30Cのロード用チューブレスレディを試験導入

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30Cのロード用チューブレスレディ(以下、TLR)タイヤを試してみることにしました。

目次

まえがき

太めのロード用TLRタイヤを試してみることにしました。TLRを使うのは一年半ぶりです。

一年半前の出来事

一年半前に参加した「東京糸魚川ファストラン」で、残り40kmでTLRタイヤがサイドカットでパンク。

突き刺す系の修理用具も持っていましたが、これでは塞がらず。近くに水道もないのでタイヤを外してチューブを入れるという選択肢も取れませんでした。

仕方なく、最後の手段と考えていたアロンアルファで穴を塞いで走りましたが、走行中に伸び縮みを繰り返すのがタイヤサイド。穴は徐々に開いてしまい、結局10kmごとくらいに停止を余儀なくされました。

気持ちは切れて体も冷え切ってしまい、「確実なパンク復帰手段が確立されるまではチューブレスの本格導入はしない」と決めました。

太めのTLRに興味が出てくる

先日、GHISALLO「GE-110」に試乗しました。3度目の試乗です。

この試乗車の乗り心地と進み具合が妙に良かったのです。

スピードが乗りやすく、失速しにくい。これは空気抵抗か、転がり抵抗のどちらかが小さいはず。

試乗車のホイールは105ホイール。悪いホイールではないですが、特別良いわけではありません。となると、フレームが良いか、タイヤが良いか。

GE-110はカムテール形状のフレームで、かつハンドルはケーブル完全内装。一昔前のロードよりは空力性能は良いはずですが、最新のエアロロードには流石に負けるはず。

タイヤは、GOODYEAR「EAGLE F1R」のTLR30Cでした。30Cの公称重量は330g。軽いタイヤではありません。

ショップに戻ってその感想を告げると、「やっぱりチューブレスはある程度太いほうが本領を発揮しますからね」と店長からのお答え。

考えてみれば、私はチューブレスでは25Cまでしか使ったことがありません。黎明期に23Cを使い、1年半前に使っていたのは25Cでした。

多方面で「チューブレスの旨味が出てくるのは28C以上」という話を聞いていたものの、28C以上のチューブレスは重量が300gを超えてくることがほとんど。漕ぎ出しの軽さを優先する私としては中々踏み出せなかったのですが、この時の試乗ではそういった重さも感じませんでした。

……本格導入をするつもりはないけど、今使っていないホイール(KSYRIUM SL)でちょっと試してみようか?

そんな考えが浮かび、ちょっと試してみることにしました。

TLR30Cのテスト

TLR30Cのテスト内容について書いていきます。

パーツ構成

今回は以下のパーツ構成としました。

タイヤ

出来れば試乗で良い感じだったEagle F1RのTLRを試したかったのですが、いかんせん1本11000円と高価です。

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AGILEST DURO TLRは6000円台だったので、こちらの30Cを試してみることに。

AGILEST DURO TLRは、構造的にはクリンチャーの無印AGILESTに近いです。「AGILEST TLR」は耐パンクベルト無しという攻めた仕様なので、トレッド下に耐パンクベルトを備えたDURO TLRにしました。

ちなみに、実測重量は293g/298gでした。

ホイール

ホイールは、最近使っていなくて埃を被っていたKSYRIUM SLを使います。内幅19mm/フックあり。

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このホイールをTLRの練習台に選んだ理由は、ホールレスリムだからです。リムに穴がないので、チューブレステープとの相性を考える必要がありません。

タイヤ・ホイール・チューブレステープ・チューブレスバルブ・シーラント……相性による問題の多いチューブレスでは、登場人物は少なければ少ないほど良いと思っています。

KSYRIUM SLには、リムと相性の良いチューブレスバルブも付いてきます。こちらも相性を考える必要がありません。

シーラント

さて、出来ればシーラントも使いたくはありませんが、TLRなので使わなくては組付けが出来ません。

今回は、imeziのシーラントを使ってみることにしました。お世話になっているショップおすすめの品です。

何も入っていないタイプと、そこにマイクロファイバーを配合したタイプがあります。前者は500ml入りでしか売ってなかったので、小分けで売っている後者を買いました。

パンク修理能力はあまり期待できないらしいですが、なかなかタイヤの中で固まらず、洗い落とす時も水でOKとのこと。似たような売り文句のVegetalexよりはパンク修理能力もあるということなので、今回はこちらを使います。

組付け

久々のチューブレスレディタイヤの組付けです。とりあえずブルーシートを敷いて周囲を汚さないようにしてから作業開始。

タイヤをリムに取り付け

1本は苦労せずに取り付け完了。もう1本はそれなりに苦労して取り付け完了。

一番苦労したのは、AGILEST FASTの記事でも書いた離型剤のカスです。今回も大量にカスが出ました。やっぱりある時からAGILESTシリーズの離型剤の質が変わった気がするんですが……。

ビード上げ

さて、多分無理だろうと思いながらフロアポンプでビード上げ。傍らにはCO2ボンベも用意。

……なんと、すんなり2本ともフロアポンプだけでビードが上がってしまいました

一年半前以前に試したチューブレス(iRC Formula Pro RBCC/iRC Formula Pro S-LIGHT/GP5000STR)はいずれもフロアポンプでは全くビードが上がらず。石鹸水とCO2ボンベを用意してようやくビードが上がったのでした。こんなにすんなりビードが上がったのは、10年以上前に初めて試したHutchinsonのチューブレスぶりですかね。

シーラント注入

混ぜ物のあるシーラントはバルブに詰まりやすいということでしたが、imeziのシーラントは普通に入ってしまうほど粒子が小さいんだとか。

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いつものようにテルモのシリンジで注入しましたが、特に詰まることもなくタイヤに充填が完了しました。

imeziのシーラントはStan’sの1.5倍くらい入れないとシール効果が弱いと聞いていたので、今回は50ccずつ入れました。

再び空気を入れ、前後ともに4.5気圧まで入れました。

あとは、ビードとリムの間に浸透するように、回したり振ったり。

実走で馴染み出し

チューブレスタイヤの一番良い馴染み出しは実走と聞くので、20kmほど実走。

走行後の気圧は0.4気圧ほど落ちていたので、再び4.5気圧まで上げて一晩放置。

すると、翌日の空気圧の低下は0.1-0.2気圧程度まで減りました。ブチルチューブ並なので、ここまでの状態になれば一旦完成と言って良いと思います。

経験上、何回か走行しないと空気圧の落ちは止まらないのですが、今回の組み合わせは優秀のようです。

実走の感想

まだ40kmほどしか乗っていませんが、今のところの感想を書いておきます。

SRAMの空気圧計算サイトで今回の条件を入れると、4.5-4.8気圧くらいが適性と出ました。クリンチャーだとサイドがヨレて乗れたもんじゃない空気圧ですが、チューブレスでは十分なサイドのコシが感じられます。

乗り心地は確かに凄く良いんですが、転がりの軽さは予想したほどではなかったです。試乗の時に感じた「失速しにくさ」もまだ感じられていません。

試乗のときはあまり感じませんでしたが、コーナーリングのスムーズさはクリンチャーとは一線を画す感じはありますね。

まとめ

「ちょっと太いTLR」の30Cを試してみた話でした。

一年半ぶりのTLRでしたが、チューブレステープ&バルブの事を考えず、フロアポンプだけでビードが上がると凄く楽ですね。あの石鹸水まみれの取り付けの儀式をやらなくて良いだけで随分手軽に感じられました。

実走の方では、試乗の時の感触はまだ得られていません。もう少し空気圧を色々変えながら試してみようとは思っています。

あ、とりあえずブルベはこれまで通りクリンチャーで行きます。ブルベにチューブレスを投入するのは、簡単確実な修理手段が確立されてからですね。

フジチカのパンク修理キットの廉価版が出たらしいので、それの評判が良ければ試してみたいと思っています。

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著者情報

年齢: 39歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: BIANCHI OLTRE XR4(カーボン), QUARK ロードバイク(スチール)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)

# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせていただきました。

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この記事を書いた人

ロングライド系自転車乗り。昔はキャノンボール等のファストラン中心、最近は主にブルベを走っています。PBPには2015・2019・2023年の3回参加。R5000表彰・R10000表彰を受賞。

趣味は自転車屋巡り・東京大阪TTの歴史研究・携帯ポンプ収集。

【長距離ファストラン履歴】
・大阪→東京: 23時間02分 (548km)
・東京→大阪: 23時間18分 (551km)
・TOT: 67時間38分 (1075km)
・青森→東京: 36時間05分 (724km)

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