この記事は約 5分で読めます。
【レビュー】SPECIALIZED「S-WORKS POWER ARC」
評価:4
SPECIALIZEDのロード用サドル。流行したPOWERサドルの後継製品です。一番上のグレードであるS-WORKSのレビューとなります。
購入動機
春ごろから、周りの仲間が多く使っていることからもPOWERサドルが気になっていました。一度、またがらせてもらうと中々良い感じ。
そして9月。箱根ヒルクライムを前にして、少しでも自転車を軽量化させようとしたときに購入候補に挙がってきたのが本製品でした。従来のPOWERサドルも十分に軽量ですが、新バージョンのARCは145gと更に20gも軽くなっているとのこと。
神宮の「なるしまフレンド」に赴き、SPECIALIZEDのフィッティングプログラムを実施。提示されたのはTOUPEだったのですが、それを無視してPOWER ARCを購入しました。ただ、サドルの幅(2種類から選択)は、提示された143mmのものを採用しました。
製品概要
実測重量は133.5g。カラーは、ブラック・レッドの2種類。
サドルの幅は、143mmと155mmの2種類から選択可能です。今回購入したのは143mmです。
レールは、カーボンレールを採用。対応したシートポストでないとクランプ出来ません。
使用感
SCOTT FOILに取り付けて使用。主な使用シーンは、レースとヒルクライムです。
重量
気になる重量ですが、公称重量の141gを7.5gも下回る133.5gでした。カーボンレールとはいえ、結構クッションも多めに入っているのでこの軽さには驚きです。やはりサイズの小ささが効いているということ?
目的の一つであった軽量化は十分に達成できました。27000円でこれだけ軽量化が出来るというのは、中々のコストパフォーマンスではないでしょうか。
取付
角型のカーボンレールであるため、対応しているシートクランプを使う必要があります。Foilのシートクランプは2種類存在しており、カーボンレール用のものを使用して取り付けました。
サドルの角度の設定は中々悩みました。まずは基本の設定ということで、水平に設定。しかし、これはしっくり来ず。やや前下がりの設定にしたところ、しっくり来ました。いつもはやや前上がりの設定にしているので、少し不思議な感じ。
サドルの前後位置は、いつものALIANTEと後部位置をほぼ同じになるように設定しています。
快適性
軽さの割にパッドは豊富です。このサドルでは、100㎞程度までしか乗っていませんが、十分な快適性があると感じました。ただ、私の場合は大体100㎞くらいまでなら、どんなサドルでも特に問題は出ないのですが……。
パフォーマンス
このサドルの最大の売りは、ノーズ部分が短く細くなっていること。これにより、ペダリング時にレーパンとサドルが擦れることがなくなり、結果的に足が回しやすくなるというわけです。確か、元全日本王者の某氏が雑誌で言っていたことですが、
「ビッグプーリーやらセラミックBBの抵抗よりも、
サドルとレーパンの間の摩擦抵抗の方がずっと大きいと思いますよ。」
という意見もあるので、これだけでも結構なパフォーマンスの向上に繋がりそうです。
もう一点、気になったのが「ドロップ(下ハン)ポジションをキープしやすい」という点。かなり凹凸の激しいラウンド形状であるALIANTEからの乗り換えという影響もありそうですが、前述の脚の回しやすさも相まって、いつまでも下ハンドルを握っていられる感じがします。穴あきサドルであることによる会陰部圧迫の少なさも一因でしょうか。下ハンドルを握っている時間は確実に増えました。
一方で、アップライトな姿勢にはあまり向きません。これはサドルの角度や相性にも依るのでしょうが。
現在はパワーメーターを使っていないので出力ベースでのパフォーマンス向上について書くことは出来ないのですが、平地での10.7kmをほぼ全力で走ってみた結果、約35秒早くなっていました。装備の違いはサドルとヘルメットなので、ヘルメット側の影響もありそうです。ただ、ドロップポジションの時間が増えたことによる空気抵抗の削減があったことは間違いないと思います。
見た目
本当はブラックが欲しかったのですが、大人気のため在庫僅少。手に入ったのはレッドでした。スペシャらしい、朱色に近い赤です。最初は見慣れませんでしたが、今は気に入っています。
ノーズが短いので、横からの見た目には若干の違和感がいまだにあります。
まとめ
非常に軽量で、下ハンドルを持ったポジションを維持しやすいサドル。
使った人の多くが絶賛するのは不思議に思っていましたが、競技的な乗り方でのアドバンテージは私レベルでも感じ取れました。
一方、ロングライドに向くかは疑問です。穴あきサドルなので、会陰部以外への圧力は増えます。また、私は骨盤を前傾させた乗り方が苦手のようで、深めの前傾で長距離(と言っても、400~600km)を走ると膝を痛めてしまうことが経験的に分かっています。よって、ロングライドへの採用予定はありません。
追記(2018年6月25日)
ロングライド・ヒルクライムと使用したので、追加レビューです。
ロングライド
山梨~糸魚川まで300kmを走る「東京~糸魚川ファストラン」で使用しました。
前のレビューでも書いたように、下ハンドルを持った状態でも足が回しやすく、淡々とソロで走るのには非常に良いサドルでした。300km程度では尻も痛くならず。
ヒルクライム
元々、箱根ヒルクライムに向けての軽量化が目的で買ったこのサドル。
私が出たのは80kg超級という、いわゆるヘビー級クラス。最近はこのクラスのヒルクライムが増えていて、2017年の箱根には各地のヘビー級チャンピオンがズラリ。私も箱根のヘビー級初代優勝者として頑張りました。
結果は3位入賞でした。1位と2位は半端ないパワーの持ち主でしたね。
それでも、このサドルの軽さと脚の回しやすさが役に立ってくれたのは間違いないと思います。
評価
対象モデル: SPECIALIZED「S-WORKS POWER ARC」
年式: 2019年
定価: 28080円(税込)
購入価格: 23750円(税込)
公称重量: 141g
実測重量: 133.5g
価格への満足度
とても高価だが、この軽さと性能なら納得。
総合評価
驚異の軽さと脚の回しやすさ。競技系にはこのサドルを積極的に使いたい。
レビュアー情報
年齢: 33歳(レビュー執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: QUARK ロードバイク(スチール), GIANT ESCAPE RX(アルミ)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)
# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせて頂きました。