【レビュー】TOPEAK「Wedge DryBag (QuickClick) Lサイズ」

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評価:4

TOPEAKの防水サドルバッグ。約10年前に試したカスタムネタを紹介するためのレビューです。

ただし、このカスタムはメーカーの推奨外の方法となっています。一応自身で1000km以上の連続走行テストは行っていますが、同様の方法を取る場合は自己責任でお願い致します。

目次

購入動機

2012年に実施した自主イベント「TOT(東京~大阪~東京)」のために購入しました。

2012年、TOTの準備

東京大阪往復の距離は約1100km。雨などを考慮すると、持ち物が増えるため、積載方法を考える必要があります。当時はバイクパッキング向けの大型サドルバッグも日本はまだありませんでした。

実際には「入ってきていたけど認知されていなかった」のほうが正しいかもしれません。
大型サドルバッグの始祖である「RevelateDesigns」は、Alternative Bicyclesさんにより2011年から輸入が開始されています。
ただ、当時はオフロード向けの店舗にしか卸されておらず、私の行動範囲外でした。
2012年当時、「大きいサドルバッグ」と言えばオルトリーブでした。
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私はこれを使い始めた後、一度お蔵入りにしています(※)。理由は「太ももに当たる感触が気になったから」です。容量的には十分だったのですが、少しでもストレスを減らすためにTOT用には採用せずに別のバッグを探すことにしました。
※TOTの後にポジションを変更したため、太ももに当たるのが気にならなくなりました。現在でもよくオルトリーブのサドルバッグは使っています。

サイスポでソリューションを発見

そこで登場するのが今回レビューするTOPEAK「ウェッジドライバッグ」です。
サイクルスポーツ2012年5月号の特集「これが本格ロングライドスタイル」の中で、ブルベの達人として紹介されていた黒澤さんの装備が目に留まりました。TOPEAKのサドルバッグを、シートポストから伸ばした謎の棒で釣っていたのです。
この積載方法はどうなっているんだろう? バッグがトピークなのはロゴから分かるものの、それをサドルから伸ばしている棒の正体が分からない。
調べてもよく分からなかったので、Twitterでご本人に質問すると以下のような回答が返ってきました。
「通常だと、サドルレールのブラケット+シートピラーにベルクロで固定するのですが、これだと登坂時に腰を引いてペダリングするときに内腿にサドルバッグが触れるもので、F77 Fixerで逃がしています。」
あの棒は「F77 Fixer」という製品名であることが分かりました。黒澤さんほどの達人が私と同じ悩みを持っておられたことが少し嬉しい。
調べてみると、F77 Fixerという製品は、QuickClickというTOPEAK独自のマウント規格のバッグに対応したシートポストバーのようです。
ただし、組み合わせるバッグについては以下の注意点がと製品ページには書かれていました。
「ウェッジパック (マイクロ / S)、ウェッジパック II (マイクロ)、プロパック (マイクロ / S)に使用可能」
黒澤さんが使っていたのはウェッジドライバッグのLサイズ。ブルベでは既存品を組み合わせてなんとかすることがありますが、黒澤さんもそういった工夫をされていたということですね。ただ、TOPEAKとしては推奨しない組み合わせなので、あくまでも自己責任ということになります。
F77 Fixerはシートポストに対してアルミのバンドを巻きつける方式ですが、先端に取り付けるバッグの重量が増えるとシートポストにも負荷が掛かり、シートポストが破損する可能性があります。また、F77 Fixer自体にも負荷が掛かるはずで、そうした点に注意しつつ使うことにしました。

TOTに臨んだ際の最終形はこんな感じ。ほぼ当時の黒澤さんの真似です。
シートポストはアルミ製の軽すぎないもの、バッグの中身も軽く容積の大きいレインウェア類を入れることにし、シートポストとF77 Fixerに掛かる負荷を下げるようにしていました。

なぜ今更この話なのか

なぜ2012年の話を今するかと言うと、知人が当時の私と同じ悩みでサドルバッグ沼に落ちていたからです。

一旦オルトリーブのサドルバッグ(Sサイズ)を買ってみたものの、太ももに当たる感触が我慢できず。さりとて、同じくらいの容量は欲しいけれど、なかなかそれを満たすバッグが無い……。

これはまさに私がTOT前に悩んだのと同じ話だったので、彼に向けての提案として記事化することにしました。

製品概要

バッグ単体の実測重量は282g。F77 Fixerは97gで、システム総重量は379gです。

容量は1.5リットル。防水ナイロン生地を超音波溶着しており、防水仕様となっています。

反射プリントがされており、テールライトのクリップホルダーも付属。

使用感

F77 Fixerとセットで使い、「シートポストバッグ化」をしていました。TOT(1100km)をこのバッグを使って走破しました。

重量

システムとしての重量は379g。1.5リットルの容量からすると重めですが、当時としては大型サドルバッグも普及していないのでやむなしという重量。

バッグの公称重量は235gなのですが、実測重量は282gと大きなズレがあったのは残念なところです。

容量

1.5リットルと、オルトリーブのサドルバッグで言えばMサイズ相当の容量になっています。

ただ、上下左右に至るまで骨組みのプラ板が入っており、オルトリーブのように「多少膨らむものを入れてもなんとか収まる」といったことはありません。変形は望めないので、パッキングは少し工夫する必要があります。

代わりに、中身がほとんど入っていなくても型崩れは一切起こさないのが特徴と言えます。

太ももとの擦れ

最大の関心事である太ももとの擦れは完全に解消されました。約10cmほどバッグが後ろにシフトしたことで干渉とは全く無縁になります。

重心のバランス

同様にシートポストに付けるバッグとしてはリクセンカウルの「コントアーマグナム」が有名です。

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こちらは容量も6Lと大きいんですが、重量が500gもありました。リクセンカウルが多くのシートポストバッグを出していますが、いずれも容量が4L以上と大きく、1.5リットルの比較的小型なものは無いようです。

コントアーマグナムは中身が多く入るため、ついつい多く中身を入れすぎて重くなり、ダンシングで車体を振ると、慣性で後輪が揺れるような感じがありました。

その点、ウェッジドライバッグ+F77 Fixerの組み合わせはそういったこともありませんでした。容量が小さめであることで、あまり荷物を詰め込まなかったこと、そしてF77 Fixerの方がリクセンカウルのマウントよりも剛性が高いことが理由であると推測されます。

防水性

高い防水性を持っています。

TOTの道中も雨には降られましたが、中身への浸水はありませんでした。

まとめ

F77 Fixerによる、ウェッジドライバッグのシートポストバッグ運用法の紹介でした。

ウェッジドライバッグもF77 Fixerも古い製品ですが、現行製品です。大型サドルバッグの選択肢がある現在、わざわざこの組み合わせを取る必要性は低いですが、「どうしても太ももとの擦れが気になる」という人向けのソリューションとして紹介させて頂きました。「円形のアルミシートポスト」という縛りは付きますが、太ももとの擦れは解消されるはずです。

繰り返しになりますが、こちらのF77 Fixerで釣る方法はメーカー推奨外の方法です。「取付可能」と「取り付けて走行可能」の間には大きな隔たりがあります。破損の危険性があることをご留意下さい。

 

評価

対象モデル:  TOPEAK「Wedge DryBag (QuickClick) Lサイズ」
年式: 2012年
定価: 5060円 (税込)
購入価格: 3465円+827円 (税込)
公称重量: 235g+95g
実測重量: 282g+97g

価格への満足度

6/10

現在のサドルバッグの相場から見ると安くはない。

総合評価

8/10

容量は少ないが、揺れは少なく防水。

著者情報

年齢: 36歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: BIANCHI OLTRE XR4(カーボン), QUARK ロードバイク(スチール)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)

# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせて頂きました。

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この記事を書いた人

ロングライド系自転車乗り。昔はキャノンボール等のファストラン中心、最近は主にブルベを走っています。PBPには2015・2019・2023年の3回参加。R5000表彰・R10000表彰を受賞。

趣味は自転車屋巡り・東京大阪TTの歴史研究・携帯ポンプ収集。

【長距離ファストラン履歴】
・大阪→東京: 23時間02分 (548km)
・東京→大阪: 23時間18分 (551km)
・TOT: 67時間38分 (1075km)
・青森→東京: 36時間05分 (724km)

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