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【レビュー】日邦電機「ELXEED-BL01」
評価:4
日本の小型モーターメーカー「日邦電機」から発売されている電動携帯ポンプ。
購入動機
前段にも書いた通り、今回レビューする「ELXEED-BL01」はお借りしたものです。この製品を実際に試すまでには色々とあったので、そのあたりの経緯を最初に書いておきます。
9月、ELXEED-BL01発表
9月26日、特に前触れなく新型の電動携帯ポンプが発表されました。
販売元は「日邦電機」。これまでにも自転車用の電動ポンプを何個か発売してきた会社です。
日邦電機は、2022年に発売となったこのポンプで自転車業界に参入。その当時からELXEEDというサブブランド名を使用していました。日邦電機の会社紹介を見ると、香港にELXEEDという関連会社があるようで、ここを通じて入荷したポンプに「ELXEED」という名前を付けていることが伺えます。
ELXEED-G01の重量は360g。400gを超えることが多い電動ポンプでは比較的小型の部類には入りますが、既に自転車業界には190g の「miniFumpa」がありました(2019年発売)。360gは「家で使うのには良さそうだけど持ち歩くには……」という印象で、あまり注目を集めた様子はありませんでした。
G01の発売から2年。発表された新製品の「ELXEED-BL01」の公称重量は108gでした。
2023-2024年に掛けては100-150g前後の電動携帯ポンプが多数発売。中でも、サイズ・性能・品質で一つのベンチマークとなったのがCYCPLS「AS2 PRO」です。公称重量120g、バッテリーは420mAh×2本を搭載し、それでいて手のひらサイズ。液晶画面を備え、指定空気圧で自動的にストップするなど、「ライド中に携帯できる電動ポンプ」として評判を呼びました。
そんな「AS2 PRO」と真っ向勝負できるスペックに仕上がってきたのが「BL01」。カタログスペック上のサイズや充填能力は同等、バッテリーは500mAh×2と少し多く、価格は12000-3000円。16000円を中々割ることのないAS2 PROよりも安価で、かつ日本企業が発売するということで大いに注目を集めました。
BL01は記事が出てもなかなか発売されず、後日「10月末以降に発売」であることが発表されました。
Amazonで類似製品を発見→購入
10月初旬。Amazonで電動携帯ポンプを検索していると、ふと見覚えのあるポンプが目に留まりました。
公称重量は108g、バッテリーは500mAh×2本、見た目はBL01そっくり。ブランド名は伏せてA社としますが、A社のポンプは5980円と格安でした。
一方、クラファンサイトのmakuakeでも同一モデルと思われるポンプが販売されていました。型番もBL01で一緒です。恐らく中国の工場のオープンモデルを、各社が自社ラベルを付けて売っているということなのでしょう。
しかし、こういう「見た目は一緒だけど別ブランドから出ている」製品は、「筐体が同じだけで中身が別物」というケースも割とあります。ロットが異なっていたり、各ブランドが別注で独自仕様にしていた……というケースも過去にありました。「例のポンプ」はその良い例で、筐体は同じでも中のパッキンの品質はブランドごとに異なっていたのを覚えています。「見た目が同じでも中身が同じとは限らない」ということです。
そうしたリスクもありますが、5980円なら何とか諦めも付く金額。A社のポンプを1つ注文してみました。
10月11日に届いたA社のポンプ。12~13日は600kmブルベだったので、14日からテスト。しかしこれが実に酷い出来でした。かいつまんで結果をまとめると以下の通り。
- 公称重量108gに対して、実測重量120g(1割重い)。
- 「65秒で80PSIまで入る」と書いてあるが、実測したら80PSIに達するのに90秒掛かった(1.5倍遅い)。
- 使用時の音量はAS2 PROよりも1.78倍うるさい。
- 過熱による自動停止機能のせいで、120秒以上使用すると止まってしまう。
特に最後が致命的で、設定気圧が92PSI(6.2気圧)以上であると動作時間が120秒を超えてしまい、自動停止してしまいます。例えば100PSI(7気圧)まで入れたい場合でも、充填が完了できないということです。対応気圧は120PSI(8.2気圧)までとされていますが、A社のポンプではそこに到達することは出来ません。
「熱の上昇を検知して自動停止する」というのは内部パーツの保護という観点からは納得できますが、公称スペックを実現できないのでは意味がありません。はっきりいって設計不良です。
この話はTwitterやブログに書こうか迷いました。ただ、見た目が同じELXEED-BL01への風評被害となる懸念から、書かないことを決定。「見た目が同じでも中身が同じとは限らない」ですからね。
仮に発売となったELXEED-BL01がA社のポンプと同じ仕様であれば、その時にA社のポンプのレビューを公開する予定でした。
11月、ELXEED-BL01販売開始
11月になり、ようやくELXEED-BL01がショップに出回り始めました。
11月2日に開催された「さいたまクリテリウム」。その併設で「さいたまサイクルフェスタ」が開催されていますが、その中にはELXEEDのポンプを販売する代理店「メニーズ」のブースもありました。
そこには発売されたばかりのELXEED-BL01の現物があったのですが……あっ、気圧表示が「BAR」になっている!
これには驚きました。日邦電機のサイトでも、発売直前までは「PSI表記のみ」という記述があったからです。メニーズブースの人に聞いてみると、「出回ってる製品は全部BARにも対応した仕様になった」とのことでした。これは発売前に仕様変更が入ったということでしょう。
液晶のフォントもA社のポンプとは微妙に異なっています。睨んでいた通り、「筐体は同じでも中身が違う」ケースのようです。A社のポンプについて黙っていて良かった……。
BL01をお借りできることに
そのことをTwitterに書いた所、ELXEED-BL01をいち早く購入したビリ☆カンさんから「気になるならお貸し出来ますよ」という有り難いお話が。
どうやら家も近いということで、さいたまクリテリウムの帰路に蒲田でELXEED-BL01を貸して頂く流れとなりました。急展開すぎる。
そんなこんなで蒲田で現物を受領。ビリ☆カンさん、ありがとうございます。
製品概要
実測重量は118g(本体のみ/口金なし)。対応する最大気圧は120PSI(8.2気圧)。
バッテリーサイズは500mAh/7.4V。500mAh/3.7Vのバッテリーが2本、直列に内蔵されています。
液晶画面には目標空気圧・現在の空気圧が表示可能で、単位はBARとPSIから選択可能(▽ボタンをダブルクリックで切り替え)です。
使用感
お借りした個体を家の中でテストしています。野外でのサイクリングには持ち出していません。
比較対象は、CYCPLUS「AS2 PRO」と、同一の筐体を採用するA社のポンプです。
パッケージ内容
ビリ☆カンさんからはパッケージの中身のみをお借りしたので、パッケージそのものは手元にありません。パッケージの中身は以下の通り。
- 説明書(日本語)
- 本体(ストラップ付き)
- Type-Cケーブル
- 米式バルブ用ノズルピン
- 延長ホース
- 延長ホース用仏式アダプタ
- 仏式バルブ
- 米式バルブ
- ボール用ノズル
- 収納袋
A社のポンプと付属品は同じ。違いは見いだせません。
AS2 PROと比較すると、「シリコンケース・防水バッグは付属しない」代わりに、「ストラップ・収納袋」が付属しています。
重量
本体のみの重量は118g。公称の108gとは1割近い差があります。たった10gですが、このサイズのポンプでの10g差は大きいと思ってます。10gあればバッテリー容量を増やせますし。
他の購入者の実測重量を見ても、118-120gで、果たして108gの個体はあるのか疑問です。
なお、本体だけでは使用できず、実際には口金を付ける必要があります。口金は7gで、セット重量は125g。これが実使用できる最低重量です。
ただ口金を使うとポンプを手に持って使用する必要があります。手を離して使用するには延長ホースが必要。延長ホースは16gで、合計重量は134gです。
大きさ
ライバル機「AS2 PRO」との大きさを比較してみます。左がBL01、右がAS2 PROです。
縦横の大きさはほぼ同じですが、BL01の方が厚みがあります。AS2 PROにシリコンケースを付けると厚みは同等、縦横は2mmずつ大きくなります。
ツールケースに入れてみました。口金なしの状態だとスッキリ収まりますが、口金ありだと収まりません。分割して持ち歩く必要があるでしょう。
使い方
使用方法は以下の通り。
- 口金またはホースをバルブに接続する。
- ◯(電源)ボタンを長押しして電源を入れる。
- △ボタンと▽ボタンで目標気圧を設定する(最大120PSIまで)。
- 電源ボタンを短く押すと充填開始。
- 目標気圧に達すると、電源が自動的に切れる。
※ △ボタンをダブルクリックで補助ライト点灯
※ ▽ボタンをダブルクリックで空気圧単位切り替え
使っている際の様子を動画に撮ってみました(音量に注意)。
AS2 PROと同様、液晶にはリアルタイムの空気圧が表示され、指定した気圧に達するとピタッと停止します。液晶のないモデルだと「そろそろ入ったかな?」と秒数で見当を付けるしかないので、この機能は非常に便利です。
リアルタイムに空気圧が視認できると、口金・ホースの接続に失敗していた(空気が漏れている)場合にすぐに気づくことが出来ます。数値が上がっていかないので。液晶がない機種だと、失敗していても気づくことが出来ません。
充填能力
内幅17mmのリムに25Cタイヤを取り付けて空気を充填してみました。
最大空気圧テスト
スペック上の最大空気圧まで本当に入るのかを確かめるテストです。結構、そこに到達できずにオーバーヒートしてしまう機種も多いので。実際、A社のポンプは92PSIで沈黙しました。
BL01の設定空気圧をMAXの120PSI(8.2気圧)に設定して充填。結果は以下の通りでした。
回次 | 設定空気圧 | 秒数 |
---|---|---|
1回目 | 8.2bar(120PSI) | 188秒 |
ちゃんと120PSIまで充填されました。掛かった時間からすると、2本目の充填は厳しいはずなので実験していません。
充填本数テスト
実用空気圧として88PSI(6気圧)まで、複数回充填してみるテストです。充填は3回実施し、冷却のために5分のインターバルを取っています。
回次 | 設定空気圧 | 秒数 |
---|---|---|
1回目 | 6.0bar(88PSI) | 91秒 |
2回目 | 6.0bar(88PSI) | 109秒 |
3回目 | 6.0bar(88PSI ※83PSIで電池切れ | 120秒 |
3回目の充填は88PSIまでは到達せず、83PSIまで行った所で画面に「E1」というエラー表示が出て停止。恐らく「電池切れ」の意味だと思います。冷却後に再起動してもすぐに電源が切れてしまいました。
AS2 PROでも「88PSIで何本まで充填可能か?」という実験をしましたが、3本目の86PSIで電池が切れました。BL01は3本目の83PSIで切れたので、ほぼ同等です。
バッテリー容量的には80mAhだけBL01の方が多いですが、充填される空気の総量でいうとほぼ同じという結果になりました。
BL01の公称スペックでは「ロードバイク:80PSI時:60秒×3本」とありますが、80PSIなら恐らく3本充填し終わることは可能でしょう。ただし、60秒という時間には疑問があります。
タイヤのエアボリュームは太さで変わります。25Cタイヤと23Cタイヤで同じ気圧の場合、25Cタイヤの方が空気量は1.1倍になります。それだけ充填する空気量が増える=ポンプの動作時間も増える、ということです。
ELXEED-BL01のスペック表には「何Cのタイヤに」と書いていませんが、恐らく23Cを想定しているんだと思います。今どき23Cのタイヤはかなりの少数派のはずですが……。AS2 PROのスペック表には25C/28C/32Cの場合の充填可能本数が書かれており、その方が現状に即していると思います。
また、A社のポンプとAS2 PROでも同じ内容で実験をし、1回目の充填(コールドスタート)からの充填秒数を比較してみました。
機種 | 秒数 |
---|---|
AS2 PRO | 67秒 |
A社ポンプ | 105秒 |
ELXEED-BL01 | 91秒 |
一番早かったのはAS2 PRO。かなり効率の良いモーターを積んでいるように見えます。
見た目が同じA社ポンプは6気圧の充填までに105秒掛かりましたが、BL01は91秒。14秒ほど早くなっています。動作音も明らかに違いますし、中身のモーターが強化されているようです。
音
かなりうるさいです。屋外で使う場合でも、周囲に人がいない時を狙ったほうが良いです。メニーズのブースで動かした時は、近くにいた人たちが一斉に振り返ったほどでした。
こちらも、自宅で騒音計アプリによる測定を実施。50cm離れた位置での音量を測定し、グラフ化しました。比較対象として、A社のポンプ、CYCPLUS「AS2 PRO」及び「AS2(液晶のないモデル)」でも計測しています。
体感でもBL01はかなりうるさく感じましたが、数値としてもハッキリ差が出ました。表にまとめると以下のとおりです。
製品名 | 平均[dB] | 最大[dB] |
---|---|---|
AS2 PRO | 77.8 | 80 |
AS2 | 71.2 | 76 |
A社ポンプ | 82.6 | 86 |
ELXEED-BL01 | 82.4 | 85 |
AS2 PROとBL01では音平均で5dBほど違います。これは音量にすると1.78倍の差があるということ。かなりの爆音です。
一番静かなのはAS2で、AS2 PROと比べても更に6dBほど静かでした。
電動携帯ポンプの便利な利用シーンとして「飛行機輪行」があります。飛行機輪行の際にはタイヤの空気を抜くように指示されることが多く、目的地に到着したら走行可能な空気圧まで充填する必要があります。従来は大きめの携帯ポンプを持参していましたが、それでも両輪を5-6気圧まで戻すのはかなり大変でした。
電動携帯ポンプの登場により、目的地で空気圧を上げることが非常に簡単になりました。ただし、そこで問題になるのが「音量」です。空港の敷地内で動かした場合、職員の方が何事かとすっ飛んでくる可能性があります。
また、フランスなどの空港では銃を持った軍人が巡回をしています。武器を使用したと間違えられて撃たれる……というのは考えすぎかもしれませんが、連行されることは大いに有り得るでしょう。
ちょっとBL01の音量は使う場所を選びそうです。それくらい爆音です。
熱
電動携帯ポンプは、3-5分でバッテリーを使い切る、非常に電力消費の激しい機器です。それに加え、空気圧を上昇させると断熱圧縮で熱を持つため、2つの要因で非常に温度が高くなります。つまり、火傷の危険性があるわけです。
充填終了時の温度を、非接触温度計を用いて測定しました。
先の充填速度の実験と同時に行っており、25Cタイヤに88PSIまでの充填を3セット行っています。冷却のため、各測定のインターバルは5分取っています。比較として、AS2 PROでも同様の実験を実施。条件を揃えるためにシリコンケースなしで測定しています。
充填回数 | ELXEED-BL01 | AS2 PRO(ケース無) |
---|---|---|
1回目 | 本体:50℃ ホース:83℃ | 本体:48℃ ホース:49℃ |
2回目 | 本体:76℃ ホース:101℃ | 本体:60℃ ホース:63℃ |
3回目 | 本体:82℃ ホース:112℃ | 本体:69℃ ホース:66℃ |
1回目の充填ではBL01、AS2 PROともに本体温度は50℃程度と火傷するような温度ではありません。しかし、BL01のホースの根本は火傷するほど高音になっていることが分かります。
ホース根本には「Hot」と書かれた警告シールが貼られていますが、実際かなり熱くなることが分かりました。素手で触ってはいけません。
一方、AS2 PROのホースは本体温度とほぼ同じ。ホース重量はAS2 PROの方が重く、肉厚も大きいように見えますが、それで熱を抑え込んでるんでしょうか?
2回目以降の測定では、本体&ホースともに素手で触ると火傷する温度まで上昇します。連続で充填する機会はなかなか実際にはないでしょうが、そうする場合にはグローブ着用の上で触ったほうが良いでしょう。この点はシリコンケースを付属しているAS2 PROの方がユーザーフレンドリーだと思います。
BL01の本体には派手な放熱構造の穴が開いていますが、残念ながらそこまで有効性を伴っていないようです。
ELXEED-BL01の公式ページと説明書には「45℃以上になると自動停止する」と書かれているんですが、今回の温度測定を見る限りその機能は省かれているように見えます。本体温度76℃でも動きましたし。
恐らく、A社のポンプは本当に45℃で止まる仕様になっていたのでしょう。しかし、その機能を入れると実用上は使い物にならないことが分かり、改良された結果がBL01なのではないかと推測します。ここまで熱くなっても止まらないのは果たして改良なのか疑問ですが……。
空気圧計の正確性
120PSI設定で充填した後の空気圧を計測してみました。120PSI=8.27気圧なので、かなり正確であると言えそうです。
充電
Type-C端子を搭載し、公称スペックでは60分で満充電が可能とのこと。こちらも充電時の電流を実測しました。
電流は1.7A前後で推移し、44分で充電が完了しました。ここまでスペックのサバ読みが多かったですが、初めて逆サバの数値が出ました。AS2 PROの30分よりは若干遅いですが、これなら実用範囲内でしょう。
A社のポンプでも同様の実験をやりましたが、こちらは電流1Aで頭打ち、きっかり60分掛かりました。A社のポンプに比べて、充電用の回路も強化されているようです。
ライト
AS2 PROや他の電動ポンプと決定的に違うのは、手元を照らすためのライトが付いていることです。
確かに夜間のパンク修理では手元が見えないと厄介なので、口にライトを加えてパンク修理をすることもありました。本体にライトが付いているのは割と便利な気はします。
△ボタンをダブルクリックで点灯します。何分持つのかは不明。照度測定はしてません。
防水性
前述の通り、放熱のための穴が思いっきり開いているので、防水性は皆無だと思います。野外で雨の状況で使うのはやめたほうが良さそうです。
宣材画像
個人的に「ちょっとそれはどうなのよ」と思ったのが、BL01の宣材画像です。
こちらはCyclowiredのBL01記事のサムネイル画像です。よく見ると分かりますが、この画像はハメコミ合成写真です。影の付き方が明らかにおかしい。
そして、こちらの画像は実際のBL01のサイズよりも1割くらい小さいサイズで合成されているように見えます。実物はもっと大きいので。
同一の構図で実物を撮影してみました。結構印象が違いませんか?
親指の第一関節までの長さと比べてみると、宣材写真は縦幅の半分以上に達しているのに対し、実物の写真は半分以下に留まっています。2mくらい身長のある男性の手と比べたら宣材写真のサイズは正しいのかもしれませんが、優良誤認を誘っているように見えます。実際、Cyclowiredの記事告知ツイートの引用には「小さい!」という反応が並びました。果たして実物の写真でも同じ反応が得られたかは疑問です。
この宣材画像は工場か製造元が作成したものだと思われますが、ELXEEDの公式サイトでも使用されています。実物よりコンパクトな印象を与える画像はユーザーに対して不誠実だと思います。メニーズのサイトでは実物で撮影し直したと思われる画像を使ってますね。
重量が実測では1割重いこと、充填速度が実際は公称よりも遅いことなど、「小さくて軽い」ことがウリになる電動携帯ポンプで肝心な値を盛るのは印象が良くありません。
A社ポンプとの比較
筐体は同一ながら、性能面で大きく異なるA社のポンプ。
筐体は本当に全く同じです。付属品も同じ。でも中身がぜんぜん違います。
放熱のためのスリットからは内部のモーターが見えますが、明らかに別のモーターが使われています。BL01はA社ポンプよりも改良されたモーターを使っているのでしょう。充電時間の違いを見ても、充電回路にも違いがありそうです。
起動時・終了時の液晶画面の表示内容にも違いがあったので比較してみました。左がBL01、右がA社ポンプです。BL01の方が全体的に分かりやすく表示されています。
ここからは私の想像です。
A社ポンプとBL01は同一工場で作られたものなのでしょう。筐体から付属品まですっかり一緒。違うのは中身だけです。偽物というわけではなく、「バージョン違い」なんだろうと思ってます。A社のが初期版で、BL01は改良版(もしくは日邦の独自仕様)だと思われます。
その根拠としては、BL01の説明書には「圧力単位はPSIのみ」と書かれていることが挙げられます。ご丁寧に、単位換算表まで付いています。BL01の実物は「PSIとBARに対応」なので、説明書と実物が食い違っているわけですね。
多分ですが、BL01も最初は説明書にある通り「PSIのみ」で発売するつもりだったのでしょう。それはつまり、A社のポンプと同じ初期版ということです。しかし、ちょっとでも使えば「これは使い物にならん」ということは分かるはず。モーターメーカーである日邦電機の社員ならば尚更です。
A社は特にそうした確認をせず初期版のまま売り出したので10月頭から売り出せた。一方、日邦電機は改善要望を出して改良版が出るまで発売を延期した……そう考えると辻褄は合います。発表から発売まで1ヶ月以上掛かったのも、そうした改良を待っていたのではないでしょうか? あくまで妄想ですが。
実際の経緯は分かりませんが、しっかり実用に足る状態の製品を出してきた日邦電機は流石だと思いました。日本ならではの安全認定であるPSE規格も通していますし、なんだかんだでローカライズもしっかりされてます。
まとめ
色々と厳しいことも書きましたが、十分に実用に足る性能を持った電動携帯ポンプだと思います。
AS2 PROと比べると「充填速度が遅い」「音と発熱量が大きい」と言った差はありますが、「それくらいなら4000円安いBL01の方が良い」と考える人も十分にいるくらいの差にとどまっています。値段と性能を天秤にかけて比較できるクオリティの製品だと思いました。
公称スペックを盛っているのは頂けませんが、しっかり8気圧まで入るパワーはありますし、6気圧で良ければ25Cタイヤに対して3回使えるバッテリーの持ちもあります。
少々気になるのは、「音」と「熱」。
日本の野外で使う限りにおいては音は大丈夫だと思いますが、海外で使う際には武器使用と間違えられないようにご注意ください。
熱については、シリコンカバーを別売でも良いので出して欲しい所。しかし、シリコンカバーを付けて動かすと熱がさらに籠もりそうなので、ユーザーがグローブをして触るしかないかもしれません。モーターのさらなる低発熱化に期待します。
そしてA社のポンプを含めた本件で改めて思い知ったのは、「見た目が同じでも中身が同じとは限らない」ということですね。特に中華製品では非常に「あるある」。見た目が同じで安いからといって飛びつくと、低クオリティの製品を掴まされるかもしれません。
日邦電機は日本市場に向けてしっかり品質を担保してきた印象です。
評価
対象モデル: 日邦電機「ELXEED-BL01」
年式: 2024年
定価: 11900円
購入価格: (借り物)
公称重量: 108g
実測重量: 118g
価格への満足度
(借り物のため評価対象外)
総合評価
普通に使える電動携帯ポンプ。音の大きさと本体の熱は改良を期待したい。
著者情報
年齢: 40歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: GHISALLO GE-110(カーボン), QUARK ロードバイク(スチール)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)
# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせていただきました。