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RT-CL900を見てきました
シマノのロード用 新作ディスクローター「RT-CL900」の現物を見せていただきました。
まえがき
先日、La route編集部にお邪魔しました。
訪問の目的
新型105グレードのカーボンホイール「WH-RS710」のインプレを依頼頂いたのが今回の編集部訪問の目的です。
昨年登場したデュラエースのホイール群は、各性能を驚くほどの高みでバランスさせつつ、23万円という戦略的価格でマーケットを…
こちらのアルテグラホイールのインプレをさせて頂いたこともあり、その弟分の105ホイールのインプレも担当させていただくことになりました。そちらの記事は近日公開予定です。
新作ディスクローターを発見
そしてこの日、ラルート編集部には私が今一番気になっているアイテムが置かれていました。
シマノの新作ディスクローター、デュラエースグレードの「RT-CL900」です。160mmと140mmが1枚ずつ置かれていました。
つい先日発表になったばかりの新製品にこんなに早くお目にかかることが出来るとは。なお、本記事執筆時点でも未発売です。
新型105搭載のフレームもあったのですが、こちらは時間が足りなくて乗れず。
細部をチェック
せっかくの機会なので、重量や厚みのチェックをさせてもらいました。
なお、105ホイールのインプレは条件を揃える意味で普段使っているローターを使ったので、RT-CL900を使用してはいません。あくまで現物を見たり計測したりしただけです。
外観
旧デュラエースグレードの「SM-RT900」と、旧XTRグレードの「RT-MT900」の中間的な見た目をしています。
手裏剣風デザインはSM-RT900を踏襲し、放熱フィン(黒い部分)の小ささはRT-MT900を受け継いでいる感じ。これならば横風の影響もそこまで大きくなさそうです。
重量
RT-CL900の公称重量は、140mmが96g、160mmが114gとされています。
140mmの実測重量は94.2g。
160mmの実測重量は111.2gでした。
どちらも公称重量より若干軽く仕上がっています。というか、普通に軽いですね、今回のローターは。RT-MT900より少し重くなってはいますが、十分な軽さです。
厚み
ノギスを貸して頂き、厚みも計測しました。
計測する場所にもよりましたが、概ね1.73~1.75mm。
家にあるRT-MT900は新品状態で1.80mmだったので、0.07-0.05mmほど薄くなっています。
ただ、SM-RT800は新品状態で1.70mmだったという計測結果もあります。
RT-MT900は元々XTRグレード(MTB用)なので少しだけ厚いのかもしれません。ロード用のSM-RT800を基準とすれば、0.05mmほど厚くなったといえます。
曲がりにくさ
シクロワイアードの記事によると、RT-CL900には以下のような特徴があるようです。
新型最大のポイントは、アームの設計を刷新し堅牢性をこれまで以上に高めたこと。
ディスクブレーキローターは制動時に発生する熱で変形し、パッドと擦れてしまうことがある。
新型ではこれまでのブレーキローター以上に熱での変形を抑えることに成功したことで、より安定した制動力を発揮でき、パッドが擦れる音も発生しにくくなっている。
シマノのローターは、アルミの芯をステンレスでサンドイッチした構造(FREEZA)になっています。
アルミの芯は放熱フィンと一体化しており、その分だけ放熱性が良くなるというのがシマノの売り文句。ただ、アルミとステンレスでは熱による膨張率が違うので、熱が入るとどちらかに曲がってしまい、ブレーキパッドと擦れる現象が起こっていました。
冷えると元に戻るので擦れることはなくなりますが、長いダウンヒルを終えてしばらくはシャリシャリ音がするのが気になったものです。
今回、シマノはそれに対する対策をしてきたというのですが……その対策が「アームの設計を刷新」と聞いて「あれ?」と思いました。熱によってローターが曲がるのはブレーキ面の部分が変形しているからであって、アーム部分は特に関係ないはず。そこを対策したところでなにか意味があるのか?
……と思っていたのですが、安井さんがこんなことを言っていました。
シマノの方によると、どうも熱が入った時にローターが曲がる方向が決まっているみたいで。
あらかじめ、それとは逆方向にテンションを掛けているようなことを言ってましたが……。
それってつまり、フレームビルダーの方がよく言う「残留応力」みたいなものなんでしょうか。残留応力をあえて残してローターの変形を防いでいるんだとしたら面白いのですが、これは伝聞からの私の妄想なので、話半分に留めておいてください。
ただ、morouさんがシマノに問合せたところによると、シマノのディスクローターはアルミの芯を挟むステンレス部分の厚みを意図的に左右で変えてるらしいんですよね。そうなると、「曲がる方向が決まっている」というのは有り得る話です。
まとめ
RT-CL900をちょっとだけ触ってみたレポートでした。
思いのほか軽かったですし、これはなかなか良さそうです。そして、熱が入っても曲がりにくいように何らかの工夫が入っていることにも興味をそそられました。
私は結構ローターとパッドの擦れが気になる方ですが、周囲では「慣れれば気にならない」という方も結構いました。ただ、私は結局未だに慣れないまま。気になるものは気になるので。
そして、シマノは新型デュラ&アルテではローターとパッドのクリアランスを10%広げる施策を取りました。さらに、今回のローターの対策も。一応、シマノとしてもローターとパッドのシャリシャリ音は課題と思っていたわけですね。ちゃんと取り組んでくれたのは有り難いです。
とりあえずAmazonで予約が始まっていたので1枚注文してみました。発売予定日は8/15らしいです。
著者情報
年齢: 37歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: BIANCHI OLTRE XR4(カーボン), QUARK ロードバイク(スチール)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)
# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせて頂きました。