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【レビュー】TOWILD「DLite1800」
評価:3.5
中国のライトメーカー「TOWILD」のフロントライト。
縦に2つのLEDを備え、ハイビーム・ロービームの使い分けが出来ることが特徴のライトです。
購入動機
2023年4月のサイクルモードで現物を見て良さそうだったので注文しました。

LEDを「横に2個」備えてハイビームとロービームを出し分けるライトは従来にもありました。

OutboundLighting「Detour」や、Magicshine「RAY2600」がそれです。
ただ、これらのライトはLEDが横に並ぶのでライトの幅も40-50mmほどと幅広。手狭な私のハンドルには付けることが難しかったのです。

しかし、Dlite1800は「縦に2個」のLED。
横幅は31.6mmとRN1500やVOLT800 NEO等のライトと同等です。これならばハンドルに付けることも可能だと考え、買ってみることにしました。
ちなみにDlite1800には専用のワイヤレスリモコンもありますが、特に必要はないと思ったので購入しませんでした。
製品概要
実測重量は181g(本体のみ)。同梱のハンドル用マウントの重量は23gです。
バッテリーはリチウムイオン(21700)で、容量は5000mAh。充電端子はType-C。外部機器への給電機能を持っています。
モードとラインタイムは以下の通り。
モード | 明るさ | 点灯時間 | |
---|---|---|---|
ロービーム | High | 600ルーメン | 3:45 |
Low | 200ルーメン | 11:00 | |
Flash | 200ルーメン | 18:00 | |
ハイビーム | High | 1200+600ルーメン | 1:40 |
Low | 400+200ルーメン | 4:30 | |
ターボ (要リモコン) | 2100ルーメン | – |
付属品は以下の通り。
- ハンドル用マウント
- GoPro用マウント
- Type-Cケーブル
- Type-A→Type-Cアダプタ
- 2mm六角レンチ
- マニュアル
防水等級はIPX6とされています。
使用感
日々の夜練で使用。ブルベには投入していません。
基本は「手動モード」で使用しており、スマートモードはそれほど使用していません。

比較対象は、バッテリーのスペックで同等となるVOLT800 NEO、RN1500です。
パッケージ
自転車ライトとして一般的な箱型のパッケージです。

裏面にはスペックが印字されています。

パッケージの中身。
2mmの六角レンチは、ライト本体に付いているマウント部品用です。この部品の向きを変えることで逆さ吊りにも対応します。
各部詳細
各部分の詳細を見ていきます。
充電端子

Type-C端子を採用。外部機器への給電にも対応しています。
レンズ

2LEDを採用し、それぞれにレンズの設計も変化が付けられています。
上側がハイビーム用、下側がロービーム用。上側は光を直進させるようなレンズになっているのに対し、下側は中心部の光を下に曲げる&外周部の光は拡散するようになっています。

レンズサイドには切り欠きが入っており、側方視認性にも配慮。
スイッチ

スイッチはライト本体より出っ張っていますが、スイッチ外周部に堤防的なものが設けられているので、カバンなどに入れた際に誤ってスイッチを押してしまうリスクは考慮されているようです。
スイッチは2つ付いています。役割の違いは以下。
- 上側のスイッチ
ライト電源のON/OFF、明るさの切替 - 下側のスイッチ
ハイビームのON/OFF、モードの切替(スマートモード⇔手動モード)
スイッチはバッテリーインジケーターを兼ねており、残量によって以下のように色が変化します(使用中は常時スイッチが点灯)。
モード | 残量 | スイッチの色 |
---|---|---|
スマートモード | 100-30% | 青色点灯 |
29-10% | 青色点滅 | |
1-9% | 青と赤の点滅 | |
手動モード | 100-30% | 緑色点灯 |
29-10% | 緑色点滅 | |
1-9% | 緑と赤の点滅 |
スマートモードは、振動センサーによって長時間の停止時には自動で消灯するモードです。明るさの自動調整は行いません。
マウント部

マウントはGarmin方式を採用。


こちらのマウントは取り外すことが可能で、上下反転することで吊り下げ方式にも対応します。
重量

本体のみで181gと、それなりの重量です。VOLT800 NEOもRN1500も大体同じくらいなので、21700バッテリー搭載ライトの相場くらいと言って良いでしょう。
ただ、この重量でGarminマウントを採用するのはちょっと強度的に心配です。
取り付け
マウントは2種類付属します。ハンドルバー用マウントと、GoPro用マウントです。
ハンドルバー用マウント


ものすごーく、どこかで見た方式です。言うまでもありませんが、CATEYEのH-34Nマウントの真似です。

取り付けてみました。
この手のH-34Nモドキのマウントはダイヤルの回転が渋すぎることが多いのですが、TOWILDのマウントはダイヤルがスルスル回ります。
ただし、強く締めてもマウントが前後方向に動かせてしまうので、固定力は本家に及んでいません。とはいえ、通常の舗装路の走行時にライトがお辞儀してしまうようなことはなかったです。
GoPro用マウント

吊り下げ用のGoProマウントが付属しますが、樹脂製でかなり華奢です。
それなりに重量のあるこのライトを支えきれる気がしないので一度も試していません。
大きさ

幅は細く、私のハンドル上にも問題なく収まりました。
点灯モード
複数LEDのフロントライトの宿命なのですが、操作系がちょっと複雑です。

このライトには前述の通り2つのLEDが付いています。
それぞれのLEDについて「消灯/弱点灯/強点灯」の3状態があるので、3×3で9通りの組み合わせがあることになります。しかし、全ての組み合わせが使えるわけではありません。
2LEDの点灯状態の組み合わせを示します。
下側LED (消灯) | 下側LED (弱/200lm) | 下側LED (強/600lm) | |
---|---|---|---|
上側LED(消灯) | (電源OFF時) | ロービーム (Low/200lm) | ロービーム (High/600lm) |
上側LED(弱/400lm) | – | ハイビーム (Low/600lm) | – |
上側LED(強/1200lm) | – | – | ハイビーム (High/1800lm) |
9通りのうち、(電源OFF時を除くと)使えるのは4通りだけです。上側LEDだけを単独で点灯することは出来ず、かならず下側LEDとセットで点灯する必要があります。
9通りを選択可能にすると操作系がかなり複雑になることから4通りに絞ったのだと思いますが、個人的にはこれがイマイチでした。
ロービームは近距離(~5m程度)を照らし、ハイビームは遠距離(5~20m程度)を照らします。街中や街灯のある場所ではロービームのみで走ることが出来ますが、郊外の道ではハイビームを使いたくなります。路上の異物に10m手前で気付ければ避けることは出来ますが、5mでは避けることは難しいので。
しかし、このライトのハイビームは600ルーメンが下限の明るさです。この状態では4時間半しか使うことが出来ません。
私のメイン用途であるブルベでは郊外の道を走る時間のほうが圧倒的に長いので、ハイビームの方が使う時間が長くなります。4時間半では短すぎてちょっと使おうとは思えません。
配光
いつもの場所で撮影してきたDlite1800の主観照射図を↓に示します(< > ボタンでモード切替可能)。
ロービーム
画像を見ても分かる通り、ロービームは一番手前のカラーコーン(5m地点)までしか照らせていません。かなり近距離をワイドに照らす配光です。
橋の側面が全く照らされていないことから分かる通り防眩はしっかりしていますが、それにしても照らせる距離が短すぎます。
ロービームのHighに切り替えても状況は変わらず。5m先までの路面はくっきり見えますが、それより先が真っ暗です。
実際ロービームのみで真っ暗な路面を走行してみましたが、なかなか怖かったです。
ハイビーム
一方、ハイビームは20m先の路面まで照らせています。郊外の道路で使うのにも不都合はないでしょう。
ただし、前述の通り600ルーメンが下限なので4時間半しか使うことが出来ません。短いです。
点灯時間・照度変化
いつも通り、照度計を使って明るさの時間変化を計測しました。
計測対象はロービームのLowモード(200ルーメン)です。

公称点灯時間は11時間で、実際の点灯時間は11:58でした。
かつて計測したTOWILDのBR800は一定照度だったのでDlite1800もそうではないかと推測していましたが、実際には一定光量ではありませんでした。点灯開始から9時間経過しても2/3程度の明るさは保てているので「ダラ落ち」とも言い難いですが。
他のモードは明るすぎて発火の危険があるので計測はしていませんが、恐らく同様の明るさ推移を辿るものと推測します。
光の色
白系の光の色です。個人的には好みの色。
充電性能
充電時の電流を計測しました。

最初の10分程度は0.2Aしか流れていませんでしたが、そこから2A以上まで上昇。最終的には二時間半で満充電となりました。
5000mAhでこの速度が出ていれば十分だと思います。
外部機器への給電
Dlite1800は外部機器への給電機能を持っています。モバイルバッテリー代わりに使えるということです。
両端がType-Cのケーブルを使ってスマホなどを充電できる機能ですが、注意すべきことがあります。

こちらの記事で書いた話ですが、両端がType-Cのケーブルを使うと「どちらがどちらを充電するか」が定まりません。「Dlite1800→スマホ」の方向に電流が流れることもありますし、逆に「スマホ→Dlite1800」の方向に流れることもあります。

この方向を決定するためには、「片方がType-Aの端子になっているケーブルを使い、Type-A側にType-C変換アダプタを付ける」ことが有効です。Type-A側が必ず「電流を送り出す側(ソース)」になります。
本製品にType-A→Type-C変換アダプタが付属するのも、そういった用途を考慮してのことでしょう。

スマホを充電してみました。900-1000mAh程度は流れるようです。
防水性能
恒例、1分間のシャワーテストでは水没はありませんでした。実際の雨天走行は試せていません。
本体のマウント取り付け部のネジも内部までは貫通していなかったので、ここからは浸水しないはずです。
価格
この記事を書いている段階で、リモコンなしが10580円、リモコンありが11960円です。1080円分のクーポンが発行されているので、実売価格は9500円と10880円。
このスペックから考えるとなかなかお安い気はします。
バッテリー容量の表記
LEZYNEのライトレビューでも書いた話ですが、本体にバッテリー容量の印字がありません。
昨今は飛行機の保安検査でバッテリー容量の印字のないリチウムイオンバッテリー搭載機器は没収される可能性があります。是非印字するようにしてほしいものです。CATEYEやOLIGHTはしっかり印字しています。
まとめ
ハイビーム/ロービーム切替機能を持つユニークなライト。

個人的には防眩一辺倒のライトは好みではありません。ある程度上方向の光がないと遠距離まで照らせないので。
その点、「街中を走る際や対向車がいる時はロービーム」「郊外ではハイビーム」……といったようにシチュエーションに合わせてモードを使い分けられるこのライトの設計の方向性は理想的なものだと思います。実際、ISOの自転車用ライトでもハイビーム/ロービームに関する定義が近年追加されました。今後、ハイ/ロー切替の付いたライトは増えていくでしょう。
ただ、Dlite1800は点灯モードが全9種類のうち4種類しか選べず、ロービームではごく近距離までしか照らせません。
「長時間、遠距離まで照らしたい」場合に適したモードがカットされてしまっているのが残念でした。上側のLEDだけを点灯するモードがあれば個人的には満足なのですが。
最近はiGPSPORTのVS1200のように、点灯モードや明るさをアプリから設定できるライトも出てきています。可能ならばTOWILDもそういった機能が追加されると良いですね。
評価
対象モデル: TOWILD「DLite1800」
年式: 2023年
定価: 10580円(税込)
購入価格: 10580円(税込)
公称重量: 180g
実測重量: 181g
価格への満足度
これだけの機能を詰め込んでこの価格は納得感がある。
総合評価
ハイ・ロー切替を実装した設計の方向性は素晴らしい。ただ、選べる明るさの設定と配光が用途と合わなかった。
著者情報
年齢: 39歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: GHISALLO GE-110(カーボン), QUARK ロードバイク(スチール)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)
# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせていただきました。