Magene「C606 Pro」ファーストインプレッション

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日本国内で6/1に発売となったGPSサイコン「C606 Pro」を購入しました。ワールドチームであるアスタナが2026年に使用しているモデルです。

・本記事は、C606 ProのファームウェアV 1.967段階での内容となります。

目次

購入まで

まずは購入までの流れを書いていきます。

これまで買わなかったMageneサイコン

今やGPSサイコンは群雄割拠の戦国時代。しかし、私はMageneのサイコンは一度も買ったことがありませんでした。

Mageneのサイコン自体は2024年4月に日本国内で販売が開始されています。ちょうどその頃開催されたサイクルモードにも展示されていて触りに行ってみたのですが……

2024年サイクルモードに展示されたC606

触ってみると、なんと地図の縮尺が「最大: 200m」だったのです。つまり、すごい狭い範囲しか見えない。一つの町ですら全域が映らない程度のごく狭い範囲の地図だけを見てどうするのかと。ナビ中に、少し先のルートを見ようとしても、この縮尺では見ることが出来ません。

参考までに、この時点でのライバル各社のサイコンの最大地図縮尺を挙げておきます。

製品地図の最大縮尺
Garmin「Edge840」800km
Bryton「Rider S810」850km
iGPSPORT「iGS630」800m
Magene「C606」200m

GarminとBrytonは、世界地図レベルである800km前後の縮尺までの広域を表示可能です。

iGPの「800m」は少々狭いですが、その後に発売したBiNaviで10kmの縮尺まで対応。これでもまだ狭いですが、実用上は問題ない広い範囲まで表示可能となりました。

しかし、2026年になってもMageneのサイコンは「最大: 200m」を維持。ファームウェアのバージョンが上がってもここが改善されることはありませんでした。

機能面では他社に見劣りしないものの、地図では大きく遅れていることがネックとなり、個人的には購入候補から外れていたわけです。

新製品の情報

2026年5月、Mageneの日本代理店であるグロータックが、新しいサイコンのプレスリリースを出しました。

なんと同時に3台のサイコンを発表。「C706」「C606 Pro」「C606 V2」です。簡単なスペック比較表を以下に示します。

スクロールできます
C706C606 ProC606 V2
税込価格36300円31900円25850円
重量111g105g107g
画面サイズ3.3インチ カラー2.8インチ カラー2.8インチ カラー
液晶方式透過型半透過反射型透過型
バッテリー容量2500mAh2000mAh2000mAh
稼働時間(公称)17-25時間15-25時間15-25時間
内蔵ストレージ8GB8GB8GB
物理ボタンボタン: 6個ボタン: 5個ボタン: 5個
GPSモードマルチGNSSGNSSGNSS
スピーカー××
Star Ring××
Magene 2026年新製品の比較

C706は明らかに別格の扱いを受けていて、「新フラグシップ」と言った所。画面は大きく、スピーカーやStar Ring(サイコンの進行方向がLEDで光る)も唯一搭載しています。

しかし、残りの「C606 Pro」「C606 V2」は2年前から存在しているのマイナーチェンジ版のようです。

なぜ、今になってマイナーチェンジ版を2種類も出したのか?

2026年5月30日、稲城「クロスコーヒー」にて、グロータックのポップアップイベントが行われました。そこでスタッフの方に話を聞くと、「C606 ProとV2は液晶方式以外は一緒」とのこと。ここで思い出したのが、iGPSPORT「BSC500」の話です。

この記事で詳しく書いているんですが、現行のサイコンの液晶方式には「半透過反射型(Trensflective)」と「透過型(Transmissive)」の2種類があります。

反射型液晶と透過型液晶

半透過反射型透過型
代表的機種Garmin「Edge840」
iGPSPORT「BiNavi」
Magene「C606 Pro」
Garmin「Edge850」
iGPSPORT「BSC500」
Magene「C606 V2」
反射層ありなし
必要バックライトレベル
(昼間)
0~10%60~80%
(個人差あり)
必要バックライトレベル
(夜間)
10~30%
(個人差あり)
0~10%

詳しい違いはこちらのサイトでわかりやすく解説されているので、気になる方はご一読下さい。

従来のサイコンは「半透過反射型(以降、反射型と呼ぶ)」の製品が普通でした。GarminのEdge x40世代以前はいずれもそう。

反射層があることで、外部の光を利用して画面を明るく見ることが出来るのが特徴です。特に、晴れた野外ではバックライトが無くても画面を視認することが可能。しかし、反射層があるためにバックライトを遮ってしまうこともあり、夜間はバックライトを明るめにする必要もあり、反射層の影響で若干色味がくすんだ印象になります。

これに対し、最近増えてきているのが「透過型」の液晶を採用したサイコン。GarminのEdge x50世代は透過型です。また、みなさんがお持ちのスマートフォンも、液晶を採用しているモデルは透過型の液晶を採用しています。最近は有機ELのほうが一般的ですが。

透過型液晶は、反射層がないことで色味がハッキリ。夜間も最低限のバックライトで画面を見ることが出来ます。しかし、逆に晴れた野外ではバックライトが弱いと画面がほとんど見えなくなります。皆さんも、晴れた野外でスマホの画面が見えなくなって困った経験はないでしょうか? あれと同じことが起こるわけですね。これを防ぐには、野外の明るさに負けないくらいバックライトを明るくする必要があります。

バックライトの明るさは稼働時間への影響がもっとも大きい

さて、「バックライトの明るさ」は、サイコンの稼働時間を一番左右する設定です。明るくすれば短い時間しか使えなくなります。「反射型」の場合、「昼は電力を食わない/夜は電力を食う」ということであり、逆に「透過型」の場合、「昼は電力を食う/夜は電力を食わない」ということ。

多分、ほとんどの人は暗い夜に走行をする時間よりも、明るい昼間に走行する時間の方が多いでしょう。そうなると、透過型液晶はあまり長く使えないということになります。

この対策のため、透過型のサイコンは容量多めのバッテリーを積んでいることが多いです。反射型の場合は1000mAh前後が多いですが、透過型は2000mAh前後のバッテリーが相場。これだけ積まないと、満足な稼働時間が実現できないわけです。また、容量が増える分だけ重くなります。

台北ショーのMageneブースにおける展示

2026年、Mageneはワールドツアーチーム「XDS Astana」に機材供給を開始しました。いわゆる中華ブランドでは、iGPSPORTと並ぶ快挙。

写真で示されている通り、チームに供給されているサイコンはフラグシップのはずのC706ではなく、セカンドグレードの「C606 Pro」。製品名に「Pro」と付いてもプロが使っていない製品も多いですが(大体においてProより上にグレードがあってプロ選手はそれを使う)、C606 Proの「Pro」は文字通りのプロ仕様ということになります。

理由は特に発表されていませんが、「昼間の野外での画面の視認性をチーム側が重視した」のではないかと私は考えます。結果的にその方が長時間使えることは前述の通り。Mageneは珍しく、従来のサイコンも全て「透過型」で設計していました。ここに来て「反射型」の製品をわざわざ出したということは、プロチーム側の要望が理由である可能性は低くないはずです。

C606 Proの購入を決める

さて、プロチームが採用という話と、反射型液晶であることを考えると、私の中では「C606 Pro」が魅力的に思えてきました。私の主な用途はブルベ/ロングライドであり、長時間稼働することが望ましいからです。

C606 Proの公称稼働時間は25時間。しかし、私は「もっと長く使えるのではないか」と推測していました。理由は、「反射型液晶なのにバッテリー容量が2000mAhと大きい」こと。反射型で35時間稼働するBiNaviですらバッテリー容量は1250mAh。C606 Proはそれより1.6倍も容量が大きいわけですから、25時間よりも長く使えるのではないかと考えたわけです。

そして、クロスコーヒーのポップアップイベントで実機を触ってみた所、ある嬉しい事実が判明しました。

発表された3台の新製品は全て、地図の最大縮尺が、なんと20kmまで拡大されていたのです。これまで200mまでだったわけで、実に大幅な進化。これだけの広範囲が見えれば、ブルベ用途でも問題がありません。

「あれ?」と思ったのは地図がインストールされていなかったこと。スタッフの方に聞くと「昨日届いて開封したばかりで初期設定も出来なかった」とのことですが……普通、地図って入ってるものじゃない? ただ、8GBという現代にしては少ないストレージ容量から考えると、後から自分で地図をインストールする形式でも不思議ではありません。

少々不安は残りましたが、「稼働時間」と「地図の縮尺」の問題が解決をしていそうなことが分かったため、購入を決意。いつもお世話になっているサイクルキューブさんに注文をしたら、2日後に入荷。6/3に受け取ることが出来ました。

Magene「C606 Pro」

6/3に購入、それから約200km程度の走行した状態でのファーストインプレッションを書いていきます。

比較対象は、Garmin「Edge850」・iGPSPORT「BiNavi」・Bryton「S810」です。

競合製品とのスペック比較

C606 Proのスペックを示しつつ、競合製品と比較していきます。

プロチーム採用製品ということで、各社の現行のレース向けサイコンとのスペックを比較することにしました。

スクロールできます
Magene
C606 Pro
iGPSPORT
BiNavi
Garmin
Edge850
Bryton
S810
税込価格31900円39930円85800円46200円
重量105g103g113g116g
本体サイズ縦:97.0
横:57.0
厚:17.6
縦:101
横:60.0
厚:14.5
縦:92.2
横:54.6
厚:16.8
縦:102.5
横:57.6
厚:15.8
画面サイズ2.8インチ カラー3.5インチ カラー2.7インチ カラー3.5インチ カラー
画面方式半透過反射半透過反射透過半透過反射
解像度不明480 x 320px600 x 420px470 x 282px
スピーカー×××
防水等級IPX7IPX7IPX7IPX7
バッテリー容量2000mAh1250mAh1490mAh2100mAh
充電端子Type-CType-CType-CType-C
稼働時間(公称)15-25時間35時間12時間50時間
内蔵ストレージ8GB32GB64GB32GB
タッチパネル
物理ボタンボタン: 3個ボタン: 6個ボタン: 7個ボタン: 4個
対応衛星GPS
GLONASS
Galileo
Beidou
みちびき
GPS
GLONASS
Galileo
Beidou
みちびき
GPS
GLONASS
Galileo
Beidou
みちびき
GPS
GLONASS
Galileo
Beidou
みちびき
GPSモードGNSS
GPS
GNSS
マルチGNSS
GPS
GNSS
マルチGNSS
GNSS
マップ表示
文字表示あり

文字表示あり

文字表示あり

文字表示あり
トレーニング機能
心拍センサー接続
パワーメーター接続
レーダー接続
アクションカメラ接続××
Stravaセグメント×
C606 Proと競合製品の比較

一通りの機能は揃っており、今のところ業界ではiGP・Wahoo・Mageneしか対応していない「アクションカメラ接続」機能を持っているのは強みと言えるでしょう。

ただ、ハード的にはちょっと見劣りする所があります。操作ボタンは3個、GPSはGNSSに対応しながらシングルバンド。ストレージサイズが8GBというのも少ないです。マップデータの格納には必要なので、大きめのストレージを積んで欲しかった所。

そんなハードの中ですごいのがバッテリー容量。なんと2000mAhもあります。透過型液晶であればこれくらいのバッテリー容量があるモデルも珍しくないのですが、反射型液晶でこれだけ積んでいるのは珍しい。それこそ、比較に示したBryton「S810」くらいしか比肩する機種がありません。これだけの容量があると稼働時間にも期待したいところですが……。

パッケージ

フラグシップではないものの、上位グレードの製品だけあって箱は少し高級感があります。

うやうやしく格納された本体。あらかじめシリコンケースが取り付けられた状態です。

パッケージ内容は以下の通り。

箱の中身
  • 本体
  • シリコンケース
  • クイックスタートマニュアル
  • ストラップ
  • 画面保護フィルム
  • USBケーブル
  • マウント
  • 予備プラグ

なかなか付属品は充実しています。シリコンケースと画面保護フィルムが付いてくるのは嬉しいですね。

マウントは2種類が付属してくるのですが、ボルトで固定するタイプのマウントはどこに使うのか良く分かりません。

重量

公称105gで、実測105g。ピタリ賞です。この画面サイズにしては重量級の100g超えですが、バッテリー容量があるからでしょうか。

シリコンケースは+10gです。

本体仕様

本体の仕様を見ていきます。

大きさ

本体サイズはBiNaviと大差ないんですが、ベゼルが一昔前の太さ。ソーラー充電機能が付いているならまだしも、そうでないのならもう少し画面の占める割合を大きくして欲しいところです。

ボタン配置

ボタンは上部に1つ、下部に2つ、計3つ。

上部のボタンが電源/LAPボタン。下部のボタンは、左がページ切り替えボタン、右がスタート/決定ボタン。正直ボタンだけでは操作は完結できず、タッチパネルに頼る必要があるでしょう。

充電端子

充電端子はもちろんType-C。

裏面

Garmin互換のマウント付き。交換可能で、付属品に交換用プラグがあるのは嬉しいですね。

画面

反射型液晶採用で、晴天の野外でも画面が見やすいです。上記の写真はバックライト0%の状態。

セットアップ

C606 Proのセットアップには、他社と同じくスマホアプリを使います。しかし、注意が必要なのは「Magene Fitness」アプリではなく「OneLapFit」という別アプリを使用する点です

詳しい説明はグロータックのサイトを見ていただくとして、かいつまんでセットアップの様子を書いていきます。

起動するとまず言語を聞かれ、その後はQRコードが表示されてアプリからの操作となります。

しかしこの「OneLapFit」というアプリがなかなかイマイチで……日本語化したら自らを「オネラップ」と名乗ると来たもんだ。「ワンラップ」が正しいと思うんですが、どうでしょう。代理店たるグロータックさんもしっかりアプリのローカライズに協力をしたほうが良いと思います。

アクティベート

それはそれとして、機種を選んでデバイスを追加すると、アプリにC606 Proが登録され、同時にアクティベートされた状態になります。

リストの中に「Geoid」と「Van Rysel」がいるのが気になりますね。恐らくこれらのサイコンは製造元が同じなのでしょう。Geoidの機種はMageneそっくりですしね。ただ、Geoidのサイコンは技適を取得していないので日本では使うことが出来ません。Amazonで売ってますが、日本国内で使ってはダメです。

マップのインストール

マップのインストールもOneLapFitアプリから行います。これが行われていなかったので、ポップアップイベントでは地図が出なかったわけですね。

アプリ上のマップで範囲を矩形選択して地図データを取得する方式になっています。

「とりあえず日本の地図を入れるか~」と思って日本全域(沖縄除く)を選択したんですが……「4.9GBもあるよ、容量大きすぎだよ」と怒られる。えっ、日本全土ですら入らないの?

選択範囲を小さくしてもやっぱり「容量大きすぎ」と怒られる。どうすればいいのか。悩んでいると、右下に「Download Options」なるものがあることに気づきました。

ここで「Offline Navigation」のチェックを外すと、一気に容量が小さくなりました。日本全土を選択しても270MBほど。これなら行ける。

これで、アプリから本体にマップデータが送信されます。

結構送信には時間が掛かりました。20分くらいだったと思います。

設定変更

サイコンを使うための設定をしていきます。

Garminでは「ライドプロファイル」と呼ばれたり、iGPでは「ライドモード」と呼ばれる概念が、Mageneにもあります。今のアプリでは「ライディングモード」とか「サイクリングモード」とか表記が揺れていますが、とりあえず「ライディングモード」として書いていきます。

ライディングモードは、走行中に画面に表示させる各データページの内容をまとめたもの……とでも言えばよいでしょうか。

設定はサイコン本体からは行えず、アプリからのみ行えます。「ダッシュボード設定」を選択。

他社のアプリも似た感じですが、サイコンの画面を模した画像が表示されるので、「どこに何を表示させたいか」を決めていきます。

既存のページに対して分割数を変えることも出来ますが、数を変えると設定項目が全て真っ白になってしまうのは勘弁して欲しいところ。既存のページで設定していた項目を残して欲しいですね。

私は4ページを設定。ここから、ページの順番を並べ替えることも可能です。

基本操作

記録開始/終了の様子を撮影しました。

通常のサイコンと同じく、STARTボタンを押すことで記録開始。再度STARTボタンを押した後、タッチパネルで記録終了ボタンを押すとデータが保存されます。

走行データは、(Wi-Fi接続設定が行われていれば)Wi-Fi経由でデータはOneLapFitにアップされます。Strava等の他サービスとの連携設定をしていれば、そちらにも自動でデータがアップロードされます。

ルートデータの転送

ルートデータの取り込み・転送はアプリから行います。

PCからGPXファイルを直接配置することは出来ません。というか、サイコンをUSBケーブルでPCと繋いでもマスストレージとして認識されません。

アプリ上から「マイルート」を選択。

「新しいルートを作成」→「ルートファイルをインポート」として、Ride with GPS等からダウンロードしたGPXファイルを選択します。「地図作成」を選ぶと、自分でマップをタップしながらコースを引くことも出来ます。

「アプリを承認」からStravaで作成したコースを読み取ることも出来ますが、Stravaのコース作成は現在有料プランのみ。私は契約していないので使うことが出来ませんでした。可能ならばRide with GPSと連携してほしいものですが……いかがでしょう?

ルートデータを取り込んだら、サイコンに転送します。200kmのコースでも30秒程度でした。

なお、GPXデータにウェイポイント情報を設定してみましたが、読み込まれることはありませんでした。アプリ上から設定する手段も今のところありません。

ルートデータの転送が終わると、サイコン上からナビゲーションが可能になります。

実走

週末の100kmライドで、C606 Proを使用してみました。

大きさ・重さ

筐体サイズに比して画面は小さいですが、フォントもハッキリしていて見づらいということはありません。重量も、サイズからすると重めですが、バッテリーサイズを考えると仕方ない点はあります。

画面の見やすさ

前述の通り、反射型液晶を採用しており、バックライトをOFFにしても昼間はよく画面が見えます。

私は、反射型液晶の機種では「画面輝度の自動調整」機能を切っています(画面輝度を固定している)。

夜間も、バックライトを最弱にしてこの通り。十分視認可能です。

操作性・レスポンス

操作のレスポンスはヌルヌルサクサクという程ではないですが、不満がない程度にはキビキビと動いてくれます。データの保存・転送も瞬時に行われました。

地図の縮尺変更はちょっとレスポンスが遅いですが、それくらいですね。

地図

ここが一番のガッカリポイントでした。

下記は縮尺200mと500mの時の地図を比較したものです。

縮尺200m以下は精細な道路情報が表示されるのに、500mより大きい縮尺になると一気に情報が無くなります。私は大体ブルベの走行中は1km前後の縮尺にすることが多いんですが、ほぼ白地図です。地図の意味がない。

恐らく、マイナーチェンジ前の無印C606の最大縮尺が200mまでだったので、そこまでのデータはちゃんと作っているけれど、それより大きな縮尺の地図データは作っていなかったんでしょう。これから作るのかもしれませんが、こんな未完成の状態のままリリースするのはどうなのかなと思います。

Magene本国サイトのFAQを見に行くと、以下のような記載は見つけました。

Maps display full road networks at scales of 50m–200m. At 500m–20km, only major roads are shown. Adjust the scale accordingly.

(地図は50m~200mの縮尺で道路網全体を表示します。500m ~20kmの縮尺では主要道路のみが表示されます。必要に応じて縮尺を調整してください。)

メーカー側としては「仕様です」というお断りの文章なのでしょうが、さすがにそれは仕様で済ますのは乱暴だと思います。

iGPSPORT/Garmin/Brytonの約500-800mの縮尺の地図

COROSを除き、Garmin/iGPSPORT/Brytonといった主要各社の地図は、広い縮尺になってもある程度の道路情報は表示されます。ライバル各社はこれくらいの情報は出しているのに、国道レベルの道以外は白紙というのはさすがにお話にならないと思います。もちろん鉄道路線も出てきません。

地図の縮尺が広い範囲まで使えることが私の購入の決め手だったわけですが、まさかこんな露骨な手抜きがされているとは想像もしていませんでした。出来る限り早い段階で、地図の広い縮尺部分についての改善を願いたいです。

地図の中心は常に「現在地」で移動が出来ない

もうひとつ残念なのは、「地図の中心が移動できない(現在地固定)」であること。

「この先の道はどうなっているのかな」と、地図をスクロールして確認することが出来ません。広い縮尺の地図がもう少し精細ならば「縮尺を広くする」という手段も取れますが、ここまで述べてきた通り「ほぼ白地図」です。詰んでいます。

Coospo「CS600」も地図の中心が移動できませんでしたが、あちらは10000円台の値段なので「仕方ないな」と思えました。しかし、C606 Proは31900円です。この価格ならば、地図の中心を移動することは出来て当然のことであるはず。こちらも早期の改善を求めたいです。

ナビゲーション

地図の左下に出ているのは、ゴールまでの距離です。

ナビゲーションを開始すると、曲がり角ではポップアップで曲がる方向が表示されるようになります。300m手前からポップアップが出て、その後100m手前で再度表示。曲がり切るまで表示が続きます。

曲がり角の見逃しは今のところなく、ナビは正確であると感じました。

わざとミスコースをしてみましたが、ミスコースの認識はちょっと遅め。100mくらい外れてから反応しました。とはいえ、正しい道を走っているのにミスコースと表示されるのも鬱陶しいわけで、これくらいの精度でも仕方ないかなとは思えます。

ナビゲーション中は、ClimbPro機能も有効になります。斜度表示だけではなくマップも一緒に表示されるので、曲がり角を見逃さないようになっています。

Garminに同機能が実装された当初は、斜度表示しかなくて曲がり角を見逃すリスクがありました。最近の機種は大体この手のクライム区間表示機能を備えていますが、地図も一緒に表示される例が増えています。

データ値の妥当性

今のところ、距離や獲得標高について、特別違和感のある値は出ていません。いつもの練習コースを走った際の距離や獲得標高も、GarminやiGPSPORTと大差ない値でした。

システムの安定性

200kmほど使用して、今のところ操作が重くなったりフリーズしたりといったことはありません。

バッテリーの持ち具合

以下の設定で100kmほどのライドを行いました。

BiNavi Airの設定内容
  • 衛星システム
    シングルバンドGNSS(変更不可)
  • バックライト
    OFF
  • 接続センサー
    パワーメーター

出来る限りの省エネ設定です。

ライドは午前10時にスタートし、ゴールは17時で、所要時間は7時間。日没前にゴールしたので、サイコン自体はずっと昼間モードでした。

なぜか最初の1時間は100→94%と6%もバッテリーを消費していましたが、その後は1時間に3-4%の消費に低下。結局、26%のバッテリーを消費した状態でゴールしました。1時間あたりに換算すると、3.8%。単純計算で26時間ほどでバッテリーが尽きることになります

私は、「バッテリー容量が大きいので40時間くらい持つんじゃないか」と推測していたんですが、一番省エネな設定にしても26時間程度しか持たないという結果に。反射型液晶&2000mAhのバッテリーを積んで、この稼働時間とは……一体どこで電力を消費しているんでしょう? GPSの衛星通信あたりでしょうか。普通はバックライトをOFFにしたら公称稼働時間より長く持つんですけどね。

Stravaセグメント機能

C606 Proは、Strava上でお気に入り登録したセグメントに差し掛かると、過去の自分の記録と比較できる機能を備えています。いわゆるライブセグメント機能。

iGPSPORTのサイコンにはライブセグメント機能がありますが、あればStravaのセグメントではなく「iGPSPORTアプリで設定したセグメント」と比較できるだけの機能です。

Garminのサイコンでは、Strava有料サブスクを契約している必要がある

GarminのサイコンにはちゃんとStravaに対応したライブセグメント機能はありますが、Stravaの有料サブスク契約をしていないと使うことが出来ません。

Mageneの良い所は、「Stravaのライブセグメントを無料ユーザーでも使うことが出来る点です。

まずは、Strava上でセグメントをお気に入り登録します。

OneLapFitアプリとStravaの連携が済んでいると、「今すぐ同期」ボタンを押すことでお気に入りに入れたセグメント情報が連携されます。

サイコン本体で、「セグメント」の設定から、右上のダウンロードボタンを押すと、セグメント情報がサイコン本体にも反映されます。

この状態で走行すると、地図上にセグメントがStravaアイコンで表示されるようになります。セグメントが近づくと、自動的に過去の記録が表示されるライブセグメント画面に遷移します。

私はStravaセグメントはあまり積極的に活用していませんが、KOMハンターの方々にはありがたい機能だと思います。

アクションカメラとの連携

C606 Proは、DJI・Insta360のアクションカメラとの連携機能があります。

こうした機能があるサイコンは、現状ではWahoo/iGPSPORT/Mageneの3社だけです。参考として、対応モデルについて以下に示します。

ブランドサイコン機種接続可能なカメラブランド
iGPSPORTBSC500DJI / Insta360
BiNaviDJI / Insta360
BiNavi AirDJI / Insta360
iGS800DJI / Insta360
WahooELEMNT BOLT v2 / ROAM v2GoPro
ELEMNT ACE / BOLT 3 / ROAM 3GoPro
MageneC506DJI / Insta360
C606 V2DJI / Insta360
C606 ProDJI / Insta360
C706DJI / Insta360

録画の補助

対応するアクションカメラを接続すると、Bluetoothリモコンとしてサイコンを使うことが出来ます。

私も、DJIのアクションカメラを持っているので接続してみました。

画像のように、残り撮影時間やカメラのバッテリーを画面で確認可能。また、録画の開始と終了も操作可能になっています。

アクションカメラはサイコンの下に吊り下げられていることが多く、「録画されているのか」を確認するのが割と大変。サイコンの画面上で確認できるのは有難いですね。

動画への走行データ埋め込み

グロータックの製品説明ページには以下の記載がありました。

グロータックの製品説明ページの記載

「自動埋め込み」とあるので、録画した動画に自動で反映されるのかと思いきや、そういったことはなく。どうするんだろう?と思ったら、DJIアプリからの操作が必要でした。

DJIのアプリ上で、Magene「OneLapFit」からのデータインポートを許可する設定を行います。この設定により、DJIアプリがOneLapFitに記録された走行データを取得することが可能になるわけですね。

DJIアプリで、動画を選んで「データのインポート」を選択。ここからMageneを選ぶと、速度やパワーといったデータが動画にオーバーレイされます。

「自動合成」とまでは行きませんが、データと動画の同期を考えなくても自動でタイミングを合わせてくれるので、従来よりはずいぶん楽になったのではないかと思います。

合成後の動画がこちら。「パワー」が「力」となっている点は違和感がありますが、なかなか臨場感があって良いですね。

ちなみに、同じことはGarmin・iGPSPORT・COROSのサイコンでも出来そうではありました。要は、走行データが各社のサービスから取得できればいいので。MageneとiGPSPORT以外は、カメラとサイコンの時刻が正確に合っていることが必要になりそうですが。

改善を要望したい点

C606 Proについて、個人的に感じた「改善して欲しい」点を挙げていきます。

国ごとにマップデータをダウンロードしたい

前述の通り、C606 Proは地図がインストールされておらず、ユーザーがアプリ上で範囲選択をしてダウンロードする必要があります。

しかし、日本みたいに縦にも横にも長い国の場合、矩形選択では上手く選択することは難しい。沖縄まで入れると、中国や朝鮮半島まで選択範囲に入っちゃいますし。その辺りは不要なんですが。

こういった操作よりも、国ごとにマップデータを用意してもらってダウンロードできたほうが便利だと思います。

少なくとも無印C606では国ごとにダウンロードできたはずなんですが、なぜC606 Proになってダウンロード方式を変えちゃったんでしょうね。

画面レイアウト変更時に、変更前のデータ項目を維持して欲しい

本文中にも書いた話ですが、OneLapFitでページのレイアウトを変更すると、全データ項目の設定がリセットされるのは勘弁してほしいです。全部選び直しになります。

分割数が減る場合は一番最後のデータ項目を落とし、増やす場合は空の項目を増やす感じにして欲しいですね。

データ項目に「サイコンのバッテリー残量」が欲しい

OneLapFitアプリ上から設定できる項目の中に、いくら探しても「サイコンのバッテリー残量」という項目がありません。Magene製フロントライト・テールライトのバッテリー残量を表示する項目はあるんですが。

iGPSPORTは画面上部に常に「現在時刻」「バッテリー残量」が表示されている

理想は、iGPSPORTのように画面上部に「現在時刻」「バッテリー残量」が常時表示されている状態。これをiGPSPORTは「ステータスバー」と呼んでいます。全ブランドのサイコンに標準搭載して欲しい機能。

ここまでは出来なくとも、せめてデータ項目としては表示できるようにしてほしいです。画面を下にスワイプすればバッテリー残量は表示されますが、そのひと手間が面倒なことはあるので。

バックライトの設定を昼/夜で自動的に切り替えたい

iGPSPORTのサイコンには、バックライトの明るさを昼と夜で自動的に切り替える設定があります。同様の設定が欲しいです。昼と夜では必要なバックライトの明るさが違うので。かといって、輝度自動調整にしてしまうと、バッテリーを物凄く喰うので避けたいのです。

Mageneのサイコンも、昼と夜で白背景・黒背景を切り替える仕組みはあるので、こうした切り替えは可能ではないかと思うのですが(特許などを取得されている可能性はあります)。

GPS衛星接続の省エネ設定が欲しい

普通、大体のサイコンには「どの程度の数の衛星と接続するか」という設定がありますが、C606 Proにはそういった設定項目がありません。そして、この設定はバッテリー消費に結構大きな影響があります。

サイコンを始めとしたGPS機器が通信する衛星は、大きく5種類。「GPS(アメリカ)」「GLONASS(ロシア)」「Galileo(EU)」「Beidou(中国)」「みちびき(日本)」で、みちびき以外は全世界をカバーしています。みちびきはアジア圏のみ。

最近のサイコンは、これら5種類の衛星と通信をして、自らの位置を正確に特定しています(俗に言う「GNSS」)。更に、通信時の周波数を多重にする「マルチバンドGNSS」という方式に対応するサイコンも増えていますが、C606 ProはマルチバンドGNSSには対応していません。

iGPSPORT「BiNavi」のGPS設定画面

ただ、GNSSやマルチバンドGNSSは、複数の衛星と通信する必要がある分だけバッテリーの消費が大きくなります。私は稼働時間を重視するので、位置情報が多少不正確でも許容することにしています。

GarminやiGPSPORTには、5つの衛星のうち「GPSのみ」と接続する省電力モードが選べます。可能ならば、Mageneでもこれが選べると有難いんですが。

Ride with GPSと連携して欲しい

日本で恐らく一番メジャーなルート共有サイトは「Ride with GPS」です。

Garmin・Bryton・Wahoo・Hammerhead・COROSと言ったブランドのサイコンは、Ride with GPSとサービス連携しており、作成したルートデータを自動でサイコンに送信できるようになっています。

しかし、MageneやiGPSPORTといった中国ブランドは、未だに「GPXファイルをダウンロード→アプリに読み込ませる→デバイス送信」というステップを踏む必要があります。正直言って毎度面倒なので、ルートを取り込めるようにして欲しいです。

現状、Stravaからのルート取り込みには対応しているようですが、Stravaのルートは有料サブスクに加入していないと利用できません。

ウェイポイントを設定する方法が欲しい

GarminやiGPSPORTのサイコンには、地図上に目印となるポイントを表示できる「ウェイポイント」機能があります。

Garmin「Edge530」におけるウェイポイント表示

ブルベでは、チェックポイントを通り過ぎないようにするために必須の機能なんですが、Mageneのサイコンには今のところこの機能がありません。

具体的には、GPXファイルの<wpt>タグを読み取って地図上に反映して欲しいです。

地図の現在地移動をしたい

本文中でも触れましたが、C606 Proの地図は、中心が常に現在地となります。地図の中心を動かすことができません。

Googleマップのように、地図の中心を動かせるようにして欲しいです。

縮尺500m以上の地図をなんとかしてもらいたい

最も強く要望したいのがこの点です。

やっぱり、500m以上の縮尺があまりにも白地図過ぎます。もう少し情報を表示できるようにして下さい。

恐らくはサイコン本体側の問題ではなく、地図データの問題。地図データのクオリティアップを望みます。

地図に海を表示して欲しい

こちらの画像、太陽が反射してしまって分かりにくいですが、画面の右半分は本来「海」である領域です。しかし、海らしい青い表示はなく、陸地と同じく白く表示されています。

できれば、海は海らしく青色で表示して欲しいですね。海沿いを走っていることで方角を認識できるということもあるので。

スクリーンショットを取得したい

これはレビュー記事を書く人間視点の話なので優先度は高くありません。ボタン操作で、画面のスクリーンショットを撮影できる機能があったらいいなと思います。

まとめ

Magene「C606 Pro」のファーストインプレッションでした。

ライバル各社と同等のレベルの機能「数」は備えていますが、各機能の品質という意味では正直まだまだです。(分かりにくいですが)相撲に例えると、まだまだ幕下(3部リーグ)レベル。十両(2部リーグ)に上がれていないくらいの立ち位置かなと思います。

Stravaセグメントと、アクションカメラとの連携については他社よりも先行している部分なので、ここに惹かれる人には刺さるでしょう。反射型のディスプレイも、バッテリー残量が読みやすいという点では好感触です。

ただ、絶対的な価格は安い部類に入るものの、同価格帯のiGPSPORTやBrytonと比べると機能の作り込みが足りません。知っている道を走ってデータを記録するだけならば問題なく動いてくれるでしょう。しかし、地図周りの出来が非常にイマイチなので、未知の場所を走る場合や、ブルベ的な使い方には全く足りていないというのが正直な感想です。

ナビゲーション機能そのものは悪くないので、地図さえ改善されれば使い勝手はかなり良くなるはず。500m以上の縮尺が白地図になるのと、現在地が動かせない点は最低限何とかして頂きたい。

とはいえ、まだ発売したばかり。今後のバージョンアップに期待します。

著者情報

年齢: 41歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: GHISALLO GE-110(カーボン), QUARK ロードバイク(スチール)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)

# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせていただきました。
# これまでに著者が乗ってきたスポーツ自転車の履歴はこちらの記事にまとめています。

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この記事を書いた人

ロングライド系自転車乗り。昔はキャノンボール等のファストラン中心、最近は主にブルベを走っています。PBPには2015・2019・2023年の3回参加。R5000表彰・R10000表彰を受賞。

趣味は自転車屋巡り・東京大阪TTの歴史研究・携帯ポンプ収集。

【長距離ファストラン履歴】
・大阪→東京: 23時間02分 (548km)
・東京→大阪: 23時間18分 (551km)
・TOT: 67時間38分 (1075km)
・青森→東京: 36時間05分 (724km)

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