【レビュー】ワークマン「MOVE ACTIVE CYCLE ジャージ」

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評価:3.5

2021年春夏モデルとして発売された、ワークマンのサイクルジャージ。フルジップタイプのモデルです。税込1500円という衝撃価格。

目次

購入動機

購入動機とファーストインプレッションは、↓の記事に詳しく書いています。

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かいつまんで理由を書くと、「ワークマンからようやくサイクルジャージらしいサイクルジャージが発売されたから」購入しました。

ワークマンは2019年秋から自転車向けのウェアをリリースしていましたが、Tシャツにバックポケットを付けたものでした。本格的なサイクルジャージは2021年春夏モデルからの展開。待望の発売ということで、早速購入してみたわけです。

専門メーカーではないメーカーの製品ということで若干クオリティが心配ではありましたが、値段は何と税込1500円。これなら失敗しても悔しくないです。

製品概要

実測重量は206g(Lサイズ)。

素材はポリエステル100%。ポケットの部分だけ、ナイロンとポリウレタンで出来ています。

 

ポケットは合計6箇所。定番の3箇所に加えて、脇腹に1箇所ずつ。そして、チャック付きのポケットが1箇所あります。

サイズ展開は、M~3Lまでの4種類。Sサイズはありません。

カラー展開は以下の6種類。私が買ったのはネオパープルです。

・ネオホワイト
・ネオグレー
・ネオイエロー
・ネオグリーン
・ネオネイビー
・ネオパープル

使用感

平日の夜練や週末のロングライド、そして普段着として使用しています。

前置き

本格的なレビューに入る前に書いておきたいのですが、私はジャージには大してこだわりがありません

その証拠に、このレビューが当サイト初のジャージのレビューになります。ライト類やポンプはそれぞれ30件以上の製品をレビューしていますが、実はジャージのレビューは今まで1本も無し。

私のメインのライドスタイルはブルベです。実のところ、ジャージに求められる性能要件はそれほど多くありません。

レーパンが合わないと尻の痛みでリタイヤすることは有り得ますが、ジャージのせいでリタイヤするというシチュエーションはそうそう無いでしょう。リタイヤに直結するアイテムならば真剣に吟味するのですが、ジャージはそうでもないわけです。

高性能なジャージはバタつきにくく、さらに表面処理も工夫がされていて空気抵抗が低くなるとされています。ブルベでも空気抵抗が低いに越したことはないのですが、ブルベではルール上、一番上に反射ベストを着なければなりません。どんなに高性能なジャージを着ても、反射ベストで帳消しになってしまうわけですね。

こんな理由で、私はジャージに対してはあまり厳しく見ていません。服としてNGでなければOKくらいの心持ちです。そこをご承知おきください。

重量

実測でLサイズが206g。

家にあるジャージを片っ端から計測してみましたが、大体私の着るサイズの半袖ジャージは180g前後が普通。一番軽かったのは、Wave oneのレジェフィットジャージで、138gでした。

相場よりは若干重めですが、気になるほどの重さではありません。ポケットが多いのでその分重いということでしょう。

縫製

買う前に一番気になっていたのは縫製です。

日本で売っているサイクルジャージはどれも縫製がしっかりしています。しかし、Aliexpressで布製品を買うと、信じられないほど雑な縫製をされた製品に出会うことはよくあります。

 

例えばこれはAliexpressで購入した980円くらいのシューズカバー。反射材の形はいびつですし、縫い目も雑。端のまつり縫いも、まつり縫いの意味を為していません。

購入してすぐに各部の縫製をチェックしましたが、ワークマンのジャージは非常に縫製がしっかりしています。1500円でこの縫製のクオリティはちょっと信じられません。

このジャージもAliexpressのシューズカバーと同じく中国製ですが、仕上がりは雲泥の差。ワークマンのクオリティコントロールがしっかりしているということでしょう。

カット

ワークマンはもともと、工事・工場等の「ガテン系」の方向けの店です。本製品もそういった影響か、ゆったりしたカットになっています。昨今自転車界隈で流行っているようなレース用のタイトなシルエットではありません。

私は太め体型なのでちょうど良いのですが、普通~細い体型の方には胴回りが余るでしょう。余った部分は風でバタつくはずなので空気抵抗は増えます。

サイズ感

本製品はM~3Lまでの4サイズしか展開がありません

私はLサイズを購入しましたが、他ブランドのXL相当の大きさはあると思います。一番小さなMサイズでもパールイズミのLサイズ相当くらいはありそう。

前述の通り、ゆったりしたカットでもあるわけで、「身長がそれなりにあってガタイが良い人」にしかマッチしないのがネックではあります。女性が買おうと思っても、恐らく大きすぎてサイズが合わない人が大半でしょう。

#ワークマン女子」なる女性向け店舗も展開し始めているワークマンなので、来年以降は小さいサイズの展開もお願いしたい所。

着心地

主に夜練と普段着としての出番が多いです。

夜練で使う限りにおいては、一般的なサイクルジャージとの差がそれほどあるとは感じません。1500円という安さから、「大きな落とし穴」があるのではないかと身構えでいましたが、そういったこともなく。

 

製品説明には「UVカット機能」「速乾」といった文字はありません。生地の汗抜けに関してもあまり良いとは言えませんが、真夏の昼間に乗らなければ気にならない範囲です。

 

そういった点を補う工夫として、脇の下にはメッシュ生地が配置されています。

初夏の時期ならば昼間でも着ていられましたが、真夏の時期は熱がこもる印象はありました(私が購入したカラーの影響もあるかもしれません)。

Twitterでは「前傾姿勢が取りにくくないですか?」というご意見も頂きましたが、確かに前傾姿勢で少し後ろに引っ張られる感じがあります。

 

恐らく原因は、伸びにくい生地に加えて、背中側にのみ設けられた滑り止めテープ(WANT BE~と書いてある部分)だと思います。背中の部分がめくり上がらないための工夫だと思うのですが、生地の伸縮性の低さもあって突っ張りを感じてしまいます。

以上から、深い前傾姿勢には向かないウェアかもしれませんね。あくまでも上半身を起こしたゆったりライド向け。

普段着として使う分には全く伸縮性については気になりません。バックポケットがあると財布とスマホを入れられて、手ぶらで出かけられるので便利なんですよね。

バックポケット

バックポケットに関しては書くことがかなり多いので長くなります。

このジャージはポケットの数が6個もあるのが特徴です。普通のジャージの倍。ただし、一つ一つのポケットは一般的なサイクルジャージより小さいです。

 

左はチャンピオンシステムのクラブカットジャージ、右がワークマンのジャージです。3~4cmほどワークマンのジャージのポケットが浅いことが分かります。

 

昨今のスマホだと、頭が少し出てしまいます。また、写真を見てもらうと分かることですが、ワークマンのジャージのポケットには「ギャザー」がありません。

 

ギャザーというのは、このヒダの部分です。ここの中にはゴムが入っていて、入口が伸びるようになっています。じゃないと、前傾姿勢でポケットに手を突っ込んだ時に口が開きませんからね。

 

ワークマンのジャージは生地の裏にバイアステープを縫い付けることで伸縮性を付けていますが、一般的なサイクルジャージよりも口の伸縮性は低いです。

ポケット自体が浅い&口の伸縮性が低いことから、ポケットに長物(スマホや携帯ポンプ)を入れる場合は注意が必要です。走行中の振動で飛び出す可能性があります。

 

また、これは偶然気付いたんですが、実は背中の3つのポケット、実は完全に分割されておらず一番下の所が繋がっています。私は真ん中のポケットに鍵を入れてるんですが、いつの間にか左側のポケットに鍵が移動していまして。よく見ると、中でポケットが繋がっている事に気づいたわけです。

今、このジャージを2着持ってますが、どちらもこうなってます。たまたまこうなっているわけではなく、何か意図を持ってこうしているということです。

何故こんな構造にしたんだろう?と思い、縫製に詳しい妻(コスプレ衣装を生地から自作できる)に聞いてみました。「たぶん、これを下まで縫ってしまうと、前傾姿勢になった時に腰回りがキツく感じるからではないか」というのが妻の見解でした。

 

これは実際に物を入れて前傾姿勢を取ってみたところですが、縫い目がない部分が左右に生地が引っ張られていることが分かります。

通常のサイクルジャージであれば生地の伸縮性で何とかするところですが、前述の通りこの生地はあまり伸縮性が高くありません。そこで、ポケットの下部分を縫い合わせないことで伸縮性を確保しようとしたのではないか……ということですね。

あくまで推測ではあるのですが、コスト上でどうしようもない問題をスマートに解決しているように見えて、個人的には好感を持ちました。ただ、鍵がいつの間にか別のポケットに移動するのはイマイチではあるのですが……。

しかし、自分がこのジャージを着て前傾している時の写真を初めて見ましたが、スマホの飛び出しっぷりがすごいですね。やはりちょっとポケットが浅すぎるのかなと。

被視認性

ジャージ自体は目立つ色合いではありませんが、ポケットの脇に2箇所、真ん中のポケットのファスナーに反射材が付いています。

この部分は前傾しても後ろから目立つ部分なので、夜間の被視認性向上には効果があるはずです。

見た目

見た目は好みによるとは思いますが、格好いいとは言い難いかもしれません。私は嫌いじゃないですが。

同シリーズ他製品との違い

ワークマンの「MOVE ACTIVE」シリーズには、今回レビューしたフルジップのジャージの他に、以下の2つのジャージ(シャツ)がラインナップされています。

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これらも買ってみようと思ったのですが、どちらもバックポケットの仕様が自転車乗りの感覚からすると変なので購入には至りませんでした。

 

ワークマン公式サイトより引用

まず、Tシャツの方ですが、ポケットにフタが付いています。飛び出し防止としては良いのですが、走行中の使いやすさを考えるとイマイチそうです。

 

ワークマン公式サイトより引用

次にハーフジップですが、Tシャツよりも更に変則的なバックポケット構造になっています。バックポケットというよりはサイドポケットというか。

変に仕様を変えずにいてほしいものですが、バックポケット周りはコスト的に色々と難しいところがあるのかもしれません。

入手性

安くて縫製品質も悪くない本製品。実は現状、なかなか手に入らないほどに品薄です。

使ってみてなかなか良かったので追加で買おうとしたのですが、近所のワークマンを5件回って全て売り切れ。週末のロングライドでワークマンの前を通るたびに立ち寄り、ようやくもう一着を買えたほどです。地方店舗を探せばまだまだあるかもしれませんが、気になっている方は見つけ次第抑えたほうが良いでしょう。

ワークマンの店員さんに聞いてみると、このジャージは季節商品で、基本的に売り切り(=追加生産されない)なんだとか。つまり、春夏物である本製品は、4月ごろに発売して以後は入荷しないということです。

春にこの半袖ジャージは少々寒いのですが、複数枚欲しかったら4月頃に買っておく必要があったということですね。

今年これだけ売れたということは来年はもう少し多く生産されると予想されますが……来年は発売したらすぐに買ったほうが良さそうです。

まとめ

決して高性能ではありませんが、ちゃんと「サイクルジャージ」している製品。縫製のクオリティも悪くないですし、1500円という値段はちょっと信じられません。限られた予算の中で作っているので少々イビツな点(バックポケット周り)もありますが、大きな弱点はなく纏められていると感じます。

ただ、「ポケットが浅い」「ギャザーが無い」という点はロングライダー的にはマイナスです。走行中にスマホが落ちたらブルベをリタイヤすることになるかもしれないので、多分ブルベには使いません。週末のライド・夜練・普段着として使っていく予定です。

ほぼ毎日サイクルジャージを使う私としては、気兼ねなく使い潰せるジャージとして有り難い存在であると言えます。1500円ですし。

対象としている客層的に、大きめサイズしか無いのはちょっと残念。ただ、今年かなり売れたようなので、来年はぜひとも小さめサイズもラインナップして欲しい所ですね。

あとは、出来ればこのサイクルジャージと同じ仕様(ポケットはもう少し深さがあると有り難いですが)で、薄手の長袖ジャージを出して欲しいところ。秋冬モデルで出ませんかね? 期待しています。

評価

対象モデル:  ワークマン「MOVE ACTIVE CYCLE ジャージ」
年式: 2021年
定価: 1500円 (税込)
購入価格: 1500円 (税込)
公称重量: 不明
実測重量: 206g (Lサイズ)

価格への満足度

10/10

安い。安すぎる。

総合評価

7/10

縫製はしっかりしているが、伸縮性とバックポケット構造に癖がある。

著者情報

年齢: 36歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: BIANCHI OLTRE XR4(カーボン), QUARK ロードバイク(スチール)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)

# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせて頂きました。

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この記事を書いた人

ロングライド系自転車乗り。昔はキャノンボール等のファストラン中心、最近は主にブルベを走っています。PBPには2015・2019・2023年の3回参加。R5000表彰・R10000表彰を受賞。

趣味は自転車屋巡り・東京大阪TTの歴史研究・携帯ポンプ収集。

【長距離ファストラン履歴】
・大阪→東京: 23時間02分 (548km)
・東京→大阪: 23時間18分 (551km)
・TOT: 67時間38分 (1075km)
・青森→東京: 36時間05分 (724km)

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