スタートは何時にする? 2017年版

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6年前に書いたこの記事。今は意見が変わっているので、現在の私の考えを書いておきます。恐らく、年齢や経験によっても考え方は異なるので、あくまで私の現時点の考えです。

目次

スタート時間決定の考え方

この6年で何度となく東京大阪間を走りましたが、今の所行き着いた答えは、「東京と大阪は早朝に持ってきたほうが良い」です。すなわち、24時間以内の完走を目指す前提ならば、スタート時間も早朝(5~7時)ということになります。

理由については以下の3点が挙げられます。

都市圏の渋滞回避

やはり大都市圏の昼間から夕方と言うのは、どうしても車の量が多くなるもの。東京周辺なら小田原あたりから、大阪周辺なら京都あたりから道が混みます。車が流れていれば良いのですが、渋滞状態になってしまうと厄介です。

その点、スタートとゴールが早朝ならば、その周囲の都市圏を深夜に通過することになります。例えば、大阪を6時半に出発して達成ペースで走った場合、小田原は2時頃の到着となります。その時間帯ならば、藤沢も横浜も道はガラガラです。

夕方の渋滞回避

またしても渋滞ネタですが、どこの都市に行っても、基本的に17~19時の時間帯は混みます。特に路肩の狭い場所(四日市~桑名や、小田原~大磯)で夕方を迎えると身動きが取れなくなります。

私が夕方を迎える場所としてベストと考えているのは、浜名湖バイパスです。具体的には、潮見坂~天竜川駅の約30kmの区間。路肩も広く、車線も多いのでまず渋滞をしないのが特徴。

大阪スタートの場合、240~270km、東京スタートの場合、250~280kmの区間です。達成ペースの場合、スタートから10~11時間で辿り着くことになるでしょう。朝6~7時に出発すれば、ちょうど浜名湖あたりで夕方を迎えることになります。

生活リズムが崩れない

これが意外と重要。早朝出発にする最大のメリットかもしれません。普通に朝起きて夜寝る生活をする人はこれだけでも成功率が上がると思います。

深夜出発にすると、その前に仮眠をとる必要があります。普段から夜型生活をしている人ならまだしも、意外と昼間にガッツリ寝るのは難しいものです。結局あまり眠れずスタートを迎え、途中で眠くなって失速……ということが有り得ます。更に、眠くなるのは危険が危ない。

それに比べると、いつも通りのリズムで眠って、ちょっと早起きしたくらいでスタート出来る早朝スタートは、よく眠れる可能性が高いのです。ちゃんと眠れれば本来の力を出すことが出来るはずです。ちょっと奮発して、スタートからなるべく近い宿を取ると、睡眠時間を多く確保出来ます。

個人的なベストプラン

以上から、私が考える現状のベストプランは以下です。

大阪発の場合

午前6時30分 出発が最適と考えます。

・ホテルでぐっすり寝てからスタート出来る。
・大阪、東京が早朝になるので、周辺の都市圏の道も空いている。
・浜名湖バイパスを17時~18時頃に通過できる。

等々のメリットがあります。実際、2014年と2015年のFlecheでは、この時間をスタートにして2年連続の「大阪→東京」を達成ペースで走っています。

注意すべきは、四日市~名古屋エリアと、箱根エリア。四日市~名古屋をお昼時に通過することになるので、結構渋滞します。夕方ほどではありませんが。箱根はガッツリ深夜になります(0~1時頃通過)。明るいライトを持っていきましょう。

※箱根の寒さについて (2019/4/16追記)

最近、箱根の寒さで調子を崩す方が多かったので注意点を追記します。

睡眠リズムを崩さずスタート出来るため眠くなりにくいメリットがある「大阪早朝発」プランですが、前述の通り箱根はガッツリ深夜になります。箱根峠の標高は846m。箱根手前の三島の標高は39m。約800mを一気に登ります。100m標高が上がるごとに0.6℃気温が下がるため、箱根峠周辺の気温は麓に比べて約5℃低いことになります。

以前はキャノボ的にはオフシーズンだった冬季(12-3月)。風向きが安定することもあり、近年はこの時期に決行する方も増えています。しかし、この時期の挑戦には特に寒さへの対策が必要です。昼間は15℃近くある時期でも、夜間の気温は7~8℃まで下がりますが、箱根峠の気温は前述のように更にそこから5℃下がります。最初から最後まで同じウェアで通すことはなかなか難しいでしょう。特に寒さに弱い自覚のある方は、十分に対策をすべきです。

冬季に決行するにあたり、考えられる対策を2つ上げておきます。

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(1) 防寒対策をする
当たり前ですが、寒さに備えた装備を持つ方法です。とはいえ、キャノボは軽装が有利。出来ることなら最小限の荷物で済ませたいもの。

軽量かつ防寒に効果的なのは、「ウインドブレーカー」「ネックウォーマー」です。80g程度の薄いウインドブレーカーの一枚でも、有るのと無いのとでは、保温性には格段の違いがあります。また、首元から吹き込む風を防ぐネックウォーマーは、100円ショップで売ってるペラペラなものでも汗冷えを防ぐ効果があります。双方合わせても100g程度。保険として持つ価値はあります。

着込むタイミングは、三島側から登ったピークの箱根峠の信号を目安に。ここから芦ノ湖まで100mほど下るのですが、何も対策しないと、そこまでのヒルクライムでかいた汗が一気に冷やされます。これをウインドブレーカーとネックウォーマーで防ぐわけです。

それでも寒い場合は、芦ノ湖のセブンイレブンで追加の防寒装備を買います。由緒正しく胸に新聞紙を入れるのも良いですし、10~3月のシーズンならばカイロも手に入ります。私は4月の深夜に指抜きグローブで箱根に登ったら寒すぎて、ここで軍手を買ったこともあります。

余談ですが、芦ノ湖のセブンイレブンは24時間営業ながら、23時でイートインが閉鎖されるそうです。また、近くにあるローソンは24時間営業ではなく、深夜1時で閉店します。

(2) ルートを変える
近年は、箱根を通らず御殿場を抜けるR246ルートが人気を集めています。防寒の観点でも、こちらのルート選択は有効です。

R246ルートの場合、最高標高は御殿場駅前の460mとなります。三島からの気温差は2.7℃ほどと、箱根峠まで登る場合よりも幾分下げ幅が少なくて済むわけです。ただし、箱根を通る場合より多少ルートが複雑になるので、ルートの予習は忘れずに。あと、箱根よりも寒さがマシなだけで、冬季はやっぱり御殿場も寒いので、ウインドブレーカーの1枚は持っておいたほうが良いでしょう。

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以上、冬季に大阪早朝発プランで決行する場合の注意点でした。

出来れば冬季は外したほうが気温的には有利なのですが、にわか雨の確率が上がったり、冬季ほど風向きが安定しないのは悩ましいところです。

スタート時刻を変えて、箱根を昼間に持ってくるのも一つの対策です。その場合はスタートが夕方~夜間になります。ブルベの世界では「夜スタートのブルベは難易度が上がる」と言われています。これは、眠くなるリスクが上がるためだと私は考えています。

もし、そういったプランを選ぶ場合は、夕方スタートで朝まで走って眠気の出方を確かめて見ることに加えて、スタート直前にはホテルで十分に睡眠を取るようにしてください。と言っても、普段寝ない昼間に眠るのは中々難しかったりするのですが。私も最初に大阪→東京を達成した際は夜スタートで昼間にホテルで寝たのですが、寝付くまでに結構時間が掛かりました。その辺りも含めて、事前にシミュレートが必要だと思います。

東京発の場合

午前6時がベターだと考えますが、断言はできません。

大阪発の場合とほぼ同様ですが、前半に箱根が挟まるので少し早い時間のスタートにしています。また、桑名~四日市の区間が22時過ぎになるので、交通量はグッと減るはずです。

注意すべきは、鈴鹿または伊賀の区間。がっつり深夜です。あの辺りは夜間、道に鹿が出てくるので注意したほうが良いでしょう。

あと、難しいのは静岡の風の強さです。「遠州のからっ風」とも言われるように、静岡では強い風が吹く事が多いのです。東京発の場合は向かい風になることも多いもの。そして、風は昼に強く吹き、夜には弱まる傾向があります。

【参考】Q:天気予報をみると、全般的に夜から朝にかけて風は弱いが、日中になると強くなるのはなぜですか?
http://web.sugiyama-u.ac.jp/~yamane/kisho/yohosi/q&a.html

海沿いの静岡県は、その傾向が強く出ます。これを踏まえると、静岡を夜に回すのも、一つの戦略かもしれません。東京発については、「これがベストのスタート時間だ!」と言う答えが未だになかなか見つけられないでいます。

(完)

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この記事を書いた人

ロングライド系自転車乗り。昔はキャノンボール等のファストラン中心、最近は主にブルベを走っています。PBPには2015・2019・2023年の3回参加。R5000表彰・R10000表彰を受賞。

趣味は自転車屋巡り・東京大阪TTの歴史研究・携帯ポンプ収集。

【長距離ファストラン履歴】
・大阪→東京: 23時間02分 (548km)
・東京→大阪: 23時間18分 (551km)
・TOT: 67時間38分 (1075km)
・青森→東京: 36時間05分 (724km)

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