「チューブレスレディ」呼び方の差の謎

  • 2021年9月30日
  • 2021年10月3日
  • コラム
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タイヤメーカーによって呼び方に差がある「チューブレスレディ」方式について調べた結果を書いていきます。

チューブレスレディについて

ロードバイク界隈でも最近よく聞くようになったワードの一つに「チューブレスレディ」があります。

チューブレスレディとは

この記事の主題は「呼び方の違い」の話なので、チューブレスレディの概要説明は省きます。

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ロードバイク用ホイールの多くがチューブレスレディに対応するようになり、チューブレスレディタイヤも多く発売されるようになっ…

サイスポのこちらの記事がよく纏まっていると思います。

チューブレス(レディ)の台頭

10年ほど前にはロード用チューブレス(レディ)タイヤを販売していた会社はほとんどありませんでした。IRCとHutchinsonくらいですかね。かなりマイナーなシステムでした。

しかし、近年はワイドリム化と共にディスクロードが台頭。ディスクロードと相性の良いチューブレスレディタイヤは、最近どのメーカーもラインナップに加わるようになりました。

もはや、ロード用チューブレスレディタイヤを出していないメーカーを探すほうが難しいほどです。

呼び方に差がある

そこで気づいたことがあります。各社、「チューブレスレディ」というシステムの呼び方が若干異なっているんです。

だいたいの会社は「チューブレスレディ(TLR)」という呼び方をしています。しかし、一部の会社は違う呼び方をしてるんですよね。

代表的なのはSCHWALBEです。SCHWALBEは、チューブレスレディに相当するシステムを「チューブレスイージー(TLE)」と呼称しています。取り付け方の説明を見る限り、概念としては「チューブレスレディ」と同じく、「シーラント必須のチューブレスシステム」のはずなのですが、呼び方だけが違うのです。

調べてみると、SCHWALBEだけではなく、他にも様々な呼び方をしているメーカーがあることが分かりました。

……というわけで、前置きが長くなりましたが、この記事の主題は「チューブレスレディというシステムの呼び方の差がメーカーごとに違うのは何故なのか?」になります。

各メーカーの呼び方の違い

下の表は、ロード用チューブレスレディタイヤを出している各メーカーの「チューブレスレディの呼び方」の差をまとめたものです。対象としているメーカーは、ロード用チューブレスレディタイヤを出してるメーカーのみになります。

 

呼び方 タイヤメーカー
Tubeless Ready (TLR) ・Continental
・IRC
・Maxxis
・Mavic
・Vittoria
・Michelin
・Bontrager
・Hutchinson
・GIANT
・Challenge
・Pirelli
・Veloflex
Tubeless Easy (TLE) ・SCHWALBE
Tubeless Compatible (TLC) ・Panaracer
Tubeless Complete (TLC) ・GOODYEAR
2Bliss Ready ・SPECIALIZED

 

呼び方は全部で5種類。

圧倒的にメジャーなのは「Tubeless Ready」です。12社がこの名称を採用しています。

それ以外の名称は4つ。いずれの名称も、使っているのは1社ずつです。

なぜ呼び方が違うのか

一つの概念に5つの呼び方があることが分かったわけですが、なぜメーカーごとに呼び方が違うのでしょうか?

商標である可能性

一番可能性が高いのは、「Tubeless Ready」がどこかの会社の商標であるケースです。ある会社の持つ商標を他社が使う場合は許可や使用料金が発生しますからね。

確かに自転車メディアの記事には、しばしば「チューブレスレディは商標なので違う名称を用いている」という説明が出てきます。下記の記事はその一部。

cyclowired

シュワルベが同社のハイエンドタイヤに据えるPRO ONE TUBELESS EASY(プロワン・チューブレスイージー)を…

「チューブレスレディ」という呼称は商標の問題で使えるメーカーが限られるためシュワルベ独自の呼び方となっているが、シーラントを使うことで運用するチューブレスレディと同じと考えていい。

 

ただ、調べてみても「どこの会社の商標か」なのかはハッキリしません。

「Stan’s No tubeの商標である」という記事はいくつか見かけたのですが、これも根拠らしいものは明示されていませんでした。

商標検索サイトを調べてみる

商標であるならば、商標検索サイトで調べられるはず。

ということで、下記の商標検索サイトで「tubeless」で検索を行いました。

しかし、どこにも「Tubeless Ready」という商標は存在しませんでした
国際商標を見てみると、それっぽい商標は「UST Tubless」というMAVICの商標くらいのもの。
アメリカの商標検索では「Tubeless Complete」の登録を見つけました。持ち主は「Rubber Kinetics LLC」。この会社はGOODYEARの関連会社のようですね。Tubeless Completeは商標であることは間違い無さそうです。
更に、アメリカの商標検索を見てみると「Tubeless Compatible System」というものを見つけました。持ち主はPanaracerではなく「WTB」。グラベル用タイヤでは有名なメーカーですね。ただし、こちらの商標は失効となっており、略称の「TCS」のみが商標として有効な状態になっています。
「ROUBAIX事件」等で商標にはうるさいイメージのあるSPECIALIZEDの「2Bliss Ready」は商標としては登録されていませんでした。仕方なく使っている呼び方だから登録していない……というのは邪推でしょうか。こんなダジャレみたいな名称で無理やり避けているのは不自然に見えるのですが。

商標以外の理由がある?

商標としては見つからなかった「Tubeless Ready」。では、それ以外の理由はあるのか?

パッと思いつくのは、製品としての差別化のために別の呼び方を用いるケースです。普通は商標で使えないから別の呼び方をするものだとは思いますが……。一般に通用する言葉が既にあるのに、わざわざ聞き覚えのないワードを採用する理由は良く分かりません。

まとめ

「Tubeless Ready」の呼び方の違いについて調査はしましたが、別の名前を用いているメーカーがある理由は分かりませんでした。

確かに「Tubeless Ready ™」と付けている例は見たことがないですし、商標ではないのかもしれません。

しかし、大メーカー(特にスペシャ)がわざわざ別の名前を用いているということは何か理由があるはずなのですが……1ユーザーのアクセスできるレベルの情報ではちょっと分かりませんね。恐らくはメーカー側の人なら何らかの情報を持っているかとは思われるのですが。

今後、何か判明すれば追記したいと思っております。何か情報を持っている方がいらっしゃいましたら、コメント専用記事からコメント頂けると助かります。

 

追記 (2021/10/3)

コメント専用記事に、Naoさんから情報を頂きました。

Tubeless Easy(Schwalbe)と、Tubless Complete(Goodyear)に関しては、「チューブレスレディを進化させた」的な意味合いで別名を付けていることが分かりました。

Tubeless Easy(Schwalbe)

Schwalbeのサイトには以下の記載がありました。

Tubeless Easy is the name of the latest variant of Tubeless Ready tires. A new monofilament texture on the sidewalls (SnakeSkin) ensures an extremely light tubeless conversion. The usage of sealing liquid is necessary, but the fitting is
as easy as with genuine tubeless tires. There are no long conversion processes with intensive shaking and repeated inflating.

簡潔にまとめると、従来のチューブレスレディタイヤに対して、「サイドウォールに新素材を採用している」点が異なっているとのこと。

従来、チューブレスレディタイヤは、シーラントをリムとタイヤの隙間まで行き渡らせるために、タイヤを取り付けたホイールを「振る」「回す」「地面にバウンドさせる」といった作業が必要でしたが、それが必要なくなるという意味で「Easy」と呼んでいるようですね。

確かに、一度だけ取り付けたSchwalbe PRO ONEは最初からかなり気密性が高く、一晩経っても空気抜けが少なかったです。

Tubless Complete(Goodyear)

Goodyearのサイトには以下の記載がありました。

Goodyear Bicycle Tires proprietary design that features all the benefits of a Tubeless Ready (TLR) tire with additional air retention properties.

A Multi-compound material layer is added to our high-pressure Road-UHP tire casing allowing for improved air retention while providing additional puncture and cut protection with minimal weight increase. Our unique design means more sealant remains after installation, ready for the moment you need it.

こちらも、ケーシングを工夫したことにより、空気保持能力を従来のチューブレスレディタイヤよりも向上させていると主張しています。

追記まとめ

以上より、SchwalbeとGoodyearの2社は、「チューブレスレディの名称を使えるけど、あえて使っていない」ということが分かりました。両社とも、説明のために「Tubless Ready」という言葉を使っていますからね。

「チューブレスレディよりも一歩進んだもの」として、自社の製品に別名を付けたということのようです。

ただ、2Bliss Ready(SPECIALIZED)と、Tubeless Compatible(Panaracer)に関しては、こうした説明はありませんでした。また別の理由があるのかもしれませんね。

著者情報

年齢: 37歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: BIANCHI OLTRE XR4(カーボン), QUARK ロードバイク(スチール)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)

# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせて頂きました。


この記事を書いた人
ばる
ロングライド系自転車乗り。昔はキャノンボール等のファストラン中心、最近は主にブルベを走っています。PBPには2015・2019年の2回参加。R5000表彰・R10000表彰を受賞。

趣味は自転車屋巡り・東京大阪TTの歴史研究・携帯ポンプ収集。

【長距離ファストラン履歴】
・大阪→東京: 23時間02分 (548km)
・東京→大阪: 23時間13分 (551km)
・TOT: 67時間38分 (1075km)
・青森→東京: 36時間05分 (724km)