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東京→大阪キャノンボール(初挑戦) プロローグ
沼の入り口
一度目の東京→大阪キャノンボール決行を決めたのは2010年の9月初旬だったと思う。
9月半ばのシルバーウィークの予定が特に無かったため、どこに行こうかなーと悩んだ中の候補として出てきたのが「キャノボ」だった。計画を立て始めたら止まらなくなってしまい、そのまま決行まで行ってしまったのである。
キャノンボールを知った日
「東京⇔大阪キャノンボール」。
その存在を知ったのは2009年の秋。2chの自転車板を眺めていたときに飛び込んできた衝撃的なスレッド名をついついクリックしてしまったのが全ての始まりだった。
「【キャノンボール】東京⇔大阪を1日で走る」
2009年8月号の「サイクルスポーツ」の定番ロングライドコースの紹介で、「東京⇔大阪」のコースが紹介されており、そこに40時間で完走した人の話が載っていた。わずか睡眠時間は1時間。2009年のGWに4日掛かりで川崎→大阪ツーリングを行った自分には、40時間でも信じられなかった。
だがしかし。このスレッドタイトルである。
(1日・・・つまり24時間で走るってこと?そんなの可能なの?)
当然の疑問。しかしスレッドの中身を読んでみると、どうやら達成者がいるらしい。しかも、最速は21時間ということだ。ありえない!世の中にはイカれたチャレンジをする人がいるものだなぁ・・・と思って、このときはスレッドを閉じた。
都市伝説への挑戦
それから一年。不意に思い出した「キャノボ」の存在。
一年前はただただ凄さに圧倒されていただけだったが、冷静に数字を計算してみると、実は自分にも可能なのではないか?という気がしてきた。
キャノボ達成に必要な速度は、550km/24h=23km/h。この年に参加した「東京→糸魚川ファストラン(283km)」のグロス速度は26.4km/h。コースの違いもある上に単独走、距離はおよそ倍。しかし、グロス速度には3km/h余裕がある。距離が倍になっても、ここまでグロス速度が落ちることはないのではないか?
この時点でキャノボスレが立って4年。達成者はたったの2人。4年間でたった2人しか成功してないなんて、実に挑戦しがいのある課題じゃないか。
こうなるともうやる気は止まらない。
準備開始
まずはどちら方向でやるかを決める。
調べてみると、東京と大阪の間には西風が吹くことが多いらしい。大阪→東京の方が有利ということだ。しかし、東京→大阪は一度(4日かけたとはいえ)走っている。それなりに安心感があるルートだ。いきなり大阪まで輪行するのも大変だし、今回は東京スタートにすることにした。
次は装備を調達。尻痛に悩まされることが多いため、「Reskin」を購入。ブルベをやっている知人からのアドバイスで「ボルダースポーツ」も購入した。
荷物についても考える。最初はシートポストバッグの使用を検討していたが、ヒルクライムで重心が変わるストレスを嫌って却下。なるべく軽量装備を心がけた。結局、荷物とか装備で数万円つぎ込んだと思う。
そしてルートと、予定表を作成。通過する代表的な都市名をリストアップし、その地点での速度を手計算し、予定表を作成して携帯にメールで送信。マップデータはEdge705に送り込んだ。
前日のうちに、大阪梅田の郵便局宛に荷物は送付。これで手荷物は最小限になった。
最後に実況準備。「Twitterで実況をしながら走る」というのがどうやらトレンドらしい。じゃぁそれに乗っかろう!ということで@barubaru24アカウントを取得。携帯から書き込みができる体制を整えた。
決行当日
そんなこんなで迎えた決行当日。2010年9月19日 午前0時、輪行で東京駅へと降り立った。
自転車を組み立て、スタート地点である日本橋へと向かう。まだこの頃は地震の影響などまるでなく、日本橋付近は夜でも明るかった。
コンビニで「即効元気」とおにぎりを買い、スタートに備える。日本橋交差点から京橋交差点までを2往復し、体を温める。京橋の交差点で信号を待っていると、ガードマンのおばちゃんから声をかけられる。
「その脚にしてるのって効果あんの?」
「脚にしてるの」というのは、2XUのカーフガードのこと。自分は脚がつりやすい体質なので、コンプレッション効果のあるコイツをキャノボ用に購入していた。まぁ効果はあるのかよく解らなかったので適当に応えておいたが、少しは緊張がほぐれた気がした。
午前1時。日本橋交差点の信号が青になるのと同時に、大阪へとペダルを踏み出した。