異型シートポストでもサドルがズレた話

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丸型断面ではないシートポストでも「サドルが左右どちらかにズレる」という事象に遭遇したので書き残しておきます。

目次

今回起こった事象

まず、今回起こった事象について説明します。

OLTRE XR4の違和感

年末、OLTRE XR4のサドルを別のものに変えて色々ポジションをテストしていました。

納得の行くポジションにならなかったので元のサドルの元のポジションに戻したのですが。走りに出てみると、何か違和感。サドルが斜めになっているような感じ。

この「斜め」は上下方向に斜めになっている感触でした。左側だけちょっと低いような、そんな感じ。

そこでサドルを後ろから眺めてみたんですが、特に左だけ低いということはありませんでした。

何の気なしに上から見てみると……

なんと、サドルが左右方向に斜めになっていました

サドル先端がトップチューブに対して左側に傾いているのがお分かりでしょうか。これが違和感の原因だったようです。

何故驚いたのかと言えば、このフレームはエアロ形状の専用シートポスト仕様だったからです。

こういった丸型断面ではないシートポストのことを、「異型シートポスト」なんて呼んだりします。

丸型シートポストならば、回転してしまうのでこういったことは普通に起こるもの。だから取り付け直後に左右にズレていないかの目視確認を行います。

一方、異型シートポストでは回転することはありません。理論上はこういったことは起こらないはずなので、左右のズレの確認はしたことがありませんでした。

しかし、現実にサドルが左にズレていたのです。

サドルが左右にズレていると、ペダリングに影響が出ます。問題は、長距離走行時に故障に繋がる可能性があること。私の場合は尻の筋肉が片方だけ痛むケースが多いです。

INFINITO CVの違和感

また別の日に、同じくBianchiのINFINITO CVに乗っていたのですが、こちらもまたOLTREと同様の違和感を感じました。

INFINITO CVも断面形状こそ異なるものの、異型シートポストです。

確認してみると、やっぱりサドルが左にズレていました。OLTREの時と全く同じ症状です。

シートポストの部位名

原因の話に行く前に、シートポストの部位名について紹介しておきます。

シートポストは大きく2つの部位に分けられます。「ポスト」部と「ヤグラ」部です。

ポスト

フレームに差し込む筒の部分です。アルミ製だったりカーボン製だったりします。

ここの断面形状は、丸型のものとそうでないもの(異型)が存在します。

最近は空力性能を高めるために流線形にしたり、衝撃吸収性能を高めるためにD型断面にすることが流行しています。

ヤグラ

サドルレールをクランプする部分です。アルミであることが多いですが、カーボンで作られることもあります。

ここの構造は各メーカーごとにバラバラです。

サドルがズレた理由

ここからはサドルがズレた理由の話です。

結論から言えば、「ヤグラの金具がズレていた」ことでした。

OLTRE・INFINITO CVの場合

OLTREとINFINITO CVは共通のヤグラを採用しています。

ボルト2本が縦ではなく横に配置されています。Bianchiのシートポストはだいたいこのヤグラを使ってるみたいですね。

そして、このヤグラはどうも左右に微妙に角度が付けられる様になっているように見えます。意図したものなのか、製造上の理由かは分かりませんが……。

邪推するならば、「フレーム側のシートポストを差し込む穴が微妙に左右に傾いていた場合にもシートポスト側で調整が効くように」ということなのかもしれません。異型シートポストではフレーム側の穴が傾いていた場合にポスト側の調整が不可能ですからね。

ヤグラのボルトを緩め、サドルの角度を調整後に再度締め込むと……

サドルの先端がまっすぐになりました!

この状態で200km走行しましたが、特に問題は発生していません。

INFINITO CVも同様の調整を行った所、サドルがまっすぐになりました。

Bottecchiaの場合

ここまで述べてきたのはBianchiの話でしたが、そういえば以前も異型シートポストでサドルのズレに悩んだことがありました。

かつて乗っていたボッテキア「T1ツールマレー」。これも異型シートポストにもかかわらず、サドルがズレました。

Bianchiの場合は「サドルの先端が斜めになる」という症状でした。言うなれば、「角度のズレ」。

しかし、ボッテキアの場合はサドルの中心がズレていました。サドルの中心がフレームの中心よりも2mmほど左にズレていたのです。「平行なズレ」といった所でしょうか。

このヤグラは、セライタリアがかつて提唱していた「モノリンク」方式に対応したものです。ボッテキアもイタリアメーカーなので、このヤグラを採用したのかもしれません。

これはモノリンク方式のヤグラ構造を模式図にしたものです。

左右の2つのクサビをボルトでつなぐことでサドルレールを保持する構造なんですが……この方式はクサビが左右均等に移動しないとサドルの中心線がズレます。

苦労して何とか左右均等にしましたが、クサビを抜くためにハンマーが必要だったり非常に取り扱いの面倒なヤグラだったことは覚えています。二度と使いたくないですね。

まとめ

「異型シートポストでもサドルがズレて付くことはある」というレポートでした。

なんとなく異型シートポストはポスト部が回転しないので左右のズレは起こり得ないイメージがありましたが、採用するヤグラの構造によっては左右のズレは起こり得ます

今後は異型シートポストであっても、サドルの交換や調整を行った後には「サドルの先端が曲がっていないか」「中心がズレていないか」を確認するようにしようと思いました。


「たまたまBianchiとボッテキアのシートポストでこういった現象が起きているだけ」という可能性はあります。

私はこれまでに異型シートポストのフレームは3ブランド(Bianchi/Bottecchia/Scott)しか所有したことがありませんが、そのうち2ブランドでこういった現象が起きています。それなりの高確率なので他でも起きる可能性があると思い、記事化した次第です。

シートポストが円型であっても異型であっても、サドルやシートポストの調整を行った際には、「サドルがちゃんと左右対称に付いているか」を確認するクセを付けるのが良いのではないかと思います。

著者情報

年齢: 39歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: BIANCHI OLTRE XR4(カーボン), QUARK ロードバイク(スチール)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)

# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせていただきました。

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この記事を書いた人

ロングライド系自転車乗り。昔はキャノンボール等のファストラン中心、最近は主にブルベを走っています。PBPには2015・2019・2023年の3回参加。R5000表彰・R10000表彰を受賞。

趣味は自転車屋巡り・東京大阪TTの歴史研究・携帯ポンプ収集。

【長距離ファストラン履歴】
・大阪→東京: 23時間02分 (548km)
・東京→大阪: 23時間18分 (551km)
・TOT: 67時間38分 (1075km)
・青森→東京: 36時間05分 (724km)

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