ロードバイクに使えそうなディスクローター(センターロック限定)の重量を一覧化してみました。
前置き
ディスクロードでは、リムブレーキ時代に無かった「ディスクローター」というパーツを使うようになりました。
ディスクローターとは、ホイールに付いているこのパーツのことです。
6穴とセンターロック
ディスクローターは、取り付け方式によって、「6穴タイプ」と「センターロックタイプ」に分かれます。

6穴タイプは、6つの穴にボルトを通してホイールに固定するタイプのローターです。「6ボルト」とも呼ばれます。
従来はこちらのタイプのローターに対応したホイールが多かったんですが、最近のディスクロード用のホイールに6穴対応のものは多くありません。
6穴タイプのローターであっても、アダプタを使うことでセンターロックのホイールに取り付けることは可能です。ただし、結構このアダプタは重いです(2-30g程度)。
ディスクロードで主流なのは、センターロックタイプ。「AFS(Axial Fixing System)」とも呼ばれます。
スプラインの嵌め合いで取り付け、ロックリングで固定します。
元々はシマノが提唱した規格であり、今ではこちらのほうが一般的です。なお、カンパニョーロとフルクラム)だけはセンターロックと呼ばず、「AFS」と呼びます。
本記事では、センターロックタイプのディスクローターのみを取り上げます。
ディスクロードに使えるローター
ディスクロードに使えるローターにはいくつか条件があります。具体的には以下の2点。
① 直径: 160mm または 140mm
② 厚み: 1.80 – 1.85mm
まずは直径。MTB用のローターには180mmや203mmがありますが、ロード用のディスクブレーキキャリパーでは普通にやっても付きません。140mm/160mm径のものを選ぶ必要があります。
そして厚み。油圧ディスクブレーキキャリパーの場合、パッドとローターの距離は決まっています。ローターが厚すぎると、パッドに常に触れた状態になります。
Catalyst One Disc Rotor 6-Bolt 160mmの価格や商品詳細情報についてはこちらのページをご…
例えば、SwissStopの「Catalyst One」は、厚みが1.95mmとの記載があります。ギリギリ使えないことはないかもしれませんが、ちょっと怪しいですね。
メカニカルディスクブレーキであれば、パッドとローターの距離は調整可能なので、多少厚くても取り付けは可能なはずです。
ロード用ディスクローターの重量一覧
ロード用ディスクローター(センターロックタイプ)の重量一覧(26製品)です。2022年12月14日現在で販売されている製品に限ります。
* 公称重量がメーカーサイトに存在しないため、第三者による実測重量を記載
ブランド | 製品名 | 重量[g] (140mm) | 重量[g] (160mm) |
---|---|---|---|
AbsoluteBlack | RAVEN SL | 未発売 | 95 |
ASHIMA | ARO 18 Center Lock | 95 | 112 |
BBB | Center Stop BBS-121 | 139 * | 156 * |
Campagnolo | 03 AFS | 99 | 120 |
Campagnolo | Steel Spider AFS | 123 | 157 |
Galfer | Road Wave Center Lock | 76 | 98 |
HOPE | ROAD CL | 121 | 121 |
Jagwire | Pro LR1 | 122 | 137 |
Jagwire | Sport SR1 | 131 | 148 |
NOW8 | CENTERLIGHT | 77 | 89 |
Prime | Center Lock Disc Rotor | 123 | 147 |
SHIMANO | RT-MT900 | 88 | 108 |
SHIMANO | RT-MT800 | 88 | 108 |
SHIMANO | RT-CL900 | 96 | 114 |
SHIMANO | RT-CL800 | 96 | 114 |
SHIMANO | SM-RT900 | 100 | 118 |
SHIMANO | SM-RT800 | 108 | 128 |
SHIMANO | SM-RT500 | 103 | 未発売 |
SHIMANO | SM-RT99 | 95 | 118 |
SHIMANO | SM-RT81 | 100 | 122 |
SHIMANO | SM-RT70 | 121 | 133 |
SHIMANO | SM-RT64 | 140 * | 156 * |
SRAM | Centerline X | 100 * | 118 * |
SRAM | Centerline XR | 108 | 135 |
SRAM | Paceline | 136 | 156 |
Sunstar Braking | Light Wave | 97 | 109 |
SwissStop | Catalyst Pro | 120 * | 139 * |
SwissStop | Catalyst Race | 105 * | 122 * |
TEKTRO | TR-35 | 134 * | 150 |
TRP | TR-25 | 106 | 139 |
気になった製品
一覧化した中で個人的に気になった製品をいくつかピックアップして紹介します。
AbsoluteBlack「RAVEN SL」

高性能チェーンオイルやビッグプーリーで有名なAbsoluteBlackですが、ディスクローターも出していたんですね。今回始めて知りました。
160mmサイズのみの展開で、95gという驚異的な軽さを誇ります。見た目もちょっと怖いくらいの肉抜きがされていますが。
厚みも少し薄めの1.7mm。寿命は短そうです。
NOW8「CENTERLIGHT」
AbsoluteBlackより更に輪をかけて軽いのが「NOW8」というブランドのCENTERLIGHTというローター。140mmで77gは恐らく世界最軽量。
しかし、見た目は何とも頼りなく、ちょっと命を預けるには怖いです。
どこの国のメーカーかよく分からないのですが、サイトを見る限りドイツっぽいですね。何故ドイツってこういう軽量キワモノメーカーが生まれるのだろう……(Tuneやシュモルケはドイツ)。
Galfer「Road Wave」

恐らく世界最軽量のローターが、スペインのGalferが販売している「Road Wave」です。140mmで76gと、NOW8より1g軽い。
6穴ローターに自社製の軽量アダプタを接着(というかはめ込み?)している構造に見えます。ちょっと怖い構造ですが……。
シクロワイアードは、スポーツ自転車の総合情報サイトです。ロードレースなどのレース情報から、フレームやパーツ、イベントやシ…
国内では聞き慣れないブランドですが、実業団チーム「スパークルおおいた」がこのローターを採用しています。自転車パーツとしての国内代理店は、nask tradingです。
SHIMANO「RT-MT900」
かつてはシマノのXTRに位置付けられていた「RT-MT900」ですが、現在はロード用ディスクローターのDuraAceグレードにも位置付けられています。
SHIMANOのディスクローター。グレードはXTR。今回は160mmサイズのレビューです。 購入動機 INFINITO CV用に購入しました。 [sitecard subtitle=関連記事 url=https://cannonb[…]
私もかつてはメインのローターとして使用していました。
性能としては危なっかしいところもなく、耐久性もそれなり(体重が重くても8000km程度は持つ)にあります。
ただ、シマノの上位製品はアイステクノロジーという冷却のための仕組みが適用されており、アルミの芯材をステンレスで挟み込む構造をしています。アルミとステンレスの熱による膨張率に差があるため、高温状態では左右どちらかに曲がりやすく、そこが気になって私は使わなくなってしまいました。一応、冷めると元に戻ります。
RT-MT900は実はかなり軽く、140mmで88g。世界最軽量のGalfer(76g)やNOW8(77g)と比べても大きな差はありません。大手メーカー製品なのに、キワモノ軽量パーツとも勝負できる軽さを実現しています。
そして更に驚くべきは、ひとつ下のグレードの「RT-MT800」も公称重量は同じであること。低価格で軽量です。
例えば、軽量パーツで有名なKCNCの「カスディター」という製品がありますが、こちらは140mmで67g。しかし6穴タイプであるため、センターロックのホイールに付けるためにはアダプタが必要です。
このアダプタもKCNCで揃えると29gであるため、合計重量は96g。実はRT-MT900/RT-MT800の方がセンターロック運用では軽いんですよね。
下手な軽量パーツに手を出すよりも、シマノの上位パーツを使うほうが安全面も考えると良いと思います。
SwissStop「Catalyst」
現在、私が使用中のローターです。軽くはないのですが、制動力がしっかりしており、高温でも曲がりにくい点が気に入っています。
そろそろSwissStopのディスクローター「Catalyst」のレビューを書こうかな……と思って検索していたら、代理店のフタバ商店のサイトに新製品が追加されているのを発見。 まだ本国サイトにも情報が出ていないので正確なデータは分かり[…]
2022年から「Race」「Pro」「One」という3グレードに分かれました。私が使っているのは、現在で言う「Pro」グレードになります。
最高峰のRaceグレードは軽量に仕上げられており、かつてのシマノのロード用の上位製品と同程度の重量となっています。
Campagnolo「03 AFS」

カンパニョーロもディスクローターを販売しています。
2種類あり、軽いほうが「03 AFS」、重い方が「Steel Spider AFS」です。前者はスパイダー部分がアルミで、後者は鉄になっています。
軽い「03 AFS」は140mmで99gと、これも中々の軽さを実現しています。使った人の話を聞くと性能も上々。
私も、今使っているSwissStopが寿命を迎えたら、次はこれを使おうと思っています。
まとめ
現在手に入るセンターロックタイプのロードバイク用ディスクローターについて、重量の調査結果を紹介しました。
重量に着目した一覧となっていますが、個人的にはブレーキ用部品は信頼性を重視したほうが良いと思っています。私は軽くはないSwissStop「Catalyst」を使っていますが、それも制動力と耐久性を重視しているからです。
それでも軽量性を求めるならば、実はシマノの上位製品を買うのが現状一番正解だと思います。トップクラスに軽い上に、性能や耐久性も平均以上。価格もそんなに高くはありません。
「シマノはつまらん」という人は、カンパのローターも良いと思います。「03 AFS」であれば、軽量性と性能を両立出来ているはず。
この一覧が、皆様のディスクローター選びの一助となれば幸いです。
著者情報
年齢: 37歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: BIANCHI OLTRE XR4(カーボン), QUARK ロードバイク(スチール)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)
# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせて頂きました。