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クローバー1200 : 3日目(上川・留辺蘂方面) 616~903km

8/17 2:10、起床。さすがに自分にも疲労の色が出てきた。二日間、ほぼフルで雨天走行を行ったのは初めての経験である。やはりウェアのせいで空気抵抗は増えるし、集中すべき時間が増えるので疲れる。

そして、窓の外は今日も雨。オーケー分かった、もうこれはブルベ期間中は止まないって考えれば良いんだな?? 残念ながら秘策のビニールシューズカバーは4セットしか持ってきていなかった。今日は足の浸水を覚悟せねばならないだろう。

外に出ると、雨脚以上に気温の低さを感じる。気象庁のデータによれば、この時間帯の温度は12度だったらしい。更に今日は北の山に向かうルート。相当な低温を覚悟せねばならないだろう。……今何月だっけ?

タイヤの空気圧は問題無さそうだったので、二人分のチェーンオイルを注油。スタートボードに出発時刻を書き込もうとすると、かなりの参加者がリタイヤしていることに気づいた。2日連続の雨は予想以上に厳しかったようだ。この時点で生き残りは約半数。果たして今日も生き残れるか……?

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8/17 2:51、ホテルを出発。昨日より約1時間早いスタート。準備がスムーズに行ったことも有り、予定よりスタート時刻は10分ほど早い。今日のコースプロファイルを考えると、この10分の意味は大きい。

CH1200_day3.jpg

3日目は北方面へと走る。北海道の国道で一番標高の高い三国峠(1139m)を越える287km。東京都の一番高い峠が風張峠(1146m)なので、ほぼ同じ高さだ。隣の石北峠も標高は1000mを越えており、4日間のうちで一番獲得標高の大きい山岳コースとなる。足切り時刻の計算が緩くなっている(600-1000kmは平均12km/hで計算)とは言え、既に2日間を走ってきた体には厳しい。

ホテルをスタートした直後から登りが始まる。と言っても、77km地点で三国峠の本格的な登りに入るまでは平均斜度1%未満。北海道らしく、ダラダラと長い登りが続く。

今日も序盤は妻のペースメーカーを担当。ゆるい上りに加えて、風は逆風。序盤のゆるい斜度の部分で稼げるだけ稼ぐ作戦である。


32km地点の上士幌町にあるセブンイレブンで最初の休憩。少し早い気もするが、事前調査の結果では、ここから100km以上コンビニがない。三国峠の自販機と、個人商店が頼みの綱。このコンビニで買えるだけ買い込んでおく。

コンビニを出てしばらくすると、民家が消える。糠平(ぬかびら)温泉までは少し斜度の上がったヒルクライムとなる。一定間隔で「ヒグマ出没多発地域」「森は動物が主役」なる看板が出ている。北海道に来る前はクマ対策をどうしようかと考えていたが、正直雨ですっかり存在を忘れていた。


糠平湖まで登ってくると、人里が現れる。ぬかびら源泉郷である。区域内の「ひがし大雪自然館」に公衆トイレがあったので利用。これだけ無補給区間が長いとトイレはあるうちに行っておかなくてはならない。

この温泉街の中にある「大和みやげ店」で出来れば補給を追加で買えないかと思っていたが、残念ながら営業時間外。現在時刻はまだ6:16。これは仕方ない。やはりコンビニで補給を買っておいて正解だった。

ここから音更川に沿って更に北上していく。しばらく走ると、前から1台のロードが降りてきた。どうやらクローバー1200の参加者のようだ。まさかクマでも出たのか!?と思ったら、タイヤがバーストしてしまったらしい。さすがに替えタイヤは持ち歩いていないので、申し訳ないがそのまま先に進むことに。


今日のスタートから77km地点、ここから斜度が上がるため、妻とは別行動となる。出来ればグロス平均速度18km/hは稼いでおきたかったが、この時点では16km/hほど。今日の後半はほぼ登りはないので、そこで取り返せるだろうが……あとは妻の踏ん張りに賭けるしか無い。

単独アタック開始。ここから峠までは10km、平均斜度は4.4%。ようやく雨が上がり始めた中を淡々と踏んで登っていく。峠まで残り3kmくらいのところで、かなり高い位置に通る道路が見え、「あそこまで登るのか……」と気分が落ち込む。たっぷり1km以上掛けて迂回するから、結局斜度はそこまでキツくはないのだが。

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峠手前の橋、「松見大橋」からの風景。眼下に広がる大雪山系の風景。奇跡的に霧はなく、ようやくご褒美を貰えた感がある。

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8/17 8:53、三国峠展望台(703km地点)に到着。雨はほとんど降っていないが、寒い。気温計に表示された温度は、なんと5度である。8月半ば、夏真っ盛りの朝9時にこの気温とは。まさに試される大地。

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三国峠は写真チェックとなっているので、撮影。Twitterに上げようかと思ったが、圏外。とりあえず自動販売機で水だけ買って先へと進む。


展望台を出てトンネルに入る。1.5kmほどの長さだが、交通量は少なくあまり恐怖感はない。

問題はトンネルを出た後。峠ではほぼ止んでいた雨だが、再び強く降り始めた。やはり峠の前後では天気が大きく変わるものである。路肩に止まり、ジャケットのフードを装着する。再び下り始めるも、指先がとてつもなく寒い。テムレスの指先についた水滴が走行風で冷え、さらに気化熱が持って行かれる。5度の気温を考えると、テムレス一枚では寒いのは当たり前だ。防寒テムレスを持ってくればよかった。

三国峠を降りきると大雪湖。この辺りはほぼ平坦だが、雨の勢いは強いまま。大雪ダム手前にトンネルがあったので、そこの歩道で一旦サドルバッグからタオルを取り出して全身を拭いた。少しはこれで寒さも和らぐはずだ。

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続いて石北峠(737km地点)。三国峠に比べると登る距離は短く、あっという間に登り切る。そして峠の気温は8度。もう11時になろうというのに、この有様。後から知ったことだが、コースから10kmしか離れていない大雪山系の黒岳で、この日の朝初冠雪。観測史上もっとも早い初冠雪だったらしい。もの凄い異常気象の中を走っていたことになる。

石北峠から次のPCまでの距離は約40km。ほぼずっと下りである。少しでも体温を下げないように足を回しつつ下っていく。10kmほど降りると九十九折のダウンヒルは終わり、川沿いを緩く下っていく区間に切り替わる。最後のコンビニから約100km、さすがに手持ちの食べ物も底をついてきたが、本当に商店らしい商店がない。次のPCまであと10kmの温根湯温泉でようやくコンビニが現れたが、もうすぐPCなのでそこまで飴を舐めて乗り切ることにした。

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8/17 12:26、PC7: ローソン留辺蘂旭店(780km地点)に到着。温根湯温泉から10km引っ張ったので、体は完全にガス欠。やはりさっさと食べておくべきだった。美味しそうなかき揚げ丼が売っていたので、食べたらすぐに体温もやる気も復活。やはりカロリーは大事。チェーンにも注油をしておく。

妻にしばらく前にメッセージを送っていたが、反応はない。圏外の区間は多いので仕方ないが、さすがに少し心配である。あの気温と、その中での雨のダウンヒルを乗り切れているだろうか。妻に対して追加でメッセージを送る。

 「今日の天気はこれまで自分が経験した中でもトップクラスに厳しい。
  判断力が鈍ったら大人の判断も考えてください。」

  
あえて婉曲的な表現をした。ブルベは個人的なサイクリングである。最終的にタオルを投げ込めるのは走者本人しかいない。妻もSuperRandonneur取得済みのロングライド名人、その判断を尊重することにしている。


結局、このPCで30分近くを過ごして出発。あと残るは標高700mの名もなき峠のみ。あとは下っているだけでゴールできる。

しかしどうにも雨がやまない。小ぶりになってきた所でフードを取ると、また強く降り始める。何度もフードの上げ下げを繰り返すうちに面倒になり、フードをかぶったまま走ることにした。真夏にレインジャケットを着込んでフードを被ってもそこまで暑いと感じないあたり、この日の寒さは相当に厳しかったようだ。


あまりに信号の無い道だったので、何もない所で止まって休憩。スマホを見ると、妻からメッセージが返ってきていた。かなり泣きの入った発言ではあったが、まだまだやる気らしい。この土壇場で、レインウェアとジャージの間にバスタオルを巻くという体温維持策を編み出したようだ。手近なもので問題を解決するのはランドヌールに求められる能力の一つ。「これで駄目なら諦める」とは書かれていたものの、このしぶとさならば今日を乗り切れるかもしれない。

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8/17 15:25、置戸町と足寄町の間にある標高700mの名もなき峠(825km地点)に到着。やたら「鹿に注意」の看板が多い。

下り始めてしばらくすると、トイレに行きたくなってきた。前のPCからは約2時間半、気温はずっと15度前後。トイレが近くなるのも無理はない。数km下ったところで駐車場があったので、トイレもあるかと思ったら……

  「公衆トイレまで15km あと少し我慢して!」
 
との看板が立っていた。いやいや、15kmで後少しって。道民感覚恐るべし。

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そこから下ること更に数km。ついに路面に乾いた場所が現れ始めた。峠のあたりで既に雨は止んでいたが、路面はウェット。乾いた路面を最後に見たのは170km地点なので、実に650km以上ぶりの乾いた路面だ。同時に空も晴れてきた。ようやく我慢の時間が終わったのだ。


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そして、先程の駐車場から15km、予告されていた公衆トイレにたどり着いた。用を足して、自転車を見るとクランクのロゴが大きく削れている。いつの間に……と思ったが、恐らくビニールシューズカバーが入ったことにより、シューズカバーが膨らんでクランクに当たっていたのだろう。それが2日間繰り返された結果がこれである。悲しい。


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公衆トイレのすぐ先の個人商店「すがさき」で食べ物を購入。人懐こい猫が2匹居た。

 「あなた自転車で来たの? 今日、山の方は雪が降ったそうよ。」
 
雪が降ったのを知ったのはこの時。ただ、まさかコースのすぐ近くで降っていたとは、この時は知らなかった。


少しだけ登り返し、また緩い下りが始まる。空はすっかり晴れ、空気も暖かさを取り戻している。


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これこれ、見たかったのはこういう風景。「夏の北海道」という言葉に相応しい風景を見るまでに、スタートから850kmも掛かったことになる。


870km地点の上士幌町で、往路の道と合流。ここからはホテルまでほぼ一直線だ。見通しも良いので、下ハンを握ってTTモードで走る。交通量の少ない、広い一直線の道をひたすらに走る。これもまた求めていた北海道である。

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残り26kmのセイコーマートで休憩。このままホテルに帰っても、残念ながら夕食提供タイムの前に着いてしまう。少し時間調整。このカツ丼はとても美味しかった。

食後もまたTTモードで。ホテルまでの26kmを55分で駆け抜けた。

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8/17 19:00、PC8: ホテルクロスコート(903km地点)に到着。2日目までは予定していた時間よりもホテル到着が遅れていたが、この日は予定時刻ピッタリに到着。やはり後半80kmが下り基調、しかもドライ路面というのは大きかった。

そういえば、昨日あれだけ一緒になったはずの外国人集団をこの日は一度も見かけなかった。彼らは生き残っているだろうか?

「ピンクガールはまだ?」の問答を今日もこなし、部屋へと向かう。

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さて、ホテルでのルーチン開始。雨は降っていないので、自転車カバーは省略した。

 ・シューズを靴乾燥機に掛ける
 ・ライトを充電する
 ・ウェア類を洗濯機に掛ける
 ・風呂に入る
 ・ウェア類を乾燥機に掛ける
 ・夕食を食べる
 ・歯を磨く
 
これに加えて、今日はテールライトの電池を交換する。リチウム乾電池を使ったので最後まで持つかと思われたが、光量が半分以下に落ちていたので交換。もう残りは1日なので、買っておいたアルカリ乾電池と入れ替えた。

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3日目の夕食は牛丼。偶然、井手マヤさんがいらっしゃったので同席させていただいた。ブルベの受付などで少し話したことはあるが、じっくり話したのは今回が初めて。色々と興味深い話をお聞きした。

諸々の作業を終えて、床についたのは21:20。妻のメッセージを見るとあと50kmほどの所まで来ているようだ。タイムアウトまでは3時間20分ある。下り基調であることを考えると、問題無く間に合うだろう。


……………

………




妻が帰ってきたようだ。昨日と同様にシューズと洗濯物を受け取り、風呂へ行くように促す。時刻は0時過ぎ。タイムアウトまではまだ余裕がある。よくぞ帰ってきた! しかし、このままだと寝るのは0:30頃になるだろう。

当初計画では翌朝のスタートは2:40。余裕を持って次のPCに辿り着くように置いた時間だが、それだと睡眠時間があまりにも確保できない。これはギリギリまで睡眠を取り、その後逆転するプランに変更したほうが良いのではないか?と思い始めた。

次のPCまでの距離は102km、クローズ時刻は9:33。仮に4:00スタートとすると、グロス平均速度18.4km/hが出ていれば間に合う。コースプロファイル的には目立った登りもなく、平坦。風向き的にも悪くはない。PCまで私がペースメーカーをやれば、問題なく間に合う……はず。


こうして、翌朝の起床時刻は3:15とした。スタート時刻は3:50目標。1時間10分のセルフ借金を背負うことになるが、睡眠時間のほうが大事だ。

ほどなく、妻が戻ってきたので起床時刻を伝え、就寝。明日はいよいよ最終日だ。


(つづく)
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Author:ばる
群馬産のキャノンボーラー。
普段はラーメンかカレーを食べに行くグルメライドばっかりやってます。

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【長距離自転車TT記録】
大阪→東京:23時間02分
東京→大阪:23時間18分
東京⇔大阪:67時間38分
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2005年に書かれた東京~大阪の自転車向けルートガイド。情報は古くなっているものの、今でも十分使えます。


拙著の「東京→大阪キャノンボール」レポート掲載。タイムテーブルや、戦略等を詳しく書いています。


シクロツーリストの田村編集長による長距離走行ガイド本。時短法やキャノンボール挑戦時のエピソードが掲載されています。

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