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ディスクロードの走行性能に満足するまでに行った試行錯誤の記録
本記事は、【ロードバイク Advent Calendar 2021】 15日目の記事として作成されました。
ディスクロードを買って一年半、何とか満足できる状態になりました。
私と同じく「なんかディスクロード買ったけど走りが重いな」と思っている方の参考になればと思い、実施したカスタムの内容とその結果を一通り紹介させて頂きます。
はじめに
この記事を書くに至った経緯は↓です。
・約50台のディスクロードの試乗を経て、気に入った一台(Bianchi INFINITO CV)を2020年3月に購入
・しかし、試乗の時と比べて何だかモッサリしている
・ディスクロード特有のしっくりこない点も色々ある
そんな問題点を解決し、納得の行く走行感を得るまでに私が行ったカスタム内容を紹介して行きます。
この記事を読む人の中には、「最初のロードバイクがディスクブレーキ」という人もいらっしゃると思います。そういった方は、この記事に書いてあることはあまり気にしないでください。あくまでもリムブレーキにどっぷり浸ってしまった人間が新技術に馴染めなくてもがいているだけの内容になっております。
ただ、最初からディスクロードに乗っている方でも、「何かモッサリしてるな」と悩んでいる人がいれば、この記事は解決のヒントになるかもしれません。
納車時の仕様
2020年3月に納車された、Bianchi「INFINITO CV」。納車当時の仕様と現在の状態(変更があるパーツのみ)を表に示します。
部位 | 納車時 | 現在 |
デュアルコントロールレバー | SHIMANO ULTEGRA ST-R8020 (機械式変速・油圧) |
SHIMANO DURA-ACE ST-9001 (機械式変速・ワイヤー引き) |
ディスクブレーキキャリパー | SHIMANO ULTEGRA BR-R8070 (油圧) |
GROWTAC EQUAL (メカニカル) |
ディスクローター | SHIMANO ULTEGRA SM-RT800 | SwissStop Catalyst |
クランク | SHIMANO ULTEGRA FC-R8000 | SHIMANO DURA-ACE FC-R9100-P |
ハンドル | 3T ERGONOVA TEAM | CADEX Race Handlebar |
ステム | 3T ARX TEAM | Bontrager XXX Stem |
ペダル | SHIMANO DURA-ACE PD-R9100 | SHIMANO XTR PD-M9100 |
ホイール | Fulcrum Racing 518 DB | HUNT Aerodynamicist 44 Carbon |
チューブ | Panaracer R’AIR | Revoloop Race |
スルーアクスルシャフト | Bianchi フレーム付属 | Brand-X Bolt Thru Axle |
変更した10箇所のうち、ペダルとステムはポジション合わせのために変えただけなので、今回の記事の内容には含めていません。
残りの8箇所について書いていきます。
実行したカスタム内容
2020年3月の納車から約1年半、私がディスクロードに対して実施したカスタム内容の紹介です。
1年半で計8箇所・10項目ものカスタムを実施しました。ようやくこれで満足の行くディスクロードが出来上がったと思っています。
クランクの変更
2020年4月、クランクをFC-R8000(アルテグラ)からFC-R9100-P(デュラ・パワーメーター付き)に変更しました。
目的は、「駆動効率の向上」と「見た目のドレスアップ」。あと、パワーメーターも欲しかったので、FC-R9100-Pを選択しました。
アルテグラのクランクに性能的な不満があったわけではないのですが、目立つクランクをデュラエースにして見栄を張りたかったのが最大の導入理由です(他の部品は大体アルテなんですが)。
自分で取り付けを行いましたが、パワーメーターとしてのセットアップに苦戦しました。特にマグネットの位置が難しい。
特に剛性アップは感じられませんでしたが、見た目は良くなった気がします。
「軽量化も出来るか?」と期待していましたが、パワー計測機能が付いたことで通常のFC-R9100よりも70gほど重く、結果的にはFC-R8000に比べて9g重くなってしまいました。
ちなみに、パワーメーターとしての出来はイマイチに感じています。パワーの値が温度変化に弱いというか。冬場は低く出ている気がするんですが、検証できていないのでまだレビューを書けていません。
ホイールの変更(1回目)
2020年5月、ホイールをRACING 5 DBからRACING ZERO CARBON DBに変更しました。フルクラムのローグレードからフラグシップへの変化です。
目的は、「反応性の向上」。
折角購入したINFINITO CVですが、試乗車では感じなかったモッサリ感がありました。これはきっとホイール(RACING 5)の仕業に違いない。そう考えた私は、リムブレーキ版を持っていて好感触を得ていた「レーゼロカーボン」のディスクブレーキ版を購入したわけです。
結果として多少は反応性は向上したものの、根本的なモッサリ感を拭い去ることは出来ませんでした。巡航もイマイチで、40km/h以上で速度が伸びず。
この時点では、「ディスク化によってスポーク本数が増えた&更に太くなったアルミスポークが空気抵抗を増やしているためではないか?」と考えていました。
結局、RACING ZERO CARBON DBは半年ほどで売却。その後、2本目のホイールを購入することになります。
ディスクローターの変更(1回目)
2020年5月、ディスクローターをSM-RT800(アルテグラ)からRT-MT900(XTR)に変更しました。RACING ZERO CARBON DBの導入と同時に実施しています。
目的は、「横風対策」。
ディスクロードに乗ってからというもの、横風で前輪が持っていかれる感覚を覚えるようになりました。
それまで使っていたアルテグラのローターは放熱フィンが全面に展開しており、これが原因では?と思い、もう少し風抜けの良さそうなローターを導入することに。
そこで選んだのは、同じくシマノでMTB用の最高グレードのローターであるRT-MT900でした。ツール・ド・フランスなどでペーター・サガンが同様のカスタムをやっていたのを真似た格好です。
2021年9月に発表された新型デュラエースでは、こちらのRT-MT900がデュラエースグレードに昇格(というかXTRと兼務)。従来の放熱フィンが全面を占めるタイプのロードバイク用ローターは廃版となりました。
やはり横風とか重量が嵩むとかで不評だったんですかね。見た目は格好良かったんですけど。
RT-MT900を導入した結果、横風の影響はアルテグラのローターよりは感じなくなりました。
ただ、風の強い日に走行するとまだまだ横風の影響を感じていたため、半年後に2度目のローター変更を実施することになります。
スルーアクスルシャフトの変更
2020年6月、スルーアクスルシャフトを純正のものからBrand-Xのものに変更しました。
目的は「異音の解消」です。
INFINITO CVに付属していたスルーアクスルシャフトは、レバーをシャフト内に格納出来るギミックが備えられていました。
しかし、段差で振動を受けた時にシャフト内に格納されたレバーが異音を発生させることが発覚。神経質な私は耐えきれずに互換性のあるスルーアクスルシャフト探しを始めました。
リムブレーキのフレームならば、サードパーティー製のクイックリリースを買ってきても問題なく使えることがほとんど。しかし、ディスクブレーキのフレームのスルーアクスルシャフトの場合は慎重にスペックを検討しないと使うことが出来ません。
最終的に落ち着いたのは、Brand-Xというブランドの出しているスルーアクスルシャフト。Wiggle(元はCRC)のプライベートブランドっぽいです。
この変更により、異音は解消。レバーが無くなったことにより多少は軽量化にもなりました。
ただ、レバーに相当する六角レンチ(6mm)を持ち運ぶことになったため、総重量としては特に軽くなることはありませんでした。
ホイールの変更(2回目)
2020年11月、ホイールをRACING ZERO CARBON DBから、HUNTのAERODYNAMICIST 44に変更しました。
目的は「巡航速度の向上」です。
RACING ZERO CARBON DBは反応性こそ良かったものの、巡航性能と乗り心地に全く納得がいきませんでした。
そんな時、近所に住む方から「HUNTに試乗してみます?」というご提案を頂き、乗ってみたらこれが非常に良かった。
今でこそグランツールでも使われているHUNTですが、当時はまだまだ無名の謎ブランドという印象が強く、少々不安はあったものの購入を決意。コロナの影響もあって納期は3ヶ月とかなり掛かりましたが、11月にようやく入手することが出来ました。
HUNTのホイールは期待通りのものでした。エアロ性能は高く、ハブの性能も良好。リムハイトが44mmあるので横風の影響は多少感じましたが、許容できる範囲でした。
一旦は「これでカスタムも終わりか?」と思ったんですが、やはり根本的なモッサリ感は拭いきれず。
ポリウレタンチューブの導入
2020年11月、タイヤシステムをチューブレス(IRC Formula PRO S-LIGHT)から、クリンチャー(GP5000 CL+Revoloopチューブ)に変更しました。
目的は「モッサリ感の解消」と、「ブルベにおける走行継続性の確保」。
RACING ZERO CARBON DBの乗り心地がイマイチであることを予想して、最初からチューブレスタイヤで運用を行っていました。
ただ、チューブレスタイヤの空気抜けの速さ(これはタイヤとリムの相性、シーラントの性質にも寄るようですが)、パンク時の恒久対策の難しさ(暫定対策しか出来ない)ことから、やはりブルベへの投入には向かないという結論が私の中で出ました。
HUNTのホイールはそもそもの乗り心地が悪く無さそうだったこともあり、クリンチャー運用に戻すことに。ただ、モッサリ感を少しでも緩和したく、そのためにホイール外周の軽量化の手段として選んだのが「ポリウレタンチューブ」でした。
通常のチューブはブチルゴム製ですが、こちらのチューブはポリウレタン製。非常に軽量で、ブチル製の軽量チューブの2/3ほどの重量となります。
ポリウレタンチューブは先駆けである「tubolito」の品質がイマイチだったので警戒していましたが、Revoloopは一年使ってもパンクなし。
そして、確かに漕ぎ出しは軽快になりました。やはりホイール外周部の重量減はやっぱり加速性に大きく寄与します。
ただ、やはりディスクロード全体の「モッサリ感」は残ったまま。この仕様でブルベ(200km)にも参加しましたが、後半は自転車が重く感じました。大して登らないコースなのに。
ずっと「モッサリ感の原因はホイール周りにある」と私は考えていましたが、この辺りで「別の場所が悪いのでは?」と考えるようになっていました。
ディスクローターの変更(2回目)
2021年1月、ディスクローターをRT-MT900から、SwissStopの「Catalyst」に変更しました。
目的は、またしても「横風対策」。
RT-MT900を付けて参加したブルベで、海岸線沿いのアップダウンを降りていた時に横風でハンドルを取られたことがキッカケです。
RT-MT900は放熱フィンの面積こそ小さいものの、放熱フィン自体は付いています。これが横風に煽られているのではないか?と推測。
あまりブレーキ周りでは冒険はしたくないので(何かあると大事故に繋がるため)、専業メーカーとして定評があり、かつ風抜けの良さそうなSwissStopのCatalystを購入しました。
重量こそシマノのローターよりも重かったですが、狙い通りに横風の影響は減ったように思えました。また、制動力も申し分なく、現在でもこのローターを使い続けています。
EQUALブレーキへの組み換え
2021年10月、ブレーキシステムを油圧ディスクブレーキ(シマノ「R8020」)から、メカニカルディスクブレーキ(グロータック「EQUAL」)に組み換えました。
目的は「ハンドル周りの軽量化」によるモッサリ感の解消です。
試乗車に仕掛けられた罠
あまりにモッサリ感が気に入らず、ほぼ半年間ホコリを被っていたINFINITO CV。さすがに不憫なので、モッサリ感を消すためにもう一度試行錯誤してみることにしました。
リムブレーキ時代は、モッサリ感を感じたらホイール周りをイジるのが定跡だったと思います。私もそれを信じてホイールを二度変更し、タイヤを変え、チューブを変えました。それでも消えないモッサリ感。これはもう「原因はホイール周りではなく別のところにあるのでは?」と考えるようになりました。
振り返ってみると、このINFINITO CVを買った理由は「試乗で感触が良かった」ことでした。そこで、試乗車の写真を確認してみると……
……これ、電動デュラエースで組まれてる!
私が好感触を得ていた試乗車のINFINITO CVは、完成車ラインナップには存在しない電動デュラエースで組まれていたのです。やられた。
ディスクロードにおける電動化の意味
電動化の意味。「そりゃ変速が楽になるんでしょ?」と思われるでしょうが、効果はそれだけではありません。
ディスクロードにおいては、電動化によって大きく変わるものがあります。それは、ハンドル周りの重量です。もっと言えば、デュアルコントロールレバーの重量が大きく違うのです。
アルテグラ同士で比べても、電動変速のレバーは360g、機械式変速のレバーは554g。その差は約200g。ハンドルの左右の端に100gの重量物が余計に付いているようなものです。
「このレバーの重量こそが長い間悩み続けたモッサリ感の正体だったのでは?」
そう仮設を立てて、レバーの軽量化を行うことにしました。
レバーの軽量化方法の検討
一番王道なのは、素直に電動変速・油圧ディスクブレーキの構成で組むことです。ただし、それをやった場合に掛かる金額は約30万円。もし、これでもモッサリ感が消えなければ30万円の投資がパーです。というか、そんなお金はすぐには作れない。
そこで私が最終的に選んだ方法が、「ワイヤー引きのメカニカルディスクブレーキを採用し、リムブレーキ用のデュアルコントロールレバーを使う」という方法でした。
リムブレーキ用の機械式変速レバーについては、たまたま家に在庫が。ST-9001、機械式デュラエースのレバーです。重量は365gと、電動の油圧アルテグラとほぼ同じ重量。これならレバーはかなり軽くなります。
ちょうど2021年の5月に発売したばかりのメカニカルディスクブレーキ「EQUAL」の評判が良く、試乗をして性能にも納得。
レバーが家にあったので、組み換えにかかる費用は電動変速・油圧ディスクブレーキ仕様の場合の約1/3の10万円。これならモッサリ感が消えなくても何とか諦めは付く金額です(正直キツイ金額ですが……)。
EQUALブレーキに組み換え実行
そして、ショップに預けて脱・油圧ディスクブレーキを実行。初めてのメカニカルディスクブレーキです。
組換前の写真がこちら。
組換後の写真がこちらです。見比べてみると、レバーがものすごくコンパクトになったことがお分かりになるかと思います。コンパクトになっただけではなく、重量も200gほど軽くなりました。
EQUALブレーキは5色展開で、自分の好きな色を選べるのも魅力。私は赤を入れました。
組換後の感想
それまでどうやっても消えなかったモッサリ感が綺麗サッパリ消えました!
ホイールをHUNTにした時のモッサリ感の減少度を1とすれば、このカスタムのモッサリ感の減少度は5くらい。それくらい劇的な変化でした。
私が感じていたモッサリ感の正体は、「ハンドルの先端に付いたディスクブレーキ用のレバーの重さ」だったわけです。まぁ、地面から遠く、更にハンドルの回転の最外周に付いているものが重ければモッサリ感も感じようというもの。
EQUALブレーキの制動性能も申し分なし。感触としてはリムブレーキの延長線上にある印象がありますが、正直デュラエースのリムブレーキよりもよく止まります。
メカニカルディスクブレーキなので数百キロに1回はパッド位置の調整が必要ではありますが、その調整もさほど面倒ではありません。私にとってはメリットのほうが大きなブレーキです。
普通に考えればレバーの重量が軽くなった所で巡航速度が上がるわけもないのですが、ホームコースの周回タイムは明らかに早くなりました。単純に「思ったとおりに反応してくれる」ことでテンションが上った結果かもしれませんが。もしくは、自転車を振る際のリズムがマッチするようになったからかもしれません。
何より乗るのが楽しくなったので、INFINITO CVの出動機会は劇的に増加。それまでの一年半で3000km程度しか乗っていなかったのですが、組換後2週間で700kmを走破してしまったほど。それくらい、乗って楽しいバイクに化けました。
ハンドルの変更
2021年10月、ハンドルを3T「ERGONOVA TEAM」から、CADEX「RACE HANDLEBAR」に交換しました。
目的は、EQUALブレーキと同じく「ハンドル周りの軽量化」によるモッサリ感の解消です。
CADEXのハンドルは、現在大手メーカーでは最軽量の157gを誇ります。通常、3ピース成型されるカーボンハンドルを1ピースで作っているのが特徴。
元々付いていた3TのERGONOVAも実測200gと重くはないのですが、40g以上も軽くなるのは見逃せません。ブレーキ配線をやり直すこの機会に、ハンドルも交換してしまうことにしました。
EQUALブレーキ化によるレバーの変更で-200g、ハンドルの変更で-40g。
計240gの軽量化はかなりの効果があり、前述の通りモッサリ感を見事に消し去ってくれました。ドロップ部が3Tよりも長く取られており、下ハンドルも握りやすくて気に入っています。
輪行方式の見直し
2020年10月、パーツではありませんが、輪行方式を「ローター連結方式」から「サンドイッチ方式」に変更しました。
ディスクロードの走行性能に関しては、EQUALブレーキの採用によって「ブルベに投入したい」レベルまで向上しました。しかし、ブルベには輪行が付き物。その輪行が面倒なんですよね、ディスクロードって。
あと、電車の中であまり幅を取りたくないので、私は縦置きの輪行袋にこだわっています。ディスクで縦置き輪行は中々悩ましいのです。
何が面倒かと言えば、ディスクローターの扱い。
これが曲がったり油が付着したりするとブレーキがまともに効かなくなります。そうならないように何とかガードする必要があるわけです。それが面倒くさい。
ローター連結方式を試してみる
そこで、先達がやっていた面白い輪行方式を真似てみることにしました。
ディスクローター同士を向かい合わせて、スルーアクスルシャフトで連結するというもの。ディスクローターがホイールの内側に入るので、曲がることはありません。ただ、シャフトが折れないかは心配ですが。
一見良さそうに思えたこちらの「ローター連結」方式ですが、袋に入れてみるとパッツンパッツンでした。
普通にホイールで左右からフレームを挟むよりも、明らかに幅が大きくなってしまうんですよね。電車内でもより床面積を必要としますし、何よりパッキングに時間が掛かったので、この方法は以後不採用となりました。
サンドイッチ方式
参加したブルベのラスト20kmで雨が降り出してしまい、ゴールから家までは輪行することにしました。
一応それを見据えて、その時はサンドイッチ方式での輪行用の持ち物を準備していました。
サンドイッチ方式なんて呼んでいますが、要は普通の「ホイールでフレームを挟む」方式のことです。ローター連結方式との区別のために、ここではあえてそう呼びます。
スプロケにはカバーを取り付け、ローターはシャワーキャップで養生。パッキング時間はローター連結方式の半分ほどで済むようになりました。油圧ブレーキではなくなったため、パッドスペーサーを取り付ける必要がなくなり、やることが1ステップ減ったのも輪行の高速化に寄与していると思います。エア噛みを気にする必要もなくなりました。
ローターが一番外側に来るので曲がってしまうことだけが心配でしたが、2度の輪行を経た後も曲がってはいません。
残った課題
既にほとんど満足の行く出来に仕上がっていますが、まだ残った課題が2点あります。
横風対策
通常レベルの横風であれば、既に問題のないレベルになっています。問題は群馬のからっ風や、海岸沿いの強風の場合です。未だに少しハンドルが取られる印象があります。
ディスクローターに関しては、これ以上の風抜けの良いものは望めなそうです。
となると、やはり44mmハイトのホイールが悪さをしているのかな?と。44mmってディスクロードだとミドルハイトって分類ですが、リムブレーキ時代なら普通にディープリム扱いですからね。
しかし、ディスクロード用ホイールってローハイトのホイールがあまり無いもので。フロントのスポーク本数が少なくて、1500gくらいで、それなりに走るホイールがあれば試してみるかもしれません。
輪行の速度
サンドイッチ方式にしたことでそれなりにパッキングは早くなりましたが、まだまだリムブレーキの倍程度の時間が掛かっています。
「次の電車まであと10分!」みたいな状態で駅についた時に素早く乗れるように、もう少し速くパッキングできるようにしたいですが……
今の所、特に高速化のアイデアはありません。ディスクロード用に新しい輪行グッズが出たら積極的に試していきたいと思っています。
まとめ
なんだかんだ色々ありましたが、最後の「EQUALブレーキへの組み換え」が決め手となり、INFINITO CVは満足の行く乗り味に仕上がりました。
ブレーキとしての性能を妥協せず、電動油圧化よりも安価にハンドル周りを軽くすることが可能な、EQUALブレーキが登場したことは大きかったですね。本当はこれくらい実用的なメカニカルディスクブレーキをシマノが作って欲しかったですね…油圧以外の選択肢として。
「あれだけ何台も試乗して選んだのにこのフレームも駄目なのか?」と思うこともありましたが、このフレームの素性はやはり素晴らしかった。試乗で感じた好感触は勘違いではありませんでした。
駄目なのは「機械式変速・油圧ブレーキ」の鈍重なレバーだったわけです。それに気づくのに随分と遠回りをしました。
10月のEQUALブレーキへの組み換え以降、INFINITO CVの出動機会は急増。組み換え2週間後には400kmブルベに投入し、何事もなく完走しました。
エンデュランスロードのはずなのに、Oltre XR4に迫る速さを持つフレームだと思います。というか、前半分の設計はほぼOltre XR4と同じなんですよね。Oltre XR4をロングライド向けにアレンジしたフレームと言った感じ。私の好みど真ん中です。
これまではレバーの重さに気を取られて気づくことが出来なかったフレームの良さにようやく目が向けられたということでしょう。
来年度はブルベにも本格投入していこうと思っています。
結局私が何を求めていたかと言えば、リムブレーキ車のフィーリングだったわけです。
2015年頃にディスクロードが出てきた頃、私が想像していたディスクロードは、「リムブレーキ車のフィーリングはそのままに、ブレーキ性能だけ向上したロードバイク」でした。
しかし、現実のディスクロードには、ディスクブレーキ化したことで失った性能や、これまでよりも高い金額を出さないと手に入らなくなった性能が多かった気がします。
そもそも全く構造の違うディスクブレーキ車にリムブレーキ車のフィーリングを求めるのが間違いである気もしますが、リムブレーキ車に10年以上乗ってくると自分の中に出来上がった「ロードバイクのフィーリングはこうあるべき」という呪縛からは中々抜け出せませんね。
とりあえず私から言えることは一つ。
「これからディスクロードを新たに組むなら、電動油圧にしましょう。」
特にリムブレーキ用ロードを長く乗ってきた人や、軽快感を大事にする方は電動油圧がマストだと思います。レバーの重量は想像以上に影響があるものなので。
ただ、レバーを軽くしても「巡航速度が**km/h上がった!」という効果は得られないと思います。あくまでも、「モッサリ感」が減るというだけの話です。端的に言えば、官能性能(気持ちよさ)の部分の話ということになります。
私の場合は長いことリムブレーキ用の機械式STIを使ってきたこともあり、それに近いレバー重量(300~400g)だと「しっくり来る」ようです。これは多分、自転車を左右に振る時のリズムの取りやすさにも影響するでしょう。それよりも機械式変速・油圧レバーが顕著に重かったので、私は上手いことリズムが取れずに「気持ち悪い」と感じていたのだと思います。
新型デュラ&アルテが電動オンリーになった以上、これから機械式変速の油圧ディスクロードが安売りされるでしょう。でも、それはスルーして電動油圧のものを買うべきです。値段は10万円ほど上がると思いますが、後から電動化するよりは全然安いはず。ホイールをカーボンにするよりも、コンポを電動にするほうがディスクロードにおいては優先度が高いと私は考えています。
電動由来のトラブルが心配な方は、「リムブレーキ用レバー+EQUALブレーキ」というのも一つの選択肢です。ブレーキ性能は落とさず、レバーの軽量化が出来ます。
私は「リムブレーキ用レバー+EQUALブレーキ」で満足してはいますが、誰にでも勧められる仕様ではありません。定期的にパッドの位置は調整する必要がありますし、リムブレーキ用の軽量なレバーの入手性もこの先どんどん悪くなるはずです。落車や飛行機輪行で壊した時に次のレバーが手に入らない可能性は普通にあります。
恐らく更に次(9300/8200)のデュラ・アルテには油圧ディスク用の電動レバーしか残らないでしょう。そうなったら、私もいよいよ観念して電動油圧を導入するかもしれません。
なお、電動油圧のディスクロードの完成車は概ね60万円(税込)スタートです。
シマノの場合、電動はアルテグラ以上しかなく、電動アルテグラの完成車に見合うグレードのフレームとなるとそれくらいの値段になるということです。
ほんの5年ほど前までは、30万円くらいで機械式アルテグラを搭載した「そこそこ走るロードバイク完成車(リムブレーキ)」を買うことが出来ましたが……今やそれを望むと60万円スタートになります。ロードバイク趣味人にとっては中々厳しい時代となりました。
著者情報
年齢: 37歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: BIANCHI OLTRE XR4(カーボン), QUARK ロードバイク(スチール)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)
# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせて頂きました。