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塗装素人によるサドル塗装記録
あまりやる人もいないであろうサドルの塗装に挑戦したので、その試行錯誤の内容を記録しておきます。
塗装の動機
昨年の秋に「Fabric Scoop Radius Pro」を購入しました。
カラーは「ブラック/レッド」。翌年に組む予定だったディスクロードは「黒×赤」カラーで組もうと思っていたので、「これは丁度よい」と思って購入したのですが……
届いたサドルはどう見てもレッドではなくオレンジでした。自転車パーツのレッドはオレンジがかったレッド(朱色)であることは多いのですが、これはどう贔屓目に見てもオレンジです。
我慢してそのまま乗ろうかと思いましたが、さすがにこれは色が浮いてしまうことは必至。かといって、せっかく買ったサドルを手放すのも勿体ない。
ということで、塗装に挑戦してみることにしました。
一度目の塗装
私は塗装に関しては全くの素人です。
最後に塗装したのは、20年以上前のミニ四駆でしょうか? その時もほとんどマスキングはせずに単色塗りだった覚えがあります。ほぼ経験はゼロと言って良いと思います。
塗料選び
まずサドルを塗装するのにどんな塗料を使ってよいのか分からないので検索してみました。
「サドル 塗装」で検索すると、多くの人が「染めQ」というスプレーを使ってサドルを塗装しているようです。「ナノ単位の粒子が素材の表面に密着することで、 まるで染めたかのような仕上がりに」というキャッチコピーからも、塗装の耐久性に自信があることが読み取れました。
先人に倣って、こちらの塗料を買ってみることにしました。
塗装用具の購入
サドルを塗装しようとしていることを妻に話すと、「東急ハンズに行こう」と言われました。妻はドール趣味で、過去に結構塗装の経験があったのでした。塗装用具は東急ハンズで一通り揃うんだそうです。
買ったのは以下のもの。
デザインナイフは前にカッティングシート工作をしたときのものがあったので、それを使うことにしました。
塗装実行
さて、初めての塗装。
マスキング
今回はサドルの裏面のベースのみを塗装するので、座面とサドルレールはマスキングします。
こんな感じに。座面とベースの継ぎ目や、レールとベースの継ぎ目はなかなか難しいですね。デザインナイフを使って丁寧にマスキングしていきました。と言っても、見栄えは悪いですが……。
プライマー塗布
次に、塗装の乗りを良くするためのプライマーを吹きます。とりあえず万遍なく塗布。
染めQ塗布
妻からは「薄めに塗って重ね塗りすると良い」というアドバイスを貰い、その通りに実行。
2回目の重ね塗りまでは良かったのですが、3度目の重ね塗りで吹きすぎてしまい、気泡と垂れが発生してしまいました。まぁ、見えにくい部分なので気にしないことにしました。
乾燥
夜に塗装を行い、朝まで屋外で乾燥させました。
塗装完了
こんな感じになりました。座面とベースの境目が若干オレンジが残ってしまいましたが、概ね上手く塗装出来たと思います。
しかし、3ヶ月後
塗装自体は上手く行ったのですが。
ディスクロードが納車され、サドルを使っていくと少しずつ塗装が剥がれてきてしまいました。サドルのノーズ脇部分はペダリング時に擦れる回数が多いようで、ご覧の通りかなり元のオレンジ色が見えてしまっています。
染めQは布や革といったものであれば染み込むように色が付くようですが、プラスチックだと単純に上に乗るだけのようで。そういえば、サドルの塗装に染めQを使っている人は皆、ベースのプラスチック部分ではなく、座面の革の部分を染めていました。そういった材質のものであれば擦れにも強いのでしょうが、プラスチックではダメでしたね。
これはさすがに格好悪いので、再塗装をすることにしました。
二度目の塗装
一度目の塗装は全くの手探りからのスタートでしたが、今回は要件がはっきりしています。「擦れに強い塗装をプラスチックに施したい」です。
塗料選び
擦れに強い塗装までは妻も知らなかったので、私の周りで最も塗装に詳しい達人に聞いてみることにしました。
革の下のレールにつながる樹脂のとこですよね?市販のラッカースプレー吹く前にミッチャクロンていう塗料の食い付きを良くする下地剤を軽くスプレーして、ウレタン系塗料のスプレーすれば剥がれにくく摩れにも強いとは思います。
ただ常時たわんだりするとこなんで、せんよりまし程度かも?— ノグチトモキ (@iliketitanium) June 5, 2020
ウレタン系塗料! 染めQはアクリル系塗料なので、完全に別の種類の塗料です。
調べてみると、ウレタン塗料はバイクの塗装にも使われるもので、耐久性はアクリル塗料の倍。擦れにも強いとのこと。
ということで、今回はウレタン塗料を使うことに決定。ツイートの中で触れられているミッチャクロンは、前に買った「染めQプライマー」とほぼ同じもののようなので、そちらを今回も下地にすることにしました。
しかし、ウレタン塗料は他のものよりかなり高いですね。300mlで2500円とは……。
前の塗装の除去
前回と違い、今回は古い塗装を除去する必要があります。
除光液でも良さそうでしたが、今回は専用の「染めQリムーバー」を購入しました。
リムーバーの液体をタオルに染み込ませて拭き取り。結構簡単に落ちます。しかし、やっぱりどう見てもこれはオレンジだよなぁ……。
塗装実行
さて、二度目の塗装です。
ヤスリがけ
「達人」ノグチさんのアドバイスに従い、今回は塗装面にヤスリがけを実施しました。
前の塗料剥がすついでに、800番~1000番程度の紙ヤスリで樹脂の表面を軽く磨いて細かい凸凹つけて(やすり跡が目立たず梨地になる程度)ミッチャクロン吹くといいですよ😃
— ノグチトモキ (@iliketitanium) June 5, 2020
なるほど、確かに今回の塗装面はかなりツルツル。これでは塗装も剥がれやすいはず。そこに傷をわざと付けて塗装が剥がれにくくするわけですね。
1000番の紙ヤスリで表面を磨きました。塗装を強くしたいサイドのノーズ部分もしっかりとヤスリがけ。
マスキング
マスキングも二度目になると前回よりも手際よく処理することが出来ました。
本職の方から見ると不格好だとは思いますが、私にしては上出来。特に、前回の塗装で色がまばらになってしまったベースと座面の間は、爪楊枝を使って丁寧にマスキングしました。
プライマー塗布
塗装の下地であるプライマーを塗布します。ヤスリがけをしたので、前回よりはベースが強くなっているはず。
ウレタンスプレー塗布
緊張の瞬間、スプレー塗布です。
今回買ったウレタンスプレーは2液混合タイプとのことで、使用前にスプレー缶の中で硬化液と反応させて使うようですね。そして注意書きにびっくり。
「硬化液と反応すると缶の中でも固まるので、15時間以内に使い切ってください。」
なんと、これ使い切りタイプだったんですね……サドルの狭い面積への塗装1回で2500円……。
勿体ないので、3回ほど重ね塗りをすることにしました。塗装→20分乾燥→塗装……のループで3回重ね塗り。
紅に染まったこのサドル。
乾燥
今回も翌朝までしっかり乾燥。ウレタン塗料は乾くのが遅めのようですね。
マスキング除去
翌朝。マスキングテープを剥がしていきます。上手く出来ているかな……?
懸案だった座面とベースの継ぎ目もキレイに塗り分けられていました。さすが3Mのマスキングテープ。全く色移りなどはありませんでした。
塗装完了
塗装完了。前回よりもムラなどはなくキレイに出来ました。レビュー通り、アサヒペンの赤は若干ピンク掛かってはいますが、そこまで違和感は無かったです。
若干、気泡が入ってしまった部分が残念ですが、これは次回の塗装への課題ということで。
走行
実は一度目の塗装は、最初の走行時に既に剥がれてきていました。今回はどうなのか? とりあえず25kmほど走ってテスト。
結果、塗装の剥がれは全く無し。今後の使用でどうなるかは分かりませんが、とりあえずプラスチック下地においては、ウレタン塗料が染めQよりも擦れに強いことは確かなようです。
なお、塗装前と塗装後で重さを測りましたが、2gほど増えていました。
まとめ
アクリル塗料とウレタン塗料による、素人DIY塗装のレポートでした。
プラスチックかつ擦れやすい場所にはウレタン塗料が良いようですね。これでもダメならば次は、ウレタン塗料の上から更にクリアスプレーでも吹きますかね……。
とりあえず、一つ言いたいこと。
「Fabricさん、ベースがオレンジじゃなくて赤いサドルを出してください!」
最初からベースの色が赤だったらここまで苦労はしなかったので。ただ、結構楽しくもありました、塗装。
著者情報
年齢: 35歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: QUARK ロードバイク(スチール), GIANT ESCAPE RX(アルミ)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)
# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせて頂きました。