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【レビュー】TOKEN「KONAX PRO」
評価:4
TOKENのリムブレーキ用カーボンクリンチャーホイール(TLR対応)。前後52mmハイトのエアロホイールです。
購入動機
2020年にSCOTT FOILのフレームを修理しました。

ちょうどこの頃、レース用のBOTTECCHIAにクラックが見つかり、退役させて解体。その後継として、修理したFOILを復活させようとしていたのでした。
FOILは「The エアロフレーム」ではあるのですが、この時点で我が家にはローハイトホイールしかありませんでした。一番ハイトがあったのは30mmのレーゼロカーボン。
どうせなら50mm以上のハイトのホイールが欲しいなーと思っていた所、某所でKONAX PROをセールしているのを発見。

52mmハイトで1452g。チューブレスレディ対応のクリンチャーで、リム内幅20mmと最新のトレンドにも対応。価格もずいぶん安い。
レース用ロードもそこまで出番があるわけではないので最上級を求めるつもりもなく、「ちょうどいい」ホイールが欲しかったタイミング。それにKONAX PROは見事にマッチしていました。
当時、「前輪のスポーク本数と空力性能」に注目していた私としては、空力に定評のあるCX-RAY18本で前輪を組んでいる点も気に入りました。

早速KONAX PROを購入したものの、その直後に「最後のリムブレーキ」Oltre XR4を買ってしまい、KONAX PROはOltreに付けられることになりました。
製品概要
実測重量は1451g(プリセットのTLテープ込)。内訳は、前輪654g・後輪797g。
リムハイトは52mm。リム内幅は20mm、リム外幅は27.4mmのカーボンリムです。TLテープを使うことでチューブレスレディタイヤに対応。ただし、チューブレスバルブは付属しません。
スポーク本数は前輪18本、後輪21本。Sapim CX-RAYで組まれています。
「TK2390-R5 Vigilante」というクイックリリースが付属します。
使用感
チューブレスタイヤ(iRC Formula PRO/Continental GP5000S TR)を付けて使用。主な使用シーンはファストロングライドやヒルクライムです。
重量
前輪は654g。
後輪は797gでした。合計1451g。
公称重量は1452gなので、ほぼピタリ賞。ただし、実測重量は最初から貼られたチューブレステープを含んでいるので、それを剥がせば1430gくらいにはなるはず。珍しい「逆サバ」ホイールです。
52mmのリムハイト、内幅20mmのクリンチャーにしては相当に軽いホイールだと思います。スポーク(CX-RAY)の軽さも効いているのでしょう。
適用技術
リムは、主要部分をロボットにより製造する「CONTI-FIBER」という独自技術を導入。ヒューマンエラーの防止と、カーボンシートの無駄な重なりを抑えて軽量化を狙う意図があるそうです。
丸みを帯びた外幅27.4mmのリムはCFD解析を利用して設計され、横風を含めたあらゆる風に対して最適化されているとのこと。
ハブはCNC切削によって作られるZ1ハブを採用。フランジ幅が従来よりも広く、横剛性を確保。
ベアリングの1個だけをサイズの小さいセラミックボールに変えることでグリスが適度に混ざり、回転性能を向上する「Token Free-Speed Technology(TFT)」なる技術も採用されているようですが、本当に役に立っているかは不明。
スポークパターンは、前輪がラジアル18本、後輪が2:1の21本です。リム側のスポークホールも左右に振られており、テンションを最適化しているようです。
取付
通常のリムブレーキホイールと同様に、スプロケとタイヤを取り付けてインストール。
気を付けたいのが、こちらのホイールのフリーボディは簡単に外れる構造であること。
スプロケを取り付けていない状態なら問題ありませんが、スプロケを取り付けた後にホイールを傾けると、スプロケの重さでフリーボディが外れます。持ち運ぶときにはクイックリリースを付けてフリーボディを固定しないと、意図せずにスプロケを落下させてしまうので注意。私はあやうく足にスプロケが刺さりそうになりました。
最初から貼られていたチューブレステープはイマイチ綺麗に貼られていなかったので、STAN’Sのテープを購入。内幅20mmに対し、25mm幅のテープでジャストフィット。
チューブレスバルブが付属しなかったので、IRCの70mmバルブを買いました。ぴったりでした。
最初はIRC「Formula PRO S-LIGHT」、その後はContinental「GP5000S TR」で運用。どちらもフロアポンプではビードは上がらず、CO2ボンベでビードを上げました。

RWSでホイールを固定しています。付属のクイックリリースは箱も開けていません。
加速性能
フランジ幅を広げた新型ハブのおかげなのか、横剛性がしっかりしていてゼロ加速は軽やかです。リムハイトがある分、転がりだしの重さは少しありますが、見た目から受ける印象よりも随分軽い。52mmハイトで1450gということで、リム重量がかなり軽いことも加速が鋭い理由でしょう。
巡航状態からの加速も良いです。
巡航性能
東京糸魚川ファストランでは35km/h前後で走っている時間が長かったですが、このあたりの速度域の維持は楽でした。
リムハイトが高いことはもちろん、空力性能を高めるべく設計されたことが体感としても分かるレベルです。
ただし、横風耐性は特別高いようには感じませんでした。50mmクラスのハイトとしては並といった所。強い風の日はあまり乗りたくないです。
ちなみに、フリーボディの空転音の音量は至って普通。大きくも小さくもありません。
登坂性能
緩斜面では慣性を活かして登りやすいと感じました。
斜度がキツい路面では特別感動はありませんでしたが、縦にも横にも剛性が高いのでよく登ってくれます。ヒルクライム大会にこのホイールで出ても不満はないと思います。
ブレーキ性能
ブレーキトラックは波打っていることもなく、平滑度は非常に高かったです。
高耐熱性のエポキシ樹脂(TgX)を使用しており、既に2000kmほど使っているにも関わらずブレーキによるリム面の傷や変形は見られません。

カンパのカーボン用ブレーキシューと組み合わせた場合、坂の多いルートでも不満のない制動性能であると感じました。
乗り心地
気持ち硬めに感じますが、チューブレスタイヤで低圧で乗っていたので問題ありませんでした。
ただ、チューブレスタイヤでパンクが直らない体験をしたので、今後はクリンチャー運用をする予定。乗り心地を良くする方法を考えなければなりません。タイヤ幅でも太くしますかね。現在25Cなので、28Cに変えてみるのも良いかと思っています。
見た目
リムはマットのブラックカラー。元々ロゴカラーは白だったようですが、私が手に入れた個体はグレーでした。ある時から変更になったそうです。
独特な模様と金色のワンポイントが入っていますが、これらは非常に剥がれやすいので注意。私は剥がれていませんが、他のオーナーさんの投稿を見ると剥がしてしまった人が多いようです。
なお、一度スチールフレームにも取り付けてみましたが、見た目がアンバランスですぐに外してしまいました。マッシブなフレームに似合うホイールです。
名前の由来
トライアスロンのアイアンマンレースで有名な「KONA」に由来しているそうです。
主眼はトライアスロン用、エアロロードにも使えることを目指して開発されたとのこと。
関連製品
KONAX PROは「ZENITH」というTOKENのホイールシリーズの中の1本です。
KONAX PROは52mmハイトですが、他にハイト違いの2製品が兄弟製品として存在します。
36mmハイトの「VENTOUS」、76mmハイトの「KONAX TRI」です。前後異ハイトを組み合わせたパッケージでも販売されています。
まとめ
全方面に優秀なカーボンクリンチャーホイールです。
TOKENとしてもかなり頑張って開発されたホイールと見受けられ、随所に研究の跡を感じました。
正直「これでいいや」くらいの気持ちで選んだのですが、なかなかの良い買い物だったと今にしてみると思います。エアロロードであるOltre XR4に非常にマッチしていて気に入っています。
今後とも、Oltre XR4のメインホイールとして使っていこうと思っています。
評価
対象モデル: TOKEN「KONAX PRO」
年式: 2020年
定価: 264000円 (税込)
購入価格: 120000円 (税込)
公称重量: 1452g
実測重量: 1451g
価格への満足度
かなり安く買えた。
総合評価
全方面に優秀なエアロカーボンクリンチャー。
著者情報
年齢: 37歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: BIANCHI OLTRE XR4(カーボン), QUARK ロードバイク(スチール)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)
# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせて頂きました。