【レビュー】SHIMANO 「XC70 (SH-XC70)」

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評価:4

SHIMANOのMTB/シクロクロス向けのレーシングシューズ。グレードで言うと、上から2番目のモデルとなります。カスタムフィット対応。

目次

購入動機

2014年4月に「クロスバイクで大阪→東京を24時間以内に走る」という挑戦をするのにあたり、少しでも効率を高めたくて購入を決めました。それまで使っていたのは、レーシングモデルでは最も下位グレードのXC30です。

私はオフロードはやらないのですが、ロングライド中は歩き回ることが多いこと&クリートを両面でキャッチしたいことから、あえてSPD-SLではなくSPDを使っています。その中でも剛性が高い本製品のようなモデルを使えば、多少はスピードが上がるのではないかと。加えて、本製品はカスタムフィット(熱成型)対応で、足がシューズの中で遊ばなくなるというのも効率向上に寄与するのではないかという期待もありました。

製品概要

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実測重量は43サイズで366g。ベルクロ2本とラチェット1本の固定方式です。

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アウトソールはグラスファイバー。クリート周辺だけカーボンを使用。スパイク部分は交換可能です。

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インソールはカスタムフィット対応。土踏まずに適切な高さのサポートを入れられるようになっています。

使用感

基本、オンロードのロングライドで使用。200~1200kmまでのブルベで半年間に渡って使用しました。前に使っていたXC30との比較でレビューします。

(1) フィット感

本製品はカスタムフィット対応です。店で熱成型を施してもらいました。

さすがにフィット感はすばらしい。ベルクロを緩めに締めても変に足が靴の中で動くことがないのが良いです。また、私は左足のほうが5mmほど大きいのですが、それが気にならなくなったのは良い点でした。

(2) 重さ

3本ベルクロタイプのXC30に対し、2本ベルクロ&ラチェットの本製品の方が重いです(片足で約20g)。とはいえ、ペダリングで重く感じることはありません。カスタムフィットにより、変に靴の中で足が動かないことが寄与しているのでしょう。

(3) 剛性感

硬いです。Bontほどではないですが、普段使っているS-WORKSのSPD-SLシューズよりも硬く感じます。

SHIMANOのシューズは剛性値が各シューズごとに公開されています。前に使っていたXC30は剛性値5。そして本製品は剛性値8です。なお、フラグシップのXC90は剛性値11となっています。数値の開き以上に硬さを感じる一方、ロスが減ってペダリング効率は上がっているはず。実際、目標としていた「クロスバイクで大阪→東京を24時間以内に走る」についても達成出来ました。

良いことばかりでは無く、悪いこともありました。今年出場したPBP(1200km)において、1000km地点から足裏に痺れと痛みが出始めたのです。ペダルを回すという行為は、地面を踏みしめるよりは遥かに足裏への負担は少ないはず。しかし、何千回何万回とペダリングをするうちに足裏が耐えられなくなったようです。

PBPに出場するためには600kmブルベの認定を得ねばならないので、600kmまではテスト済みです。ただ、1000kmという距離まではさすがにテストしていませんでした。

XC30時代はこういった問題は無し。本州一周(2140km)でも、足裏は特に問題は無かったはず。そこが剛性値の差ということなのでしょう。もとより競技用のシューズなので、ロングライドには過剛性なのかもしれません。

PBPの一ヵ月後に参加した「宮城1000」は、あえてシューズをXC30に戻して参加。PBPの痺れが残る中での参加だったわけですが、足裏の疲労は少なく感じました。

(4) 通気性

つま先部分がメッシュになっており、通気性は良いです。夏場は良いのですが、気温が10度以下になるとさすがにつま先が冷えてきます。冬場はシューズカバーが必須でしょう。

(5) 見た目

黒に差し色が赤で入っていて、見た目は非常に好み。実は購入時にフラグシップのXC90と迷いました。値段は5000円差。どうせなら一番良い物……と思いましたが、青しかないXC90の見た目に満足出来なかったのもXC70を買った理由の1つです。一番の理由は「剛性値11も要らない」でしたが。

(6) その他

靴底が滑りやすいです。コンビニではツルっと滑りかけたことが何度も。特に雨だと顕著です。

ただ、本製品の用途はあくまでオフロードの競技用。硬い床の上を歩くという用途よりも、泥や砂の上を歩く用途を想定されているはず。確かにシクロクロスの応援などで泥の上を歩くと、スパイクが食い込んで安定感があります。が、そのスパイクが硬いため、床などでは逆に滑る原因となっています。

用途にあってない使用法なので仕方ないですが、オンロード用途かつ、床や舗装路を歩き回るという目的でSPDを使う人にはオススメできません。

聞いたところによると、汎用のスパイクと交換できるようなので、滑り止め用のスパイクに交換してみようかと考えています。ゴム製なら滑りにくいと思いますし。

まとめ

カスタムフィットに対応し、フィット感&剛性感の高いシューズ。ただ、ロングライドに向くかは意見が分かれそうなところ。「SPDを使いたい、かつペダリング効率を上げたい」という人には向くと思います。ただ、オフロード以外では滑りやすいので注意。

こういったアウトソールの硬いシューズは、距離が増えるにつれ足裏への負担が大きくなるように感じます。そう感じるのは私だけかな?と思っていたんですが、同じくPBPに出ていた三船氏も似たようなことを書かれていますね。

 1,200km 43時間23分 歴史に残る記録を残した三船雅彦の挑戦
 http://www.cyclowired.jp/lifenews/node/184731

最近のシューズは硬いからなのか、一日中ぺダリングし続けると足の裏の感覚がマヒしてくるし、足の裏が汗や雨などで濡れようものならふやけてしまい、足の裏がシワシワになってペダリングすると痛くなってしまうことがある。

そんな訳で、現在使用しているのは既に現行モデルではなくなってしまったのが非常に残念な、シディのWIREカーボンコンポジット。シディの代理店をされている日直商会さんが、日本向けに限定生産したモデルで、ソールがクリート部分のみカーボンで作られ、他はプラスチックで出来ている。

踏んだ時のダイレクト感はカーボンソールと遜色なく、しかし路面から伝わる衝撃を相当緩和してくれる。昨年より愛用しているが、かなり足の裏の疲労が軽減されているのがわかるスグレモノだ。

ロングライドでは、あえてシューズの剛性を落とすのも正解なのかもしれません。今後、私は600kmまではXC70、それ以下の距離ならばXC30という運用で行こうと思っています。

評価

対象モデル:  SHIMANO 「XC70 (SH-XC70)」
年式: 2015年
定価: 29400円(税込)
購入価格: 29400円(税込) + 熱成形代4000円

価格への満足度

4/10

シマノシューズは割安イメージがあったが、なかなかのお値段。

総合評価

8/10

歩き回るのには向かないが、エネルギー伝達効率は高く良いシューズ。

レビュアー情報

年齢: 31歳 (レビュー執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: QUARK ロードバイク(スチール), GIANT ESCAPE RX(アルミ)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)

# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせて頂きました。

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この記事を書いた人

ロングライド系自転車乗り。昔はキャノンボール等のファストラン中心、最近は主にブルベを走っています。PBPには2015・2019・2023年の3回参加。R5000表彰・R10000表彰を受賞。

趣味は自転車屋巡り・東京大阪TTの歴史研究・携帯ポンプ収集。

【長距離ファストラン履歴】
・大阪→東京: 23時間02分 (548km)
・東京→大阪: 23時間18分 (551km)
・TOT: 67時間38分 (1075km)
・青森→東京: 36時間05分 (724km)

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