PBP攻略のためのToDoリスト

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PBP直前期(7~8月)の過ごし方の紹介です。

大会当年: 直前期(7~8月)

この時期は諸々の最終確認をし、体調を落とさないように過ごすことが大事になります。

走行計画を立てる

この時期にはスタート時間も確定しているはず。具体的な走行計画を立てていきましょう。

2023年大会前に作成した走行計画

「どうせ計画は狂うんだし、立てるだけ無駄」と思う方もいるかも知れません。ただ、一度完走可能な計画を作っておくと、計画からの遅れが可視化出来ます。その遅れの具合で、リカバリー可能かを現場で判断可能になるわけですね。その意味でも一度計画は立てておくべきです。

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具体的な計画の立て方についてはこちらの記事にまとめています。

病気・怪我・蓄積疲労・睡眠負債に気をつける

直前期には体調をできる限り落とさないことも大切です。

実体験の話

直前期に注意しなければならないのは、病気や事故といったアクシデントです。

病気や事故がPBP当日までに回復しないこともありえますし、回復したとしても体力は確実に低下します。本番までの時間がない直前期は特に慎重に過ごす必要があります。

私はこともあろうに7月なかばにコロナを初罹患し、体力がかなり落ちてしまいました。それまで一度も掛からなかったので油断もあったと思います。

1週間くらいで普通に暮らせる程度まで回復しましたが、その間はトレーニングは当然不可能。そして「平熱が以前より0.5度程度上がってしまう」「心拍がすぐに上がってしまう」という後遺症にも悩まされました。

蓄積疲労・睡眠負債にも注意

直前期にもうひとつ注意したいのが、疲労の蓄積です。具体的には「練習のしすぎ」に注意して下さい。

「PBP前の総仕上げとして、直前期に1000km以上のブルベやSR600等のビッグライドをやっておこう」と思ってしまいがちですが、この時期の頑張り過ぎはリスキーです。

意外とビッグライドの疲労は尾を引くもので、一ヶ月くらい体の芯が疲れていることもあります。また、ビッグライドは落車等のリスクも大きくなりがちです。疲労と怪我を防ぐ意味でも、直前期のビッグライドは避けることをオススメします。ビッグライドをやるなら6月までにしておきましょう。

「直前期はローラー台しか乗らない」という参加者の話も聞いたことがあります。さすがにそれは実走で使う上半身の筋肉が衰えそうだと思ったので私は実走をしていましたが、体力維持程度のライドにとどめていました。

あと、睡眠不足も疲労の原因となります。特に8月に入ったら睡眠時間をしっかり確保して下さい。PBP準備のために睡眠時間を削るのは本末転倒です。

プロによる機材チェックを受ける

PBPのリタイヤ原因で一番多いのは体調面ですが、その次はメカトラになると思います。

一応、各PCにはメンテナンスサービスが常駐していますが、対応可能なトラブルは限られています。そもそもトラブルは起こさないように準備すべきです。

落車による破損は事前準備で防ぐことは難しいですが、ワイヤー関係・チェーン関係などのトラブルはかなり確率を下げることが出来ます。

そのために有効なのは、プロによる機材チェックです。具体的には、「スポーツ自転車店で各部の点検をしてもらうこと」になります。

大抵のスポーツ自転車店では数千円で簡単な全体点検を行ってもらえるはずです。これで故障の予兆が発見できれば安いもの。

私は大会2週間前に、行きつけのサイクルキューブさんで諸々のチェックを行ってもらいました。こうした準備の甲斐もあって、渡仏後もメカトラは起こりませんでした。

消耗品は交換しておく

タイヤ・チューブ・チェーン等の消耗品は「もう少し使えそう」と思えても、交換しておいたほうが良いと思います。万一、そこでトラブルが出たら後悔してもしきれないので。

4年に1度の機会なので、最高の機材状態で臨みたいものです。

最低限のフランス語・英語は覚えておく

最近は翻訳ソフトの出来が良いので、フランス語や英語が話せなくてもなんとかなります。

フランス語

「出口」を意味するSortie

ただ、道路標識やPC内の施設案内を見た時に、毎回スマホを取り出して調べているようでは時間を浪費してしまいます。

そうならないように、最低限の単語の意味は分かるようにしておくべきです。

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PBPで必要な単語一覧はこちらの記事にまとめています。発音も聞けるようにしておきました。

この記事には書いていませんが、フランス語の「1・2・3」も話せると役に立ちます。皆さんも聞いたことがあるはずの「アン・ドゥ・トロワ」が「1・2・3」です。

英語

集団内の会話はだいたい英語です。中学生程度の英語でも良いので思い出しておくと役に立つと思います。

不意に眠くなった時の眠気覚ましには雑談が効果的ですが、これが英語で出来るようになっているとかなり有利なはず。外国語の雑談って難しいですけども。

飛行機輪行の準備をする

フランスに自分の自転車を持ち込むには、飛行機輪行というハードルを越える必要があります。

航空会社に連絡

自転車は預け入れ荷物になりますが、非常にサイズが大きな荷物となります。

飛行機輪行用の箱

飛行機側の荷物を積むスペースにも上限があるので、事前に航空会社に電話やメールで連絡をしておく必要があります。連絡をしないで預けようとすると、断られる場合があるので注意が必要です。

飛行機輪行用品の調達

飛行機輪行をするためには、自転車を収めるためのケースが不可欠です。

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どんなケースが有り、どんなメリット・デメリットがあるかについてはこちらの記事にまとめました。

仲間との意思確認をしておく

この項目は、現地でPBPを一緒に走る仲間がいる人向けの話です。一人で走る予定の人は読み飛ばして下さい。

プルガステル橋にて

仲間と走る場合、大事なのは「誰かが不調に陥った場合にどうするか」を事前にしっかりと話し合って結論を出しておくことです。

誰かが不調に陥った時、他の人は先に行くのか、それとも一緒に留まるのか。ここを曖昧にしたまま大会中にトラブルが起こると、その後の人間関係に影響を及ぼします。

私と妻は、スタート2週間前にこの点について話し合い、「付き添いが必要なほど重篤な状態でなければ、片方がリタイヤしても片方は前に進む」という内容を決めました。幸いにもお互い大きなトラブルはありませんでしたが、こういったことを話しておくのは重要です。

硬水に慣れておく

フランスで手に入る水は、ミネラル分の多い硬水です。

体質に合わない場合、お腹を下すことがあります。日本にいるうちに、自分の硬水耐性を見ておくとよいでしょう。

とはいっても、コントレックス(硬度1468mg/L)は強すぎます。ここまで硬い水はフランスでもそうそう出てきません。硬度300mg/L前後の水が多いはず。

日本でも入手しやすい「evian」は硬度304mg/Lと適度です。

 

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この記事を書いた人

ロングライド系自転車乗り。昔はキャノンボール等のファストラン中心、最近は主にブルベを走っています。PBPには2015・2019・2023年の3回参加。R5000表彰・R10000表彰を受賞。

趣味は自転車屋巡り・東京大阪TTの歴史研究・携帯ポンプ収集。

【長距離ファストラン履歴】
・大阪→東京: 23時間02分 (548km)
・東京→大阪: 23時間18分 (551km)
・TOT: 67時間38分 (1075km)
・青森→東京: 36時間05分 (724km)

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