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FC-R9100-Pがパワー値を送信しない場合の対処法
約一ヶ月前に購入したシマノのパワーメーター「FC-R9100-P」。
早速トラブルが出ましたが解決したので、その解決法を書いておこうと思います。
トラブル内容
ある日、走っているとサイクルコンピュータ(Edge830)の画面に表示させているパワー値が0Wのまま動かなくなってしまいました。
サイコンをもう一台のパワーメーターとペアリングしてみるとパワーが表示されることから、どうやらサイコン側の問題ではなさそう。となると、パワーメーターであるFC-R9100-Pの問題ということになります。
また、パワー値だけではなく、ケイデンスや左右バランスと言ったFC-R9100-Pから送信される各種項目も全て表示されません。やはりFC-R9100-Pに問題があることは間違いないようです。
対策(マニュアル参照)
まず、トラブルに遭遇した時に見るべきはマニュアルです。
製品に付属していたマニュアルを見ると、「トラブルシューティング」の章があり、以下のように書かれていました。
パワーが表示されない | お使いのサイクルコンピューターと無線接続ができていない可能性があります。 無線接続をおこなってください。 |
バッテリーが消耗している可能性があります。 バッテリー残量を確認してください。 バッテリー残量が少ない場合は、バッテリーを充電してください。 |
|
左クランクの接続コネクターが外れている可能性があります。 アウターキャップを取外し、コネクターが接続されているか確認してください。 |
上から対策を実行してみることにしました。
無線接続がされていない?
サイコンの接続機器一覧を見てみると、パワーメーターは接続の表示になっていました。
パワー値が表示されないだけで、無線接続は出来ているようです。
バッテリーが足りない?
マニュアルを見る前から疑っていたのが「バッテリー切れ」でした。ただ、FC-R9100-Pの公称ランタイムは300時間。購入から一ヶ月でそんなに使用した覚えもないのですが。
FC-R9100-Pは電池の残量を確認できる機能があります。
画像で示したスイッチを押すと、隣にあるLEDが電池の残量に応じた色で点灯します。
・赤: 残量20%以下
・点灯しない: 残量0%
コネクタが外れている?
FC-R9100-Pは左右のクランクをコネクタで繋いでいます。
このコネクタが衝撃や振動で外れてしまった可能性があるので、一度抜いて挿し直し。
それでもやっぱり、サイコンにはパワーもケイデンスも表示されませんでした。
ハードウェアリセット
ここまでやってどうにもならなかったので、かくなる上はリセットです。大抵の電子機器にはハードウェアリセットの方法が用意されています。
FC-R9100-Pのマニュアルにも、よく見るとリセットのやり方が書かれていました。
本製品が正常に動作しない場合、ハードウェアリセットをおこなうことで復旧する場合があります。
(ハードウェアリセットをおこなう前に、まずはトラブルシューティングを参照してください。)1. コントロールユニットのボタンを15秒間押し続けます。
2. ハードウェアリセットが完了すると、LEDが点灯しバッテリー残量を表示します。ハードウェアリセット完了後に再度動作を確認し、それでも解決しない場合は販売店または代理店へご相談ください。
ボタン=電池残量を確認する時に押すスイッチ、ですね。
スイッチを15秒間押すと、LEDが緑色に点灯しました。ハードウェアリセット完了です。
残念ながら、今度もサイコンにはパワーが表示されませんでした。
対策(お客様相談室で聞いた方法)
さて、だいたい出来ることはやりましたが、解決していません。
マニュアルにも「ハードウェアリセットで解決しない場合は代理店に相談」と書かれています。代理店の連絡先はマニュアルには書かれていませんでしたが、「お客様相談窓口」の番号が書かれていたので、そちらに電話してみることにしました。
質問内容
この手の相談窓口にしては珍しく、一発で電話が繋がりました。
故障内容と対策内容(マニュアル記載のトラブルシューティング内容と、ハードウェアリセット)を挙げ、それでも解決しない旨を相談しました。
まず、聞かれたのは「ケイデンスは表示されますか?」ということでした。今回、クランクを回しても自動的に通信が開始されなかったことが、担当者の方は気になったようです。どうもケイデンスの感知が通信開始の合図になっているようでした。通信が始まらないということは、「ケイデンスが上手く認識出来ていない」ということですね。
そして、担当者の方からは2つの対策が示されました。
対策1: 磁石を振ってみる
FC-R9100-Pは、フレームに貼り付けた磁石の前をセンサーユニットが通過することでケイデンスを計測しています。
センサーユニットは、このスイッチが付いている部分のことです。この裏側にケイデンスセンサーが付いています。
冷蔵庫に張り付いていたマグネットを持ってきて、クランクの裏からセンサーユニット周辺で左右に動かしてみました。すると、サイコンからパワーメーターを探知した音が。ケイデンスを認識したことで、通信が開始されたようです。
このことから、担当者の方が睨んだ通り、「通信が開始されない理由はケイデンスを検知できていなかったから」ということが明らかになりました。
ただ、特にフレーム側に貼り付けた磁石も動かした覚えはないですし、動いた形跡もないのですが。なぜ急にケイデンスを認識しなくなったのかは不明なままです。
対策2: スーパーリセット
もう一つ、担当者の方が示した対策は「スーパーリセット」です。
どうやらハードウェアリセットよりも更に強力なリセットが別にあるとのことでした。この方法はマニュアルにも書かれていないので、具体的な方法はここには掲載しません。お客様相談室に電話すれば教えてもらえると思います。担当者の方からは、「これで解決しなければ製品を実際に送ってもらうことになります」と言っていました。最後の手段のようです。
早速、スーパーリセットを実施した所、クランクを回すだけでサイコンがパワーメーターを探知し、ケイデンスを表示するようになりました。つまり、ケイデンスを認識しない状態が解消されたことになります。ただ、やはりパワー値は表示されないままでした。
そういえば、零点補正をしていないことを思い出し、パワーメーターを制御するためのE-Tubeアプリを起動。零点補正を指示通りに行った所……パワー値が表示されるようになりました!
道のりは長かったですが、ようやく問題を解決することが出来ました。
まとめ
FC-R9100-Pがパワー値を送信しなくなった場合の対策について述べました。
使用開始からたった一ヶ月で問題が出たのはちょっとアレですが、SHIMANOのお客様相談室は問題の切り分け方法と解決策を的確に示してくれました。
基本はマニュアルのトラブルシューティングだけで何とかするのが一番ですが、それでもどうにもならない時にはお客様相談室に電話すると意外とあっさり解決するものだなぁ、と思ったのでした。同じようなトラブルに遭遇したどなたかのお役に立てば幸いです。
追記(2020/6/3)
不調の原因が判明したかもしれません。
一度は解決したかに見えた「パワーメーターの数値が0になる問題」でしたが、再発。今度はリセットしても直らずに途方に暮れていました。いよいよこれはメーカー送りか?と思ったのですが、一つ実験をしてみた所、問題が解決したので追記しておきます。
原因
恐らく、「フレームに貼った磁石の位置が良くない」のが原因でした。
FC-R9100-Pは、フレームに磁石を貼る必要があり、付属のツールで位置決めをします。マニュアルには、「ツールの先端から5mm以内に磁石が来るように設置する」という指定があります。貼り付ける時にはその指示に従ったつもりでしたが、若干遠かったのではないかと推測しました。
検証
果たして本当にそれが原因か分からないので、一つ検証を。
磁石の位置を変えるにはクランクを外さなければならず面倒なので、一旦「ネオジム磁石を、元の磁石の上に重ねて付けてみる」という実験をやってみました。磁力だけで十分そうでしたが、一応振動で落ちないように両面テープで貼り付け。センサーまでのクリアランスは確実に5mm以下になりました。
この条件で走行してみた所、「パワーメーターの数値が0になる問題」は起こりませんでした。
そもそも磁石の位置が悪ければ最初からパワーを認識しないはず。なのに、パワーを認識することもあれば、認識しないなんてファジーなことが起こりうるのか!?とは思うのですが。どうやら原因は磁石の位置にあるようでした。
対策
クランクを外して、磁石を貼り直すことにしました。
磁石は両面テープで貼られています。一応、FC-R9100-Pには2枚の両面テープが付属しているんですが、最初の取り付け時に変な位置に貼ってしまって1枚ダメにしてしまいました。つまり、両面テープの在庫は既になし。
汎用の両面テープでも問題ないかもしれませんが、塗装を傷めたり、磁石が脱落しても嫌なので、やはり専用のテープを買うことにしました。
FC-R9100-P用のマグネットセットは、補修部品として買うことが出来ます。欲しいのは両面テープだけですが、そこまでバラ売りはしていないので、このセットを購入。
クランクを外し、今度はかなり慎重に磁石の位置決め。ツールの先端と触れるか触れないかのギリギリの位置に磁石を貼りました。
この状態で数回走りましたが、「パワーメーターの数値が0になる問題」は再発していません。
まとめ
ということで、パワーメーター不調の原因は磁石の位置だったようです。私の作業精度が悪かったということですね。製品を疑ってすみません。
この磁石をセンサが認識しないとそもそも何も始まらないようなので、磁石の位置はかなり重要です。5mmの位置を目で計測するのはかなり難しいので、当たるか当たらないかのギリギリに貼ってしまうのが良さそうですね。
著者情報
年齢: 35歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: QUARK ロードバイク(スチール), GIANT ESCAPE RX(アルミ)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)
# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせて頂きました。