないと結局潰れてしまうことになります。
このため、私は発泡スチロールのシム(重量3g)を作り、両面テープでシートポストの接触部分に固定しています。これによってバッグの潰れはほぼ解消されました。垂れ下がりやサドルとの擦れは、今の所皆無です。
その他
個人的にちょっと残念なのは、以下の点です。
②反射材がほとんど使われていないこと
③テールライトをマウントするオプションが無いこと
①は、Revelate Desings、suew、Apiduraといったメーカーが抑えている部分なので、Oveja Negraでもオプション対応してもらえるとありがたい部分です。構造的に難しいかもしれませんが。
②と③は安全性に関わる部分なので、是非対応して欲しい部分ですね。自分で反射テープでも貼ろうかと思っています。
まとめ
口の狭さに起因する、荷物の出し入れのしづらさだけが残念ですが、他は概ね満足しています。値段も競合製品に比べると高くありませんし、見た目が良いので所有欲も満たされると思います。
個人的には、他の人と被らないのがポイント高し。ORTLIEBのLは便利なんですが、被りまくるのが気になっていたので。さらに別注のDyneema版なので、ほとんど他の人は被らないはずです。
もう少しじっくり使い込んだら色々と気付くことも出てくると思います。その際には追加レビュー予定です。
追記(2016年2月22日)
使い始めて一年半。PBPや各種のブルベを通して、気付いたことを書いていきます。
重量
前回のレビューで、3mm厚のプラ板を1mm厚のプラ板にしたことを書きました。
「もっと薄くても大丈夫なんじゃ?」ということで、0.3mmのプラ板に変えてみました。プラ板の重量は、25g→8gに。サドルバッグとしての重量は272gになりました。
心配された強度も問題なし。重いものを入れると変形してしまうかもしれませんが、基本的には軽いものしか入れませんので。
安定性
これまで各種の大型サドルバッグを使ってきました。安定性に関して言うと、本製品が群を抜いて高いです。
こで言う安定性とは、「車体に対してサドルバッグが別に動かないこと」を指します。具体的に言うと、ダンシング等で尻尾のように動いてしまわないことです。本製品はガッチリとサドルとシートポストに食いつき、横揺れが全くありません。
この安定性がどこから生み出されているのか良く解りませんが、存在を感じさせない魅力があります。
使いやすさ
やはり、口部分の小ささは気になるところ。先に挙げた4つに比べても、明らかに口が小さいです。荷物を入れるときに中々入らないのは残念。
積載性
前のレビューでも書いた、「中心部の1箇所の固定」ですが、これは安定性以外にも意味があることが解ってきました。ここに脱いだ衣服等を固定可能。他のサドルバッグにおけるバンジーコード相当の役割を成してくれるわけです。PBPでは、昼間は反射ベストを脱いでここに着けていました(夜間のみ着用すれば良いため)。
今のところ、大型サドルバッグでは本製品が一番気に入っています。重量については、Ermine・KS Ultralight gearには敵いませんが、総合的な使い勝手で本製品はストレスが少ないのです。ロングライドにおいてはコレが大事。今後も出番は多そうです。
評価
対象モデル: Oveja Negra「Gearjammer Dyneema」
年式: 2014年
定価: 15664円(税込)
購入価格: 15664円(税込) 直販価格
公称重量: 不明
実測重量: 307g
価格への満足度
品質の割に安い。
総合評価
改善点はあるが気に入っている。
レビュアー情報
年齢: 29歳 (執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: QUARK ロードバイク(スチール), GIANT ESCAPE RX(アルミ)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)
# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせて頂きました。