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スペック読み方ガイド~携帯ポンプ編~
携帯ポンプのパッケージ等に記載されているスペックの読み方と意味を紹介します。
購入の際のスペック比較のご参考にどうぞ。
携帯ポンプのタイプ分類
まず、主な携帯ポンプのタイプ(4種類)を紹介します。
ハンドポンプタイプ
オーソドックスな携帯ポンプです。片手でボディを持ち、片手でポンピングを行うタイプを指します。
小型で軽量な物が多いですが、その分だけポンピング回数は増える&高圧になるとポンピングが辛くなる傾向にあります。
ミニフロアポンプタイプ
フロアポンプを小さくしたようなタイプの携帯ポンプです。
フットペダルが付属し、ポンプの片方を地面に押し付けた上で体重を掛けたポンピングが行える点が特徴です。
体重を掛けられるので高圧でもポンピングがしやすく、1ストロークあたりの空気量も多い傾向にあります。ただし、サイズが大きいた収納場所を選ぶ&重量も重いというデメリットもあります。
フレームポンプタイプ
フレームの前三角内に突っ張り棒のように格納するタイプの携帯ポンプです。ダウンチューブに取り付けるケースと、トップチューブに取り付けるケースがあります。
ポンプの両端がパイプにフィットするような形状になっていますが、細いスチールフレームにしか対応しない場合がほとんどです。カーボンフレームには取り付けが難しい場合が多く、現在は絶滅危惧種であるといえます。
非常に長さがあるので、1ストロークあたりの空気量は多くなります(=ポンピング回数は減る)。ただ、大きい分だけ重量は嵩みます。
電動タイプ
内部にコンプレッサーとバッテリーを内蔵し、自動で空気を充填してくれるタイプの携帯ポンプです。
自分でポンピングする必要がなく非常に楽ですが、非常に重量が重い&大型の物が多いです。あと、コンプレッサーが爆音であるケースも多々あります。
パラメータ
携帯ポンプの各パラメータの意味と読み方について解説します。
重量
携帯ポンプの重量です。
ロード用であれば、100~150gが標準的な重量と言えます。オフロード用であると200g前後が普通だと思います。100gを切ると軽量であると言えるでしょう。
知りうる限り最軽量の携帯ポンプは、「iPump micro」で、公称21gです。
大きさ(長さ/幅/高さ)
主に、格納場所と高圧性能に影響するパラメータです。
大きさの表記方法はメーカーごとに割りとバラバラですが、長さ/幅/高さについて書いてあるケースが多いと思います。
長さ
ボトルケージの脇に取り付ける場合はあまり長さを意識する必要がありませんが、ツール缶やサドルバッグに入れる場合には長さを強く意識する必要があります。
通常タイプのツール缶のサイズは大体20cm前後なので、それを超える携帯ポンプはツール缶に格納することが難しくなります。
また、長ければ長いほど、1ストロークあたりの空気量が増えるため、目標空気圧までのポンピング回数は少なくて済みます。
幅
大抵は口金部分が「最大幅」となります。
こちらも、ツール缶等への格納の際に意識することになります。
高さ
言い換えれば、ボディ部分の「太さ」を指します。
一般に、ボディが細い方が高圧でも楽に空気を入れることが出来ますが、1ストロークあたりの空気量が減ります。
逆に、ボディが太いと高圧に弱くなりますが、1ストロークあたりの空気量が増えます。オフロード用の携帯ポンプが太い傾向にあるのはこのためです。
例外もあり、後述する「ツインターボ」構造を持つポンプはボディが太いのですが、高圧に強い特徴を持ちます。
最大気圧
その携帯ポンプが対応する最大気圧です。
この「最大気圧」という概念が中々曲者。例えば「最大気圧: 8気圧」と書いてあれば、ユーザーとしては「この携帯ポンプを使えば、8気圧まで空気を入れられる」と思うはずですが、実はそうでないケースが多いです。「最大気圧: 8気圧」と書かれていても、5気圧以上になると人力では最後まで押しきれないポンプも沢山あります。
Panaracerに尋ねてみたところ、最大気圧は「通常使用で故障しないと保証し得る最大圧」という意味だそうです。つまり、「これ以上の気圧はポンプ側が壊れる可能性がある」ということ。「通常の人間の力で表記の最大気圧まで入ります」という意味ではないのです。

詳しくはこちらの記事を参照してください。
対応バルブ
対応するチューブのバルブタイプです。
バルブタイプには「仏式(Presta)」「米式(Schrader)」「英式(Dunlop)」の3種類がありますが、スポーツ自転車向けの携帯ポンプの多くは「仏式」「米式」のどちらか・または両方に対応します。英式に対応する携帯ポンプは少ないです。
ロック方式
バルブから口金が外れないようにロックする機構の方式です。
レバータイプ
レバーを起こすことで、口金をロックするタイプです。
一番一般的なロック方式ですが、レバーの機構が付く分だけ重量は重くなります。
ネジ込みタイプ
口金にネジ山が切られており、バルブにネジ込んで固定するタイプです。
確実に口金とバルブを固定できます。また、ネジ切りタイプの延長ホースの取り付けも可能となるロック方式です。
ただし、外す際にバルブコアも一緒に回してしまって空気が抜けてしまう場合もあるので注意が必要です。
ワンタッチタイプ
Panaracerオリジナルのロック方式です。
口金をバルブに押し付けるだけでロックされます。バルブは大きくなりますが、操作は簡単で仏式/米式の両対応となっています。
ロックなし
口金をバルブに押し付けるだけで、ロックしないタイプのものも存在します。
ロック機構がない分だけ軽量ですが、ポンピング時に口金がズレて空気漏れを起こすリスクがあります。
ホースの有無
延長ホースが最初から付属するタイプや、内蔵しているタイプの携帯ポンプも存在します。
ポンプ本体とバルブの距離を取れるため、ポンピング時にバルブを折るリスクが減ります。また、ホースがあると無理のない姿勢でのポンピングが可能となる場合が多いです。
ホースが内蔵されていない場合でも、後から延長ホースを増設可能な場合もあります。
空気圧計の有無
空気圧計が内蔵されているタイプの携帯ポンプもあります。
専用の空気圧計とは異なり、携帯ポンプに付属する空気圧計は不正確です。1気圧以上ズレることもあり、あくまで目安と考えたほうが良いでしょう。
空気圧計が付くと、重量は2~30g重くなります。
フットペダルの有無
先に上げた「ミニフロアポンプタイプ」の携帯ポンプには、フットペダルが付属します。
ペダルを踏んでポンプを固定しながら体重を掛けてポンピングが出来るので、高圧でも楽に空気を入れることが出来ます。
素材
アルミ・カーボン・プラスチックの3種類の素材で出来ていることが多いです。
一般的な携帯ポンプは口金がアルミ製、ボディがアルミまたはプラスチック製のものが多いでしょうか。ボディがカーボン製のものも存在し、アルミより若干軽量になります。
携帯ポンプは高圧になると熱を持ちます(断熱圧縮)。アルミ製の場合は高圧で持てなくなるほど熱くなることもあります。カーボン製の場合は熱くなることは少ないです。
1ストロークの空気量
1回のストローク(ピストンを引く/押すの1セット)で、どのくらい空気がチューブに入るかを示した値です。大抵、「長く太い」ポンプほど、この値は大きくなります。
当然、この値が大きいほど、目標の空気圧に達するまでのポンピング回数は少なくて済みます。
この値を公表しているメーカーは少なく、TOPEAKくらいしか公表していません。
滑り止め加工
ハンドポンプタイプの場合、手が滑ってしまうと高圧状態で力が掛けにくくなります。
これを防ぐため、滑り止めのグリップを備える携帯ポンプも存在します。これが有るのと無いのでは、高圧時での力の入れやすさがかなり違ってきます。
グリップが付いていなくても、本体に溝を刻んで滑りにくくしているタイプの製品も存在します。
ブラケット
大抵は、ボトルケージに共付け可能なブラケットが付属します。ブラケットの形状によっては太ももに当たったりするので注意が必要です。
価格
最後に価格。
携帯ポンプの相場は2~5000円程度だと思います。
私が知る限り、一番高い携帯ポンプはSILCAですかね。
電動も含めるのであれば、Fumpaが最高額だと思います。
特殊機構
特殊な機構を持った携帯ポンプもあります。すべてを網羅は出来ませんが、代表的なものを紹介します。
テレスコピック
テレスコピック(英: telescopic)とは、機械などで重なり合った筒が伸び縮みする構造のこと。
一見短いものの、シリンダーが3重以上になっていて、かなり伸び縮みするタイプの携帯ポンプです。
かなり長くなるため、1ストロークあたりに入る空気量が多くなるメリットがあります。
ただし、高圧ではポンピングが重くなりやすい傾向にあります。また、部品点数が増えるため、大きさの割に重くなります。
高圧/低圧切り替え
スイッチ等でモードを切り替え可能なタイプです。
低圧モード: 1ストローク辺りに入る空気量は多いが、高圧ではポンピングに力が必要。
高圧モード: 1ストローク辺りに入る空気量は少ないが、高圧で必要な力が少ない。
経験上、このタイプは「帯に短し襷に長し」というか、「低圧モードでも大して空気量は入らず、高圧モードでも力が必要」なものが多い印象があります。
ダブルアクション
「ピストンを押しても引いてもチューブに空気が入る」タイプの携帯ポンプです。「ダブルアクション」は、TOPEAKにおけるこの構造の呼び名になります。
構造は上の画像の通り。押す時も引く時も空気が入るので、必要な動作数は通常のポンプの半分で済むのですが……。
ただ、この構造は高圧でピストンを引く時に中々引ききれない弱点があります。押す動作より引く動作の方が力を掛けるのが難しいもので。
オフロード用タイヤのように、「低圧で大ボリューム」のようなタイヤには向くかもしれませんが、ロードバイクのように「高圧で低ボリューム」なタイヤに対してはメリットがあまりない構造です。
ツインターボ(内部圧縮・加圧方式)
「ピストンを引いた際にポンプ内部に空気を圧縮し、ピストンを押す際にアシストしてくれる」構造です。「ツインターボ」は、TOPEAKにおけるこの構造の呼び名になります。
いわゆる「例のポンプ」が備えていた構造で、5気圧以上の高圧でも非常にポンピングが軽いのが特徴になります。
構造は上の画像の通り。ピストンを引く際にも抵抗感があるのが特徴です。
内部にポンプが二重で入っているような構造となっているため部品点数は多くなり、見た目よりも重量は重くなります。

この構造の詳しい解説は上の記事を参照してください。
CO2ボンベ対応
CO2ボンベ用口金の機能を持たせた携帯ポンプも存在します。
まとめ
携帯ポンプにおけるスペックの読み方の紹介でした。
本文中にも書いた通り、「最大気圧」というパラメータがもっともややこしいです。この値はあくまでも「ポンプが耐えきれる空気圧」であるということを留意してください。
皆様の用途にあった携帯ポンプ選びに、この記事が役に立てば幸いです。
著者情報
年齢: 37歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: BIANCHI OLTRE XR4(カーボン), QUARK ロードバイク(スチール)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)
# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせていただきました。