【レビュー】Redshift「SHOCKSTOP Seatpost」

評価:3

Redshift社のサスペンションシートポスト。Kickstarterでのクラウドファンディングから製品化された商品です。

購入動機

今回は、日本代理店の「Alternative Bicycles」さんからのレンタル提供です。

Alternative Bicyclesさんが商品についてツイートをしており、それに対して「面白そう」という反応をした所、お貸し頂けることになりました。

きれいな化粧箱に入って届きました。

なお、同社のステムのレビューは以下です。

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製品概要

実測重量は545g。長さは350mmです。

シートポスト径は27.2mmのみに対応。30.9mm/31.6mm用にシムが別売りで用意されています。

オフセットは7mmで、座った状態で12mm程度になります。

サスペンションの最大トラベル量は35mm。

使用感

スチールフレームのロードバイクに取り付けて使用。主な用途は舗装路上でのロングライド・ブルベです。

200kmブルベで使用予定でしたが、コロナウイルスの影響で延期となってしまったため、200kmのコースを引いてブルベ同等の制限時間で走行してテストしました。総テスト距離は350kmほど。

サスペンションの動き

こちらの画像はRedshift公式が提供している動作時の画像です。

従来のサスペンションシートポストは大きく分けて以下の2つの方式があります。

単純にシートポストが上下する方式。

若干サドルが後方にスライドしながら上下する方式。パンタグラフ方式とも。

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SHOCKSTOPの場合はどちらとも方式は異なりますが、どちらかと言えばパラレルリンク方式に近い動きをします。
単純に上下するシートポストはGIANT ESCAPEに付いていたものを使ったことがありますが、BBからの距離に加えて、ハンドルからの前後位置も変わってしまうので違和感が大きかったことを覚えています。
その点、パラレルリンク方式は未経験ではありますが、しなりの大きいシートポストも似た動きをするはずなので、こちらの方が自然であるだろうと予想しました。

セッティング

フレームに差し込む前に、まずはプリロード量の設定を行います。要は「体重によって変形量が変わるので、硬さの調整をしましょう」ということですね。

こちらがマニュアルに記載されている、本製品の構造。底にプリロードプラグというものがあり、これを回すことでバネの縮み具合が変わります。奥に押し込むほど変形しにくくなる=体重の重い人向け、ということです。

こちらもマニュアルより、推奨のプリロード設定の図。私は82kgなので、推奨は下から3番目の「Main + Inner Spring: 2」。ただ、バネを追加して重くなるのを嫌い、まずは「Main Spring Only: 4」の設定で試してみることにしました。

設定後。この設定用のプラグ、手で回すのにはかなりの力が要ります。穴が開いているので、ここに六角レンチを突っ込んで回すと楽に回せます。

この状態でフレームに装着します。若干太めなのか、なかなか入ってくれませんでした。

サドルを取り付ける際には、ダストカバーを外して、その内側にある2本のボルトを緩めて調整します。ダストカバーは磁石で付くようになっていました。

サドルの高さは、普段よりも+7mmに設定。これは、推奨設定の場合には、サドルに跨った状態で若干沈む(MTBの用語ではこれをサグと呼ぶ)セッティングとなるからです。その量が7mm程度。

それでもギリギリブランド名が表示する程度しかシートポストを出せませんでした。サスペンションの機構を使用するには、最低でもフレーム~サドルレールまでの距離が16cm以上は必要です。シートポストの出しろが小さい方は、購入前に自分のシートポストの出しろを確認してください。

前後位置の調整は結構面倒でした。普段使っているシートポストはオフセットが20mm。本製品のオフセットは7mmですが、座ると5mm後ろにスライドします。ということで、いつもより8mm後ろに取付けました。

重量

実測で544gと、相当な重量級シートポストです。普段は200g前後のシートポストを使用しているので、2.5倍超の重量ということになります。

持つと重いですが、走って立ちこぎをしてみても、そこまで明らかに重量を感じることはありませんでした。同じくらい重くなる革サドルは明らかに左右の振りが重くなったように感じたのですが……。元々重い鉄フレームなのでそこまで影響を感じなかっただけかもしれません(革サドルはカーボンフレームでテスト)。

パラレルリンク方式のサスペンションシートポストとのスペック比較。ee SILK POSTのみ異様に軽いですが、やはりどれもかなり重いです。

テスト1: (プリロード: 4(メインスプリングのみ))

まずは推奨より1段階下のモードで近所を街乗り。

明らかにまたがった瞬間から沈み込むのが分かりました。動きは滑らかで、ギシギシと音が鳴ることもありません。バネでこれだけの自然な感触が出せてるのは良いですね。これは期待できそう……と思ったのですが、ペダリングの際にもかなりサドルが動いてしまい、違和感がありました。

車道から歩道への段差は尻への衝撃が無くなるほどでしたが、ペダリングの違和感が凄いので推奨設定に変更することにしました。

テスト2: (プリロード: 2(メイン+インナースプリング))

次は体重的に推奨されるモードで80kmほどライド。

プリロードの変更時には一度シートポストを抜く必要があります。これはちょっと面倒臭い。出来れば、シートポストを差したまま調整したいものです。競合製品には差したまま調整できるものも存在します。

またがった瞬間の沈み込みはまだありますが、グニャグニャした印象は消え、コシのあるバネ感になりました。

R246の路面の荒れた区間にわざと突入してテスト。普段ならとてもペダリングが出来ないので腰を浮かせて対処する区間ですが、問題なくペダリングを行うことが出来ました。もう少しポジションが変わることへの違和感があるかと思ったのですが、若干後ろにスライドしながら下がる方式ということで、BBからの距離が大きく変わらないのがポイントなのだと思います。

あとから気づいたのですが、この「荒れた路面でも漕げる」という点はSHOCKSTOPのサイトにも以下のように強調されています。

The ShockStop Seatpost lets you ride faster and more efficiently by keeping you stable and allowing the bike to absorb rough terrain. This means you spend more time putting power to the pedals and less time bracing for impacts.

かいつまんで言うと、「荒れた路面でも状態を安定させ、ペダルに掛かる時間を増やすことで、より速く効率的に乗ることが出来る」とのことです。本製品は、荒れた路面の連続するグラベル等の未舗装路でより生きそうですね。


一方、問題点も感じました。

セッティングの所にも書きましたが、本製品は座った状態で若干沈むようにセッティングをすることが推奨されています。これはつまり、浮いてくるサドルを上から常に尻で抑えている状態であるとも言えます。どっかりサドルに荷重を掛けてしまうと、なめらかな路面では逆に尻への圧力が増えてしまうことになるわけです。

このため、なるべくサドルに荷重をかけず、ペダルに荷重をかけるペダリングに変えてみると、尻への圧力は緩和されました。


ただ、常にそれをやり続けるのも結構キツいので、今度は「ゼロサグ」セッティングをしてみることにしました。

ゼロサグとはつまり、またがった状態では全く沈まない状態を指します。昨今のエンデュランスロードはシートポストを積極的に動かして乗り心地を良くする機構を備えていますが(SPECIALIZEDのRoubaixや、TREKのDomaneなど)、またがっただけでは動かないように初期設定をされており、段差があった時のみ動くような設計とされています。

そこで、推奨設定よりも2段階上のモードに変えて見ることにしました。

テスト3: (プリロード: 4(メイン+インナースプリング))

続いて、推奨よりも2段階上のモードで200kmライド。

ゼロサグ化にあたり、サドルをアリアンテ→SLR TTに変更しました。

ゼロサグになるということは、サドルの沈み込みが無くなるということ。つまり、これまでよりもサドルの高さを下げなければならないのですが、それ以上下げるとシートポストのブランド名が削れてしまいます。ということで、アリアンテよりも薄いSLR TTを引っ張り出してきたのでした。

適切なサドル高にはなりました。しかし、このサドルはあまり相性が良いわけではなく、150kmを過ぎた辺りから我慢できないほど尻が痛くなります。それを果たして防げるか……?


狙ったとおり、またがっただけでは動かず、段差のみで動くようになりました。ペダリングの際も若干しなるかな、といった程度に。舗装路ベースであれば、こちらの方が感触としては好きです。

200kmを走行してみましたが、若干皮膚はヒリヒリするものの、以前200kmを走った時よりは随分ダメージが少なかったです。しかも、今回は200kmを13時間20分程度という、かなりゆっくりめの走行(=サドルへの荷重が多め)でのテストなので、もう少しダメージを受けるだろうと予想していたのですが。これはシートポストの効果と言っても良いでしょう。

また、ポジションが変わることによる各部(膝など)の痛みも懸念していましたが、そういったものは無かったです。繰り返しになりますが、後ろにスライドしながら下がるパラレルリンク方式だと、ポジションの違和感はかなり小さいと言えそうですね。

サドルバッグとの相性

ロングライダーとして気になるのは、サドルバッグとの相性です。

オルトリーブのサドルバッグMとの組み合わせ。ストラップの位置がズレるものの、実用上の問題はなし。

ただ、2本ストラップタイプのシートバッグや、幅の太いストラップのシートバッグの場合は干渉しそうです。

まとめ

尻への衝撃を緩和出来るシートポストだと思います。

動きもなめらかで、更に後ろにスライドしながら下がる方式のため、単純に上下するサスペンションシートポストとは明らかに感触が異なります。

ただ、正しく効果を得るためには、適切なプリロード設定が必要となるでしょう。推奨値は示されていますが、これがすなわち答えになるわけではありません。自分のライドスタイル(オンロード or オフロード)、座る位置(後ろに座る人ほど動きやすい)によって、設定を突き詰める必要があります。オンロード中心なら、推奨より1~2段階硬めの設定にした方がより良い感触になるでしょう。適切に設定できれば、ロングライドでの尻の痛みを緩和できるはずです。

そのような特性上、出来ればプリロードの調整はもっと簡単になってくれるとありがたいですね。毎度、シートポストを抜き差しするのは結構大変です。あとは、軽量化。さすがに+300gは取付けに覚悟が要ります。+100gくらいだと良いのですが。

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評価

対象モデル:  Redshift「SHOCKSTOP Seatpost」
年式: 2020年
定価: 28790円(税込)
購入価格: レンタル品
公称重量: 497g
実測重量: 544g

価格への満足度

レンタルのため評価対象外。

総合評価

6/10

動きは自然で衝撃に対する効果はある。重さを許容できればアリ。

レビュアー情報

年齢: 35歳(レビュー執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: QUARK ロードバイク(スチール), GIANT ESCAPE RX(アルミ)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)

# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせて頂きました。