【レビュー】Tacx 「Neo smart T2800」

評価:5

Tacxのダイレクトドライブタイプの固定ローラー台。

Zwiftや各種アプリ内で設定した斜度を再現して負荷を掛ける機能を持ちます。石畳の振動を再現する謎機能も。

購入動機

パワーメーターが壊れて3年ほど。目標としていた2017年の箱根ヒルクライムはヘビー級3位でした。

やはりもう少し効率よくトレーニングする必要があるなーと感じ、久々にパワートレーニングを再開してみようと思い立ったのが年末。部屋の肥やしとなっていたディスクロード用のホイールを売却して出来たお金でクランク型パワーメーターを買おうと思っていました。

そんな時にエルブレス御茶ノ水店で本製品に試乗してZWIFTを体験。これがとても面白く、一気にスマートトレーナーに興味が湧いてきました。パワーメーターだと私一人しか使えませんが、ローラー台ならば夫婦で共用出来ますし。

スマートトレーナーとは、画面のコースに連動して負荷が調整されるローラー台のことです。画面内で登り坂が現れればペダルが重くなります。基本は負荷が重くなるだけの機能を持つローラー台ばかりなのですが、本製品は下り坂を再現できるというのが売りの一つ。このインタラクティブ性に惹かれました。

購入の決め手となったのは、ネットの評判。Tacx Neoはほとんどオークションにも出て来ません。手放そうとする人が少ないからです。また、購入者のブログを見ても、「**を売ってNeoを買った。最初からこちらにすれば良かった」と書いている人が多数。

「ならば最初から一番いい奴を買おう!」ということで、Tacx Neoを購入したのでした。

製品概要

実測重量は未測定。一応、21kg前後とのこと。

スプロケを取り付けて使うタイプのダイレクトドライブタイプです。フリーボディはEdcoのものを使用しており、シマノ/スラム/カンパのスプロケを使用可能。

付属品は以下。

・フロントホイールサポート
・専用クイックリリース(135mmエンド用スペーサー含む)
・スプロケロックナット
・スプロケスペーサー

再現可能な斜度は、-5~25%まで。25%と言ったら、あざみラインの最大斜度より急ですね。

パワー測定の誤差は±2%とされています。

使用感

主にZwift目的で使用。Tacx Cycling Appでも使用しています。

開封

今回はイギリスの通販サイト「Tweeks Cycles」で購入。聞きなれないストアですが、Demon Tweeksというバイク界隈では有名な通販サイトの自転車版だそうです。マイページの情報量や更新頻度はイマイチでしたが、モノは全く問題なく届きました。

我が家はマンションの2階ですが、郵便局の方が息も絶え絶えに持ってきてくれました……。申し訳ない。

家の中には引越しで使った台車を用意。届いた段ボールごと台車に載せて、設置場所へと運びました。

立派な箱に入っています。重いです。

付属物など。

そして本体。折りたたまれた状態で入っています。この脚部分のロックを外すと展開可能。

展開中です。大きい。とりあえず家にあったヨガマットの上に乗せましたが、その後Tacxのトレーニングマットを購入して交換しました。

初期設定(ハード側)

スマートトレーナーは、ハード側・ソフト側の両面の初期設定が必要です。まずはハード側から。

① スプロケットの取付

ダイレクトドライブなので、ローラー台本体にスプロケを取り付けます。今回は家に余っていたCS-6800の11-25Tを取り付けました。

取付後。Edcoのフリーボディはシマノもカンパも使えるのが売りですが、フリーボディに掘られたパターンが複雑で、シマノフリーにシマノスプロケを取り付けるときよりも面倒です。

11速なのでスペーサーは無し。ロックリングは11T用を使用しました。

② 専用クイックの取付

付属の専用クイックを取り付けます。重い鉄製のクイックです。ホイールに付いているクイックを使ってはいけません。強度が足らないはず。

③ 自転車の取付

後輪を外した自転車を取り付けて、クイックを締めます。

④ 電源を入れる

コンセントと本体を電源ケーブルで繋ぎます。電源ケーブルを繋げなくても自家発電で動作しますが、下り坂でのアシスト機能がoffになります。最初は電源を入れて使っていましたが、特に下り坂機能は使わないため、普段は自家発電で運用しています。

海外版ということでイギリスのコンセント用ケーブルが付いてきたため、今回は家のプリンタのケーブルを引っこ抜いて使いました。よくノートPCなどに使われるメガネ型ケーブルが流用出来ます。もしくは、変換アダプタを買っても良いはずです。

初期設定(ソフト側)

動作確認としては、ZwiftではなくTacx Cycling Appを用いました。なお、画面の表示機器としてはiPadを用いています。

① ファームウェアのアップデート

Tacx Utility AppをAndroidにインストールし、そこからTacx Neo本体のファームアップを実施しました。接続手段はBluetoothです。

② 機器類の無線接続

Tacx Cycling Appを起動し、iPadと各種機器の接続を行います。今回の構成は以下。

・パワーメーター: Tacx Neo
・ケイデンスセンサー: Tacx Neo
・心拍計: CATEYE HR-12

Tacx Neoは少しでもクランクを回すと通信が開始されます。最初はiPadの設定画面から接続するものだと思っていましたが、アプリ側から接続を行うのが正しいようです。BluetoothをOnにしてアプリからセンサーを探したところ、無事認識されました。以後は勝手に機器が認識されるようになります。

ちなみに、今のところはZwift中にBluetooth通信が切断されたケースはありません。

走行感

まずは、Tacx Cycling Appの「Films」モードを使ってみることにします。海外のレースコースの映像を使って走れるモードで、基本はコースごとのダウンロード課金制です。無料コースがいくつか用意されているので、それらをダウンロードして試してみました。

Filmの開始前は無負荷で回せるのですが、スタートするとペダリングが重くなります。スタート直後は平地ですが、平地なりの負荷ということでしょう。そして登りに差し掛かると更にペダリングが重くなり、下りでは逆にペダリングが軽くなります。

そして、それに連動して変換していく画面の中の風景。これは面白い。

驚いたのは、画面の中で石畳に差し掛かった時。本製品は「石畳振動再現機能」という誰得な機能を有しており、画面の中が石畳に入るとガタガタと揺れます。アプリ側の設定でON/OFFを切り替えられるので、私はこの機能は切っています。

また、Tacx Neoは同社のダイレクトドライブ式トレーナーの中で唯一、本体が若干左右に動く構造を有しています。車体を思いっきり振ってダンシング出来るほどではありませんが、ペダリング時に左右に動くのが分かります。

実走ではペダリング時に若干左右に車体を揺らしながら走っているのですが、普通の固定ローラーではそれを許さない構造になっていることがほとんど。この「フレームが左右に動かない」ことで実走感は薄まるし、フレーム側にもダメージが行きそうだし、良いことは無いわけなのですが。

本製品は左右に動く構造を設けることで、課題を解決しています。それのみの影響かは分かりませんが、尻が痛くなりにくく、ローラー台に20分と乗れない私が1時間乗り続けられるようになりました。

ちょっと気になるのは、最大斜度に近い負荷を掛けたときに、クランクが一周する中で力が不意に抜ける角度がある点。私だけではなく、色々な人が報告されているので、既知のバグか仕様なのだと思います。

ちなみに、走行中は足元がLEDで照らされます。低いパワーだと青、少しパワーを上げると紫、高いパワーだと赤になります。

静粛性

一番気になっていた静粛性。これは満足の行くレベルで静かです。

壁一枚挟んだ隣の部屋にいると、ほとんどローラー台を回していることが分からないほど。同じ部屋にいるとさすがに音は聞こえますが、テレビを少し大きめの音で見られる程度には静かです。食洗機や洗濯機の方が音は大きいと思います。

前の方のレビューでも書かれていますが、フライホイールを廃し、モーターを直接回す構造がこの静粛性を実現しているのでしょう。むしろ、チェーンやクランク、負荷装置の回転音よりも変速時の音の方が大きいです。静かに使いたい場合(夜中とか)は変速を出来る限りしないと良いと思います。

本製品を導入したことで、三本ローラーで悩んでいた騒音問題が解決されました。

変速性能

我が家では、私がシマノコンポ(11s)、妻がカンパグループセット(11s)という中々珍しい組合せになっています。果たして、この状態でダイレクトドライブ式トレーナーを共用出来るのか?

結論から言うと、全く問題なく共用出来ています。今回付けたのはシマノの11sスプロケットなのですが、何故か妻のカンパの方が変速性能が良いです。私のシマノは若干シャリシャリいうギヤがあります。

今の主流である130mmのエンド幅で11sを実現しようとすると各社同じようなギヤの配置にせざるを得ない、ってのは本当みたいですね。厳密には違うみたいですが、ローラー台で使う分には特段の問題を感じませんでした。

もちろん各車体の変速機の調整次第でこの辺は変わってくると思うので、ご参考まで。

その他

私が考えるダイレクトドライブ式の利点は「タイヤのことを考えなくて良い」と言う点です。

タイヤ式の固定ローラーの場合、負荷装置をタイヤに押しつけることになります。タイヤの押しつけ具合、空気圧、乗り手の体重によっても掛かる負荷が変わってきます。

そして、意外とタイヤの削りカスが床に残る問題も。タイヤの押しつけ具合は一度セットすればしばらく変えなくても良いのですが、タイヤが減るとまた調整が必要です。コレが面倒。

三本ローラーの場合、タイヤの押しつけ具合は意識しなくて良いものの、空気圧でかなり感触が変わりますし、タイヤの削りカスも出ます。固定ローラーほどの量は出ませんが。ハイブリッドローラーも三本ローラーと同様です。

その点、ダイレクトドライブは、タイヤのことを全く意識しなくて良く、汗以外に処理すべき汚れが出ないのも特筆すべき点です。重くて場所は取ると言う欠点はありますが、Tacx Neoは折りたためて割と小さくなるのも良いですね。

まとめ

重い&場所を取るということ以外、これと言った弱点の無い最強のスマートトレーナー。予算が許すならば最初からコレを買っておけば間違いはありません。

「迷ったら一番良いものを買え」と言うのは至言ですね。懐は寒くなりましたが、最初からフラグシップに行っておいてよかったと思います。現在ではZwiftの利用も開始し、夫婦でスマートトレーナーライフを楽しんでいます。

唯一心配なのは耐久性。あまり故障した報告は見ませんが(Tacx Fluxの方は良く見る)、一体何年使えることやら。

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評価

対象モデル:  Tacx「Neo smart T2800」
年式: 2018年
定価: 225000円(税込)
購入価格: 144336円(128436(本体)+6200(消費税)+10700(送料))
公称重量: 21kg
実測重量: 未測定

価格への満足度

6/10

高価だが、この性能なら納得。

総合評価

10/10

静粛性や実走感等、現時点では最強のローラー台。

レビュアー情報

年齢: 33歳(レビュー執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: QUARK ロードバイク(スチール), GIANT ESCAPE RX(アルミ)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)

# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせて頂きました。