チューブレスタイヤが外れなくなった話

  • 2020年5月14日
  • 2020年5月14日
  • コラム
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前の記事に書いたとおり、Racing Zero Carbon DBを購入しました。

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ここでも書いたように、このホイールはチューブレスタイヤに対応しています。

しかし。何となくチューブレスタイヤを取り付けてみたら、リムから外れなくなってしまいました

なんとか最終的には外れたのですが、後で誰かの役に立つこともあるかもしれないので、そのあたりの経緯をまとめておきます。

私のチューブレス経験

私がチューブレスタイヤに挑戦するのは2度目になります。なので、必要な道具は一通り持っていました。

当時はCampagnolo EURUSとHuchinson Fusionの組合せでした。

取り付けは苦労しながらも自分で行い、なんとか成功。何度かライドに使用し、一ヶ月後くらいに三浦半島へ。ここでパンク。シーラントでも穴が塞がらなかったのでチューブを入れようとしたのですが、チューブを入れた状態ではタイヤをリムに取り付けることができず。最寄り駅までは3km以上離れており、更にタイヤが外れた状態では押し歩きもできません。

結局、その日はたまたま近くに車で来ていた知人に連絡し、車で撤退することになったのでした。これがトラウマになり、以後今に至るまでチューブレスタイヤは使っていませんでした。

ただ、昨今のチューブレスタイヤと対応ホイールは相性が改善されているという話もあり、久々に試してみようと思ったのです。

ホイールとタイヤ

今回、組合せたタイヤとホイールの情報をまずは挙げておきます。

ホイール

Fulcrum Racing Zero Carbon DBです。

リムに穴が開いていないため、リムテープを使わずにチューブレスタイヤを取り付けることが可能です。

タイヤ

Scwalbe Pro One Tubeless Easy(25C)です。

Tubeless Easy = チューブレスレデイ、です。シーラントを入れることを前提にしたチューブレスタイヤとなります。

Pro Oneはサイスポのタイヤレビューで、GP5000 TLと並んで絶賛されており、どちらを買おうか迷いました。ただ、GP5000 TLは周りの評判が「とにかく取り付けが固くて大変」だったので回避。比較的取り付けが楽だと言われるPro Oneを選んだのでした。

取り付け

Racing Zero Carbon DBの性能を評価するため、まずはそれまで使っていたホイール(Racing 5 DB)に付けていたタイヤ(GP5000 クリンチャー)を移植してしばらく使用するつもりでした。

ただ、ちょっと興味本位でチューブレスタイヤを取り付けてみたくなったのです。本格運用の前の練習のつもりでした。しかし、これがこの後大変なことになろうとは……。

タイヤの取付は拍子抜けするほど簡単でした。タイヤレバーを使うこともなく、手だけで難なく取付完了です。

チューブレスリムを輪切りにすると、こんな構造をしています。リムの中央に凹んでいる部分があり、その端に「ハンプ」と呼ばれる突起があります。リムにタイヤを取り付けるときには、この凹んでいる部分にタイヤのビードを入れてやる必要があります。

私が前にチューブレスに挑戦した時はリムの内幅が15mmでした。このリムの凹み部分の幅も当然かなり狭かったはずです。今回取り付けるRacing Zero Carbon DBはリムの内幅19mm。凹みの幅も広くなっています。タイヤ側とリム側の設計の改善もあると思いますが、ワイドリム化によってチューブレスタイヤの取り付けは随分楽になったように感じました。

エア充填

タイヤをリムに取り付けたら、次はエア充填です。

チューブレスの第一の関門がリムへの取り付けだとすれば、第二の関門がエア充填です。

またこの図の登場。空気を入れることによって、タイヤのビードを凹みからフックまで押し上げる必要があります。この時にハンプを上手く超えると、「カン!カン!」という甲高い音がリムから聞こえてきます。これを一般に「ビードを上げる」と言います。

ビードが中々上がらない場合も多く、それはリムとタイヤの相性によります。相性が悪いと、一気に高圧を送り込むためのコンプレッサーなどが必要になる場合もあります。

ただ、今回の組合せでは、ごく普通のフロアポンプであっさりビードが上がりました

取り付けと空気の充填は特に苦労することもなく、10分くらいで完了です。Racing Zero Carbon DB + Pro One TLEの取り付け相性はすこぶる良かったです。

取り外し

さて、本来ならここからシーラントの注入に入るところですが、今回は「お試し」で取り付けただけです。チューブレスの本格運用はまだしない予定だったので、タイヤを取り外すことにしました。

チャレンジ(1回目)

タイヤの空気を抜いた所、ビードの片側は自然に外れました。しかし、もう片方のビードが外れません

この図で言うと、ハンプを超えたビードがフックに引っかかっている状態で抜けません。そもそもハンプはビードの脱落防止のために存在しているので、簡単に外れないことは設計として正しいことです。

何度か指で押したり、テムレスを付けて雑巾をねじるような動きをしてみたりしましたが、一向に外れる気配がありませんでした。

チューブレスタイヤを取り付ける際には、ハンプを超えやすくするためにビードに石鹸水を塗るという定石があることを思い出し、石鹸水をハケで塗ったりもしました。やっぱり外れません。

チャレンジ(2回目)

「一度高圧まで入れて、一気に空気を抜いたら勢いで外れるのでは?」と考えました。そこで、7気圧まで入れて、空気を抜いてみました。

結果、今度は両方のビードがリムから外れなくなりました。状況悪化してるじゃん。

外そうとしても外れなかったので、空気を入れたまま(7気圧)一晩放置してみることにしました。

チャレンジ(3回目)

翌朝。空気圧を測ってみると、6.6気圧まで落ちていました。10時間程度で0.4気圧なので、意外に空気が抜けていません。シーラントを入れていないのに、結構気密性は高いもんですね。

空気を抜いて気合一発、指で押して見た所……片方のビードがリムから外れました!

一晩空気を入れて放置したのが良かったのか、寝たことで私の体力が回復したことが原因だったのかは分かりませんが、とにかく外れました。

しかし、もう片方のビードはやっぱり押しても引いても外れません。「もういっそカッターで切ってやろうか」と思いましたが、新品のタイヤを切るのは気が引けました。

再チャレンジしようにも指が完全に真っ赤になってしまったので、これはもうプロの力に頼ろうと思い、馴染みのショップであるサイクルショップナカハラさんに電話を掛けました。

チャレンジ(by サイクルショップナカハラさん)

状況を電話で説明し、店長さんにホイールを渡しました。

「これは硬いですね……」

と言いながら、一気に力を込める店長さん。「ポコッ」と音がして、ものの5秒ほどで外れました。あれだけ何度もチャレンジしてダメだったのに、何かコツがあるのか!?と思って聞いた見た所、

「特に何かしたわけじゃ無いです。今日はまだ力を使う作業をしてなかったので出来たんだと思います。
外れなかったのは、何度もチャレンジして腕や手が疲れていたからだと思いますよ。
一瞬に込める力がかなり必要だったので。」

昨晩からのチャレンジで私の腕力&握力がかなり低下していたようですね。もう一晩置けば、自分で外せたかもしれませんが、その思考には至れませんでした。頼んでよかったです。

工賃を払って、お礼を言って店を後にしました。

なぜ外れなかったのか

単純に私の腕力が落ちていたこともあるのかもしれませんが、それにしてもかなりの腕力が必要だったことは確かです。何か原因があるのではないかと考えてみました。

リムとタイヤの相性

一番大きいのは相性問題でしょう。

今回は、Pro Oneのビードが、Racing Zero Carbon DBのリムにピッタリすぎるほどにハマってしまいました。シーラントも入れてないのに空気の抜けもあまり無かったことがその証左だと思われます。

今後、この組合せをやろうと思っている方は注意したほうが良いと思います。

ハンプの形状

これはRacing Zero Carbon DBのリムの写真です。ハンプは図に示した部分になります。ハンプを見ると、

ビードの上がる方向: 斜度が緩やか
ビードを外す方向: 激坂
になっていることが分かります。ハンプの目的を考えれば合理的な設計ではあるのですが、私の手持ちの他のチューブレス対応リム(WH-6700, EURUS)に比べると、ハンプの左右の角度の差がかなり大きいように感じました。
これだけビードの上がる方向に緩やかな斜度なら、そりゃ難なくビードは上がります。逆に、ビードを外す際には激坂を越える必要があるので、そうそう外れないことも納得できました。

まとめ

以上、チューブレスタイヤがリムから外れなくなった話でした。

もし、私と同じような状態になった場合、以下のような対応策が考えられます。

・ゴム手袋を付けて、一瞬で最大の力を込めてタイヤを押す
・数回やっても外れなかったら、一晩置いて体力が回復してから再挑戦する

あと、「空気を入れて放置する」というのも、チューブレスに慣れた人に話を聞くと、脱着が楽になるTIPSの一つではあるようです。ビードが少し伸びて柔らかくなるんだとか。今回、一晩放置して片方のビードが外れたのは、それが原因かもしれません。

しかしこれでは外でトラブルがあった場合に対処できないので、しばらくはクリンチャータイヤ運用に戻ろうと思います。ただ、クリンチャータイヤでも結構ビードを外しにくい……ハンプの形状を見れば納得なのですが。

昨今はチューブレス対応リムが当たり前になってきていますが、「タイヤの脱着がしにくい」というデメリットはもう少し知られても良い気がします。単に「クリンチャータイヤもチューブレスタイヤも両方使える」というメリットだけではなく、デメリットもあるわけです。

それもあって、ここ数年は私はあえて「クリンチャー専用リム」を選んで買っていました。SHAMAL(リムブレーキ)もRacing 3(リムブレーキ)もRacing Zero Carbon(リムブレーキ)も、全てクリンチャー専用リムです。出先でパンクした時、圧倒的に楽なんですよね。ロングライド派としては、リカバリーの速さも重視しなければならないのが悩ましい所です。

「IRCのチューブレスタイヤはRacing Zero Carbon DBでも脱着が楽だった」という話を聞いたので、そのうち試そうとは思いますが。まだしばらくクリンチャーからは離れられそうにありません。

著者情報

年齢: 35歳 (執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: QUARK ロードバイク(スチール), GIANT ESCAPE RX(アルミ)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)

# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせて頂きました。