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【レビュー】Panaracer「GRAVELKING CL 26C」
評価:4.5
パナレーサーのグラベルロード用タイヤ。メインはオンロードだけど、オフロードも走るのが「グラベル」というスタイルで、それに向けたタイヤです。
太さは、23C、26C、28C、32Cとあり、前者3つがロードバイク装着を前提とし、32Cがシクロクロス装着を前提としています。
今回は26Cをレビューします。
購入動機
2015年夏に開催されるPBP。過去に参加した人から、
「フランスの舗装は日本よりも悪いので、太目のタイヤを履いたほうがよい」
というアドバイスを聞き、25C以上のタイヤを探してみることにしました。IRCのASPITE PRO(25C)や、BRIDGESTONEのR1X(25C)も検討しましたが、「オフロードでも大丈夫」というあたりに魅力を感じてGravelKingを買うことにしました。
買ったのはロード用で中間の太さの26C。値段も3000円台中盤と安価でした。2本買ってもSCHWALBE ONEの1本分並のお値段です。
製品概要
実測重量は236g。26Cにしてはかなり軽め。GP4000S(23C)も固体によってはこれくらい重いものもあります。
太さは実測で26mm。クリアランスに不安はありましたが、普通にLAPIERRE XELIUSに取り付けが出来ました。
サイドカラーは、ブラウンとブラックの2種類。ロゴは白ベースです。
公式のプレスリリースによる特徴は以下です。
・「軽量化」を追求し、超軽量極細コードのAX-αコードを採用
・「耐パンク性能」を追求し、補強材をタイヤ全面に装備したアンチフラットケーシングを採用
使用感
5月に購入して、EURUSに装着して使用。これまでの使用距離は約2000kmです。
基本的にはロングライド・ブルベで使用。200kmのブルベを1回、雨天を含む380kmのツーリングで実際に使った感想を述べます。なお、オフロードは専門外なので乗っていません。
転がり抵抗
悪くないです。オンロードでは簡単に35km/hまで乗せられます。40km/h以上はちょっと苦しい。ツーリングならそこまでのスピード域には乗らないので良いといえば良いのですが。
特筆すべきは漕ぎ出し。「26Cにしては」という枕詞を付ける必要はありますが、非常に軽いです。これまでにSPEIALIZEDの「Roubaix(25C)」や、Continentalの「GP4000S(25C)」を使ってきましたが、共通する特徴は「漕ぎ出しが重い」というものでした。私は割りと信号のある街中を走ることが多く、この漕ぎ出しの重さが許せませんでした。
しかし、これら2つのタイヤに比べて、GravelKingは漕ぎ出し軽いです。言われなければ23Cのタイヤと遜色ありません。登りでは若干重いかなーといった程度。
グリップ
Panaracerのレーシングタイヤである「Race」シリーズは、やたらとコンパウンドが尖っており、コーナーで倒しこんでいくのが怖い印象がありました。GravelKingはセンターにヤスリ目が入っているくらいで、特に尖っていることも無く自然な挙動を示します。
26Cでは横方向の接地幅が大きくなるためか、コーナーでも安定しています。雨風が吹く中の乗鞍の下りという、かなり怖いシチュエーションでも試しましたが、滑り出す気配もありませんでした。あまり攻めてないからというのもありますが、これまで使ったタイヤの中でもトップクラスの安心感があります。
乗り心地
使い始めた当初は、前:7.5気圧、後:8気圧で使っていましたが、乗り心地は固く感じられました。数日、空気を入れずに放っておいて乗った所、乗り心地の良さにびっくり。かといって転がりや漕ぎ出しの重さも感じられず、以後は前:6.5気圧、後:7気圧に落ち着いています。
筑波山や乗鞍といった荒れた路面の道も走りましたが、手や尻に伝わる振動はマイルドになっていることが解りました。
耐パンク性
ここまで2000kmでパンクなし。サイドを含めて、全面に入った補強材が効いているのでしょうか。オフロードでの使用も想定されているためか、あれだけ荒れた路面(といっても舗装路ですが)を走っても表面に傷らしい傷はありません。
耐久性(寿命)
実は耐久性はそこまで高くは無さそうです。
使用2000kmで、後輪のヤスリ目はほぼ完全に消えています。乗り手の体重は80kgで、少なくとも2000kmのうち200kmほどは雨の中を走っているので、条件的に過酷ではあることを書き添えておきます。
ヤスリ目が消えた後、どのくらい使えるかは解りませんが、美味しい期間は短そうです。
見た目
GravelKingは、以前ラインナップされていた「Tourer plus ブルベエディション」の後継版。ただ、以前はラベルのカラーが緑で主張の強いものだったのに対し、GravelKingでは白ベースの大人しめの配色になっています。
どうもTourer plusは、いかにも「ツーリング車に付けてね!」という雰囲気があり、自分のロードに付ける気が起きなかったんですが、GravelKingは主張しないルックスで気に入っています。
まとめ
天候が変化したり、舗装の悪い路面を走るロングライドでは十分使えるタイヤだと思います。綺麗な路面でも、漕ぎ出しや巡航は23Cのレーシングタイヤと遜色ありません(ただし、40km/h以下のツーリングで使用するスピード域において)。登りでは若干不利に感じることもありますが、その他の面での利点の方が大きいと感じます
耐パンク性が高く、神経質にならずにどんな路面も突っ込んでいけるのが嬉しいですね。レーシングタイヤはその辺りに気を使うので。フランスの荒れた路面でも活躍してくれることを期待しています。PBPではこのタイヤで行くことを決めましたが、磨り減った後輪だけは交換してから本番に臨む予定です。
ちなみに、同じくPanaracerから「MASSA T2601」というタイヤが出ていますが、こちらの方がGravelKingよりも肉厚は上で耐久性も高いそうです。
追記(2015年9月3日)
PBP(Paris-Brest-Paris)で使ってきたので、その辺りの使用感を書きます。
グラベルキング(26C) + RAIR(23-28C)の組合せで、前:6.5bar、後:7.0barの空気圧で走りました。なお、本番直前にタイヤ・チューブ共に新品に交換しています。
コースプロファイルは、距離1237km、獲得標高12000mです。
転がり抵抗
ひたすらアップダウンを繰り返すコースでしたが、特に引っかかりを感じることはありませんでした。
グリップ
相変わらずの安心感。ただ、道中はキツいカーブもなく、雨もほとんど降らなかったので、厳しい条件でのテストは出来ませんでした。
乗り心地
思ったよりもフランスの舗装が悪くなかったのもありますが、至極快適でした。
前半は手の痺れも無く、非常に良い感じ。ただ、距離が1000kmを超えてからは、アウトソールの硬い靴を履いてきてしまったことによるダメージから足裏が痛くなり、ペダルに荷重を掛けられなくなりました。そうなると、手と尻に荷重が掛かってしまい、指は痺れに悩まされることに……。
結果として、これを書いている現在も手は痺れていますが、タイヤの影響ではないことを書き添えておきます。
耐パンク性
フランスではガラス瓶が未だに多いようで、道端にガラス片なども多く見られました。その状況の中で、往復1200km以上をパンクなしで乗り切れたのはこのタイヤの耐パンク性能の証明であると思います。目視した限りでは、タイヤに傷もありませんでした。
耐久性
日本での皮むき、前日のパリ観光合わせて大体合計1300km程度乗りましたが、やはり後輪のヤスリ目は消えかけていました。やはり美味しいところは1500km程度までなのだと思います。
総合して、今回のPBPにグラベルキングを選んだのは正解でした。今回は替えのチューブを手持ちで2本、ドロップバッグに2本、タイヤ用・チューブ用のパッチを持参しましたが、いずれも使わずに済みました。乗り心地の良さ、パンク耐性の高さは、やはりロングライドにおいては大きなアドバンテージです。
1000km前後のロングライドに備えた決戦タイヤに最適なタイヤだと思います。
評価
対象モデル: Panaracer「GRAVELKING CL 26C」
年式: 2015年
定価: 5246円(税込)
購入価格: 3450円(税込)
公称重量: 240g
実測重量: 236g
価格への満足度
この性能でこの値段は安い。
総合評価
寿命はやや短め、その他は満足。ブルベに最適なタイヤ。
レビュアー情報
年齢: 30歳(レビュー執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: QUARK ロードバイク(スチール), GIANT ESCAPE RX(アルミ)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)
# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせて頂きました。