RWGPSが標高自動補正(トンネル・橋)に対応

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これは全国のサイクリストにとって朗報ではないでしょうか?

ついに、RWGPS(Ride with GPS)がトンネルと橋の標高を補正する仕組みを導入したとのことです。

目次

これまでの流れ

RWGPSは、全世界の地図に対応した自転車用ルート共有サイトです。

RWGPSがトンネル&橋の標高補正に対応

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そんなRWGPSが、ついに「トンネル&橋の標高補正」に対応しました。これはかなり嬉しいアップデートです。

ルートラボ閉鎖

かつては日本国内ではヤフーの運営する「ルートラボ」が一番シェアの高いサイトだったと思います。私の参加するブルベでも、各団体はルートラボでコース図を出しているのが普通でした。

しかし。2020年3月、ルートラボは閉鎖となりました

ルートラボ閉鎖後、様々なサイトにユーザーは散り散りとなりましたが、実質的に日本におけるスタンダードとなったのは「RWGPS」でした。

RWGPSへの不満

私はルートラボが閉鎖する前からRWGPSを使っていました。

ルートラボは日本国内のみしかルートを引くことが出来ませんでした。その点、RWGPSは世界中のどこでもルートを引けます。フランスを走るPBPや、台湾ツーリングの準備はRWGPSで行いました。

しかし、RWGPSにはイマイチな点が一つありました。「獲得標高がかなり多く出てしまう」という点です。

特にその現象が顕著なのが、トンネル&橋の多いルートでした。こうしたルートを引くと、ルートラボの倍近い獲得標高を叩き出すこともありました。

獲得標高が多く出る理由

何故RWGPSは獲得標高が多く出るのか? それは「標高補正を行っていない」からです。

例を上げましょう。下の画像は、トンネルを横から見た時の模式図です。

この画像だと、トンネルの入口から出口の獲得標高は0mになるはずです。しかし、特に何も補正を行わない場合は獲得標高が数十mと記録されるでしょう。

各地図データは、座標ごとに標高を持っています。しかしそれは上空から見た一番高い場所の標高データしか持っていません。つまり、トンネルの場合には、トンネルの上の山部分の標高が採用されてしまうわけです。

橋の場合は、少しでも引いた線が横にズレていると、橋の標高ではなく橋の下を流れる川の標高が採用されてしまうことになります。そこから本来のルートに戻ると、川から一気に橋の高さまで標高が上がるので、これまた獲得標高が跳ね上がることになります。

結果として、「トンネル・橋の多いルートは獲得標高がものすごく大きく出る」現象が発生するわけですね。特に日本のように山がちな地形では、トンネル・橋だらけです。大抵のルートで獲得標高は狂います。

ルートラボはそこを考慮し、ルートを引く際のトンネル・橋の標高補正機能を搭載していました。詳しい補正アルゴリズムはリンク先を読んでください。かくして、ルートラボはトンネル・橋を含むルートでも実態に近い獲得標高を出してくれました。

RWGPSも補正機能を搭載

そして、今回RWGPSにもこの「トンネル・橋の標高補正機能」が追加されました。これはかなり嬉しい。

ツーリング等でルートを引く際に、獲得標高が正確だと行動計画が立てやすくなります。私の場合、100kmで獲得標高500m程度ならば「5時間くらいで走れそうだな」と思えますし、獲得標高が1500mならば「これは6時間半は掛かりそう」と言ったように見積もりができます。今までのRWGPSは獲得標高が不正確すぎて何の目安にもならなかったんですよね。

今回の補正機能が実用に耐えうるかどうか、早速検証してみることにしました。

検証の前提条件

PCから、「Route Planner」機能を使ってルートを引きます。

ここで一つ頭に入れておいてほしいのは、「RWGPSは、地図データによって獲得標高が結構変わる」ということです。

RWGPSでは、ルートを引く際の地図データを選択可能です。地図右上のプルダウンから切り替えが可能となっています。

前述の通り、実は地図データ中には座標ごとの標高が埋め込まれています。当然、地図データが変われば座標ごとの標高の値も微妙に変わるはずです。

恐らく多くの方は地図ソース「Map」を選んで引いていると思います。これを選ぶと地図データがGoogle Mapに切り替わります。Google Mapは見やすいのですが……RWGPSでルートを引くと獲得標高の狂いが大きいんですよね。

上の表は、「宮ケ瀬一周ルート」を地図データを切り替えて引いてみた際の獲得標高を比較したものです。RWGPSに標高補正の機能が入る前に取ったデータとなっています。

宮ヶ瀬一周ルートはトンネルが十数個あり、ダム湖の上を渡る橋もある、標高補正が無いとものすごくデータが狂うタイプのルートであるということで比較用に採用しました。

Google Mapの地図データを選んでRWGPSでルートを引くと、ルートラボの獲得標高に比べて2倍以上の獲得標高になります。ちょっと狂いが大きいですね。

地図データに「RWGPS」「OSM」「OSM Cycle」を選んだ場合の獲得標高はほぼ同じです。これらは恐らく共通の標高データ(Open Street Map)を使っているからだと思われます。そして、Google Mapよりは狂いは小さいようです。

このような理由から、以後は特に注釈のない場合、「RWGPS」の地図データを選択した状態でルートを引くこととします。

検証①: 様々なトンネルと橋

まずは、ブルベやツーリングでよく通るトンネルや橋を正しく補正出来ているのかを試してみました。

笹子トンネル

まずは自転車で通れる長いトンネルとして有名な笹子トンネルを引いてみました。

ちゃんとトンネル内は標高が補正されていますね。

新御坂トンネル

ブルベで頻出の新御坂トンネル。こちらもちゃんと補正されました。

来島海峡大橋

サイクリストの聖地「しまなみ海道」で一番長い橋である来島海峡大橋もちゃんと補正されています。

ちなみに補正が導入される前のデータが↓です。

橋の上なのに海の標高が検出されており、島がある所は島の標高が検出されていました。

検証②: 宮ヶ瀬湖一周コース

さて、次はトンネル・橋だらけな意地悪コース、「宮ヶ瀬湖一周」で比較をしてみます。

ルートラボで引いたデータ

まずは、ルートラボ閉鎖前に引いたルートデータをRWGPSにアップロードしたもの。

獲得標高は303m。これが正しい獲得標高という確証はありませんが、「体感的にはこのくらい」という納得感のある数値です。

補正導入前のRWGPSで引いたデータ

こちらは補正が導入される前のRWGPSで引いたルートデータです。

獲得標高は508mと、なかなか大きく出ています。体感的にはここまでは無いと思われます。

補正導入後のRWGPSで引いたデータ

そして、こちらが補正が導入された後のRWGPSで引いたルートデータです。

獲得標高は344mと、ルートラボにかなり近い値となりました。体感的にも納得感はある数値です。

標高図の比較

これら3つのパターンで引いた宮ヶ瀬湖一周の標高図を比較してみました。

宮ヶ瀬湖一周コースにはトンネルが10個以上ありますが、分かりやすい点を点線で示してみました。

さすがにルートラボの補正は綺麗ですが、補正導入後のRWGPSも中々頑張っているのが分かると思います。それは獲得標高の数値にも現れていますね。

まとめ

RWGPSの標高補正機能の紹介と検証でした。

正直、想像よりもいい感じで驚いています。地図データに「RWGPS」を選んだ場合に限りますが、かなり体感と近い獲得標高が出るようになったと思います。まだ完璧な補正とは言えませんし、補正が掛からないトンネルもあるようですが、新機能のリリース直後でここまで出来ていれば文句はありません。

恐らく日本以外ではそこまでトンネルや橋って問題にならなそうな気がするので、恐らくこの要望を出していた人の多くは日本人でしょう。この機能を実装してくれたRWGPSに感謝したいです。

……これはそろそろサブスクリプションメンバーになろうかなぁ。

この機能は現状他のルート共有サービスにはないので、RWGPSに存続してもらう必要があります。ルートラボ閉鎖の喪失感を味わわないために、課金をしていこうと思いました。

著者情報

年齢: 37歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: BIANCHI OLTRE XR4(カーボン), QUARK ロードバイク(スチール)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)

# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせて頂きました。

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この記事を書いた人

ロングライド系自転車乗り。昔はキャノンボール等のファストラン中心、最近は主にブルベを走っています。PBPには2015・2019・2023年の3回参加。R5000表彰・R10000表彰を受賞。

趣味は自転車屋巡り・東京大阪TTの歴史研究・携帯ポンプ収集。

【長距離ファストラン履歴】
・大阪→東京: 23時間02分 (548km)
・東京→大阪: 23時間18分 (551km)
・TOT: 67時間38分 (1075km)
・青森→東京: 36時間05分 (724km)

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