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【レビュー】Panaracer「R’AIR」
評価:4.5
Panaracerのレース用軽量ブチルチューブ。様々なバリエーションがありますが、18-23C, 23-28Cのロード用チューブをレビューします。
購入動機
最初、お試しで買った一本目は取り付け即パンク。そこで「すぐパンクする」というイメージが付いたため、しばらくは他社のチューブを使っていました。
数年前のサイスポのタイヤ特集でこのチューブが使用されており、インプレライダーもその振動吸収性の高さを絶賛。更にパナレーサーの開発部の人が
「パナレーサーのタイヤを使うならR’Airをセットにして使って欲しい。
それが一番性能を引き出せる。」
「うちはチューブレスはいらない。同程度の快適性をR’Airで出せるから。」
と言っていたので、パナレーサーのタイヤとセットで買って試してみることにしたのでした。
以来、ブルベではMAXXISのウルトラライトチューブと半々くらいの割合で使用しています。特に距離の長いブルベはR’AIRを選ぶことが多く、PBPは2回ともR’AIRで参加しました。
製品概要
実測重量は67g(18-23C/48mmバルブ)。
材料はブチルゴムですが、通常のチューブより薄く作られています。
バルブ長は以下の3種類。
・48mm
・60mm
・80mm (23-28Cのみ)
使用感
18-23Cモデルを中心に使っていますが、23-28Cモデルも使います。バルブ長は48mmを選択することが多いです。
主にブルベ等のロングライドで使用。乗り心地の良さから、特に1000km以上のブルベではこれを使うことが多いです。
重量
超軽量とまでは行きませんが、23C用チューブで65g前後は軽量の部類に入ります。MAXXISのウルトラライトチューブより若干軽いですね。
外周の軽量化の結果、踏み出しの軽さに貢献していると思います。
組付け
巷のレビューではよく「不良率が高い」と言われるR’AIR。私も当初はそう思っていましたが、今は考えを変えています。これは、「組付けが難しい」チューブです。
Panaracerからは色々なチューブが販売されていますが、サイトの「よくある質問」コーナーにはわざわざ「R’AIRの取り扱い上の注意点は?」という項目が用意されており、「取付け時」だけでなんと6つの項目が列挙されています。「注文の多い軽量チューブ」と言えますね。
特に多くの人が見逃しがちなのが「エア充填前にバルブを必ず引き出す」ことと、「リムナットを使用する」ことです。
R’AIRに限りませんが、バルブの根元付近はパンクの原因となりやすいため、ゴムを厚めにして強化してあります。それでも、ここがリム内壁に密着していない状態で空気を入れると、チューブが意図しない形で膨張するためパンクしてしまうんだそうです。たしかに私がパンクさせた時も、バルブの根本から空気が漏れていました。また、リムナットを使用することで、バルブがリムに対して斜めにならず、まっすぐになる効果があるようです。
チューブの噛み込みの有無も念入りに確認が必要です。少しでも噛み込んでいると即パンクします。
結構慣れているつもりでも組付けに失敗することがあるので、組み付けたら100km程度を乗ってみて、様子を見てからブルベに投入することにしています。
薄くて収納しやすいことからパンク修理用具としてR’AIRを持ち歩いていますが、出先での組付けは緊張しますね。
耐久性
取付けは難しいですが、一度組付けに成功してしまえば、そうそうパンクすることはない印象です。
薄いので異物には弱いはずですが、そういったトラブルがなければ、一年間(走行距離は10000km程度)走っても問題が出ない個体も多々あります。
乗り心地
他のブチルチューブに比べて乗り心地は良いと思います。1000km以上のブルベでこのチューブを選択するのはこれが一番の理由ですね。非常に柔軟性が高く、タイヤの動きに追従してくれるチューブという印象があります。
もっとも、チューブレスと比べると乗り心地は僅差。チューブレスレディと比べると、チューブレスレディの方が快適ではあると思います。
ただ、ブチルチューブの範疇では、そのしなやかさから来る乗り心地の良さは最上級だと思います。
空気の抜け
ブチルチューブなので、1日経っても0.2気圧程度の低下しかありません。
薄手の軽量チューブの中では、空気が抜けにくいと思っています(マキシスのウルトラライト比)。
バルブコア
何気に気に入っているのが、「バルブコアが取れない」構造であることです。
特にネジ込み式の携帯ポンプでは、バルブコアが取れるタイプのチューブだと、空気を入れ終わって口金を外す時にバルブコアごと外して空気を入れ直し……という悲劇がよくあるのです。バルブコアが取れないR’AIRでは、そのトラブルは起こり得ません。
その他
Panaracerのタイヤと組み合わせてしばらくの期間使うと、タイヤとチューブが一体化したようにくっついてしまいます。
タイヤとチューブ間で摩擦が起きないので転がり抵抗は低くなりそうですが、パンク修理時に非常に困ります。
このため、Panaracerのタイヤと組み合わせる時にはタイヤパウダーが必須です。なんとなくマッチポンプ感はありますが……。
まとめ
組付けは難しいものの、正しく組み付けてしまえば、最高の乗り心地と耐久性を享受出来るチューブ。
なんだかんだで1000km以上のブルベでの決戦用チューブになっています。今はチューブレスレディを試していますが、たぶんブルベをやる時にはR’AIRに戻る気がしますね。タイヤも決戦用タイヤが同じPanaracerのGRAVELKINGなので、くっつきやすいのは悩みどころです。
評価
対象モデル: Panaracer「R'AIR」
年式: 2019年
定価: 1886円(税込)
購入価格: 1400円(税込)
公称重量: 65g
実測重量: 67g
価格への満足度
性能は高いが、値段も高級。
総合評価
組付けは難しいが、性能は素晴らしい。
レビュアー情報
年齢: 35歳(レビュー執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: QUARK ロードバイク(スチール), GIANT ESCAPE RX(アルミ)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)
# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせて頂きました。