【レビュー】REVOLOOP「RACEチューブ」

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評価:4.5

REVOLOOPのTPU(熱可塑性ポリウレタン)チューブ。

同ブランドでは2種類のTPUチューブを販売しており、こちらは通常版のレビューです。より薄くて軽量な「RACE ultraチューブ」もあります。

目次

購入動機

ディスクロード「BIANCHI INFINITO CV」用のチューブとして購入しました。

チューブレスタイヤの次は……

それまではチューブレスタイヤを使っていたのですが、やはりパンクをした時に面倒。ただ、チューブレスタイヤの走行抵抗が少ないのも事実。

走行抵抗を減らそうと思うと、まず思いつくのは「軽量化」です。タイヤは軽いと明らかにパンクしやすくなるのでロングライド派の私的にはNG。となれば、軽く出来るのはチューブしかありません。

tubolitoの思い出

軽いチューブと言えば、最近脚光を浴びているのがTPUチューブです。TPUチューブではいちばん有名な「tubolito」は以前使ったことがあります。

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正直、あまり良い印象は残っていませんでした。

確かに軽かったものの、500km程度でパンク。そして伸びたら伸びっぱなしで再利用は難しい。

一番気になったのは、バルブ周辺のトラブルが周囲で多く聞かれたことです。バルブ周辺のパンクは作業を行った人のミスも有り得るので一概に製品の瑕疵であるとは言えないのですが、それにしてもよく話を聞くなと(私の手元の個体は別にトラブルは無し)。

TPUチューブはやはりキワモノなのか? ただ、チューブで軽量化をしようと思うと、現在ではTPUチューブが一番ベターな選択肢ではあります。

対抗馬 REVOLOOP

そこで思い出したのが、今回レビューするREVOLOOPです。

REVOLOOPはtubolitoよりはマイナーですが、たぶん世界で二番目に有名なTPUチューブのブランドです。現在はシュワルベとピレリもTPUチューブを出していますが、あまり存在は知られていません。

周囲に二人ほどREVOLOOPのTPUチューブを使っている人が居たので感想を聞いてみると、中々悪くなさそう。tubolitoで懸念されたバルブ周りの悪い話も全く聞きませんでした。

そして意外と大事な値段。ネット通販だと結構高く売られていることが多いのですが、国内代理店であるトライスポーツの定価は2800円。tubolitoが定価4300円なので、2/3ほどの価格となっています。

それでも通常のブチルチューブの倍の値段はするわけですが、重さはブチルチューブの半分。それくらいのお金を出す価値はあるだろうと思い、購入することにしました。

ディスクロードとTPUチューブ

今回、TPUチューブを選んだ理由の一つとして、「付ける自転車がディスクブレーキだから」というものがあります。

TPUチューブは素材の特性上、熱には弱いもの。リムブレーキだとブレーキ面からチューブが近いため、どうしても熱の影響を受けやすくなります。その点、ディスクブレーキならば熱を気にする必要がありません。気兼ねなくTPUチューブを使えるわけですね。

Revoloopには「RACE」という通常版と、「RACE ultra」という軽量版があります。前者は39g、後者は25g。値段も後者のほうが1320円高くなっています。

tubolitoで早期パンクを体験していたこともあり、あまり薄すぎるのも怖いな……と思って、私は通常版の「RACE」を2本購入しました。

製品概要

実測重量は40g(700C 18-28mm用、60mmバルブ)。

チューブ本体はTPU(熱可塑性ポリウレタン)、バルブは強化プラスチック製。バルブコアは外れます。

バルブ長は40/60mmの2タイプのみ。本国には80mmもありますが、日本では流通していません。

箱には「Made in Germany」の記載あり。

使用感

ディスクロードに取り付けて約1年使用。走行距離は約2500kmです。

用途は夜練とブルベ。あとは週末のロングライドにも使っていました。

ホイール(HUNT 44 Aerodynamicist)の交換と同時に使い出して未だにパンクしていないので、他のチューブとの比較は難しい点を最初に断っておきます。

前提

tubolitoはリムブレーキでの使用には制限を課していませんでしたが、Revoloopは公式サイトのFAQで以下のように応えています。

材料は従来のブチルチューブよりも熱的にやや弾力性が低いため、ディスクブレーキの使用をお勧めします。

「リムブレーキでの使用は禁止しないが、ディスクブレーキで使うことを推奨する」というニュアンスに読めます。

今回、私はディスクブレーキで使用するので問題なし。

重量

2本とも、実測重量は40g。公称重量は39gです。

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今回は44mmハイトのホイールに使用するため、バルブ長60mmのモデルを購入。恐らく公称重量は一番バルブの短い40mmモデルを基準にしてそうなので、60mmモデルで+1gは許容範囲でしょう。

ちなみに、ブチルチューブで70g代なら軽量チューブ、50g代なら超軽量チューブと言われます。40gはかなり軽いということですね。

取付

tubolitoには説明書が付属していましたが、Revoloopには説明書は付属しません。箱は付いてきますが。

tubolitoと同じく、少しだけ空気を入れてから取り付け。タイヤはGP5000クリンチャーです。あまり苦労せずに取り付け完了しました。

国内代理店(トライスポーツ)のサイトには以下の記述があります。

チューブには空気を入れないまま、タイヤに装着してください。タイヤに装着せずにチューブに空気を入れると、破裂の恐れがあります。

一方、本国サイトには以下の記述があります。

REVOLOOPチューブをシェルの外側で0.5気圧を超える圧力で膨らませないでください。

軽くふくらませる程度ならOKということですね。実際、少しだけ空気を入れたほうが取り付け時の噛み込みを防ぐことにつながるはずです。

TPUチューブは一度膨らませると伸びてしまって元の大きさには戻らないので、タイヤの中に入れない状態で0.5気圧以上を入れてはいけません。

セッティング

気圧についても下記のような指示があります。

従来のブチルゴムとは動作が多少異なるため、タイヤの空気圧を通常の圧力と比較して約0.1〜0.3バール下げることをお勧めします。

私は普段、ブチルチューブには7気圧程度を入れるので、Revoloopは6.7気圧程度でセッティングするようにしています。

加速

漕ぎ出しは軽い……と思います。先述の通り、このホイールにしてからこのチューブしか使っていないので比較は難しいのですが。

単純にブチルの軽量チューブと比べても約半分の重さがホイール外周から消えるわけで、加速性能は上がっているはずです。

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ハンドル周りが軽くなってようやく他のパーツの性能を体感出来る状態になりましたが、HUNTのホイール+GP5000との組み合わせでは気持ちよくゼロ加速してくれます。

乗り心地

tubolitoと同じく「硬質だが、振動の収束は早い」という印象があります。tubolitoよりも若干ブチルチューブよりな気はしますが。

400kmブルベでも使用してみましたが、手や尻に大きなダメージは残りませんでした。

ただ、国内代理店サイトにある「ラテックスチューブの様な乗り心地」という記載は違うんじゃないか?と思います。最近ラテックスチューブを試しましたが、感触はかなり違うかなと。

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転がり抵抗的にはラテックスより少し大きいくらいらしいです(ラインナップされているのは軽量なUltraの方ですが)。

空気の抜け

1日で0.2気圧程度しか抜けません。

一般的なブチルチューブと同程度か、逆に抜けづらい印象です。ここは空気の抜けやすいラテックスより優れた点ですね。

大きさ

畳まれた状態ではtubolitoよりも大きめですが、ブチルチューブよりは確実に薄く、小さくなります。

傷防止のためにラップなどで養生するべきでしょうが、ツール缶などにも収まりやすいのは嬉しい点。予備で持ち歩くにはちょっとお高いですが。

耐久性

現在2500kmほど使用していますが、パンク回数は0です。

たまたまかもしれませんが、500kmで片方に穴が開いたtubolitoのイメージが合ったので、「全然パンクしないな」という印象になってしまいます。こういうこと言ってるとパンクするんですけど。

 

TPUチューブの泣き所と言えばバルブですが、根本は樹脂でしっかりとコーティングされています。コーティングはバルブの根本から5mm程度まで及んでいました。

 

比較用として、tubolitoのバルブ根元部分。こちらもコーティングされていますが、ちょっと頼りないです。コーティングも若干ズレがあり、工作精度に疑問が。

あと、気になったのは繋ぎ目の位置です。

ブチルチューブは繋ぎ目が無いのですが、TPUチューブは製造上の理由で繋ぎ目がどうしても必要です。

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で、この繋ぎ目の位置がtubolitoとRevoloopは異なっていました。

tubolito: バルブのすぐ横
Revoloop: バルブから15cm程度離れた場所
この繋ぎ目は空気を入れると不自然に膨らんでしまうため、パンクに弱くなる可能性が高いです。
そして、バルブ付近は空気を入れる際にパンクが起きやすい場所。繋ぎ目の位置がバルブから近いtubolitoよりも、少し離れた位置にあるRevoloopの方がパンクには強そうであることが推測されます。
……まぁ私がパンクしたのはバルブとは全く関係ない箇所なのですが。ただ、バルブ周辺でのトラブルがtubolitoには多い印象があるので、それに比べるとRevoloopは不安要素をいくつか減らしてきたように思います。
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パンクした際には専用のパッチで修復が可能です。ただ、TPUチューブは一度膨らませると伸びてしまうので、再度タイヤの中に入れようとしても恐らく困難です。
私はパンクしたら潔く廃棄して、新しいチューブを入れようと思っています。

価格

税込3080円です。

ブチルチューブの高級ラインの倍の価格ですが、税込4730円のtubolitoから見ると3割引の値段です。

TPUチューブの軽量性のメリットを享受しつつ、パンクリスクもそれなりに低減されていることを考えると、納得感のある価格だと思いました。

見た目

黒いバルブの見た目が気に入っています。よく見るとRevoloopのロゴも。

バルブコアは外せるタイプですが、樹脂なので何度も付け外しはしないほうが良いと思われます。

その他

RevoloopのTPUチューブは、Wolfpackというブランド名でも販売されています。

WOLFPACK TPU チューブ 700Cx20/28mm (REVOLOOP race.ultra) (60)
ノーブランド品

中身は多分同じです。

まとめ

「パンクしたらレビューしよう」と思っていたのですが、いつまで経ってもパンクせずに1年が経ってしまったのでレビューを書くことにしました。

軽量かつ、この手のTPUチューブでは品質が高い製品です。値は張りますが、それだけの価値はあります。ディスクロードの走りを軽くする一助になるでしょう。

特にTPUチューブの泣き所であるバルブ周りが強化されているのが嬉しい点。繋ぎ目の位置も工夫されていると感じました。さすがMade in Germany。

パンクしたら、また追記します。

 

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評価

対象モデル:  REVOLOOP「RACEチューブ」
年式: 2020年
定価: 3080円(税込)
購入価格: 3080円 (税込)
公称重量: 39g
実測重量: 40g

価格への満足度

6/10

TPUチューブとしては安い部類に入るが品質は高い。

総合評価

9/10

普通に使えるTPUチューブ。品質管理が行き届いていると思う。

著者情報

年齢: 37歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: BIANCHI OLTRE XR4(カーボン), QUARK ロードバイク(スチール)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)

# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせて頂きました。

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この記事を書いた人

ロングライド系自転車乗り。昔はキャノンボール等のファストラン中心、最近は主にブルベを走っています。PBPには2015・2019・2023年の3回参加。R5000表彰・R10000表彰を受賞。

趣味は自転車屋巡り・東京大阪TTの歴史研究・携帯ポンプ収集。

【長距離ファストラン履歴】
・大阪→東京: 23時間02分 (548km)
・東京→大阪: 23時間18分 (551km)
・TOT: 67時間38分 (1075km)
・青森→東京: 36時間05分 (724km)

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