【レビュー】TOWILD「BR800」

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評価:3

TOWILDのフロントライト。レンズ部が上下反転可能になっているのが特徴です。

目次

購入動機

このライトは「自転車ライト攻略本」を書いたとき(2022年夏コミ)に、国債さん(@gainer_kokusai)から差し入れとして頂きました。

さすがにライトの差し入れは初めてだったのでちょっとびっくりしましたね……。まぁ本のテーマからすれば最適な差し入れではあるのですが。

せっかくなのでレビューをしようとは思ったのですが、そこからはPBPモードに入ってしまい結局ほとんど試さないままでした。ようやく余裕が出来たので2024年になってからテスト使用を開始しました。

製品概要

実測重量は108g(ライトのみ)。同梱のハンドル用マウントの重量は22gです。

バッテリーはリチウムイオン(18650)で、容量2600mAh。バッテリーは交換可能です。

充電端子はType-C。外部機器への給電機能はありません。

モードとランタイムは以下の通り。点灯と点滅は別ループになっており、ダブルクリックで切り替えます。

モード明るさ点灯時間
点灯(High)800ルーメン2時間00分
点灯(Mid)400ルーメン3時間30分
点灯(Low)200ルーメン8時間00分
点滅(夜用)200ルーメン12時間00分
点滅(昼用)600ルーメン8時間00分

付属品は以下の通り。

付属品
  • ハンドル用マウント
  • GoPro用マウント
  • Type-Cケーブル
  • マニュアル

防水等級はIPX6とされています。

使用感

日々の夜練で使用。ブルベには投入していません。

パッケージ

自転車ライトとして一般的な箱型のパッケージです。

裏面にはスペックが印字されています。どうやら付属するバッテリーに2000mAhタイプと2600mAhタイプが有るようで、それぞれのときの点灯時間が書かれています。

パッケージの中身。

各部詳細

各部分の詳細を見ていきます。

ボディ

ヘッド部分はアルミ製、バッテリー部分は樹脂製です。

高価なライトは総アルミ製ボディを採用することが多いのですが、これは高級感と放熱効果を狙っていることが多いはず。

本製品はスリットを入れて放熱効果の増大を狙っていると思われますが、どれだけ効果が出ているかは不明。

充電端子

Type-C端子を採用。……が、充電速度は早くないです(詳細は後述)。

レンズ

1LEDで、縦横にスリットが入った形状をしています。レンズの上半分は擦りガラスのようになっており、光を拡散して防眩を狙っているようです。

後述しますが、配光はVOLT800 NEOに良く似ています。横長の楕円形の配光です。

レンズサイドには切り欠きが入っており、側方視認性にも配慮。

スイッチ

横から見ると本体より出っ張っています。ライトを自転車から外してカバンなどに入れた場合には誤点灯の危険性がありそうです。

スイッチはバッテリーインジケーターを兼ねており、残量によって以下のように色が変化します(使用中は常時スイッチが点灯)。

残量インジケータ
100-30%緑色点灯
29-10%赤色点灯
9-1%赤色点滅

マウント部

マウントはGarmin方式を採用していますが、ボディと一体成型です。これがちょっとイマイチ。Garminマウントは良く割れることがありますが、ここが割れるとライト自体が使用不能になるということです。

Garminマウントを採用したライトは、マウント部だけを外せるようになっていることが多いのですが、本製品はそうではありません。

重量

本体のみで実測108g。なかなか軽めです。

ただ、Garminマウントで支えるのにはギリギリな重量だと思います。特に本製品に付属するマウントは強度が弱そうなので注意が必要です。Amazonレビューを見ても、Garminマウントが割れたという話が散見されます。

Garminマウントのソケット側が割れたのなら別のマウントを探してくればよいのですが、ライト本体のプラグ側は一体成型なので交換が効きません。割れたら終わりです。

取り付け

マウントは2種類付属します。ハンドルバー用マウントと、GoPro用マウントです。

ハンドルバー用マウント

DLite1800にも付いてきた、CATEYEを真似たマウントです。ただこっちのほうが旧式のようで、DLite1800に付属するマウントよりもダイヤルの回転が渋いですね。

GoPro用マウント

吊り下げ用のGoProマウントが付属しますが、DLite1800に付属するものよりも輪をかけて華奢です。

左がBR800付属のもの、右がDelite1800付属のものです。

Dlite1800のGoProマウント部分が本体を補強するリブの役割を果たしているのに対し、BR800はGoProマウント部が仕事をしていません。取り付けてネジをしっかり締めても、すぐに角度が変わってしまうほど薄いというのもあります。

BR800付属のマウントはあまりにも頼りなかったので、自転車に取り付ける際にはDLite1800のマウントを流用して取り付けました。

大きさ

幅は細め。今回はGoProマウントを使いましたが、ハンドルに直接取り付ける場合でもサイコン等との干渉はしにくそうです。

上下入れ替えギミック

このライト最大の特徴がこの「上下入れ替えギミック」でしょう。

ライトの前半分が外れるようになっており、レンズの上下方向を変えられるようになっています。これにより、ハンドルの上側に取り付けても、下側に吊るしても最適な配光で使用できます。

同じような形式を採用したライトに、XOSSのNavi800があります。こちらはStVZO対応で、上側の配光を完全にカットしているタイプです。

BR800の上下入れ替えギミックを試していきます。

レンズ部を反時計回りにひねると、外すことが出来ます。取り付ける時は時計回りにひねります。

中身は18650バッテリー。この個体は2600mAhだったようです。まぁこの手のバッテリーの容量は嘘が書いてあることも多いので、信用できるかは別問題です。

左がハンドル上で使うとき用、右がハンドル下に吊り下げて使うとき用です。吊り下げで使った場合でも配光は保たれますし、インジケーター付きのスイッチも視認可能になります。

点灯モード

点灯は3種類で、200/400/800ルーメンの等間隔。VOLT800やVOLT800 NEOと同じ明るさ構成です。

個人的にはこの位の明るさ段階が一番使いやすいですね。通常走行は200ルーメン、暗闇のダウンヒルでは400か800ルーメンを使う……といった感じ。

点滅モードも2種類ありますが、ライトのメインループには入っておらず、スイッチをダブルクリックすることで点滅モードのループに入ります。個人的にはこちらの方式が使いやすい。普段は点滅を使わないので。

配光

いつもの場所で撮影してきたBR800の主観照射図を↓に示します(< > ボタンでモード切替可能)。

TOWILD/BR800/LOW/200lm
TOWILD/BR800/MID/400lm
TOWILD/BR800/HIGH/800lm
previous arrow
next arrow
 

照射画像を見ても分かる通り、画面奥の橋側面が照らされていません。上側の光をカット……というより、光全体が横長の楕円形に潰されているような配光です。VOLT800 NEOの配光に似ています。

参考として、VOLT800 NEOの配光を↓に示します。

CATEYE/Volt800 NEO/Low/200lm
CATEYE/Volt800 NEO/Mid/400lm
CATEYE/Volt800 NEO/High/800lm
previous arrow
next arrow
 

VOLT800 NEOとは各モードの明るさ(200/400/800ルーメン)も同じですが、VOLTの方が明るい範囲が大きいように見えます。

レンズ形状も良く似ています。BR800は横スリットも入っていますが、この縦スリットが光を楕円形にしているのでしょう。

点灯時間・照度変化

いつも通り、照度計を使って明るさの時間変化を計測しました。

計測対象は点灯のLowモード(200ルーメン)です。

公称点灯時間は8時間で、実際の点灯時間は6時間34分でした。

明るさを一定に保つ点は素晴らしかったです。ここまで綺麗に一定になるライトはそうそうありません。BR800はTOWILDの中ではミドルグレードの下くらいの位置のライトですが、フラグシップ(DLite1800)でも実現できていない一定光量を備えていました。

しかし、公称時間よりも1時間半も短い時間しか点灯しなかったのは良くないですね。そこはしっかりと公称時間を守ってほしいものです。

光の色

若干黄色みがかった白色光です。

充電性能

充電士の電流を計測しました。

Type-C端子を採用しているにも関わらず、最大で0.9A程度とちょっと寂しい値です。他社のものだと2A近くは行くものが多いんですが。バッテリーの保護を優先しているんでしょうか(遅く充電したほうがバッテリーへの負荷が少ない)。

公称充電時間は3時間ですが、実際には4時間半掛かりました。

防水性能

いつものように1分間のシャワーテストを実施しました。

バッテリー近くまで水が迫っていますが、きちんとOリングで止まっています。その他の部分も防水的には大丈夫そうでした。

バッテリー容量の表記

このライトは筐体にバッテリー容量の記載はありません。

ただ、このライトはバッテリーが外せます。飛行機輪行等でバッテリー容量の提示を求められた場合には、バッテリーを外して提示しましょう。

Made in Chinaと書かれているのに、なぜかハングル説明。

バッテリー品質

ちょっと不安なのが付属するバッテリーの品質です。

一度満充電にした後、1時間ほど走行。そして翌日に再度使おうとするとインジケーターが赤点灯していました。

このライトは200ルーメンでは8時間使えることを公称しています。たった1時間でインジケーターが赤点灯(残量30%以下)になることはありえません。

一応こういう現象はこれまでにも何度か経験済。あまり品質の良くないバッテリーだとこうなることがあります。このライトを本格的に使うのであればバッテリーだけは信頼の置ける所から別途購入したほうが良いでしょう。

仮に、3400mAhのバッテリーを別途購入した場合、付属の2600mAhのバッテリーの1.3倍ほどの容量になるので、点灯時間も1.3倍になります。6時間34分だったローモードが8時間30分くらいに伸びる計算です。

ただ、Amazon等で売っている18650バッテリーは品質がピンキリで、しっかりしたものを探すのはなかなか難しいです。だから私はバッテリー調達の品質が信頼できるCATEYEのライトばかり買うんですが。

まとめ

安価(実売4000円前後)な割に色々と凝ったことをしているライト。

レンズの上下を入れ替え可能なギミックや、明るさを最後まで保つなど機能面は面白いです。配光も凝っていて、実用性と防眩をなかなかのレベルで両立しています。

ただ、点灯時間が公称より短いことから、バッテリー品質がイマイチに思える点も。バッテリーは交換可能ということで、逃げ道はあります。

一番まずいのはGarminマウントが樹脂製で一体成型という点ですね。ここが壊れたらライトとして終わってしまうので、せめて交換可能の別体だったら良かったのですが。

破損の可能性などを考えるとシリアスな用途にはあまり向かない気がします。日々の通勤など近距離用としては、防眩機能もあって良いライトではないでしょうか。

なお、現在はマイナーチェンジバージョンの「BR800S」が登場しているようです。違いはロゴと、ワイヤレスリモコンに対応、あと振動感知での自動点灯に対応したとのこと。

評価

対象モデル:  TOWILD「BR800」
年式: 2022年
定価: 不明
購入価格: 差し入れ
公称重量: 59g(バッテリー除く)
実測重量: 108g(バッテリー含む)

価格への満足度

差し入れのため評価対象外

総合評価

6/10

意欲的な構想が多く見られるが、品質的に今一つな点も。

著者情報

年齢: 39歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: GHISALLO GE-110(カーボン), QUARK ロードバイク(スチール)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)

# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせていただきました。

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この記事を書いた人

ロングライド系自転車乗り。昔はキャノンボール等のファストラン中心、最近は主にブルベを走っています。PBPには2015・2019・2023年の3回参加。R5000表彰・R10000表彰を受賞。

趣味は自転車屋巡り・東京大阪TTの歴史研究・携帯ポンプ収集。

【長距離ファストラン履歴】
・大阪→東京: 23時間02分 (548km)
・東京→大阪: 23時間18分 (551km)
・TOT: 67時間38分 (1075km)
・青森→東京: 36時間05分 (724km)

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