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PBP攻略のためのToDoリスト
PBP大会当年の準備期(1~6月)にやることの紹介です。
大会当年: 準備期(1~6月)
最優先すべきことは、PBPエントリーための資格取得を期日までに行うことです。あとは、走力を落とさないようにしながら本番で使用するアイテムの選定を行いましょう。
プレレジを行う(スタート時刻の選択)
PBP当年の1月になると、プレレジストレーション(プレレジ)が始まります。
プレレジとは
正式エントリーは6月まで待つ必要がありますが、その前に「参加しますよ」と席を予約するのがプレレジです。

プレレジの詳しい内容はこちらの記事に書いています。
スタート組の選択
前述の通り、PBPでは15分ごとに300人ずつスタートする形式を取っています。
2023年の90時間部門の場合、一番早い組が17:30スタート、一番遅い組が21:00スタートでした。各組にはアルファベットが割り振られます(G~U組までの15組)。
一番早い17:30スタートのG組が一番人気があり、プレレジのスタート初日には300人の枠が埋まってしまうほどです。
スタート時間によって有利不利があるのか、直近2大会のスタート時間別の完走率(全参加者中)を集計してみました。
しばらく眺めてみましたが、これといった法則は見いだせません。
「G組の完走率は比較的高い事が多い」というくらいでしょうか。これは「G組を選んだから有利」というよりは、「G組を選べる人は強い」ということだと思います。基本的に1000km以上のフィニッシャーしかこの組にはいませんので。
スタート時間の組についてメリット・デメリットを上げると以下のようになるのではないかと思います。
メリット | デメリット | |
早い時間スタート | ・トレインを捕まえやすい。 (終盤でも後からトレインが来ることが多い) ・遅くなっても、PCが撤収されない(時間外完走しやすい)。 |
・スタート前に寝溜めしにくい。 ・往路のPCが混んでいる。 |
遅い時間スタート | ・スタート前に寝溜めしやすい。 ・往路のPCが空いている。 ・後ろスタートの組に追い抜かれることがない(心理的に楽)。 |
・トレインを捕まえにくい (特に終盤はトレインが減る) ・遅くなってしまうと、PCが撤収されている可能性がある(時間外完走しにくい)。 ・負の磁場に遭遇しやすい。 |
どちらも一長一短というか、表裏一体です。真ん中あたりが一番バランスが取れている気もします。ただ、遅い時間帯のスタートだと後述する「負の磁場」への遭遇率は上がります。
こうしたメリット・デメリットを考慮して、スタート時間を選択して下さい。
ブルベに参加してSRを取得する
PBPに参加するためには、PBP当年度(2027年度は2026年11月~2027年10月まで)にSRを取得する必要があります。
ただ、正確には「PBPのエントリー条件」と「SR(Super Randonneur)」の条件は異なっています。SRの認定には1000km以上のブルベは使えませんが、PBPでは1000km以上のブルベも使えます。極端な話、1200km上×4本でもエントリー可能です。
PBPのエントリーは6月で締め切られるので、それまでに200・300・400・600kmの認定を揃えて下さい。
コンスタントにロングライドを行う
PBPの開催年度には、気合を入れてかなり早い段階でSRを確定させる方も多いものです。
ブルベにおける年度始まりは「前年の11月」からなので、2027年のPBPのエントリーに使えるブルベは2026年11月から参加可能ということになります。恐らく、2026年中にSRを確定させてしまう方も多いはず。
ただ、これで安心して本番(2027年8月)までに乗る機会が減ってしまう場合もあります。日本には6~7月に梅雨もありますので、その時期に走行距離が減って走力が落ちがちになります。本来はその時期こそ乗ってないとならないんですが(乗りすぎても8月のPBPに疲労が残るので、あくまで適度に)。
SRを確定させた後も油断せず、コンスタントにロングライドを続けて走力を維持するように努めましょう。
私達夫婦は、毎週末の土日のどちらかに100kmライドをすることを習慣化していました。PBPに比べたら短い距離ですが、きちんと毎週走っていると意外と走力は維持できます。
アイテムを吟味する
PBP本番で使うアイテム(機材・装備・ウェア・補給食)は使い慣れたものにしましょう。「決戦用」と言って本番で初めて使うアイテムは大抵不具合が発生します。
たった1アイテムの不具合でもリタイヤにつながる場合もあります。慎重に吟味する必要があります。
PBP当年度のブルベはPBPのリハーサルと考え、各種アイテムをテストする場にしてください。週末のライドでも実験は可能ですが、ブルベで使うアイテムはブルベでテストしたほうが良いと思います。
必要なアイテムについては以下の3記事を参照して下さい。



仮眠の練習をしておく
ほとんどの方は、PBPの最中に1回はPC内の仮眠所を利用することになると思います。
PC内の仮眠所は主に体育館に設置され、その中にコット(簡易ベッド)やマットが整然と並びます。隣との距離は、遠くて2m、近いと50cmくらいのこともあります。
時間帯にもよりますが、仮眠所内はイビキの大合唱になっている確率が高いです。スマホのアラームを気にせず鳴らす人もいますし、とにかくうるさい。耳栓かイヤホンは必須です。また、何日も着替えずに走っている人が隣に来る可能性もあります。
こうした状況でも寝られる人は寝られるのですが、私は割りと環境が整っていないと寝られないほうです。仕方ないので、似た環境を再現して練習を行いました。
週末の健康ランドまで自走して風呂に入り、仮眠室で耳栓をして寝るという練習です。皆さん入浴後なので異臭は再現できませんが、「運動後に騒音の激しい場所で仮眠する」という点は再現できます。
ブルベ中に寝るのが苦手な方は、こういった練習をするのもアリだと思います。
各種手配を行う
PBPを走るためには色々と予約しなければならないサービスが存在します。具体的には以下のようなものです。
- 飛行機
- 現地の交通手段
- 現地の通信手段
- ホテル
- ドロップバッグ
- クレジットカード
- 海外旅行保険
各種手配についての詳細は、以下の4記事を参照して下さい。




旅程について
個人的には、なるべく早くフランス入りすることをオススメします。
時差ボケを取るのにも、現地の気候や雰囲気になれるのにも、滞在時間が長いほうが有利です。2023年大会では、私はスタート4日前の夕方にフランス入りしました。
ツアーを使う場合は通常スタート2日前の夕方入りなので、早入りをしたければ全て自己手配になります。ツアーに比べて考えなければならないことが増えますが、私としては旅程が自由になるメリットが勝ると考えました。
拠点ホテルについて
フランスでの拠点となるホテルは、スタート地点の街で取れるのがベストです。スタート直前までホテルで休むことが出来ますし、ゴールしたらすぐに寝ることが出来るからです。
スタート地点の街のホテルが予約できなかった際は、スタート地点の街まで電車で一本で行ける街を選びましょう。次回もランブイエがスタート地点だとすれば、N線沿いの街を選ぶと良いです。
N線は、パリのモンパルナス駅を始発とし、イヴリーヌ県の各地に終点を持つ路線です。
その中でも、ランブイエ方面へ向かう路線の、途中駅近くのホテルがベースキャンプに適しています。
フランスの電車はTGVを除いて自転車をそのまま載せられることが多いです。例えば事前受付の日が雨の場合でも、同じ沿線上にホテルがあれば楽々移動できるわけですね。
そしてホテルは立地と設備が重要です。
徒歩でアクセスできる距離にスーパーマーケット(カルフールやモノプリなど)があるホテルを選んで下さい。スタート前の食べ物・飲み物の確保や、スタートしてからの補給食の買い出しなどで必要になるからです。日本と違ってコンビニがないので、意外とそういったものの調達が大変なんですよね。
また、ホテル内の設備も重視して下さい。フランスのホテルは日本に当たり前にある設備がなかったりします。例えば、以下のような設備は無いことのほうが多いです。
- エアコン
- 冷蔵庫
- 電子レンジ
- 浴槽(バスタブ)
- コインランドリー
日本ではこれらが全て揃ったホテルを探すことは難しくありませんが、フランスではまず揃いません。どれかを優先して、どれかを諦める必要は出てきます。予約時にしっかりとホテルの説明を読んで決めましょう。本当のことが書いてあるとは限らなかったり、設備が故障してたりすることもありますが、その場合は現地でクレームをつけるしか無いです。
アパルトマンやB&Bであれば、冷蔵庫・電子レンジ・洗濯機といった設備は揃っていることが多いですが、エアコンが無いことは多いようです。フランス北部の夏場の気候は北海道と似た感じなので、まだまだエアコンが普及していないらしく。2023年大会のような猛暑に見舞われると、スタート前に寝苦しさで睡眠不足に陥る可能性があります。
あとは、走行中に輪行箱等の荷物を預かってもらえるかも要確認ポイント。これは直接問い合わせる必要があります。
もし預かってもらえない場合でも、大会公式の荷物預かりサービスがおそらく次回もあるので大丈夫です(荷物をスタート地点まで運ぶ必要は出てきます)。
本レジを行う
5月末からはいよいよ本レジストレーション(本レジ)が始まります。
完走したブルベの認定番号を入力し、エントリーを完了させましょう。

詳しい本レジの方法はこちらの記事を参照して下さい。