【レビュー】Vipro’s「De muon」

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評価:4.5

亀戸のメーカー・ヴィプロスのウェットルブ。製品名は、塗ると駆動音が「無音(ムオン)」になることに由来しています。

自転車専用品というわけではなく、カートやバイクの用途にも使えるものということです。

目次

購入動機

2010年頃、今はなきワイズロード環八店で見慣れないオイルがあったので購入。60mlで1680円と決して安くはありませんが、「無音」という響きに惹かれました。

「大阪→東京キャノンボール」に早速投入し、結果は達成。550kmでも最後まで油膜切れを起こさない性能に納得し、その後も継続してブルベなどで使い続けています。

製品概要

内容量は60ml。ウェットルブです。

以下は、公式サイトに記載されている説明です。

一般的な極圧潤滑剤はベースオイルに5%~15%の潤滑(極圧)添加剤を配合しますが、muon(ムオン)は特殊添加剤を50%と高い割合で配合しており、”添加剤がベースオイル”という、他には例のない特別なチェーンオイルです。

詳細な成分は明らかにされていません。

消防法上の危険等級は「第 4 類第 4 石油類 危険等級Ⅲ」です。

使用感

これまでに、様々なロングライドで使用しています。下記はその一例です。

・大阪→東京キャノンボール
・東京→大阪キャノンボール
・TOT (Tokyo-Osaka-Tokyo)
・PBP (Paris-Brest-Paris) 2015 & 2019
・Clover Hokkaido 1200

注油

ウェットルブなので、チェーンに一コマ一コマ滴下して注油します。オイルの色は澄んだ黄色~オレンジ系。

水置換性はないので、一旦チェーンを洗浄した後に乾燥 or 水置換スプレーなどで水を抜いてから注油する必要があります。

静粛性

「ムオン」の名は伊達ではなく、数々のウェットルブの中でもトップクラスの静かさを誇ります。余計な音がしないので気持ちが良いです。

走行抵抗

非常にペダリングが軽く感じます。とはいえ、それは静粛性が高いゆえにそう感じるのかもしれません。

メーカー公式には、下記の説明があります。

トルクレンチテスト(高荷重テスト)で負荷1,000kgを超え、水噴霧時においても負荷900kgを超えるデータからも高回転時・高負荷時・悪天候時に対応できることが証明されています。

防汚性

汚れやすさは、私がこれまで使ったオイルの中でもトップクラスです。チェーンがすぐに黒くなります。このオイル最大の弱点はここです。

サイクルモードのブースでは「薄く塗れば平気です」と説明されましたが、薄く塗ってもやはり黒くなります。砂や泥などを拾わない状況であっても黒くなるので、そういう成分が入ってるのでしょうね。

単純にチェーンが黒くなるだけなら良いのですが、レインパンツやタイツにもその黒い色が付着しやすく、洗濯物が非常に増えます。

耐久性

非常に持ちが良いオイルです。

先述のように、東京大阪キャノンボール(550km)ならば最後までチェーンの音鳴りは発生しませんでした(色は真っ黒になります)。

PBPでも、折返し点のブレスト(600km地点)までは音鳴りせず、ここで注油をしたら最後まで注油すること無く走りきれています。

ただ、雨にずっと降られるような状況には弱いようです。強い雨の中で走った所、200kmくらいで音鳴りが発生しました。これは、どんなチェーンルブでも一緒かもしれませんが。それでも、小分けにしておいたオイルを差し直せば復帰できるのがウェットルブの良いところです。

入手性

先程書いた危険等級の絡みもあるのかもしれませんが、入手性は良いです。

実店舗はもちろん、通販でも買うことは可能です。

携行性

ウェットルブ最大の利点は「持ち運びがしやすい」ということだと私は考えています。

ブルベや長距離のロングライドでは道中の雨により油膜切れを起こすことがあります。こうした時には再注油が必要となるわけですが、ドライタイプ・ワックスタイプのルブは販売されている大きなパッケージでしか持ち歩くことは出来ません。

その点、ウェットルブならば別の容器に小分けにして持ち歩くことが出来ます(私はダイソー「ワンタッチ式スリムボトル」を使用)。ワックスタイプと違って乾燥させる必要もないので、出先で持ち歩くならば、ウェットルブ一択となるでしょう。

また、PBPなどで海外に出る場合、オイルの危険物等級を確認する必要があります。発火性があったりすると、飛行機には持ち込めないためです。こうした時には、メーカーにMSDS(安全データシート)を請求します。その中に危険等級は書かれています。

ムオンは「第 4 類第 4 石油類 危険等級Ⅲ」とされており、私がPBPに行くために乗った航空会社では特に問題とはされませんでした。危険等級がIやIIのものは手荷物検査で没収される可能性があるので、注意してください。

まとめ

持続距離が長く、小分けにして持ち運びが可能な高性能オイル。静粛性は群を抜いて高いです。特にロングライドに向きます。

ただし、とにかく黒くなるのがデメリット。気になる人はものすごく気になるでしょう。

「長持ち」「小分け可能」と言った点が理由で、私にとってはロングライド決戦用オイルです。現在3本目を使用中。ただ、走行後の後始末(清掃)が大変なので、完璧なオイルだとは思っていません。もう少し黒くならないバージョンがあったら欲しいのですが……。その意味で、普段走るときには汚れにくいKUREのドライタイプを使っています。

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ヴィプロスのFacebookの投稿を見てみると、全く逆に「ブラックムオン」という黒いオイルを試作していたりしました。10年来のユーザーである私は、黒くならないmuonの登場を待ち望んでいます。

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評価

対象モデル:  Vipro's「De muon」
年式: 2010年、2018年、2019年
定価: 1900円(税込)
購入価格: 1900円(税込)

価格への満足度

8/10

やや高いが、持ちを考えると納得。

総合評価

9/10

ロングライド向きの性能を満たしているが、黒くなる点だけ不満。

著者情報

年齢: 35歳 (執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: QUARK ロードバイク(スチール), GIANT ESCAPE RX(アルミ)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)

# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせて頂きました。

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この記事を書いた人

ロングライド系自転車乗り。昔はキャノンボール等のファストラン中心、最近は主にブルベを走っています。PBPには2015・2019・2023年の3回参加。R5000表彰・R10000表彰を受賞。

趣味は自転車屋巡り・東京大阪TTの歴史研究・携帯ポンプ収集。

【長距離ファストラン履歴】
・大阪→東京: 23時間02分 (548km)
・東京→大阪: 23時間18分 (551km)
・TOT: 67時間38分 (1075km)
・青森→東京: 36時間05分 (724km)

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