クリックバルブ用の空気圧計を作る with 3Dプリンタ

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クリックバルブ用の空気圧計が現状では日本に無いので、3Dプリンタを使ってアダプタを作成してなんとかした話です。

目次

作成動機

まずは「やってみよう」と思った動機から。

日本に入ってこない空気圧計

2026年2月現在、クリックバルブに完全対応した空気圧計は日本に上陸していません。

Panaracerの空気圧計の仏式側でも測れることは測れるのですが、相当奥までバルブを突っ込む必要があって抜き差しに力が要ります。

クリックバルブユーザーの方なら分かると思うのですが、クリックバルブ最大の魅力は口金の着脱時の感触です。軽い力で取り付けられ、「カチッ」というクリック感によるフィードバックがある。その瞬間、しっかりとロックされ、確実な空気入れが約束されます。あの感触が空気圧計にも欲しい。

現状、クリックバルブ用の口金を備えた空気圧計は「Clik」と「Schwalbe」から発売されています。

こちらは本家Clik社の空気圧計。Fumpaの出している空気圧計と似ています。

こちらはSchwalbeの出している空気圧計。元々存在していた青いAIRMAX PROと基本的には同じようですが、クリックバルブ用の口金が付属します。

現在のところ、これら2つの空気圧計は日本に輸入されていません。個人輸入しようと思えば可能ですが、送料が掛かりすぎます。

電動ポンプを使うのは?

昨今、電動ポンプには空気圧を表示する機能が付いています。

そして、電動ポンプは延長ホースの先端にクリックバルブの口金を付けることが可能です。あの着脱のクリック感があり、空気圧を計測できる。完璧じゃないか……と思いますが、そうでもありません

クリックバルブは、口金を接続した瞬間に弁が開き、エアルートが通ります。その際に、延長ホースとポンプ内部のシリンダー分の容積だけ空気が漏れているわけですね。私の計算では、25Cタイヤで0.07-0.10barほど空気圧が落ちます。

その後にすぐ電動ポンプで空気を入れるシチュエーションであれば大きな問題とはなりませんが、「現在の正確な空気圧を知りたい」という場合には、この方法は向きません。空気漏れが最小限で済む、専用の空気圧計が必要となります。

旧AIRMAX PROを買うも……

そこで思いついたのが、SCHWALBEの旧AIRMAX PROを素体としてアダプタを付ける方法です。

SCHWALBEのAIRMAX PROは、本体が米式対応、そこに米→仏のアダプタを付けることで仏式にも対応します。で、あれば、「米→クリックアダプタを付ければクリックバルブ用になるのではないか?」と考えたのです。

さて、届いてすぐに米→仏アダプタを外して、米→クリックアダプタを取り付けようとしたのですが……直径が合わない!

通常の米式は7.6mmですが、こちらは9.1mm。明らかに違う規格です。まさか、こんな罠があったとは……。この太さに合う米→米アダプタが無いか検索してみましたが、出てきません。恐らく、新しいAIRMAX PROに付いてくるのは、この特殊径に対応した米→クリックアダプタなのでしょう。

同じ悩みを解決した人を見つける

これはもうどうしようもないのか……絶望しかけていたその時、以下のページを見つけました。

なんと、「AIRMAX PROに、米→クリックアダプタを取り付けるためのパーツ」を3Dプリンタで作っている人がいたのです。そして、そのデータも公開してくれていました。ありがたすぎる。

この方も恐らく、私と同じようにクリックバルブ用の口金を取り付けようとして絶望を味わったのでしょう。そこから自分でCADを使ってパーツを設計してしまうのだから恐れ入ります。

我が家には3Dプリンタはありませんが、昨今はデータを送れば3Dプリンタで造形してくれるサービスは色々とあります。そういったサービスを使い、今度こそ「クリックバルブ用の空気圧計」を実現するためチャレンジしてみることにしました。

3Dプリンタによるパーツ作成

9.1mmの特殊径を、普通の米式の7.6mm径に変換するパーツを3Dプリンタで出力するまでの流れを書いていきます。

サービス選定

今回は、「DMM make」で作成することにしました。

やはり最大手で実績も多いので。品質的にもあまり悪い評判は聞かないので、とりあえずここです。

データのアップロード

先述のPrintables.comからSTLファイルをダウンロードし、DMM makeにアップロードします。

しばらくデータのチェックが行われた後、造形できる状態になりました。

材料選定&注文

材料は、「PA12|MJF-グラファイト磨き」としました。

私はこういったことに知識がないので、ゆるふわーくす代表・てつやんさんにアドバイスを頂いてこの仕様を選んだ形です。磨きを入れることで「表面がツルツルになってエア漏れのリスクが減る」とのことでした。

価格は、送料込みで2596円。安い空気圧計なら買えてしまうお値段です。SCHWALBEの空気圧計を個人輸入したほうが安かったんじゃないかという気もしてきましたが、ここまで来たら気にしない!!

配送

注文から待つこと一週間。宅配便で造形されたパーツが届きました。

40サイズの段ボールにコレ1個。メール便でも何とかなるサイズな気はしますが、破損を気にしているんでしょうね。

なかなかネジ部のエッジも立っていて良い感じに仕上がったように思います。さて、これを取り付けてみてどうなるか。

3Dプリンタパーツ+AIRMAX PRO

さて、届いたパーツを空気圧計に取り付けて、空気圧を測れるかを試します。

まずは普通に取り付け

本体にパーツを取り付けてみました。ちょっとネジの掛かりが浅い感じはあるものの、一応奥までは入ります。

そこに、クリックバルブの米式アダプタを取り付け。こちら側のネジは浅い感じもなく、しっかり固定できました。

さて、これで空気圧が測れれば成功。空気圧計のスイッチを入れ、クリックバルブの付いたホイールに口金を差し込んでみましたが……

ぷしゅーーーー

無情にもエア漏れ音。どこかから漏れているようです。なんてこった。

本体側のネジ山にコーキング材を塗る

口金側は割ときっちり噛み合っている感触はありました。怪しいのは、本体側のネジ山。ここから漏れているのではないか。

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そこで持ち出したのが、液状ガスケット。要はコーキング材です。前に、チューブのバルブ根本からの空気漏れを止めるために買ったものですが、コレが今になって役立つとは。

ネジ山に塗って、数分放置。ある程度固まったら組み付けます。さぁ、今度こそ空気圧が計測できるだろう!と思って、空気圧計を差し込んだら……

ぷしゅーーー

やっぱり空気漏れ! ただ、前回より音が小さい。そしてどうやら今度は口金と3Dプリンタパーツの間から空気が漏れていることが分かりました。やはりこっちにもシールが必要だったか。

今回は磨き処理も入れましたし、組み付けた感触ではエア漏れは無さそうに思えましたが、それでも目に見えない隙間が合ったということですね。

口金側にOリングを追加

そこで思い出したのが、以前購入した「ポンプ用口金セット」です。

これに入っていたOリングが使えるのではないかと思ったのでした。

このように、口金のネジ山の根本部分にOリングを取り付けます。これでシールできるはず。

再度組み付けて、空気圧の計測を実施。結果は……

成功です!!

軽いクリック感と共に差し込みが完了し、その瞬間に空気圧が表示されました。空気が必要以上に漏れることもなく、数回繰り返しても0.01bar落ちる程度。これなら実用に足りそうです。

まとめ

3Dプリンタで出力したパーツを使い、なんとかクリックバルブ専用の空気圧計を作ったレポートでした。

正直、掛かったお金・時間・手間を考えると、おとなしく既製品が輸入されるのを待ったほうが良かった気がします。大体6000円、1週間掛かりましたからね。これなら個人輸入しても大差なかったです。3Dプリンタでパーツを作るという経験が出来たことは良かったですが。

クリックバルブ関連製品を扱う各代理店様においては、早く純正の空気圧計を発売してほしいですね。それまで私は自作の空気圧計で何とかしようと思っています。

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著者情報

年齢: 41歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: GHISALLO GE-110(カーボン), QUARK ロードバイク(スチール)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)

# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせていただきました。
# これまでに著者が乗ってきたスポーツ自転車の履歴はこちらの記事にまとめています。

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この記事を書いた人

ロングライド系自転車乗り。昔はキャノンボール等のファストラン中心、最近は主にブルベを走っています。PBPには2015・2019・2023年の3回参加。R5000表彰・R10000表彰を受賞。

趣味は自転車屋巡り・東京大阪TTの歴史研究・携帯ポンプ収集。

【長距離ファストラン履歴】
・大阪→東京: 23時間02分 (548km)
・東京→大阪: 23時間18分 (551km)
・TOT: 67時間38分 (1075km)
・青森→東京: 36時間05分 (724km)

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