【レビュー】Tubolito「Tubo Road 700C Tube」

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評価:3.5

オーストリア発、ポリウレタン製の自転車用チューブ・チューボリート。今回レビューするのは、ロードバイク用の「TUBO ROAD(チューボロード)」です。

目次

購入動機

tubolitoを知ったのは2018年のこと。興味は持ちましたが、買うには至りませんでした。

2019年、フタバが代理店となり、日本にも輸入が開始されました。国内定価は4500円ほど。やはりちょっと高い……と思っていたら、関西の某ショップの店長さんが「使ってみます? 」と、送って頂けることになりました。昨年末に伊豆ツーリングのルートを引かせてもらったのですが、そのお礼とのことでした。ありがとうございます。

かくして2本のtubolitoが届いたので、こちらも新品のPanaracer RaceDと組み合わせてテストしてみることにしました。

製品概要

実測重量は、37gと39g。ポリウレタン製です。

バルブ長は、42mm/60mm/80mmの3タイプ。色はオレンジのみ。

バルブも樹脂製で、オレンジ色。

使用感

Racing 3に、Panaracer RaceD Evo4とセット、前後7気圧の条件で使用しました。

重量

2本の実測重量は37gと39g。公称38gなので中々の正確さです。普段遣いしているMAXXISのUltralight(48mmバルブ)が75gなので、きっかり半分の重量です。

取付

説明書が付属しますが、日本語は無し。韓国語はあるのに……。

パッケージの裏にはグラフィカルな説明があります。こちらのほうが分かりやすいですね。

空気を0.5気圧ほど入れてから取り付けを行うように指示があります。

取り付け完了。

性能

ひと漕ぎ目に感じたのは硬質な踏み心地でした。

「あ、やっぱり伸縮性無さそうだし、乗り心地が悪いのかな?」

と思ったんですが、段差に突っ込んだときの振動収束がやたら早いことに驚きました。硬質なのに乗り心地は良いという不思議な感覚。ブチルチューブとは確実に違います。山岳含む100kmライドでも使ってみましたが、手へのダメージが少ないと感じます。ラテックスチューブは使ったことがないので比較できません。

漕ぎ出しの軽さについてはそこまで大きくは感じられず。普段から結構軽めなチューブを使っているせいかもしれません。それよりも乗り心地の面が印象に残るチューブでした。

なお、空気の抜けは24時間で実測0.2~0.3気圧程度と大変優秀です。

大きさ

未使用状態のサイズは非常に小さいです。ツール缶などに入れてもかさばらないでしょう。

価格

税込4644円。ミドルクラスのタイヤが買えてしまう値段です。今回は幸運にもお礼として頂きましたが、中々手が出ない価格ではあります。

パンク関係

走行開始から200kmほどでパンクしました。耐パンク性に定評のあるRaceDをあわせたにも関わらず……が、タイヤをよく見ると金属片が刺さっていました。これはさすがにRaceDでも耐えきれないでしょう。一応「2倍のパンク耐性」を謳う製品も金属片には勝てませんでした。もう一本のチューブは500km使っても特にパンクはしていません。

少し不思議なのは、かなり大きめの金属片が刺さったにも関わらず、スローパンクであったことです。金属片が刺さった場所に心当たりはあったのですが、それは約5km手前。そこから少しずつ空気圧が低下していったことになります。

経験がある人は多いと思うのですが、金属片が刺さると、「プシュー」という音と共に瞬間的に空気が抜けるのが普通です。しかし、このチューブはどうもゆっくり空気が抜けるようです。

ここで思い出したのは、非ゴム系チューブの先駆けであった「FOSS」。こちらはデモンストレーションとして、「釘が刺さっても、刺さっている間は空気が抜けない」というデモンストレーションを行っていました。

cyclowired
FOSS ライターで修理可能な耐パンク性に優れるインナーチューブ - 製品情報2016 パンクのリスクを低減するチューブをリリースするFOSS(フォス)。2010年のiFマテリアルアワードに輝いた素材を使用し、耐パンク性能が向上したチューブを紹介しよう。取り...

多分ゴムに比べて一気に裂けずに穴が広がりにくいということだと思います。もしかしたら、tubolitoにも近い特性があるのかもしれません。

なお、パンク修理には専用のパッチセットが必要です。「FOSSのように炙ったら穴が塞がらないかな?」という好奇心に負けて、台所に水を用意してライターで炙ってみました。穴は塞がりませんでした。素直にパッチセットを買いましょう。

その他

あまり他では触れられていませんが、このチューブはブチルチューブと決定的に異なる点があります。それは、一度伸びると伸びっぱなしという点です。ブチルチューブも空気を入れると少しは伸びますが、それよりも大幅に伸びます。

上が空気を入れる前、下が25Cタイヤに入れてしばらく使った後のものです。パッケージに空いている穴よりも1cmほど細かったはずですが、使用後は2mm余る程度の幅まで広がっています。7~8mmほど幅広になっているでしょうか。2倍3倍になるというわけではありませんが、使用するタイヤの幅に応じて広がることは間違いありません。このことから、空気を入れないで高圧まで膨らませるのはやめたほうが良いでしょう。

そして、この「伸びっぱなし」という点。タイヤを変えようとしたときに非常に困ります。幅にして片側で8mm、両側で16mm。ということは、直径は5mmほど大きくなっているということになります。これだけ大きくなると、なかなかタイヤの中に収まってくれないのです。購入直後に入れた時はスルッと入ったチューブですが、一度取り出したが最後、私は再度入れることは出来ませんでした。

普段から練習用タイヤ+tubolitoを使い、ヒルクライムレース前だけ軽量タイヤを付ける……みたいなシーンで使うことはなかなか難しいと思います。また、出先でパッチセットを持っていたとしても、修理後にタイヤの中に収めるのは難しいと思います。

まとめ

走行性能のメリットを感じられる軽量チューブ。これまでの非ゴム系チューブ(といってもFOSSくらいですが)はあまり評判がよくありませんでしたが、この製品は走行性能に破綻がありません。

快適性はすぐに実感できるレベルですし、私はよく分かりませんでしたが重量のアドバンテージは明確にあるはずです。今回は残念ながら200kmでパンクしてしまいましたが、極端にパンクしやすいということは少なくとも無いと思います。性能的には「次世代のチューブ」と呼んで差し支えないと思います。

ただ、気になるのは「値段」と、「伸びたら伸びっぱなし」という点です。さすがに普段遣いにするには少し高すぎます。そして、基本的にはタイヤを変えての使用はかなり困難。使い勝手の部分ではまだまだブチルチューブに分がありますね。伸びっぱなしというのは素材特性的に難しいかも知れませんが、ラテックスチューブ並(1本2000円くらい)まで落ちてくれば、普及率は一気に上がりそうな気がします。

私はまだ完全移行には踏み出せません。値段がこなれるまで、MAXXIS Ultralight、Panaracer R’Airを使うと思います。

評価

対象モデル:  Tubolito「Tubo Road 700C Tube」
年式: 2019年
定価: 4684円(税込)
購入価格: お礼として提供
公称重量: 38g
実測重量: 37g/39g

価格への満足度

頂いたもののため、評価対象外。

総合評価

7/10

軽量かつ乗り心地は良い。扱いは多少デリケート。

レビュアー情報

年齢: 34歳(レビュー執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: QUARK ロードバイク(スチール), GIANT ESCAPE RX(アルミ)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)

# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせて頂きました。

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この記事を書いた人

ロングライド系自転車乗り。昔はキャノンボール等のファストラン中心、最近は主にブルベを走っています。PBPには2015・2019・2023年の3回参加。R5000表彰・R10000表彰を受賞。

趣味は自転車屋巡り・東京大阪TTの歴史研究・携帯ポンプ収集。

【長距離ファストラン履歴】
・大阪→東京: 23時間02分 (548km)
・東京→大阪: 23時間18分 (551km)
・TOT: 67時間38分 (1075km)
・青森→東京: 36時間05分 (724km)

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