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【レビュー】SwissStop「Catalyst (Center Lock)」
評価:4.5
SwissStopのディスクローター。6穴タイプとセンターロックタイプがあり、今回レビューするのは、160mmのセンターロックタイプです。
購入動機
「横風対策」「音鳴り対策」として購入しました。詳しい理由は以下の記事に書いています。
元々存在を知ったのは、フォーチュンバイクのブログ記事からです。フォーチュンバイクの店長さんはサイスポの「自転車乗りのリアル物欲」特集でもこのディスクローターを勧めており、気になってはいました。
それまで使っていたのは、SHIMANOのRT-MT900。XTRグレードのローターです。これも、その前に使っていたアルテグラのローターよりは横風に煽られにくかったのですが。
ある日、風の強い日にランド坂を走っていた所、カーブで切り替えした時にかなり嫌な感じに前輪が煽られたことをきっかけに、Catalystの購入を決めました。
製品概要
2枚購入して、どちらも実測重量は139g。
160mmモデルで、初期の厚みは実測で1.80-1.85mm。
7075-T6アルミニウム(スパイダー)+SUS410ステンレス(ローター)という2ピース構造です。
パッドは、レジン・メタルの両方を使用可能です。
使用感
アルテグラグレードのブレーキシステム(BR-R8070)に、フィン付きパッド(L03A)の組合せで使用。ホイールは、HUNT「44 AERODYNAMICIST CARBON DISC」。取付けたのは前輪のみ。後輪はRT-MT900のままです。
主な使用シーンはロングライドで、使用距離は500km程度です。比較対象は、現行のULTEGRAグレードであるSM-RT800、XTRグレードであるRT-MT900です。
取付
こちらのレビューの「取付」に書いた方法と同じ。センターロックの一般的な取付け方です。
ただ若干シマノ製ローターとはセンター位置がズレるようで、ブレーキキャリパーの左右位置調整を行いました。
重量
160mmで139g(実測)と、現状のセンターロックタイプのローターでもトップクラスに重いです。
シマノのローターの重量を参考までに以下に示します。
モデル名 | 公称重量 |
SM-RT900 (DURA-ACE) | 118g |
SM-RT800 (ULTEGRA) | 128g |
RT-MT900 (XTR) | 108g |
RT-MT800 (XT) | 109g |
アルテグラと比べると10gの差しかありませんが、XTRよりは30gも重くなります。
前後共にXTR→Catalystに変えると60gの重量化。ちょっとそれは嫌だなと思って今回は前輪だけをCatalystに変えました。横風の影響を感じるのも前輪のみなので、後輪は何でもいいやというのもあります。
制動性能
サイスポに掲載されていたフォーチュンバイク店長さんの意見では「強度が高く、食いつきの良いローター」という表現をされていましたが、私もこれに同意します。
芯がアルミで表面ステンレスのシマノのアイステクノロジー搭載のローターよりも、フルステンレスのCatalystのほうがブレーキを握った時の硬さは手に何となく伝わってきます。
感触は上記の通りですが、制動距離はXTRなどと正直違いがあるとは思えませんでした。逆に言えば、XTRと同程度の制動能力はあるということです。
純正のSwissStop製ブレーキパッドとの組み合わせはテストしていませんが、それはまたいずれ。
放熱性能に関しては、代理店のフタバ商店のサイトに以下の記載があります。
コンピュータ内で放熱性や気流のシミュレーションを繰り返し、最終デザインが決定しました。
耐久性能や放熱性、制動力実験を繰り返し行い、ブレーキ性能と重量の最適なバランスのローターが誕生しました。
実際、私のような重量級の人間が長いダウンヒル使っても十分な制動力を保つので、放熱性も悪くないはずです。
横風耐性
今回の核心。結論から言えば、Catalystに変えた意味はあったと感じました。
結局、強い横風が吹くとXTRもCatalystも「前輪が持っていかれる」感覚はあります。ただ、
→挙動が予想できる。見えているパンチ。
・シマノのフィン付きローター
→挙動が予想できない。死角から飛んでくるパンチ。
「挙動が予想できるかどうか」ってのは多分に経験に基づくので、慣れればXTRのローターでも問題は無くなってくるのかもしれません。
ただ、Catalystはリムブレーキのディープリムに近い挙動をするので、現状は慣れていて対処しやすいというのが今の感想になります。
まぁ、見た目的にはローターの表面積にさしたる違いがあるとは思えないのですが。フィンは冷やすためにより風を受ける必要があるわけで、単純な平面ではなくプロペラ的な形状になっているのが影響しているのかもしれませんね。
音鳴り
ステンレス一体型なので、高温で左右どちらかに曲がって「シュルシュル」とパッドに擦れる音が発生することはありませんでした。
ただ、ステンレスといえど曲がらないわけではないようで。一度、スルーアクスルが緩んでいたままブレーキを掛けてしまい、その際には若干ローターが振れました。
スルーアクスルを再度締め直し、しばらく乗っていたら振れは補正されました。
フルームが「ディスクローターがダウンヒルで歪む」という発言をしていましたが、個人的には「スルーアクスル、ちょっと緩んでたんじゃ?」と推測しています。割と緩むんですよね、振動で……。フルームのチームが使っているローターもCatalystです。
耐久性
500km使用時点でのローターの厚みを、未使用のCatalystローターと比べてみました。どちらも1.80-1.85mm(場所によって若干差がある)で、厚みは同じでした。つまり、全然薄くなっていないということです。
一応、ブレーキ面に跡は付いているので多少は削れているはずですが、測定出来ないくらいの削れしか無いようですね。
こちらの記事ではXTRのローターの削れを測定しました。3000km使用で0.13mm程度削れていました。
同程度の距離を乗らないと断言は出来ませんが、寿命はCatalystのほうが削れにくそうに思えます。
Catalystの発売当初は「他社(恐らくシマノのこと)より10倍持つ」と豪語していたようですが、あながち嘘ではないように思えます。ただ、その分パッドの寿命は短くなりそうな気もしますが……。
その他
こちらの記事で詳しく書きましたが、Catalystローターは今年3種類にラインナップが増えます。
このページでレビューしているモデルは「Catalyst Pro」に名前が変わるようです。
まとめ
シマノに比べて重量級ではあるものの、耐久性や横風耐性に優れたディスクローター。
やっぱり「重いなぁ」とは思うのですが、目的であった「横風対策」「音鳴り対策」は達成されたので満足しています。前輪だけならば大した重量増でもないので、しばらくは前Catalyst、後XTRの構成で行こうと思っています。
一応、重さについてはSwissStopも問題視していたのか、軽量モデル「Catalyst Race」が今年の夏に発売されます。12%軽量化されているそうです。こちらもいずれ試してみたいですね。
評価
対象モデル: SwissStop「Catalyst (Center Lock)」
年式: 2020年
定価: 9240円(税込)
購入価格: 5250円(税込)
公称重量: 不明
実測重量: 139g (160mm)
価格への満足度
値段は高いが、寿命を考えると適価か。
総合評価
重量はあるが、その他の性能は求めていたものだった。
著者情報
年齢: 36歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: QUARK ロードバイク(スチール), GIANT ESCAPE RX(アルミ)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)
# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせて頂きました。