【ルートガイド】大島一周道路(伊豆大島)

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東京・浜松町の竹芝港からジェット船で1時間半という近場にある火山島・伊豆大島。

その伊豆大島を一周する道路が「大島一周道路」です。一周42kmほどと適度な距離で、日帰り or 一泊の自転車ツーリングにぴったり。

島の中心には三原山がそびえ、さまざまなルートでヒルクライムも可能です。

目次

ルート概要

伊豆大島の外周を一周する道路が「大島一周道路」です。

大島一周道路の標識

島のメインストリートでもありますが、交通量はさほど多くなく走りやすいです。路面も(脇道に入らなければ)綺麗でした。

ルートマップ

コースプロファイル

距離: 42.3km
獲得標高: 896m
最高標高: 372m

スタート/ゴール地点は、ジェット船・大型客船が入港する「元町港」としました。伊豆大島の中でも最大の町です。

後で知りましたが、気象条件によって元町港・岡田港のどちらに到着するかが変化するようです。東海汽船の「運行状況」のページで到着港を確認してください。

元町をスタートして時計回りに島を一周します。本格的なヒルクライムはありませんが、常にアップダウンを繰り返すコースプロファイルで、獲得標高は900m近くに達します。

元町港のある島の西側は標高が低く、島の東側は標高が高くなっています(大島一周道路の最高標高は372m)。

元町港から眺める三原山

島の中心には活火山である三原山があり、ヒルクライムルートも豊富です。

アプローチ

東京から伊豆大島に渡るには、3通りの方法があります。

  • ジェット船
  • 大型客船
  • プロペラ機

詳細は走行レポートの後に記載します。

走行レポート

実際の走行写真を交えて、ルートの様子を紹介します。

一周道路は「時計回り」「反時計回り」どちらでも回れますが、今回は上りが比較的緩やかな時計回りで一周しました。

以降の写真は、2024年4月下旬のものです。

元町港~岡田港

まずは島の玄関口である元町港から、島の北部にある岡田港までのルートを紹介します。

この区間は大きな登りはありませんが、小さなアップダウンを繰り返します。比較的民家も多く、道沿いに商店もあります。

ただし、この区間は眺望はあまり良くないので、後述するサンセットパームラインを通ったほうが「島に来た!」感はあると思います。

元町港に積まれていたコンテナ

元町港周辺

元町港に到着すると、多くの場合は港で自転車を組み立てることになると思います。

元町港 船着き場

港にスペースはいくらでもあるので、じゃまにならない場所で適当な壁を見つけて自転車を組み立てます。

元町港船客待合所

こちらが元町港の客船待合所です。建物内には、チケット売り場や待合スペース、トイレなどがあります。

まず大事なのは、元町で飲み物と食べ物をある程度入手してバックポケットに入れておくことです。店のない区間もそれなりに長いので、飲食物を確保してから走り出したほうが良いでしょう。

待合所の2階パン屋で売っているカレーパン

待合所内にはパン売り場もあり、焼き立てのパンを買うことが出来ます。私達はここで一周ルートに入る前にパンを買いました。

元町は伊豆大島最大の町なので、飲食店や商店もたくさんあります。そうした所で腹ごしらえをしてから走り出すのもアリでしょう。

元町港前にあるレンタサイクル店

元町には何箇所かレンタサイクルの店があるので、自転車を持たないで上陸しても自転車で島を一周することは可能です。

今回は「時計回りに一周」というルートなので、大島一周道路をたどって北部へと向かいます。

シャロン洋菓子店

今回はこの区間でサイクルラックを備えた洋菓子店「シャロン」に立ち寄りました。伊豆大島はサイクルツーリズムを意識しているのか、ラックを置いてくれている店が多かったです。

シャロン洋菓子店

パンやケーキを販売していますが、私はここでピザを食べました。島の名物(明日葉)を使ったピザでとても美味しかったです。

ハンバーガーも売ってる自販機

シャロン洋菓子店の敷地にある自販機。なんとハンバーガーが売っています。

店が開いている時間であれば、店内の電子レンジで温めて食べられる模様。自販機前にはベンチがあって、座って食べられるようになっていました。

岡田港

岡田港は伊豆大島北部にある港です。気象条件によっては、東京からの船がこちらの岡田港に到着することもあります。

港周辺には「べっこう寿司」を中心に魚介類を出す飲食店がたくさんあります。

ただし、大島一周道路は岡田港には行きません。岡田港へ行くには脇道に入る必要があります。

信号のない交差点ですが、ここを左折すると岡田港方面へと向かいます。当然ながら港は標高が低いので、港までは下り。帰りは登る必要があります。

岡田港のビーチ

岡田港です。大島一周道路からは標高にして100m近く下ります。

令和4年オープンで新しい「陽宝丸」

今回は、岡田港にある「陽宝丸」で地魚にぎりを食べました。

陽宝丸「地魚にぎり」

「べっこう醤油」と呼ばれる、辛味の効いた醤油に漬け込んだ白身魚の寿司が伊豆大島の名物。ワサビではなく青唐辛子の爽やかな辛さの効いた寿司は新感覚でした。

岡田港~大島公園

島の北部にある岡田港から、島の北東部にある大島公園までのルートです。

この区間も大きな登りはありませんが、アップダウンを繰り返しながら標高を上げていきます。

アップダウンを繰り返す道

泉津港

大島港の一つ東にあるのが泉津港です。

泉津港周辺にも飲食店がいくつかあります。ラーメン屋「ちび」はなかなか良い香りを漂わせていたので、次に機会があれば寄りたいですね。

大島公園(椿園)

しばらく走ると左手に見えてくるのが大島公園です。

「東京都大島公園」

「東京都大島公園」の文字。そう、忘れがちですがここは「東京都」です。

大島公園は大きく「植物園」と「動物園」から構成されています。

植物園エリア内の「椿資料館」。椿は島の名物の一つ。

サイクルラックも備えられており、31アイスの自販機もあります。

なお、ここから約15kmは補給ポイントがありません。飲み物が足りない場合には、ここの自販機で補給しておきましょう。

展望デッキからの眺め

資料館の展望デッキからは海が見渡せました。

大島公園(動物園)

大島公園には動物園もあります。なんと入場無料です。せっかくなので立ち寄りました。

確かに動物園から海が見えます

キャッチフレーズは「海の見える動物園」。

橋の下はバーバリーシープの生息エリア

確かに海がよく見える動物園です。

無料とは思えない大規模さ。展示動物も充実しています。

ちょっと珍しいレッサーパンダも。紹介を見ると、川崎の夢見ヶ崎動物公園出身なんですね。川崎在住の私にとってはちょっと親近感。

大島公園~波浮港

島の北東部にある大島公園から、島の南東部にある波浮(はぶ)港までのルートです。

大島一周道路の中で最も標高の高いエリアであり、登りの厳しいエリアです。この区間のラストには波浮港までの長いダウンヒルもあります。

そして、食べ物・飲み物を補給できるポイントはほぼありません

PBPを思い出すアップダウン区間

裏砂漠入口

三原山の東側にある黒い火山岩で覆われた一帯は「裏砂漠」と呼ばれています。

大島一周道路から裏砂漠へアクセスするためには、こちらの「裏砂漠入口」から入る方法と、後述する「月と砂漠ライン」の終点から歩く方法があります。

今回の私達は「月と砂漠ライン」からアプローチする方法を選んだので、ここからは立ち入っていません。オフロードタイヤを履いていれば、自転車でもここから裏砂漠を走れるようです。

噴石避けのシェルター

裏砂漠入口にあるシェルター。「ここは活火山だった」と思い出させてくれるスポットです。

月と砂漠ライン入口

もう一つの裏砂漠入口へと続く道路が「月と砂漠ライン」です。

このルートの詳しい様子は、「月と砂漠ライン」の項で詳述します。

最高標高地点

大島一周道路の最高標高点はこの区間にあります。

大島一周道路の最高標高地点

標高372m。標高10mの元町港から走ってきたわけなので、かなり登ってきたことになります。ちなみに、PBPの最高標高地点もこれくらいの高さです。

下った先にはまた登り

何となく大島一周道路(特に島の東部)の道はPBPルートっぽさがあります。

眼下には波浮港が遠く見える

ここを過ぎると長いダウンヒル。波浮港まで一気に下ります。

筆島

波浮港へ向かうダウンヒルの途中にあるのが「筆島」です。

筆島

筆の先のように見える岩ということで、筆島と呼ばれているようです。溶岩が固まって出来たものだとか。

波浮港

島の南東部に位置する港が波浮港。泉津以来、久々の人里です。

波浮港見晴台からの眺め

波浮港見晴台の向かいには15kmぶりの自動販売機。昼間であれば、「みはらし休息所」で食事休憩も可能です。

波浮港~元町港

島の南東部にある波浮港から、スタート地点の元町まで戻るルートです。平坦かと思いきや、中程度のアップダウンが連続します。

この区間で最大の名物は、100回以上の噴火で積み重なった地層の断面を見られる「地層大切断面」でしょう。

地層大切断面

クダッチ

この島で一番気になった地名。

カタカナ地名は珍しい

クダッチ…??

「下った先の土地」みたいな意味ではと言われていますが、正確な由来は不明らしい。

この辺りは町なので補給場所もあります。

地層大切断面(バウムクーヘン)

島南部で一番の名物といえば、この地層大切断面。別名・巨大バウムクーヘンです。

5~600mに渡って地層を横目に走ることが出来ます。島のお土産屋では、これに由来したバウムクーヘンも売ってました。

伊豆大島火山博物館

伊豆大島の火山に関する博物館です。

休館中の伊豆大島火山博物館

時間が余ったら見ていこうと思っていたんですが、現在改装中でお休みでした。

2025年春の再オープンを予定しているそうです。

中華そば すする

せっかくなので「島のラーメン屋」も行ってみることにしました。

ラーメン官僚氏が伊豆大島で筆頭に挙げていたこちらの「中華そば すする」へ。

中華そば すする

元町港に降りていく細い道の途中にあります。サイクルラックあり。

塩中華そば

塩中華そば(950円)。

素材感のある濁った塩スープ。そこにフライドオニオンが乗るという、なかなか斬新なラーメン。チャーシューも大判のものが三枚も入っていて美味しかったです。本土にあっても十分人気が出る味だと思います。

アイスクリーム屋 トリトン

元町の中央部にあるアイスクリーム屋さんです。

アイスクリーム屋 トリトン

フレーバーが豊富で、メイン1種類とサブ1~2種類を選びます。

トリプル

メインはバニラ、サブはチーズケーキと……伊豆大島の溶岩をイメージした黒ごまの味。名称は忘れました。

濃厚系というよりは、さっぱりとしたジェラートで美味しかったです。

(脇道) サンセットパームライン

元町港から島の北部に行く別ルートです。海沿いの道で、その名の通り夕暮れ時が名物の道。

ルートマップ

この区間は大島一周道路とサンセットパームラインを両方走りましたが、どちらかを走るならばサンセットパームラインのほうがオススメです。

海岸沿いの道

今回は予約していたホテルがサンセットパームライン沿いにありました。上陸後、荷物を預けるためにサンセットパームラインでホテルへ。

晴天の海を望む

上陸してすぐこの風景。いきなりの絶景に心躍りました。

小さな丘はあるが、基本は平坦

小さな丘はありますが、大きな山はルート上にはありません。

見える陸地は伊豆半島

海の向こうに見える陸地は伊豆半島です。場所でいうと、河津桜で有名な河津町の辺り。いつもあの辺りを走っていると、「伊豆大島にいつか行ってみたい」と思っていたの思い出しました。

赤禿

サンセットパームラインは、車道に沿って赤い路面の自歩道が伸びています。

基本的には車道に沿っていますが、自歩道が海側に逸れている場所もあります。

赤禿

その逸れた場所にある名物が「赤禿(あかっぱげ)」です。

赤禿の説明

参加したことで赤くなった溶岩だそうです。なんとなくガトーショコラっぽい色合い。

野田浜

サンセットパームラインの北端にあるのが野田浜です。Buddy’s Bellという鐘が置かれています。

夕暮れ時の野田浜

サンセットパームラインの名の通り、夕暮れ時の風景は素晴らしいです。

朝の野田浜

朝はこんな感じです。

(脇道) 月と砂漠ライン

島の東部から裏砂漠に登る道が「月と砂漠ライン」です。

終点には駐車場があり、そこからは徒歩で裏砂漠に入ることが出来ます。

ルートマップ

2.8kmで250m上昇、平均斜度は9%とキツめのルートです。

駐車場まで

大島一周道路から分岐すると一気に登り始めます。

道は細い割に車やバイクがそれなりに通るのでご注意ください。路面はそれなりに綺麗でしたが、何箇所か段差もありました。

駐車場への分岐

2.3kmほど登ると、駐車場への分岐があります。ここからはアスファルトではなく溝つきのコンクリート舗装になります

月と砂漠ライン駐車場

駐車場です。仮設トイレがありますが、それ以外の施設は特にありません。

裏砂漠

駐車場からは火山岩の敷かれた登山道を歩いていきます。

ちなみに、ここは国土地理院地図で唯一「砂漠」と書かれている場所だそうです。

裏砂漠①

細い道を数百mほど歩くと、急に風景が開けて「月と砂漠」の世界へ。

裏砂漠には2箇所の展望台があります。まずは第1展望台。

第2展望台。ここはそれなりに急勾配な坂の上にあります。

火山岩の上を30分くらい歩くことになるので、ここに来るのであればロードシューズはやめたほうが良いでしょう。

私達はSPDシューズだったのでそのまま歩きましたが、出来ることならスニーカーを別に用意したほうが良いと思います。

交通手段

東京からのアクセスを前提して交通手段を列挙すると、3パターン存在します。

ジェット船

海上から船体を浮かせて走る小型船です。揺れにくく、高速です。

所要時間

1時間30分 (東京・竹芝~大島・元町 or 岡田)

料金

運賃: 9650円 (片道)
手荷物: 1200円 (自転車持込料金)

※インターネット予約で10%割引があります。
※ 2024年5月1日・運賃改訂

自転車の扱い

自転車は輪行袋に入れた状態であれば持ち込むことが出来ます。

船内では、2階席の最後部のスペースに置くように言われました。

大型客船

その名の通り大型客船です。速度は早くありませんが、夜行便もあります。

所要時間

4時間30分 (東京・竹芝~大島・元町 or 岡田 / 直行便の場合)

料金

運賃: 5950円 (片道・2等席)
手荷物: 無料 (自転車持込料金/輪行袋に入れた場合)

※インターネット予約で10%割引があります。
※2024年5月1日・運賃改訂

自転車の扱い

自転車は輪行袋に入れた状態であれば無料で持ち込むことが出来ます。

自転車を置くための専用の部屋があります。

プロペラ機

実は「調布飛行場~東京大島かめりあ空港」というルートでプロペラ機も飛んでいます。

所要時間

25分 (調布~大島空港)

料金

運賃: 13800円 (片道)

自転車の扱い

基本的に自転車は積めません(3辺合計1mに収まる折りたたみ自転車は可能)。

まとめ

伊豆大島一周ルート+αの紹介でした。

都心からわずか1時間半という近場ではありますが、存分に「旅感」が得られる場所です。船旅が挟まるのも非日常感があっていいですね。

自転車で走れる場所も絶景が多く、僅か50kmほどの間に名所がたくさん。特に裏砂漠は、キツい斜度ですが苦労しても行く価値のある場所です。

今回は時間の都合で行けませんでしたが、次に行く機会があれば三原山に登る「御神火スカイライン」や「三原山登山道路」も登ってみたいものです。

著者情報

年齢: 39歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: GHISALLO GE-110(カーボン), QUARK ロードバイク(スチール)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)

# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせていただきました。

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この記事を書いた人

ロングライド系自転車乗り。昔はキャノンボール等のファストラン中心、最近は主にブルベを走っています。PBPには2015・2019・2023年の3回参加。R5000表彰・R10000表彰を受賞。

趣味は自転車屋巡り・東京大阪TTの歴史研究・携帯ポンプ収集。

【長距離ファストラン履歴】
・大阪→東京: 23時間02分 (548km)
・東京→大阪: 23時間18分 (551km)
・TOT: 67時間38分 (1075km)
・青森→東京: 36時間05分 (724km)

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