【レビュー】imezi「チューブレスタイヤシーラント」

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評価:4

imeziのシーラント。ノーマル版(Thinタイプ)と、マイクロファイバー入り版(Micro Fiberタイプ)の2種類がありますが、本記事では両方をレビューします。

目次

購入動機

フックレスリム(チューブレス専用)をブルベに投入するにあたり、使い始めました。

パンク時の対応を考える

チューブレスタイヤの運用にあたって、個人的に一番の懸念は「パンクしたときにどうするか」です。

プロ選手がレース中に使うのであればサポートカーから新しいホイールごと貰えばOK。しかし、自己完結が基本のブルベではそういうわけにはいきません。自分で修理する必要があります。

大きくは以下の3つに分かれるでしょう。

  1. タイヤを外さずに修理する(パンク修理剤や、プラグ式の修理キット等)。
  2. タイヤを外して修理する(チューブを入れてクリンチャー運用)。
  3. 車を呼んでリタイヤする。

最初は1の可能性を模索していたんですが、パンク修理剤でもプラグ式でも穴が塞がらなかった経験はあります。かといって、3は選びたくありません。

そうなると、残されたのは2。タイヤを外してチューブを入れる方法。面倒ではありますが、確実に復帰できる方法です。

ただ、チューブを入れるに当たって厄介なのがシーラントの存在。シーラントは徐々に水分を失ってタイヤの中で固まっていくもので、「半分液体・半分固体」のような状態になっていることが多いもの。

チューブを入れるにあたっては完全に除去する必要はないものの、ある程度はシーラントを除去しておきたいところです。固体になったシーラントが残ると、そこの部分だけゴツゴツ感が生じることもあるようなので。昨今流行りの粒子入り(クルミの殻やマイクロファイバー)のシーラントの場合、粒子が残るとチューブを傷つけそうなイメージもあります。

「固まりにくく水で流せる」シーラント

そこで登場するのが今回レビューするimeziのシーラントです。行きつけの店であるサイクルキューブで推薦頂きました。

こちらのシーラントの特徴は「タイヤの中で液体のままでいる時間がかなり長い」こと。キューブ店長によると、「グラベルロードのタイヤを一年経って外してもまだ半分くらいは液体として残っていた」とか。乾きの早いシーラントだと、3ヶ月もすればすべて乾いて固体になっていることもあります。

また、「シーラントが液体状態のままなら、水で洗い流し・ウェスで拭き取り可能」という点もありがたい。パンクしてもウェスを持ち歩いていれば、シーラントを拭き取ってチューブを入れられるということです。

加えて、imeziのシーラントはアンモニア不使用で臭気が弱いのも良いところ。アンモニア使用のシーラントだと拭き取ったウェスが臭くてたまらないですし、肌荒れにもつながることがありますので。

ただ、「固まりにくい」ということは、「パンク修理能力はそれほど高くない」可能性が高いのも事実。今回はパンク修理能力には期待せず、パンク時には即諦めてチューブを入れることとし、imeziのシーラントを採用してみることにしました。

製品概要

合成ラテックスベースのシーラント。イギリス製です。アンモニアは不使用。

通常のThinタイプ(6mm穴まで)と、マイクロファイバー入りのMicro Fiberタイプ(7mm穴まで)があります。

公式サイトには以下の説明があります。

  • 他社に比べて液体のままタイヤ内部で長く持続し、ダマになりにくく、ホイールバランスを崩すことなく、必要に応じて追加して使えます。
  • シーラントが液体状態のままなら、水で洗い流せ、お手入れがしやすい。

製造元は、農機具のタイヤ向けシーラントを主に生産しているOKOグループです。

使用感

ロードバイク用のタイヤに入れて使用しています。主な用途はブルベです。

ホイールは、COG’S「DR40HL-DB Aero-SP(フックレス)」、タイヤはHutchinson「BLACKBIRD TLR 30C」。

6月に組付けを行い、9月末まで4ヶ月弱使用しました。

質感・香り

左: Thinタイプ、右: MicroFibreタイプ

Thinタイプは青みがかった白、Micro Fiberタイプは少し黄色みのある色をしていてチョコチップ状のファイバーが入っています。

匂いに関しては、アンモニア的な刺激臭はないものの、有機溶剤的なツンとくる香りはあります。

組付け

今回、初期組付けにはMicro Fiberタイプを使用しました。

さて、シーラントの入れ方にも流派があります。

  1. リムとビードの隙間からシーラントを入れる。
  2. バルブコアを外してバルブからシーラントを入れる。

私は2の「バルブから入れる」派です。

シーラント量の目安としては「タイヤの太さと同じml(30Cなら30ml)」と言われることはあります。ロードタイヤだと30ml位を入れる人が多いはず。

ただ、imeziのシーラントはそれよりも多めに入れることを推奨されています。以下、公式の基準です。

シーラント量の基準
  • ロードレース用: 30~50ml
  • 26”MTB & 650B: 60~80ml
  • 700C, e-bikes & Cross: 50~60ml
  • 27.5/29″ MTB: 80~120ml

私は50mlずつ入れて組み付けました。重量的には少し不利になります。

組付け終了後、回してみたり横に振ってみたりして、シーラントをビードとリムの隙間に行き渡らせました。

シール能力(組み付け時)

シーラント=パンク修理剤、と思われがちですが、大きく分けて2種類の役割があります。

シーラントの役割
  1. 組み付け時に微小な隙間を埋めて空気漏れを防ぐ。
  2. パンク時に穴を塞ぐ。

シーラントはSealant(隙間を埋めるもの)と書くので、主な役割は1のはずです。

imeziのシーラントは1のシール能力は非常に優秀なようで、組み付けてすぐの空気圧低下は0.2気圧/24h程度。一度走って馴染みを出した後の空気圧低下は0.1気圧/24h程度と、ブチルチューブ(0.2気圧/24h程度が普通)よりも抜けが遅い結果になりました。タイヤ・リム・チューブレスバルブの相性もあるでしょうが、これはかなり優秀な値です。

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固体になりにくいシーラントとして過去にVegetalexを使いましたが、これはシール能力が非常に低かったです。組み付けても空気漏れが非常に多く(0.4気圧/24h程度)、1ヶ月くらいで使用をやめてしまいました。

似たような特性を持つimeziのシーラントもシール能力は低いのでは?と思っていましたが、その予想は裏切られました。

シール能力(長期)

長期のシール能力についても書いておきます。

前輪の空気圧低下

組付けから3ヶ月弱経過した8月後半になって、急に前輪の空気圧低下が大きくなりました。0.1気圧/24hが、0.5気圧/24h程度に。ちょっとこれは見逃せません。なお、後輪の空気圧低下は特にありません。

よく見ると、タイヤとリムの間からシーラントが漏れた跡があります。フックレスタイヤの場合、タイヤに対して横の力がかかった際に「ゲップ」と呼ばれる現象が起こると言われていますがそれでしょうか? 4気圧入れているロードタイヤではちょっと考えにくいですが。

こういう場合はシーラントを追加で入れるのが定跡。20mlほど入れて走ってきましたが、空気圧低下の具合は変わらずでした。

もしかすると「マイクロファイバーがタイヤとリムの間に入り、そのせいでタイヤとリムに隙間が出来ているのではないか?」と推測。とはいえ、乾きにくいimeziのシーラントは捨てがたいので、マイクロファイバーの入っていないThin版に入れて変えて組み付け直すことにしました。

前輪の再組付け

一度、タイヤをリムから外し、風呂場で洗浄。タイヤ裏面にうっすらとゴムの層は出来ていましたが、ほとんどは液体の状態で残っていました。3ヶ月でこれだけ液体なのは凄い。これならば仮に出先でパンクしても、ウェスで拭き取ってチューブを入れることは容易だと思いました。

タイヤをリムに装着。今度はThin版のシーラントを50ml入れました。

その後、10月の現在に至るまで空気圧低下は0.1気圧/24hを保っています。

後輪の空気圧低下

9月下旬に出走したブルベ「霧立400」は、imeziのシーラントを入れたチューブレスタイヤで出走しました。この時点では、前輪「Thin版」、後輪「Micro Fiber版」という状態です。

スタート直前に、前輪4.1気圧、後輪4.3気圧に設定。そしてゴール直後に空気圧を測定したのですが。前輪は4.06気圧とほぼ変化なしだったのに対し、後輪は3.68気圧まで低下。なんと0.6気圧も落ちていたのです

タイヤとリムの間を見ると、やっぱりシーラントが漏れたと思しき跡が。この要因がシーラントなのか、それともフックレスリムなのかは不明ですが、チューブレスシステムの空気保持の不安定さに疑問を感じたのも事実です。

パンク修理能力

2000kmほど乗ったはずですが、パンクらしいパンクはありませんでした。もしかしたらパンクしていてシーラントが穴を埋めてくれた例もあるのかもしれませんが、それは観測できないので分かりません。

フレームにシーラントが付着している感じもなかったので、シーラントがトレッド面から吹き出すようなパンクはしなかったはずです。

冒頭に書いた通り、パンクをしたら即チューブを入れるつもりだったので、私はこちらの能力にはあまり期待していません。恐らく、他社の固まりやすいシーラントに比べるとパンク修理能力は低いものと思われます。

まとめ

乾きにくい特性を持ちながら、初期のシール能力は良好なシーラント。割とズボラな管理をしてもなかなか固まらないです。

パンク時の修理能力を期待しなければベストなシーラントだと思います。似た特性のVegetalexよりもシール能力が高いです。

Thin版とMicro Fiber版を使いましたが、個人的にはThin版の方が好きです。掃除時にマイクロファイバーを気にしなくて済みますし、本文中に書いたような「リムとタイヤの隙間にマイクロファイバーが入り込む(推測)」ということも起こらないからです。

結局、Micro Fiber版は、前輪(3ヶ月)、後輪(4ヶ月)で空気圧低下が早まる結果になりました。Thin版は使い始めて2ヶ月ほどですが、まだ空気圧低下が早まる兆候はありません。こちらは追ってレポート出来ればと思います。

評価

対象モデル:  imezi「チューブレスタイヤシーラント」
年式: 2024年
定価: 3000円
購入価格: 3000円

価格への満足度

6/10

タイヤ1本あたりの使用量が多めなので割安感はない。

総合評価

8/10

乾きにくい割にシール能力は高いシーラント。

著者情報

年齢: 40歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: GHISALLO GE-110(カーボン), QUARK ロードバイク(スチール)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)

# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせていただきました。

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この記事を書いた人

ロングライド系自転車乗り。昔はキャノンボール等のファストラン中心、最近は主にブルベを走っています。PBPには2015・2019・2023年の3回参加。R5000表彰・R10000表彰を受賞。

趣味は自転車屋巡り・東京大阪TTの歴史研究・携帯ポンプ収集。

【長距離ファストラン履歴】
・大阪→東京: 23時間02分 (548km)
・東京→大阪: 23時間18分 (551km)
・TOT: 67時間38分 (1075km)
・青森→東京: 36時間05分 (724km)

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