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【レビュー】TyreKey「TyreKey」
評価:3
イギリスのブランド「TyreKey」の、新形状のタイヤレバー。特にタイヤの取り付け時に噛み込みによるパンク率を下げることを目的としているようです。
購入動機
2019年、PBP前に携帯可能なタイヤペンチ系の製品を試してみようと思い、購入しました。下記製品と同時期の購入になります。

製品概要
実測重量は21g。ナイロン製。
対応するリム外幅は18-28mm。タイヤ幅は18-35mmまでとされています。
使用感
家でのテスト使用時のレビューとなります。出先に携帯して使用したことはありません。
便宜上、本レビューでは上記画像の通り、C字の上側の部位を「上顎」、下側の部位を「下顎」と呼ぶことにします。
重量
21gとそこそこ軽量です。普段使っているPanaracerのタイヤレバーが1本12gなので、これを2本携帯するよりは軽量ということになります。

大きさ
長さは148mmとそこまで大きくありませんが、鉤爪型の形状ということで入れられる場所は限定されます。
ソフトツールケースには入りました。ハードケースだと他の中身との位置関係が難しかったです。
タイヤの取り付け
TyreKeyのメイン用途、タイヤの取付です。
まずは8割型、リムにビードを取り付けていきます。残り2割になった段階で、Cの字の間にタイヤを挟み込みます。
この時、ビードがハマっていない側に上顎が、ビードが既にハマっている側に下顎が来るようにする必要があります。下顎を支点にしてテコの原理を適用するためです。
下顎を支点に、上顎でビードを引っ掛けてリムの内側に落としていきます。この時、TyreKeyを持っていない方の手は、ビードが取れないようにタイヤを抑えておく必要があります。
「リムの内側に落とす→少しスライド→リムの内側に落とす」……というループを繰り返し、最終的に全てのビードをリムの内側に落とせば取付完了です。
ただ、スムーズに行くのはタイヤレバーでも取り付けられるリムとタイヤの組合せの時くらいで、ビードの硬いタイヤだと相当苦戦します。明らかにタイヤレバーに勝るのは、「チューブを噛み込みにくい」という一点のみだと感じました。
なお、ブレーキ面にスライドさせていく際に上顎が結構摩耗します。ブレーキ面を傷つけない意味では正しいのですが、工具としての耐久性はそこまで高く無さそうに見えます。
タイヤの取り外し
はっきり言って、これを使ってのタイヤの取り外しは、タイヤの取付より数段難しいです。相性の良いリムとタイヤで、ある程度のコツを掴めば取れますが、あらゆる組合せのタイヤにTyreKey1本だけでは不安が残ると思います。
公式サイトに公開されている使い方の動画を見ると、かなりタイヤをリムからズラして、そこにTyreKeyの持ち手の部分をくぐらせています。この動画くらいズラせるタイヤなら良いのですが、相性の悪いタイヤだと、くぐらせること自体が難しいはずです。出先で使う前に、家で一度テストをするべきです。
これくらいタイヤをズラせていれば問題ないと思います。
タイヤのビードの下に、TyreKeyの持ち手をくぐらせます。公式の動画だと切り欠きを奥側に向けて入れており、押し出すようにしてタイヤを外していますが、私はその方法では外せませんでした。上手く行ったやり方は、切り欠きを手前側に向け、引いて外す方法でした。
テコの原理で、ビードをリムの外側に引っ張り出します。この状態で、
手前に引き寄せるようにすると、ビードがリムから外れていきます。イメージとしては、「切腹」です。この時、若干チューブを痛めそうで怖いです。
ただ、このやり方でも100%取れるわけではなく、ビードの硬いタイヤだと取ることが出来ませんでした。
ディスクブレーキ用リム
FAQに記載がありますが、ディスクブレーキ用リムに使う時には注意する必要があります。
問題が起きるのは、タイヤの取り付け時。下顎部分をリム面に押し付けることになるわけですが、リムブレーキ用のホイールの場合はここにブレーキ面が来ます。
しかし、ディスクブレーキ用のホイールの場合は、この部分にまでデカールが貼られている場合があります。TyreKeyはアルミやカーボンよりは軟質な素材で作られていますが、デカールは傷つけてしまう恐れがあります。そのため、FAQには、以下のように記載されています。
リム壁の上部に塗装されたディスクブレーキ固有のリムについては、ご自身の裁量で使用することをお勧めします。
「自己責任でお願いします」ということですね。
その他
ちょっと面白いのは、この会社は製品名が会社名になっていることです。
サイトを見ても、この製品以外の製品がありません。たった1商品で会社が成り立つのか疑問ではありますが、それだけ自信があるんでしょう。
まとめ
タイヤの取り付け時にチューブを噛み込みにくい方式のタイヤレバー。
一応、これを使ってもタイヤの取付・取り外しは出来るようになりましたが、それまでにはかなりの練習が必要でした。出先でいきなり使うことは避けたほうが良いです。十分練習をしてからにしましょう。
そして、(これは個人的な感想ですが)TyreKeyを使ったからといって、これまでタイヤレバーで付けられなかったタイヤが付くようになるものではないと思います。これを使って脱着できるタイヤは、タイヤレバーでも脱着できるはず。ただ、取り付け時の噛み込みによるパンク率は減りそうです。

噛み込みを減らすだけが目的ならば、こちらのタイヤペンチでも同様なことが出来ますし、こちらの方がより小型で使いやすかったです。
とりあえず、私は今の所は普段使うリムとタイヤの組合せはPanaracerのタイヤレバーで問題なく脱着可能なので、タイヤレバーを使い続ける予定です。今後はディスクブレーキ用ホイールの使用機会も増えそうですし、デカールを傷つけたくないという理由もあります。
評価
対象モデル: TyreKey「TyreKey」
年式: 2019年
定価: 1836円(税込)
購入価格: 1836円(税込)
公称重量: 21g
実測重量: 21g
価格への満足度
一般的なタイヤレバーの数倍の値段。
総合評価
チューブを噛み込みにくいメリットはあるが、タイヤレバーに対する優位性はその一点のみ。使用にコツが要る。
レビュアー情報
年齢: 35歳(レビュー執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: QUARK ロードバイク(スチール), GIANT ESCAPE RX(アルミ)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)
# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせて頂きました。