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警察署が標識への要望に応えてくれた話
警察署に標識移設の要望メールを送った所、「移設の方向で動く」というご回答を頂きました。
経緯
11月17日、スマホに見慣れない番号から着信が。末尾は「0110」、警察署からです。
立川警察署からの電話
「うーん、何かやらかしたかな……」と特に心当たりはないけど、怪しい番号ではないので一応電話に出てみることにしました。
「すみません、立川警察署の**ですが。
先日お寄せ頂いた自転車通行不可標識の件で連絡を差し上げました。」
どうやら私が何かやらかしたのではなかったようです。
事の起こり
話は10月2日までさかのぼります。
この日、私と妻はAR日本橋の200kmブルベに参加。感染対策のため出走時間が各自で選べる形式になっていたため、最初から最後までほぼ参加者とは会いませんでした。
問題が起きたのは、スタートから30km地点の石田大橋という場所。国立市と日野市を結ぶ、多摩川を渡るための橋です。
確かこの橋は自転車で渡れたよな……と思って橋の本線に入ろうとした所、車線の「右端」に自転車通行不可の標識を発見。何とか侵入せず、ゼブラゾーンで停止しました。
こちらのストリートビューを見るとお分かりになると思います。
本来は分岐の所にある黄色いライトのあたりに標識があって欲しいのですが、付いているのは車線の右端。今回は何とか気づけましたが、大型車両がいたら自転車からは視認不可能な位置です。
こういった場合は100mくらい手前に予告標識があるものですが、そういったものも一切無し。気づかずに突入してしまう人も多いのではないでしょうか。
予告標識とは↑のようなものです。
停止したゼブラゾーンから出て側道に行こうとしたんですが、側道も車の流れが早くて中々側道に行くことが出来ません。そこに通りがかったのはパトカー。
「自転車の人!危ないですよ!ここは自転車通行不可です!」
とスピーカーで呼びかけられてしまいました。いや、通行不可だって分かったから止まったんですけど……。ていうか、この位置に標識を設置した警察にも問題がありますよね?
ちなみに、石田大橋で自転車通行不可なのは陸橋部分のみで、川を渡る部分は自転車でも車道通行が可能です。
普段、ブルベ等でこの橋を通行する際には「いずみ大通り」という道から側道経由で走行することが多く、この場合は自転車は通行可能です。
そういった前提があったので、「この橋は自転車で車道を通れるはず」と思い込んでいたのでした。基本、橋は大体側道に行ってしまうんですが、(別の入口から)通れた実績があったので判断を迷ったわけです。
まとめるとこういうことです。陸橋の部分だけ自転車が駄目というパターンがあるとは……。
警察に要望を提出
ブルベは無事に完走。帰宅後に石田大橋の標識の場所について、警察に要望を提出することにしました。
個人的に警察の対応にカチンと来たのもありますけど、単純に「自転車通行不可の場所に自転車が突入しやすい状況」を放置するのは危険ですからね。
問題の標識がある場所は東京都国立市。東京都を管轄しているのは警視庁です。
- 見やすくてわかりやすい道路標識・道路標示の設置
- より効果的な交通規制
を行うために、みなさんから
- 標識が壊れている
- 標識が見にくい
- 交通規制の内容がわかりにくい
- 交通規制の内容が実態と合っていない
など、道路標識・道路標示や交通規制に関するご意見やご要望をお受けする窓口です。
警視庁には、「道路標識に関する意見・要望の窓口(標識BOX)」という連絡用フォームがあり、そこから問題のある標識の是正を要望することが出来ます。
こちらから、石田大橋の件について「道路の右端ではなく、左端に標識を移設してください」という要望を提出しました。ちゃんと自転車が確認可能な位置に標識を置いてくださいということですね。
このフォームには「電話による回答を希望されるかたは、こちらにチェックをしてください。」というチェックボックスがあり、そういえば私はチェックを付けていました。
結果として、警視庁から所轄警察署である立川警察署に連絡が行き、そこから電話が掛かってきたということになります。立川警察署は国立市も管轄してるようですね。
電話の内容
立川警察署からの電話の内容を要約すると、
「お寄せ頂いた標識の件ですが、
確かに分かりにくいことが確認出来たので
場所を移す方向で動くことになりました。」
という内容でした。要望が受け入れてもらえたということになります。
正直、「どうせ無反応なんだろうなぁ」と思いつつ要望を提出したのですが。意外としっかりと対応をしてくれて驚きました。
スピーカーで不当に注意された件について私の中で立川警察署の株は下がっていましたが、今回の対応で株はストップ高です。
実際に移設される時期はまだ分かりませんが、時々見に行って変化があった時には追記したいと思います。
標識に関する法令
一応法律も確認しておきます。
標識に関しては、「道路標識、区画線及び道路標示に関する命令」という規定が設けられています。
その中で、「自転車通行止め」の標識は以下のように指定されています。
自転車の通行を禁止する道路の区間若しくは場所の前面又は道路の区間若しくは場所内の必要な地点における左側の路端
これだけ読むとサッパリ分かりませんが、分解再構築すると以下のようになります。
・自転車の通行を禁止する道路の区間の前面
・自転車の通行を禁止する道路の場所の前面
・自転車の通行を禁止する道路の区間の必要な地点における左側の路端
・自転車の通行を禁止する道路の場所の必要な地点における左側の路端
この4つが「または」で結ばれているわけです。
一言で言えば、「標識は規制区間の”前面”または”左側の路端”に設置されるべき」ということですね。
「左側の路端」は良いとして、「前面」が何を指すのかは具体的に分かりません。今回の「車線の右端」も前面と言えば前面なのかもしれませんが、自転車が視認しにくい場所に標識があるのは考えものです。
こんな風にヤグラが組まれて入口に標識が設置してあれば「前面」でも問題はないと思うのですが、基本的には規制区間の左端に標識があってほしいものです。
似たような分かりにくい標識
今回は石田大橋の例でしたが、この手の「自転車向けなのに自転車が認識しづらい場所に設置された標識」って結構多いんですよね。
特に車道の右端にある場合、車の影に隠れてしまって自転車からは視認できないため、気づかずに侵入してしまって危険です。
代表例をいくつか挙げてみます。これらは全て警視庁向けに移設を要望しました。
四ツ木陸橋
国道6号線、荒川を渡り終えて金町方面に向かう場所にある「四ツ木陸橋」はこの手の標識の中ではかなり酷い部類に入ります。
既に陸橋に入った後の電灯に小さな「自転車通行不可」の標識が申し訳程度に貼り付けられています。既に気づいた時には引き返せない場所に来ているわけですね。予告標識も一切ありません。
ここは側道に行くのが正解です。
今井橋・新今井橋
旧江戸川と新中川を渡る、「今井橋」「新今井橋」はどちらも車道を自転車で走ることは出来ません。
側道の入口にはまたも道路の右側に小さな標識。これも出来れば道路の左端に付いていたほうが分かりやすいと思います。
こちらの場合は、歩道に行くのが正解です。
新小岩陸橋
蔵前橋通りで荒川を渡った直後の新小岩陸橋も注意が必要なポイント。車線の右端に標識が設置されています。ここは側道に行くのが正解です。
ただ、ここは100mほど手前に予告の標識があります。注意深く見ていれば気づけるのでそこまで不親切ではないですね。
まとめ
「イマイチな標識の設置場所については、意外と改善要望を聞いてもらえる」ということが分かりました。
警視庁がたまたまちゃんと聞いてくれただけかもしれませんが、とりあえず自転車乗りの目線で意見を出すのは大切なのかなと思いました。
例えば神奈川県警のサイトにも「道路標識・交通信号機意見箱(標識BOX・信号機BOX)窓口」がありますし、恐らく各都道府県の警察にこういった窓口はあるはずです。
今後とも、安全で走りやすい道を目指して、イマイチな標識を見つけたら改善要望を出していこうと思います。
著者情報
年齢: 37歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: BIANCHI OLTRE XR4(カーボン), QUARK ロードバイク(スチール)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)
# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせて頂きました。