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携帯ポンプでの正しい空気の入れ方
意外と、「携帯ポンプでの正しい空気の入れ方」が知られていないようなので、せっかくなので記事化しておきます。
出先でパンクした時に初めて携帯ポンプを使う人も多いでしょう。師匠的な人がいればその人に使い方を習うかもしれませんが、中々携帯ポンプの使い方を深く考えたことがある人も少ないはず。もしかしたら、「効率の悪い空気の入れ方」をしているかもしれないので、是非以下の文章を読んでみてください。
正しい空気の入れ方
「正しい」と言っても、特に難しいことではありません。
これだけです。
よく、メタルバンドのドラマーのように、超高速でピストンをしている人が居ますが、アレは疲れるだけで意味がありません。
なぜ、超高速ピストンがダメで、「最後まで弾いて、最後まで押す」必要があるのか。その理由について解説していきます。
携帯ポンプの構造
ものすごく単純な携帯ポンプの構造を以下に示します。
昨今はここまで単純なものは中々ありませんが、airboneのポンプは概ねこのような仕組みです。
一見、注射器のようですが、ピストン弁という一方向にしか空気を通さない弁がある点が異なっています。
空気の入る仕組み
携帯ポンプを使って、チューブに空気を入れる際の仕組みを説明します。
チューブに携帯ポンプのヘッドを取り付けた状態から始めることにします。
ロッドを引いている状態
まず、空気を入れる際には、ポンプの中に外界から空気を取り込む必要があります。
この図のようにロッドを引くと、ピストン弁を通って空気がポンプ内(気室)に取り込まれます。ピストン弁は、ロッドを引いている時のみ開く構造になっており、ロッドを押す時には空気が漏れません。
これがピストン弁の実物です。真ん中にあるのはシリコン製のOリングです。写真の状態(向かって左側に寄っている)の場合は、弁が「開いている(空気が通る)」状態です。これが右に寄っていると弁が「閉じている(空気が通らない)」状態になります。
このように切り欠きがあるので、その隙間から空気が通るわけですね。このOリングが劣化すると空気が通り抜けてしまうので、Oリングの劣化には気をつける必要があるわけです。
ロッドを引ききった状態
ロッドを最後まで引き終わると、以下の状態になります。気室内が空気で満たされた状態です。
この後に押し込んでいくわけですが、引き終わった状態でポンプ内にある空気がチューブ内に入ります。つまり、最後までしっかり引ききらないと、押す際に入る空気の量が少なくなります。すると、ポンピング回数は増えるわけですね。これが、「最後まで引いて」と強調した理由になります。
ロッドを押している状態
次に、ロッドを押して、ポンプ内の空気をチューブに送り込みます。
前述の通り、ピストン弁はロッドを押している最中は「閉じている」状態になるので、ポンプ内の空気が徐々に圧縮されていきます(空気圧が上昇する)。
そして、チューブ内に空気が入るのは、
チューブ内の空気圧 < ポンプ内の空気圧
となった瞬間です。この瞬間にチューブのバルブ内の弁が開き、そこで初めてチューブ内に空気が入ります。
逆に言えば、この条件を満たすまではチューブ内には一切空気が入っていません。それまではロッドを押してもポンプ内の空気圧が高くなるだけです。
ロッドを押し切った状態
ポンプ内の空気が圧縮され、チューブ内の空気圧を上回ると、チューブに空気が入ります。
チューブに空気が入る瞬間には、手応えがあります。それは、弁が開いてチューブ内に空気が入るからです。力いっぱい押していたドアが、ようやく開いたということですね。
この時、最後まで押し切らないと、せっかく腕力を使って圧縮した空気がチューブ内に入っていないことになります。全て残さず入れることで、ポンピング回数を最小限にすることが出来ます。これが、「最後まで押し切る」理由です。
良い例・悪い例
以上を踏まえて、良い例と悪い例を動画で示します。
良い例
しっかり最後まで引き、最後まで押し切っています。
悪い例
「メタルバンドのドラマーのような」と評した例。これはダメです。
低圧のうちは最後まで押し切れているのですが、高圧になるほど最後まで押し込めていないケースが増えます。そうなるとチューブに空気が入っていません。無駄ポンピングです。
まとめ
携帯ポンプでの正しい空気の入れ方を説明しました。
もう一度書きますが、
著者情報
年齢: 35歳 (執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: QUARK ロードバイク(スチール), GIANT ESCAPE RX(アルミ)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)
# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせて頂きました。