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東京→大阪キャノンボール ③静岡→浜松
遠州の空っ風
毎度のことだが、静岡駅を過ぎると向かい風が強くなる。
この日も例外ではなく、宇津ノ谷峠のトンネルを出た途端に強烈な向かい風を浴びることとなった。藤枝の市街地を抜ける途中、道に立っている幟は全てこちらの方向を向いている。巡航速度は28km/h程度まで落ち込み、我慢の時間が始まった。
金谷峠
中盤の山場、金谷峠。箱根で脚を温存したからだろうか? 前回の大阪→東京の時ほどのキツさはない。
10時8分、予定より若干遅れて金谷峠のピークを越える。ここま時刻表から全く遅れていなかっただけに、少々の遅れでも心に焦りが生まれた。
精神的に辛い区間
キャノボにおいて肉体的に一番辛い場所を箱根とすれば、精神的に一番辛い場所は掛川~浜松区間だろう。この区間はとにかく風景がつまらないのだ。しかも東京からのアプローチの場合、向かい風の確率が高い。前回の東京→大阪の失敗時はこの区間で失速。今回もやはり失速することとなった。巡航速度は更に落ち、25km/h前後。
「24時間寝ないで走る」という話を人にすると、必ず「眠くならないの?」と聞かれる。基本的に、思い通りに走れているうちは眠くならない。しかし、思い通りに走れなくなると途端に眠気が襲ってくる。
・・・諦めてしまおうか? そんな考えが脳裏をかすめる。
(でも、また同じ想いをするのは嫌だな・・・)
蘇るのは豊橋リタイヤ時の記憶。
直接的なリタイヤ理由はスポーク折れだったが、実の所、肉体も精神もこの区間で削られて限界に近かった。そんな自分の心に呼応するかのように折れたスポーク。リタイヤ自体も悔しかったが、本当に悔しかったのは「リタイヤする良い理由ができた」と一瞬でも思ってしまったこと。そんな情けなさを振り切るための「キャノンボール・リベンジ」。ここでやめるわけには行かない。
時を待つ
葛藤の末、走り続ける意志が勝った。ただ、走り続けられたのは意志の力だけによるものではない。
実はある確信があったのだ。浜名湖まで走ることが出来れば、後はなんとかなるはず。それまでは石にかじりついても走ってやろう。何とかならなければ、その時はその時だ。
天竜川を越え、浜松バイパスに入っても向かい風は続く。ただ、この区間は大型の車の交通量が多い。車道を走っていれば自然と車が風避けになってくれるのだ。
そして、苦難の末に辿り着いた浜名湖。ついに状況は一変した。