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CATEYE Voltシリーズの充電端子のフタの話
「CATEYE Voltシリーズの充電端子のフタ」の小ネタです。
コミケでの会話
昨日今日と開催された「コミックマーケット100」にサークル参加しました。
今回の新刊は、「自転車ライト攻略本」です。
ライトに防水透湿膜?
同じくコミケに出展していたサークル「ゆるふわーくす」さんのスペースにご挨拶に行き、サークル代表の「てつやん」さんと世間話。
そこで自転車ライトの構造についての話になったのですが、そこで衝撃的な話を聞きました。
「知ってます?
Volt800の充電端子のフタの部分って防水透湿膜が使われてるんですよ。」
一瞬、理解が追いつきませんでした。
「防水透湿膜(メンブレン)」というのは、自転車界隈ではレインウェアの話題でしか出てこないワードです。「液体の水は通さず、水蒸気(湿気)は通す」のが防水透湿膜。
「雨天ライド攻略本」なんてものを書いている身なので、もちろん防水透湿膜についての知識はあります。しかし、電子機器――しかもライトでそのワードを聞くとは思わなかったので、頭の中で結び付きませんでした。実は後から調べてみると、電子機器でもよく使われているらしいのですが、全くこの段階では知らず。
Volt800の充電端子のフタ
今回の話で出た「充電端子のフタ」とは、ここのことです。
ゴムのフタの中央部に白いシートのようなものが入っています。これが防水透湿膜。
フタを開けてみた図。白いシートを金属のワッシャーとともに接着しているようです。
その下には充電端子。充電端子を防水透湿シートで保護しているわけですね。7年も使っていたはずですが、全くこの仕掛には気付いていませんでした。
考察など
この防水透湿膜について少し考えてみます。
搭載機器
この「充電端子のフタの防水透湿膜」も、CATEYEのライト全てに搭載されている訳ではありませんでした。
下記に搭載/非搭載の情報を一覧化します。
搭載機器 | 非搭載機器 |
・Volt400 Duplex ・Volt700 ・Volt800 ・Volt1200 ・Volt1600 ・Volt1700 ・GVolt100 |
・Volt200 ・Volt300 ・Volt400 ・GVolt70 ・AMPP300 ・AMPP500 ・AMPP800 ・AMPP1100 |
おおむね、「バッテリーが交換可能なVoltシリーズのハイエンド機種」のみに搭載されているようです。Volt400 Duplexだけ例外ですね(ハイエンドではない)。
こちらはVolt400シリーズの充電端子のフタ。普通のゴムです。
テスト
「本当に防水なのか?」をテストするために、シート部分にスポイトで水を垂らしてみました。裏側には全く透けていませんでした。
これまで何度も豪雨の中を走行しているわけで、そりゃここの防御は鉄壁なはずではありますが。
シート部分をドライバーの先などで押せば耐水圧を越えて浸水する可能性はありますが、通常使用の範囲では完璧な防水性に見えます。
透湿性能はちょっと我が家の設備では計測できません。
効果・意図
実は、この手の防水透湿膜は、自動車業界での電子機器周りでは割りとよく使われているらしいんですよね(参考記事)。
一番よく使われるのは、ヘッドライト部分だそうです。温度差により発生する結露を防ぐ目的で使われているんだとか。結露が発生すると、電子機器にダメージを及ぼす恐れがありますからね。かといって、水がそのまま入り込んでは困る。水は通さず、湿気を逃がす防水透湿膜は最適なソリューションだったというわけです。最近ですと、サイコンやスマホにも防水透湿膜を採用している例があるようですね。
恐らくですが、今回のVoltシリーズの充電端子のフタも、結露を防ぐ意図が大きいのではないでしょうか?
ハイエンドシリーズのみに搭載されているのは、「明るい=発熱量が大きい」ので、外界との気温差が大きくなり、結露のリスクが大きくなるからではないかと思われます。
ただ、それならAMPPシリーズの上位機種にも搭載すればいいのに……とは思いますが。コストの問題と差別化の意図もあるのでしょう。
防水透湿膜の素材
今回の防水透湿膜の素材ですが、今のところ不明です。
自動車業界ではゴア社の素材がよく使われるようですが、自転車ライトの世界ではどうなのか。そもそもキャットアイ以外にこの仕組を入れているメーカーを知りませんし、独自注文のはず。
質感としては不織布のようで、有名な素材だとデュポン社の「タイベック」に似ていますね。
まとめ
Voltシリーズの充電端子のフタの小ネタでした。
この話、もっと早く気付いていたら「自転車ライト攻略本」に是非入れたかったですね。コミケ当日に知ったので遅かったんですが。
てつやんさんとは「Voltシリーズのスイッチの防水性」についても話が及びました。てつやんさんが分解してみたところ、CATEYEのライトのスイッチは、実はかなり広い面積を裏側からシールしているらしいんですよね。他社はそうでもないらしい。
CATEYEのライトは、カバンなどに入れた際のスイッチ誤動作防止のために、あえて周囲よりもスイッチをへこんだ場所に配置していたりもします。この話は「自転車ライト攻略本」にも入れました。
充電端子の防水透湿膜といい、スイッチの凹みといい、普通に使っていたら気づかない部分にまで気が回っているCATEYE。自転車ライトの老舗たる矜持を見た気分です。
著者情報
年齢: 37歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: BIANCHI OLTRE XR4(カーボン), QUARK ロードバイク(スチール)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)
# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせて頂きました。