【レビュー】Fumpa Pumps「nanoFumpa」

この記事は約 9分で読めます。

評価:3

オーストラリアの電動ポンプ専業ブランド「Fumpa Pumps」による電動ポンプ。同ブランドで最小・最軽量のモデルです。

現在のFumpaのサイトを見ると、私が買った時よりもスペックアップされているようです。バッテリー容量が増え、時間あたりの充填効率がアップしているようでした。最大気圧も110→120PSIに向上しています。

目次

購入動機

2023年3月、クラファンで出資したCYCPLUS「CUBE」が届くのを待っていた頃の話です。

Amazonで電動ポンプを検索すると、「nanoFumpa」なる製品を発見しました

Fumpaシリーズの存在はもちろん知っていました。ただ、バリエーションは「Fumpa」「miniFumpa」しかなかったはず。「nanoFumpa」はこの時点で初耳でした。名前からすると、miniより更に小さそうです。

重量を見ると、公称100g。CYCPLUS「CUBE(公称: 97g)」並の軽さです。それまでmicroUSBだった充電端子もType-Cに変更。CUBEとのスペックを比較してみます。

nanoFumpaCUBE
重量100g97g
電池容量7.4V/250mAh
リチウムポリマー
7.4V/300mAh
リチウムポリマー
充電端子USB Type-CUSB Type-C
充電時間45分20分
本体サイズ57.0*47.0*26.0mm65.0*46.5*28.0mm
対応するバルブ米式、仏式米式、仏式
最大気圧110PSI
(7.6気圧)
100PSI
(6.9気圧)
充填速度700x23Cタイヤを、100秒で6.2気圧700x25Cタイヤを、90秒で5.12気圧

しかし、この時点で検索しても世界中にレビューらしいレビューが見つからず。発売は2022年5月のようだったので、ほぼ1年誰もネットに情報を上げていなかったことになります。

若干「大丈夫かな」という不安がありつつも、CYCPLUS「CUBE」の発送通知がこなくてヤキモキしていたタイミングだったので、注文。この後届くであろう「CUBE」との比較対象にもなるだろう、という狙いもありました。

製品概要

単体での実測重量は99g(仏式対応口金含む)。対応する最大気圧は100PSI(7.6気圧)。

バッテリーサイズは250mAh/7.4V。250mAh/3.7Vのバッテリーが2本、直列に内蔵されています。

現在の空気圧を表示するための液晶画面は備えていません。

50秒の動作で自動停止する仕様となっており、それ以上の時間を動作させる場合には再度起動する必要があります。

使用感

nanoFumpaを購入して1週間後にCYCPLUS「CUBE」が届いてしまい、そちらの方が使い勝手が良かったので結局現在まで外に持ち出したことがありません。家の中でテストをしただけです。

レビューの比較対象は、同じく液晶を備えないCYCPLUS「AS2(CUBE)」です。

本製品の位置づけ

Fumpa Pumpsは大きさ・能力別に3種類の電動ポンプをラインナップしています。

Fumpa

一番大きなサイズのノーマル「Fumpa」。それでも重量は360g。

液晶を備え、リアルタイムの空気圧を確認可能ですが、その後に出たCYCPLUS「AS2 PRO」のように指定気圧で自動停止する機能はありません。

miniFumpa

Fumpaの次男坊。重量は190g。2019年の登場時は世界最小で、現在の「超ミニサイズ電動ポンプ」の祖と言っても良い製品だと思います。

液晶はなく、ボタンを押すと50秒後に自動停止する機能を備えています。

nanoFumpa

Fumpaの末っ子。重量は100g。今回レビューしているポンプです。

2022年5月にひっそりとデビューしていましたが、あまり知られずCYCPLUS「CUBE」の影に隠れてしまった感があります。

パッケージ

パッケージ裏面には「最大80PSI(5.5気圧)」との記述がありますが、これが手元に届いた時点でのサイト上の記述は「最大110PSI(7.5気圧)」。後述しますが、この個体でも6.1気圧まで入ることは確認しているので、110PSIの方が正しいと思われます。

なお、その後更にスペックアップしたのか、2024年現在は「最大120PSI(8.2気圧)」まで上がっています。

パッケージの中身はこちら。

  • 説明書(英語・日本語)
  • 本体
  • キャリーバッグ
  • Type-Cケーブル

キャリーバッグは恐らく防水。本体が防水ではないので、持ち歩くときに壊さないようにと言う配慮でしょう。延長ホースは別売りです。

重量

実測99g。公称100gなので実に上出来。なんでこんなに軽いのに話題にならなかったんでしょう? 出た時点では確実に世界最小・最軽量だったはずなんですが。

miniFumpaが公称190gなので、約半分の重量となっています。

大きさ

大きさもminiFumpaよりひと回り小さくなっています。

口金が邪魔ですが、この手のツールケースに収まる大きさになっています。口金は外せるので、実際に収納する際には外したほうが良いでしょう。

CYCPLUS「AS2(CUBE)」と大きさを比較してみました。口金を除くと、ほぼ大きさは同じです。

使い方

口金の横にあるスイッチを長押しで起動します。起動音がしますが、そのまま2秒ほど押し続けていると空気充填が開始されます。

起動後は空気の充填が開始されますが、50秒で自動的に電源オフになることに注意が必要です。恐らく発熱対策でしょう。

また、「長押しで起動」は、ツールケースの中で誤作動する可能性があります。もう少し起動の方法は考慮が必要ではないでしょうか。

充填能力

内幅15mmのナローリムに、前提内幅17mmの25Cタイヤを取り付けた状態でテストしました。

50秒で自動停止するため、繋いだまま3セットの充填を実施。6.13気圧まで充填できました。

公称スペックは「700x23Cタイヤを、100秒で6.2気圧」でしたが、実測スペックは「700x25Cタイヤを、150秒で6.1気圧」。タイヤが1割太いので1割増の120秒くらいで6.2気圧を期待しましたが、もう少し時間がかかりました。

50秒では目的の気圧まで達しないケースがほとんどだと思われるので、複数回操作が必要となります。ちょっと面倒。

miniFumpaも同じく50秒で停止しますが、50秒で6気圧程度まで持っていくパワーがあるので問題なかったのでしょう。nanoFumpaは50秒では2.8気圧程度しか入りませんでした。パワー不足ですね。

充填回数

50秒×8セットまでは使えました。その後は起動しなくなったので、電池切れだと思います。

25Cタイヤなら6気圧までを2セット半まで行けそうです。

内部のモーターが高速で回転するので、音はかなりのものです。

動画にしました。音量にご注意。

他の電動ポンプとも音量を比較してみました。

音量としてはAS2よりうるさく、AS2 PROと同程度でした。

モーターが回転すると、音だけではなく熱も発生します。

50秒×3セット完了後の本体と口金部分の温度を、非接触温度計で計測しました。

かなり熱いです。特に口金部分は火傷するほどの熱さ。

本製品は延長ホースも付属しないので、使用時はずっと手で持っている必要があります。シリコンカバーも付属しないので、使用時にはグローブが必須でしょう。

充電

本製品はType-C端子を搭載し、公称充電時間は45分とされています。

実測してみると、充電時間は66分でした。公称より明らかに遅い。

充電時の電流は0.6Aで頭打ちとなっています。バッテリーへの負荷を下げるために電流量を下げているのかもしれませんが、さすがに下げ過ぎな気はします。

防水性

本製品は防水ではありません。持ち歩く際は付属のキャリーケースを使用しましょう。

延長ホース

本製品には延長ホースは付属しません。専用の延長ホースが別売りされているので、そちらを買う必要があります。

やたら高い上に、かなりゴツいです。持ち運ぶ際にも場所を取りそうだったので買いませんでした。

汎用の延長ホースが使えると良かったんですが、口金のネジがかなり特殊なサイズなのでマッチするものがありません。

サイレントアップデート?

このレビューを書くにあたってnanoFumpaのスペックを確認した所、私が買った時よりもスペックが向上していることに気づきました。以下に比較表を示します。

nanoFumpa
(2023/3月時点)
nanoFumpa
(2024/11月時点)
重量100g100g
電池容量7.4V/250mAh
リチウムポリマー
7.4V/300mAh
リチウムポリマー
充電端子USB Type-CUSB Type-C
充電時間45分60分
本体サイズ57.0*47.0*26.0mm57.0*47.0*26.0mm
対応するバルブ米式、仏式米式、仏式
最大気圧110PSI
(7.6気圧)
120PSI
(8.2気圧)
充填速度700x23Cタイヤを、100秒で6.2気圧700x25Cタイヤを、90秒で6.2気圧

バッテリーが増え、最大気圧と充填速度も向上。明らかにスペックアップされています。充電時間は伸びていますが、これは実態に合わせたということでしょう。私の手元にある個体は66分掛かりましたし。

なお、他の兄弟機も少しアップデートされているようで、かつてmicroUSB端子だったFumpa/miniFumpaもType-Cになっていました。

まとめ

2024年現在でも世界最小クラスの電動携帯ポンプ。

コンパクト・軽量さは2022年時点では実に革新的でしたが、以下の点でイマイチだと感じました。

  • 長押しで起動するため、ツールケースの中で誤動作の可能性がある。
  • 50秒で自動停止するので、実用気圧まで複数回の操作が必要。
  • 延長ホースが別売りだが、非常に高価で大きく重い。
  • 本体はかなり熱くなるが、それに対するソリューションが用意されていない。
    (TPUチューブにも使えない)
  • 充電速度が実測1時間と遅い。

そして、これらの弱点を見事に潰した状態でリリースしてきたのがCYCPLUS「CUBE(AS2)」でした。

  • 誤作動しないような起動方法を実装。
  • ボタンを自分で押すまでは停止しない。
  • 延長ホースは別売りだが、軽量でコンパクト。
  • 本体が熱くなっても手で持てるシリコンケース付き。
  • 充電速度が実測20分。

私は全然nanoFumpaの存在に気づいていませんでしたが、恐らくCYCPLUSは仮想ライバルとしてnanoFumpaをマークしていたのではないでしょうか?  それくらい、使い勝手についてしっかり研究されている印象を持ちました。

nanoFumpa購入の数日後にCUBEを受け取った私は、その後nanoFumpaを使うことはありませんでした。

現在手に入るnanoFumpaはスペックアップをしているようなので、私が購入した時よりは良いものになっていそうです。ただし、現在に至っても熱対策をしている様子はないですし、延長ホースもゴツい別売りがあるだけでした。バッテリー交換ソリューションの提供を始めるのは面白そうですが、もっと他にやることがある気がします。

超小型電動ポンプの祖たるFumpa。中華勢に押され気味ですが、逆襲を期待しています。

評価

対象モデル:  Fumpa Pumps「nanoFumpa」
年式: 2023年
定価: 不明
購入価格: 15900円
公称重量: 100g
実測重量: 99g

価格への満足度

5/10

購入時点では中々高価だった。

総合評価

6/10

発売当時は世界最小・最軽量だったが、操作性や使用感にはイマイチなところが多い。実用には足るが、もう一歩ユーザーに寄り添う姿勢が欲しい。

著者情報

年齢: 40歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: GHISALLO GE-110(カーボン), QUARK ロードバイク(スチール)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)

# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせていただきました。

記事のシェアはこちらから
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

ロングライド系自転車乗り。昔はキャノンボール等のファストラン中心、最近は主にブルベを走っています。PBPには2015・2019・2023年の3回参加。R5000表彰・R10000表彰を受賞。

趣味は自転車屋巡り・東京大阪TTの歴史研究・携帯ポンプ収集。

【長距離ファストラン履歴】
・大阪→東京: 23時間02分 (548km)
・東京→大阪: 23時間18分 (551km)
・TOT: 67時間38分 (1075km)
・青森→東京: 36時間05分 (724km)

目次