東京→豊橋 ④宇津ノ谷→浜名湖

この記事は約 2分で読めます。

静岡駅を越えると第二の峠、宇津ノ谷だ。峠といっても今はトンネルが通っているため、キツい登りはない。宇津ノ谷を前に練習中の地元ローディがいたので後ろにつかせてもらう・・・が、彼らは旧道に行くらしい。お礼を言ってトンネル手前で別れた。


トンネルを抜け、藤枝に入るとと突然、風向きが変わった。この日は静岡駅まではほぼ無風。特に調べては居なかったが、この先もずっとそうだろうと思い込んでいた。

そこに来て向かい風である。後で知ったのだが、この区間は強い西風が吹いていることが多いらしい。更に藤枝から島田に掛けてはゆるい登り坂になっている。Garminの斜度計にも現れない程度の傾斜だが、向かい風とセットになると思わぬ強敵となるのだ。そこまで快調に飛ばしていたのに、メーター読みで24~25km/hまでスピードが落ち込む。平地(に視えるが実際は登り)のはずなのにスピードが出ない。静岡駅までの達成への自信が少しずつ揺らぎ始めていた。

ほどなくして、第二の難関・金谷峠が姿を表す。R1の難所といえば箱根峠と鈴鹿峠と言われることが多いのだが、個人的には鈴鹿よりも金谷のほうが嫌いだ。東京から来ても大阪から来ても、嫌な位置で出てくる峠。斜度も結構ある曲者である。コンビニでしっかりと補給を買い込み、登りへと備える。

峠に辿り着いたのは時刻は10時過ぎ。じわじわと気温が上がり始め、汗も大量にかいた。たったの3kmであるが、かなり消耗していることが自分でもわかった。

  (金谷峠を超えれば風向きが変わったりしないかなぁ・・・)

と思っていたが、もろくもその想いは打ち砕かれた。相変わらずの向かい風。むしろ強くなっているのではないかというほど。徐々に精神的にも参り始めていた。

掛川で再度バイパス越えをした後は、浜松へと向かう。ここも実は微妙な登り区間。格闘ゲームにおけるガード時の削りのごとく、じわじわと体力が削られていく。

天竜川を渡る天竜川橋の上からの長めは個人的にR1でも好きな風景の一つだ。かつてのツーリングで二日目のゴールが浜松。その時の達成感を思い出し、テンションが少し上がった。

一旦R1を抜け、K312に入る。そこから再度R1の浜松バイパスにIN。しかし、実はこの時点で体力は赤ゲージ近くまで減退していた。理由は風と暑さ。昼が近くなり、ますます上がる気温と、止む気配のない向かい風。スピードが全く乗らず、このときはDHバーが欲しいと本気で思った。気温も30℃近くなり、ジャージはすっかり汗まみれ。下のインナーが透けて見えるほどだった。

ボトルの水がなくなり、たまらずコンビニに逃げこむこと2回。サークルKの店舗内は冷房が効いていて涼しく、いつまでも居たい衝動に駆られた。しかし、今はキャノボ中。疲れきった体にムチを入れ、先へと進む。

しばらく進むと大きな鳥居が見えてきた。浜名湖だ。やっと全行程の半分。時刻は12時42分。11時間と40分での折り返し地点突破であり、まだ達成ペースにはあるといえる。しかし、正直この時点で心が折れかけていた。

  (後一回なにかあればもう諦めようかな)

そんなことを考えながら、弁天橋を超えた。

記事のシェアはこちらから
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

ロングライド系自転車乗り。昔はキャノンボール等のファストラン中心、最近は主にブルベを走っています。PBPには2015・2019・2023年の3回参加。R5000表彰・R10000表彰を受賞。

趣味は自転車屋巡り・東京大阪TTの歴史研究・携帯ポンプ収集。

【長距離ファストラン履歴】
・大阪→東京: 23時間02分 (548km)
・東京→大阪: 23時間18分 (551km)
・TOT: 67時間38分 (1075km)
・青森→東京: 36時間05分 (724km)

目次