ローター連結方式ディスクロード輪行のテスト

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来年ブルベに使うなら、そろそろやっておかねばならんな……ということで、ディスクロードで初輪行をやってきました。

その際の所感を簡単に書いてみたいと思います。

目次

ディスクロードの輪行について

初……と言っても、今回は「INFINITO CVの初輪行」という意味で、ディスクロード自体は一度だけ輪行したことがあります。

ディスクロード一台目の頃

2015年に購入し、2016年に売却してしまった初代ディスクロードを持って、長野を走りに行った時に輪行しました。

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当時はまだディスクロードの輪行に関する情報もなく、用具も揃っていませんでした。唯一発売されていたのは、上記のエンド金具くらい。

ダミーローターもまだ製品としては発売されておらず(シマノの最初から付属するオレンジのスペーサーくらい?)、最初の輪行ではディスクロード輪行失敗のお約束である「ピストンが出たまま戻らない」をやってしまい、出先で無理やり携帯工具のマイナスドライバーで戻す羽目になったりしました。

4年の間の変化

そして2020年5月、4年ぶりにディスクロードを所有することになりました。

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「4年も経っているし、そろそろディスクロードの輪行方法も定石が確立されているだろう」と思っていたのですが……思ったよりも定石化は進んでいませんでした。というより、望まない方向に進化していたと言いますか。

一応、ディスクロードの輪行に関する用品は、4年間でかなり増えていました。例えば以下の製品がそうです。

さすが輪行に強いオーストリッチ、色々とアイデア製品を発売しています。
そして、これらの用品を使ったディスクロード輪行のやり方を、社長自ら解説しているのが以下の記事です。
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まず私が思ったのは「どれだけ色々持たなければならないんだ……?」という事でした。リムブレーキの輪行に比べて、持つものの種類が多すぎるのです。

リムとディスクの持ち物比較

輪行時の持ち物を、リムブレーキとディスクブレーキの場合で比べてみます。

私は縦型輪行派で、「輪行時に使うスペースは最小限かつ、走るときの持ち物は最低限」というポリシーです。

ディスクブレーキ

上記のオーストリッチ社長による輪行の記事に従って輪行をした場合のケースを考えます。

こちらのケースは、縦型輪行で、フレームをホイールで挟む「サンドイッチ方式(以下、この呼び方)」でパッキングしています。

 

製品名 重量
1 オーストリッチ ウルトラSL-100 軽量 輪行袋 180g
2 オーストリッチ 12mmスルーアクスル用エンド金具 140g
3 オーストリッチ フリーカバー大× 3枚 30g
4 オーストリッチ ダミーローター × 2枚 4g
合計 354g

ディスクローター関係の用品が多いですね。

サンドイッチ方式でディスクロードをパッキングすると、普通はローターが外向きになり、スプロケットが内向きに来ます。

スプロケットがフレームを傷つける可能性が高いので、これを養生するためにカバーを使います。ローターは外向きに付いているので、体に触れて曲がる可能性もあります。そのため、これを養生するためにカバーを2枚使うことになります。計3枚のカバーが必要です。

「ローターにカバーをしなくても大丈夫」という人もいるんですが、それはディスクロード用に専用の輪行袋を使っている場合に限ると思います。輪行袋をリムブレーキ用と使いまわしていると、スプロケットのオイルが輪行袋に付着している可能性があり、そのオイルがローターに付着する可能性があります。これを防ぐためのカバーでもあります。

リムブレーキ

これに対して、リムブレーキで輪行する場合のケースを考えます。

こちらもディスクの例と同じく、縦型輪行でサンドイッチ方式の場合です。

 

製品名 重量
1 オーストリッチ ウルトラSL-100 軽量 輪行袋 180g
2 maruto リアエンドプロテクター 60g
3 maruto フレームカバー ×1枚 10g
合計 240g

ディスクブレーキの持ち物の数に比べると、かなり少ない&軽量です。同じ輪行袋を使っても110gほど軽くなります。

リムブレーキの場合はローターがないので、スプロケットを外側に向けることが出来ます。カバーで養生しないと袋が汚れますが、問題点はそれくらいです。

ただ、スプロケットを外側に向けても、ハブ軸がシートチューブに当たって傷がつくことがあるので、私はフレームカバーを一枚だけ持ってシートチューブに巻くことにしています。

ローター連結方式の採用

さすがにオーストリッチ推奨の方法でのディスク輪行は持ち物が多すぎる気がしました。

そんな時に見つけたのが以下の方法です。

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ローターを向かい合わせにしてホイールを連結することで、ローターの汚れや曲がりを気にしなくて良い、というもの。これは画期的。

自転車&家つくり日記!
ローターを守る。ディスクロードならではの輪行方法について|自転車&家つくり日記! ディスクロードの輪行方法について、いくつか方法がありますのでまとめて紹介します。どの方法にもメリット・デメリットがありますので、好みの方法をマスターいただければ...

 

ただ、この方法を試したmorouさん曰く、「パッキング後の横幅が(サンドイッチ方式に比べて)大きくなる」というデメリットもある模様。

そこで、とりあえず実際どんなものか試してみることにしました。

今回の輪行装備

初の「ローター連結方式(※)」でのディスク輪行に備えて、装備の見直しを行いました。

※: “ローター連結方式”は、従来のホイールでフレームを挟む”サンドイッチ方式”との区別のために便宜的に作った呼び方です

今回用意した装備は以下です。

 

製品名 重量
1 オーストリッチ ウルトラSL-100 軽量 輪行袋 180g
2 オーストリッチ エンドスタンド 107g
3 maruto フレームカバー ×1枚 10g
4 オーストリッチ ダミーローター × 2枚 4g
合計 301g

装備点数は大して減っていませんが、53gほどの軽量化を果たしています。

また、フリーカバー3枚の削減も大きいです。重量は大したことがないのですが、割と容積が大きくてサドルバッグ内で幅を取るんですよね。出来ればオルトリーブのMサイズのサドルバッグに一式を収めたい私にとっては、フリーカバーはあまり持ちたくないものでした。

以下、持ち物について個別の解説。

ウルトラSL100

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2020年現在、量産品の縦型輪行袋では最軽量のモデル(同人グッズではもっと軽いものもある)。

破れやすくはあるものの、装備の軽量化のために採用しました。

エンドスタンド

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片手持ちのスルーアクスル向けエンド金具。

両手持ちのスルーアクスル用エンド金具も2019年に発売されましたが、とにかく大きくて重い……。

そこで、前のディスクロードを使っていた時に買ったこちらの片手持ちのエンドスタンドを引っ張り出してきました。

ローター連結方式の場合、ホイールが支えになるので、片手持ちで十分であるというのも理由です。

フレームカバー

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ローター連結方式の場合、フレーム側にスルーアクスルシャフトのレバーが向くことになります。

このレバーがフレームに当たると傷が付くので、養生のためにフレームカバーを持つことにしました。3枚は必要ないので、最低限の1枚だけ。

ダミーローター

ディスクブレーキキャリパーに挟んでおくためのもの。

ローターがない状態でブレーキを握ってしまうと、ピストンが飛び出して戻らなくなります。それを防ぐためのダミーのローターです。

 

シマノの付属スペーサーでも良いのですが、これよりもちょっと重い&抜け防止のゴム紐が付いていないので、オーストリッチのものを購入しました。

「ローター連結方式」輪行実践

ここからは実践レポートです。

週末、自宅から自走で三浦半島を一周し、逗子駅から輪行で帰る……というプランで、ディスクロードを輪行してみました。

輪行のためにこのコース取りにしたとも言えますが。逗子駅からだと横須賀線で最寄り駅に乗換なしで帰れるので楽なんですよね。

前輪を外す

まずはリヤのギヤをトップに入れて、自転車をひっくり返します。

前輪を外して、スルーアクスルシャフトだけを戻します。

 

こんな感じ。シャフトを無くすと代替品はそうそう見つからないので、フレームとセットにしておくのが安心。

後輪を外す&エンドスタンド取り付け

次に、後輪を外してエンドスタンドを取り付けます。

 

本来はレバーがフレームの外側に来るものなのですが、私のフレームだと上手く付かなかったため、レバーをフレームの内側に持ってきています。

ダミーローター取り付け

ホイールを抜いたディスクキャリパーに、ダミーローターを取り付けます。

 

こんな感じ。

付属のゴム紐が脱落防止に良い仕事をしてくれます。これが無いと振動で落ちたりしますからね。

ホイール連結

さて、「ローター連結方式」のキモである、ホイール連結のフェーズです。

 

大事なのが、「後輪用のシャフトを前輪に刺す」ということ。

後輪用のシャフトのほうが長いので、当然上の写真のように片側が飛び出ます。

 

その飛び出た部分に後輪を取り付けるわけです。

ローター同士が向かいあうことで、汚れや曲げと言ったトラブルを避けることが出来ます。ローターを養生する必要もないので、持ち物はその分減ります。

 

ただ、このままだとシャフトが抜けて輪行袋内で大惨事……が起こりうるので、シャフトが抜けないように固定する必要があります。

レバーがあれば、レバーとスポークをゴム紐などで固定するのがベター。私のシャフトにはレバーがないので、六角レンチを指してレバー代わりにしています。

フレームとホイールを結ぶ

フレームと、連結したホイールを結びます。

 

スプロケは外向き、シャフトのレバーが内向きに来るようにします。この時、レバーがフレームと当たって傷を作らないように、フレームカバーで養生する必要はあります。

 

これで一旦は完成です。

袋に入れる

最後に、自転車を輪行袋に入れて完成なのですが……これがけっこう大変でした

morouさんも書いていた通り、ホイールを片側に寄せたことで、横幅が増加。このため、輪行袋に中々自転車が入ってくれませんでした。

 

なんとか露出しないようにパッキングしたものの、ご覧の通りパッツンパッツンです。フレームサイズがあと一段階大きいと入らないでしょうね。

なお、今回はパッキング終了までに22分も掛かってしまいました。普段は5分くらいなので、えらく遅いです。写真を撮っていたのもありますが、それを除いても15分は掛かっていたはず。普段は私より輪行作業が遅い妻の方が遥かに早くパッキングを終えていたのは中々ショックでした。

手慣れてくれば10分くらいで出来るとは思うのですが、リムブレーキの場合の倍の時間は掛かってしまうことになります。

持ち運び

担いだ時のバランスは良く、あまり重さは感じません。

地面に下ろした際も、エンドスタンドとホイールが上手く支えになってかなり安定感があります。倒れることはないはず。

ただ、横幅の広さから、周囲のモノや人に当てないようにする配慮レベルを一段階上げる必要があります。また、通常サイズの改札も通りにくいです。

morouさんの記事によると、サンドイッチ方式に比べて16cmほど幅広になるため、色々と弊害はありますね。

電車内

電車内に持ち込んだ時のメリット・デメリットも持ち運び時と同じ。

幅広なので安定感はあるのですが、スペースの占有度は高め。今回使用した電車はガラガラだったので良かったのですが、混んでいる場合はこの大きさの差は気になると思います。

組み立て

武蔵小杉駅で下車後、組み立て。

こちらはパッキング時よりは時間がかからず、10分程度で終了しました。

フレームに傷は無し。変速の狂いやブレーキの不具合もなく、無事に原状復帰が出来たようです。

まとめ

ディスクロードの輪行に関する試行錯誤と、ローター連結式の輪行の様子を紹介しました。

ローター連結式の輪行は、ローターを確実に守れる&荷物は減らせるメリットが有ることは分かりました。しかし、車内での占有スペース増加はあまり良くないですね。ベターではあるがベストではないです。

なんというか、やはりローターの扱いが実に厄介ですね。慣れれば時間をもう少し短縮できるとは思いますが、どうやってもリムブレーキに比べて荷物は増やす必要がありそうです。

同時に、リムブレーキの輪行はなんて楽だったのか……と思い知らされます。輪行前提ならばリムブレーキを使ったほうが時間的にも荷物の量的にも有利だなと。

まだまだディスクロード輪行の最適解探しの旅は続きそうです。

著者情報

年齢: 36歳 (レビュー執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: QUARK ロードバイク(スチール), GIANT ESCAPE RX(アルミ)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)

# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせて頂きました。

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この記事を書いた人

ロングライド系自転車乗り。昔はキャノンボール等のファストラン中心、最近は主にブルベを走っています。PBPには2015・2019・2023年の3回参加。R5000表彰・R10000表彰を受賞。

趣味は自転車屋巡り・東京大阪TTの歴史研究・携帯ポンプ収集。

【長距離ファストラン履歴】
・大阪→東京: 23時間02分 (548km)
・東京→大阪: 23時間18分 (551km)
・TOT: 67時間38分 (1075km)
・青森→東京: 36時間05分 (724km)

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