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MISSION「カーボンホイール 40mm」ファーストインプレッション
東京・稲城のショップ「TRYCLE」のオリジナルブランド・MISSIONのカーボンホイール(40mmハイト)を1ヶ月間レンタルし、レビューすることになりました。セットで119800円(税込)で、「ディスクブレーキ時代の定番ホイール」を目指して作られたとのこと。
レビューの経緯
まずはこのホイールをレビューすることになった経緯から。
6月中旬の依頼
6月中旬のある日、TRYCLE代表の田渕さんからメッセージが届きました。
「ようやくレンタル用のホイールが用意できたので、レビューをお願いできませんか?」
そのホイールとは、MISSION「カーボンホイール(40mmハイト)」。今年3月に予約開始、4月より販売開始された、TRYCLEのオリジナルホイールです。

定価は税込119800円。いわゆる中華ホイールと比べても更に安い価格なのに国内ショップが手掛ける安心感もあり、大きな話題を呼びました。
ただ、再三このブログでも触れてきた通り、私は腰を痛めてまして……特に6月半ばは腰の調子が悪く、ホイールのレビューをしっかり行える状態ではありませんでした。
そこで「すみませんが、1ヶ月ほど待ってください!」とお返事。その間は整形外科での理学療法士によるリハビリを頑張りました。
実は気になっていたMISSIONホイール
実のところ、個人的にもMISSIONのホイールは気になる存在でした。

40mmハイトで内幅23mmのホールレスリム。スポークは王道にして至高のステンレススポークであるCX-RAY。重量は前後セットで1390g。全てにおいて「丁度良い」という印象で、「こういうのが欲しかった」というスペックです。
レーサーやヒルクライマーの方は「もう一声!」と言いたくなるかもしれませんが、ロングライド系の人間にとっては相当ストライクど真ん中のスペックと言って良いでしょう。これ以上ハイトが高いと横風が厳しいですし。個人的には、マット仕上げではなく、クリアを吹いたグロス仕上げという所も良い。マット仕上げって汚れが落ちないんですよ。
これで価格が119800円。しかも、最初の100セットに限り99000円という驚きのプライスで予約を受け付けていました。
「買っちゃおうかな~」と思い、実は買い物かごに入れていました。……が、最終的には購入を思いとどまりました。理由は、「手持ちのホイールとかなりキャラが近い」からです。

私が現在メインで使っているホイールが、Reserve「34|37」というリムを、ハブとスポークを選んで手組してもらったもの。以下に、MISSIONホイールとのスペック比較表を示します。
| MISSION 40mm | Reserve 34|37 | |
|---|---|---|
| リムハイト | 前: 40mm 後: 40mm | 前: 34mm 後: 37mm |
| リム内幅 | 前: 23mm 後: 23mm | 前: 23mm 後: 22mm |
| リム外幅 | 前: 30mm 後: 30mm | 前: 30mm 後: 29mm |
| ハブ | オリジナルハブ (面ラチェット) | EQUALハブ (爪式) |
| スポーク | CX-RAY ストレートプル 24本 左右クロス | CX-RAY Jベンド 24本 左右クロス |
| リムホール | なし | あり |
| 重量 | 1390g | 1357g |
かなり近いスペックであることがお分かりになると思います。ハイトも内幅も外幅も大体同じ。スポークの種類も本数も組み方も同じ。大きく違うのはハブくらいのものです。
ReserveはMISSIONの登場する半年前に組んだものですが、私の考えるロングライド用として理想のスペックを形にしたもの。MISSIONもそれに近い答えを提示してきたということですね。
仮にReserveを組んでいなかったら即飛びついていたと思いますが、既にReserveが家にあるわけで。家のスペースも有限なので、一旦購入は見送ったというわけです。
ただ、私の理想に近い構成であったことは確かなので、ずっと気にはなっていました。
7月中旬、レビューを受諾
約束の1ヶ月が経過し、リハビリの甲斐もあって腰の調子も良くなってきました。そこで田渕さんにレビュー受諾の連絡をすると……
「では、TRYCLE宮ヶ瀬店で開発者の金田とお話してスポークテンション等の調整を行ってください」
み、宮ヶ瀬店……てっきり前回のFARSPORTSの時と同様に稲城店で受け取るものとばかり思っていましたが、今回のMISSIONホイールの開発者は宮ヶ瀬店の店長である金田さんであるとのこと。正直、病み上がりの状態で宮ヶ瀬まで行くのは結構「大丈夫かな」という心配はあったのですが、作り手の話を聞くのが重要なのも確か。

ということで、我が家から片道約50km離れたTRYCLE 宮ヶ瀬店に赴きました。なんとか腰は大丈夫でした。


金田店長から、開発者ならではの詳しい話を聞けたので、やっぱり行ってよかったですね。スポークテンションもある程度は好みに調整できるようでしたが、私はまずは「作り手の思い」を受け取りたいので、標準仕様でお願いしました。「一口も食べていないラーメンに胡椒を振るのは良くない」派です。

2日後、宅配便でMISSIONホイールが届きました。約1ヶ月間お借りしての長期レビューの始まりです。
MISSION「カーボンホイール 40mm」

MISSION「カーボンホイール 40mm」のファーストインプレッションです。
本記事執筆時点での使用距離は約100km。主な用途はブルベ・夜練です……が、お借りしている間には多分ブルベには出ないので、週末のロングライドでのテストになります。
パッケージ内容
素の状態ではホイールのみ。他に何も付属しません。
オプション購入で、チューブレスバルブやデカールが購入可能となっています。私が借りた個体は、オイルスリックカラーのデカールが貼り付けられていました。
中華ホイールだと予備スポークが付属することが多いですが、本ホイールのスポークは手組みでも定番のCX-RAYですから、特に付属させる必要もないということでしょう。
ホイール各部
ホイールの各部を見ていきます。
リム面

割と珍しいグロス仕上げでツルッとした見た目です。開発者曰く「薄くクリアを吹いてもらっている」とのこと。やはり日常の掃除のことを考えてグロス仕上げに決めたそうです。
ロゴは本来レーザー仕上げで入っていますが、その上からオプション販売のデカールを貼ることが出来ます。私が借りた個体はデカールが貼られたものでした。

バルブホール部分は特に盛り上げ処理等はされていません。
ハブ


標準的な太さのハブ。


フリー機構は面ラチェット。最近流行りの接触面が斜めになっているタイプ。工具無しで分解は出来ますが、ちょっと傾けたくらいではハズレないような構造になっています。

フリーボディは割とよく見る肉抜きアリのもの。鉄板が取り付けられていて、スプロケが食い込むのを防止しています。
スポーク

定番にして最強のステンレススポークと呼ばれるCX-RAY。

前後とも24本で2クロスというオーソドックスな組み方です。なお、私のReserveのホイールも組み方は同じ。MISSIONはストレートプルで、私のReserveはJベンドですが。
リムベッド


フックあり、チューブレス対応のホールレスリム。チューブレステープの劣化を気にする必要がないのが良いですね。
ベアリング

今回のホイールで開発者の金田店長が特にこだわったのはベアリングだそうで。

全てのベアリングを、汎用的なベアリングで揃えていてモノタロウ等で容易に調達が可能。

ハブのベアリングについて、元々は左の6803という小さめなベアリングの仕様を考えていたようですが、最終的にそれよりも一回り大きい6902に統一。これだけで耐久性にかなりの差が出るそうです。

フリーボディ内のベアリングは6802。水や砂などが入ってくる可能性のある外側は接触シールで防御し、内側は非接触シールにして回転性能を高めているとのこと。
フリーボディの種類

様々なコンポに対応するため、フリーボディの種類も多彩。購入時には5種類から選べるようになっていますが、この箱には12種類入っていました(何が違うのかは聞き忘れました)。
重量
MISSION 40mmの公称重量は、前後で1390g±4%とされています。


実測重量は、653g+743g=1396g。公称重量+6gでした。デカール8枚分の重量が増えているので、それを差し引いたら公称重量より若干軽いかもしれません。そして、ホールレスリムなので、チューブレステープの重量が後から足されることもありません。
リム重量は410g、CX-RAYが前後で48本で240gとすれば、ハブ重量は前後で330gと言った所でしょうか。ディスクとしては軽めですが、軽すぎるというほどではありません。
組み合わせるパーツ

タイヤはPanaracer「AGXERO 28C クリンチャー」、チューブはPanaracer「パープルライト(TPUチューブ)」の組み合わせで使用。チューブありのクリンチャー仕様でまずは試します。レビュー期間の後半にはチューブレスタイヤでの運用もテストする予定です。
取り付け後のタイヤ幅は30.4mm。内幅が23mmと設計前提の19mmよりも+4mmということで、タイヤ幅は+2mmとなっています。
ディスクローターは、RT-CL800を取り付けました。ロックリングも付属しないので、シマノのロックリングを使用。
取り付け
グロス仕上げのカーボンリムは、タイヤの取付時に少し楽な気がします。最後の一押しがしやすいというか。
走行前の点検
MISSIONホイールは中国生産ですが、工場からの直送ではなく、一旦TRYCLEで検品と調整を行ってから出荷されます。今回も宮ヶ瀬店で実際にテンションを計測、調整されたものを送って頂きました。
価格
前段に書いた通り、前後セットで119800円。
中華ホイール全盛であることを考えても、(名の通った所であれば)これより安いホイールはなかなか無い気がします。
実走の感想

まだ100km程度しか乗れていませんが、実走の感想です。
空気圧は、前6.0気圧/後6.5気圧に設定。比較対象は、Reserve「34|37(オリジナル仕様)」です。
重さ
普段使っているReserveのホイールと重量はほぼ同じなので、車体を持ち上げた時の差はありません。
漕ぎ出し・加速
全体重量こそReserveのホイールと変わりませんが、パーツごとの重量比は少し異なります。Reserveはリム重量が370gで、MISSIONは410g。約40gの差があります。ただし、Reserveはリムテープを貼る必要があるため、重量差は30g程度になるでしょう。ただ、正直これだけの重量差を感じ取れるほどの精密さは私にはありません。

漕ぎ出しの軽さについてはReserveと比べて大きな差は感じられませんでした。剛性の足りないリムや重すぎるリムだとその時点で不満を持ちますが、そういった引っかかりは無かったです。
巡航状態からの加速(といっても今の私には30→35km/h程度ですが)にも不満はありません。ステンレススポークらしい、少し溜めのある加速も心地よかったです。
巡航
SHAMAL CARBONのような圧倒的な転がり感はありませんが、これと言った失速感もありません。Reserveの方が速度維持は楽な気がします。ただ、VISMAが採用する空力を追求したリムと比べるのは酷ではありますね。
乗り心地
妙に乗り心地が良いReserveと比べると、少し硬さを感じます。とはいえ、標準以上の乗り心地は出ていると思います。
カーボンではなくステンレススポーク採用ということで、適度な柔軟性がありますし、オーソドックスなスポークパターンということで変な突き上げ感もありません。
登坂
腰の影響もあって高強度の登りは試せていません。が、ブルベ的なマイペースの登坂では良く登ってくれる印象です。
リムの重量は(カーボンとしては)そこそこある方だとは思いますが、剛性も必要十分にあるのでしょう。横方向にたわまず、綺麗に回転してくれる感触があります。傾斜面だとリズム良くペダリングが出来て速度も乗りました。
横風耐性
季節柄、あまり強風の中は走れていません。
U字型の断面で40mmハイト、外幅も30mmあるので横風の影響は小さいはず。1ヶ月のレンタル期間中、強風で試せる機会があれば試したいですね。
音
ラチェット音は大きめだと思います。爆音とまでは言いませんが、標準より大きい。私は音が小さいよりは大きい方が好きなので、これはこれでアリ。
まとめ
MISSION「カーボンホイール 40mm」のファーストインプレッションでした。

突出した高性能ポイントはないですが、これと言ったウィークポイントもありません。「全てにおいて85点となることを目指した」と金田店長は言ってましたが、狙い通りに仕上がっています。
単純な乗車時の性能で言えばReserveが全方面で上回っているとは思うのですが、価格的には1/3程度。しかしながら性能差はそこまで大きくありません。
乗車時以外に目を向けると、ホールレスリムで運用は楽ですし、グロス仕上げのリムは掃除しやすい(この2点はReserveで個人的に満足していない点です)。長期運用におけるハブの耐水性は気になるところですが、通常の面ラチェットよりも防水面での工夫がされているようなので大きな問題にはならないでしょう。スポークも一般的なものを採用しているので、補修が容易な点も嬉しい。
総じてバランスが良く、119800円という価格もあって「ディスク時代の定番ホイール」になりうる資格は十分に満たしていると思います。一般的なエントリー~ミドルクラス完成車の付属ホイールからのアップグレードとして不満はないはずですし、体感できる差があるはずです。
ブルベでこのホイールを試せるかは分からないのですが、夏休みのライドはこのホイールで行えればと思っています。
著者情報
年齢: 41歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: GHISALLO GE-110(カーボン), QUARK ロードバイク(スチール)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)
# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせていただきました。
# これまでに著者が乗ってきたスポーツ自転車の履歴はこちらの記事にまとめています。



