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DURA-ACE(R9200)、ULTEGRA(R8100)について気になったこと
新型デュラエース(R9200系)とアルテグラ(R8100系)が発表となりました。
詳細な情報は各種ニュースサイト(サイクルスポーツ・シクロワイアード・La route)やシマノ公式を見ていただくとして、この記事では私が各コンポについて気になったことをつらつらと書いていきます。
DURA-ACE R9200系について
従来の9100系からの変更点をざっくり書くと以下の通り。
→ 変速の基盤技術もHGからHG+に変化。チェーンはMTB用と共通に。
・基本的に電動変速のみになる。
→ ワイヤー式変速もラインナップされるが、9100系の継続という扱い。
・ディスクブレーキ/リムブレーキの両方をラインナップ。
→ ディスクブレーキ用のみセミワイヤレス変速に対応。
→ リムブレーキ用はR9100系とほぼ同じもので、段数のみ12速に。
セミワイヤレス変速
来ましたね、セミワイヤレス変速。
といってもディスクブレーキ用のみでリムブレーキ用は従来どおりの有線ですが。諸々の事情でリムブレーキ用のワイヤレス変速は見送られたそうです。La routeの記事にはその辺りの理由についても書かれていたので、気になる方はそちらを確認してください。
電池の持ちは、STIが「1年半~2年」、RD&FDが「1000km」とのこと。シマノのDi2は公称よりも距離は持つことが多いので、1200kmブルベくらいなら充電なしで乗り切れそうですね。本州一周とかだと多分無理。
セミワイヤレス変速自体は噂通りでしたが、RD(リアディレイラー)に従来のジャンクション機能などを搭載し、事実上の心臓部として機能するというのには驚きました。それだけに、価格も88704円とRDとは思えない価格となっています。
リアディレイラーと言えば、破損しやすいパーツでランク付けをしたら上位入賞間違いなしのパーツ。そこにそんなコア機能を押し込むのはちょっと怖いように思うのですが……。
シマノ公式が行ったYoutubeライブでは、「シャドーディレイラーにしたことで接地しにくくなった」「モーター等の重要なパーツは接地しない位置に配置している」とシマノの技術者の方が述べてはいましたが……それでもやっぱり壊れやすい気がします。
2022年のロードバイク必須装備がこれになりそう。 pic.twitter.com/Gq6Roy6IQL
— ばる (@barubaru24) September 1, 2021
こんなジョークをツイートしてみましたが、本気でこの手のアイテムが必要となるかもしれません。88000円のRDですからね。守れるなら守りたい。
一応、こちらのディレイラーガードはスルーアクスルにも対応しているようです。
……そういや、噂になっていた「STIの振動発電」は入りませんでしたね(R9200はコイン電池がSTI内に入る)。R9300以降に実装されるんでしょうか?
クランクの構造変化
Cyclowiredの記事で目に付いたのが以下の写真です。
コンポーネントの顔とも言えるクランクは構造から見直しが図られ、駆動剛性を増すために先代比較で左右クランクアームが太くなった。
さらに従来接着工法を採用していた左クランクは中空鍛造による一体成型品に進化。
Twitterを見ていると、結構な頻度で9000系・9100系のクランクの接着部分が剥がれた画像が流れてきます。接着工法ではなく一体成型にしたのはその辺りの対策をしたんだろうな……と思ったんですが。
「左クランクは」という但し書きが気になります。この書き方だと、恐らく右クランクは従来どおりの接着工法だろうと推測されます。また同じことを繰り返さないと良いのですが。
スペックを見てみると、9200系のクランクのほうが重くなっていることに気づきました。
624g (52-36T)
614g (50-34T)
■R9200
692g (52-36T)
685g (50-34T)
フロント変速がやたら早い
サイクルスポーツのYoutubeチャンネルに早速R9200実機の動画が上がってるのですが。ぶっ飛んだのがフロント変速の早さです。
実際に見ていただくと分かりますが(動画の11:14あたりから)、とにかく早い。特に力が必要な、インナーからアウターへの変速が従来よりも格段に早くなっています。
広報資料を見ると、「R9200のフロント変速は、R9100のリヤ変速並に早い」そうです。しかも、トルクを掛けながらでも変速が可能だとか。私がロードバイクを始めた頃は「変速時はトルクを抜け!」と教わったものですが、その辺りの常識も変わってくるんですかね。
ディスクローターがXTRと共通に
R9200では、R9100まで使っていたディスクローターが廃止となり、XTRのローターと共通化されました。
このローターですね。私はずっとロードバイクにこのXTR用ローターを使ってきましたが、それをシマノ公式が追認したことになります。
「放熱性がXTRの方が高く、曲がりにくいから共通化した」と理由が説明されていましたが、それならばSM-RT900(旧デュラエースのローター)の存在意義とは何だったんでしょうか。フィンが大きいから冷却効率は上なのだろうと思っていましたが……ただ横風を受けやすいだけだったということ?
なお、新しいディスクブレーキキャリパーはローターとのクリアランスが10%広くなって、シャンシャンという音鳴りがしにくくなったそうです。アレは地味にストレスだったので嬉しい。
新ホイール
R9200系のホイールも合わせて発表されました。
リムブレーキ用はチューブラーのみ、ディスクブレーキ用はチューブレス・チューブラーの2系統がラインナップされています。
気になったのは、ディスクブレーキ用のチューブレスホイール。全体的にかなり軽くなってます。
ハイト別に、36mm/50mm/60mmとありますが、36mmハイトはリム内幅が21mmにもかかわらず、前後で1350gとかなり軽量。ちなみにチューブラーだと1154g。ディスク用としては他社と比較しても相当軽いですが、何か技術革新があったんでしょうか。
また、ハブも従来のラチェット方式から、フェイスラチェット方式の「ダイレクトエンゲージメント」に変更。Onyxハブに手を出した人間としては、特殊なハブ構造はちょっと気になります。
ULTEGRA R8100系について
R8100系もR9200系と同時に情報公開。と言ってもデュラエースほど詳しい情報はまだ出ていません。
R8100系は、大部分がR9200系を踏襲したモデルになるようです。Youtubeライブでは、「アルテグラのホイールのハブは従来のラチェット方式である(ダイレクトエンゲージメントではない)」「ディスクブレーキキャリパーが、デュラエースは1ピース、アルテグラは2ピース構造」との差異が説明されていました。
まとめ
昨夜はリアルタイムでシマノのティザーサイトのカウントダウンを眺めていました。
カウントダウンが0になっても何も起こらず、「?」となっていましたが、サーバが混み合って接続できていなかったようですね。深夜1時になると同時に各メディアが一斉に記事を公開したので、それらを夜中に読み漁りました。
しかし、愛するワイヤー変速が消えてしまったのは残念です。電動変速も使ってはいますが、ワイヤーにははワイヤーの良さもあります。今回の発表で、リムブレーキとワイヤー式変速の両方をそろそろ手放さなければならないことを突きつけられた形となりました。
実は最近、グロータックのメカニカルディスクブレーキが気になって導入の皮算用をしていたのですが、今回の発表で再検討を余儀なくされました。まさか電動一本になるとは思っていなかったので。
セミワイヤレス変速も魅力的ですし、そのうちディスクロードはR8100系で置き換える可能性が高くなってきました。ブレーキキャリパーとクランクだけはR9200にすると思いますが。
全国的にパーツ不足の昨今なのでいつになるか分かりませんが、機会があれば、R9200・R8100の試乗を早く行いたいですね。近隣のショップの試乗会情報をチェックしておこうと思います。
著者情報
年齢: 37歳(レビュー執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: QUARK ロードバイク(スチール), GIANT ESCAPE RX(アルミ)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)
# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせて頂きました。