【レビュー】SCHWALBE「ONE CL 23C」

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評価:4

シュワルベのフラグシップロードタイヤ。アルトレモの後継ですが、あらゆる面がレベルアップしています。

今回はクリンチャーの23C(ブラック)をレビューします。

目次

購入動機

2015年に参加したチームブルベのFlecheにて、私たちのチームは「ロード以外で大阪→東京を24時間以内に走る」というテーマで臨みました。私の担当はクロスバイク。フレームのハンデを減らすべく、なるべく高性能なタイヤを使いたいと思っていました。

それまで使っていたのは定番のContinental GP4000S2。しかし、クロスバイク自体が硬めの乗り心地なので、GP4000S2で530kmを耐えられる自信がありませんでした。

そんなときに良い噂を聞いたのが本製品。アルトレモのイメージから「パンクする」と思って敬遠していたのですが、そのあたりも改善されている様子。しかも海外通販だと国内定価の6割くらいで手に入るということで試してみることにしたのでした。

製品概要

実測重量は1本209g(23C)。最近のクリンチャータイヤとしては標準レベル。推奨気圧は6~10気圧と幅広め。

以下の色がラインナップされています。

・ブラック
・ホワイトストライプ
・レッドストライプ
・ブルーストライプ
・ダークシルバーストライプ

使用感

GIANT ESCAPE RX3に、MAVIC KSYRIUM ELITEとセットで使用。チューブはR’Air。乗り手の体重は80kg。前8.0気圧、後8.5気圧で大阪→東京間530kmを走りました。結果は、23時間49分で完走することができました。

転がり抵抗

「大阪→東京をクロスバイクで24時間以内に走りきれた」という実績だけでも、このタイヤが良く進むということが解ると思います。体感的にも転がりは軽く、30km/h以上を維持するのが楽でした。

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上記サイトを見ると、転がり抵抗の数値もかなり優秀なことが解ります。一番優秀なのはGP4000S2にラテックスチューブを組み合わせたもののようですが、本製品のクリンチャーもかなり健闘しています。

グリップ

今回、大阪→東京間は全面ドライでした。

フラットバーでの峠の下りはドロップハンドルより怖いと感じていたのですが、金谷峠や箱根旧道の下りで倒しこんでもヒヤッとする場面はなし。十分なグリップ性能を持っていると感じました。段差でも跳ねが少ない気がします。

雨では攻めるような走りをしていないので、ウェット性能は不明。

乗り心地

素晴らしく良いです。気圧は結構高めに入れているにも関わらず、不快な振動は伝わってこない感じ。感触としてはチューブレスタイヤっぽい。本製品にはチューブレス版もありますが、クリンチャーでこれだけ乗り心地が良いと、チューブレスはどれほどのものか気になりますね。

ロングライドにおいて快適性は重要なファクターなので、結局本番でも本製品を使うことにしました。ただ、フラットバーでも500km超を走るのは中々辛く、手の痺れは出てしまいました。

多分GP4000S2でも完走は出来たと思いますが、体へのダメージはより大きかったと思います。

耐パンク性

Vベルトとサイドの保護等、アルトレモ比で耐パンク性能は上がっているようです。実際、大阪→東京間を走ってもパンクはありませんでした。……翌日、パンクしましたが。何か鋭利なものを踏んだのか、後輪のトレッドに切れ込みが入り、そこからチューブがはみ出していたので破棄しました。

運が悪かっただけかもしれませんが、結果的に2本のうち1本は前日の走行を含めて走行距離600kmほどで寿命を迎えたことになります。

耐久性

後輪はパンクして破棄してしまいましたが、前輪は半年間クロスバイクにつけたまま使用中。走行距離は2000km程度でしょうか。

屋外保管だったので、表面には亀裂が走っています。GP4000S2も屋外保管だと亀裂が走っていたので、やはりレーシングタイヤは屋内保管のほうが良さそうです。まだまだ使えそうなので、使い続ける予定。

見た目

主張の少ないグレーのロゴで、どんなバイクにも違和感無く似合いそう。レッドストライプとも迷いましたが、「タイヤは黒が一番性能が良い法則」を信じているので、今回はブラックにしています。

その他

海外通販で買った際にはこのような簡易包装で届きました。日本の豪華な箱と全然違う。本物なのかな?と思ったけれど、完成車向けのバルクパッケージであるようです。

ただ、どうもこのバルクパッケージには品質にバラつきがあるように感じました。私が買ったタイヤ2本のうち1本には、このようなプラスチックか石の欠片のようなものが埋まっていました。後からめりこんだものかと思ったのですが、取り除くことが出来ず。完全に一体化している感じ。恐らく製造段階で入り込んだものだと思われます。一度使ってしまったため、残念ながら交換には応じてもらえませんでした。

昨今はタイヤ価格の内外差も減ってきていますが、本製品は海外で買うほうが圧倒的に安いです。国内代理店が儲けているのかもしれませんが、その他にも若干「ワケあり」なのかもしれません。2本買ったバルクパッケージのうち、1本は600kmでパンク破棄、1本は不良品だったので印象は良くありませんね。たまたま外れロットだった可能性もありますが……。

結局、国内でもう1本を追加購入しました。こちらは品質的には全く問題なく、半年経った今でも使えています。

まとめ

万能タイヤです。シュワルベが胸を張るのも解ります。今回の挑戦の成功に、大いに貢献してくれました。

特に乗り心地の良さと走りの軽さが際立っていますが、耐久性と耐パンク性はそこそこに留まっています。国内定価だと常用するのは躊躇しますが、決戦用としては良さそうです。海外通販だと安いのですが、バルクパッケージの品質に若干疑問が残ります。

ロングライドに使うには、ちょっと耐パンク性に不安があります。R’Airと組み合わせたときの乗り心地は最高なんですけどね。私なら、多少快適性を犠牲にしてもGP4000S2にするか、太めで耐パンク性も高いASPITE PRO、GRAVELKINGを使うと思います。

評価

対象モデル:  SCHWALBE「ONE CL 23C」
年式: 2015年
定価: 7600円(税込)
購入価格: 海外4500円/国内7600円(税込)
公称重量: 205g
実測重量: 209g

価格への満足度

4/10

国内定価への評価、海外でも歩留まりから考えると実は高い。

総合評価

8/10

ロードタイヤとしての完成度は高い、私の用途だともう少し耐久性が欲しい。

レビュアー情報

年齢: 31歳 (レビュー執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: QUARK ロードバイク(スチール), GIANT ESCAPE RX(アルミ)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)

# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせて頂きました。

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この記事を書いた人

ロングライド系自転車乗り。昔はキャノンボール等のファストラン中心、最近は主にブルベを走っています。PBPには2015・2019・2023年の3回参加。R5000表彰・R10000表彰を受賞。

趣味は自転車屋巡り・東京大阪TTの歴史研究・携帯ポンプ収集。

【長距離ファストラン履歴】
・大阪→東京: 23時間02分 (548km)
・東京→大阪: 23時間18分 (551km)
・TOT: 67時間38分 (1075km)
・青森→東京: 36時間05分 (724km)

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