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Domane Gen5の試乗会に参加
9/12にLORO駒沢公園で開かれた「Domane Gen5 試乗会」に参加してきました。SLR7とSL5に乗った感想を書いていきます。
まえがき
まずは試乗に至るまでの流れを書いていきます。
気になっていたDomane Gen5
つい先日、こんな記事を書きました。

エンデュランスロードを代表する7モデルの用途の変遷を追いかけた記事です。Domaneもその7モデルのうちの一つ。
Domaneは2012年に登場し、これまでに4回のモデルチェンジを行ってきました。今回は「Gen5」ということで5代目ということになります。
歴代Domaneについて


私は昔からエンデュランスロード党だったこともあり、歴代Domaneに試乗しています。Gen1~Gen3までは試乗経験あり。Gen4は試乗していません。一番快適装備がてんこ盛りだったGen3があまりにも重すぎて、Gen4には関心が持てなかったのが理由。ただ、調べてみるとGen4はGen3よりもメカニカルな快適機構を減らし、軽量になったことで評判はなかなか良かったようです。乗ればよかったですね。
歴代Domane(カーボン)の仕様変遷は以下の通りです。
| 世代 | ブレーキ | タイヤ幅 (完成車) | フロント IsoSpeed | リヤ IsoSpeed | ダウンチューブ ストレージ | フェンダー マウント | アイレット |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| Gen1 | リム | 25C | × | ◯ | × | ◯ | なし |
| Gen2 | リム/ディスク | 28C/32C | ◯ | ◯ | × | ◯ | なし |
| Gen3 | ディスク | 32C | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | なし |
| Gen4 | ディスク | 32C | × | ◯ | ◯ | ◯ | TT上 |
| Gen5 | ディスク | 35C | × | × | × | ◯ | TT上 TT下 |
見ていただいて分かる通り、Gen3は全ての装備に「◯」が付いてます。ただ、その分だけ重かった。
Gen5では前後IsoSpeedが無くなり、ダウンチューブストレージも無くなりました。フェンダーマウントとバッグ用のアイレットは残りましたが、メカニカルな快適機構は完全に消えたことになります。いわば、一般的なロードバイクのフレームに近づいたということ。
今やTREK以外のエンデュランスロードでもメカニカル機構を持つフレームは消えつつあり、メカニカル機構に先鞭をつけたTREKもその流れに乗った形です。
また、「エンデュランスロードの20年」の記事にも書きましたが、今世代からDomaneは「レース用途」の看板を完全に下ろしました。Gen4ではRSL(Race Shop Limited)グレードだけがレース用として作られていましたが、Gen5にRSLはありません。基本的には「プロレースで使われない、一般サイクリスト向けのバイク」として作られたと言えます。
試乗会に参加を決める
Domane Gen5が発表されたのは8月のこと。8月末にショップで現物は見ましたが、試乗は出来ていませんでした。
Domaneは大手ブランドかつ長年続いたエンデュランスロードの一角。「乗ってみたいなー」と思っていた所にこんなメールが届きました。

渡りに船とはこのこと。9/12(土)は、TREK横浜とLORO駒沢公園で試乗会が開催されていましたが、LORO駒沢公園の方がグラベル性能を試せる多摩川(河川敷が軽い未舗装路となっている)があったことから、そちらに行ってみることにしました。
Domane Gen5 試乗レポート
Domane Gen5の試乗レポートです。SLR7(Ultegra Di2仕様)と、SL5(105 機械式仕様)にそれぞれ30分ずつ試乗しました。

Domane SLR 7

まずは上位モデルのDomane SLR7。Ultegra Di2仕様で、カーボンホイール(アイオロス)採用。公称重量7.66kg。税込価格110万円。
各部の観察


ハンドルはちょっと変わった握り心地。正面から見ると、ステムのクランプ部分よりも上ハンドル部分が上がっている。店員さんに聞いてみると、「20mmのライズ仕様となっていて、コラムスペーサーの枚数を減らしてもハンドルが低くなりすぎない」とのことでした。ハンドルを下げたい人は普通のハンドルを使えば良いわけですね。


アイコンだったIsoSpeedの消えたシート部。先代までは異型のエアロシートポストでしたが、今世代から27.2mmの丸断面シートポストになりました。Bontrager「RSLシートポスト」という製品名で、しなやかに作られれいるとのこと。これでIsoSpeedの代わりをするわけですね。

Bontragerには元々「XXX Seatpost」というしなりやすいシートポストが存在していて、私はそちらを未だに愛用中。これと現行のRSLシートポストはちょっと思想が違うみたいですね。XXX Seatpostは板バネのように少し平たくすることでしなりやすさを出していましたが、RSLシートポストは積層でなんとかしているようです。


足回り。アイオロスに、クワレモントRSLという新開発のタイヤが付いています。太さは35C。TLR仕様で、公称重量は380g。
「クワレモント」というのは、ロンド・ファン・フラーンデレンに出てくる有名な石畳区間「オウデ・クワレモント」に由来する様子。石畳レースはやめたはずなのに、「石畳や未舗装路もイケるぜ!」と主張してくるタイヤ名。
シートステー裏やフォークの先端近くにはさりげなくフェンダーマウントが付いていることも分かります。雨天走行は考慮されているということでしょう。


トップチューブの上にはバッグ用のアイレット。トップチューブの裏側とダウンチューブの上側にはフレームバッグ用のアイレットも備えています。ダウンチューブストレージは無くなりましたが、積載性はそれなりに考慮されている様子。
以前はヘッドチューブ上のトップキャップからケーブルを引き込む形式だったと思いますが、ステムの下から通す形式に変わったようです。
実走(舗装路)
さて、実走。まずは店の周りの舗装路からです。
今回は店から約3.5km離れた多摩川まで行って往復する約7kmのコースで試乗。駒沢公園から多摩川までは約30mの高低差の下りで、帰りは上りになります。
跨って踏み出してみてまず思ったのは、「安定感が凄いな」ということ。重心が凄く低くて、後ろ側にある感じ。自転車だから漕がなければ倒れるわけですが、「漕がなくても倒れないんじゃないか」というくらいのどっしりとした安定感。とにかく前乗りを強いられて転がるような印象を受ける最近のレーシングロードとは真逆の思想を感じる乗り味です。
そして、この乗り味は歴代Domaneに共通するもの。SPECIALIZEDは世代ごとに乗り味をガラリと変えてくることが多いですが、TREKのモデルごとの乗り味は一貫性があります。Domaneの装備に関しては二転三転してますけどね。
最後に試乗したGen3では車重もあって漕ぎ出しも加速も重く感じましたが、Gen5は軽量化の影響もあってそのあたりはスムーズ。そして走り出すと、地面スレスレを滑走するような感触があります。80mmと大きなBBドロップ、そして非常に寝ているヘッドチューブと、大きいホイールベースの影響なのでしょう。下りやカーブでも安定感と安心感があり、曲がりにくいということも無かったです。
今回からIsoSpeedは無くなりましたが、フレームとタイヤで必要十分な快適性は出せていると思います。シートポストも思ったほど動きすぎなくて好印象。全く動かないと衝撃が尻を直撃しますが、動きすぎると腰や膝に痛みが出ます。良いバランスのしなりだと思いました。

27.2mmの汎用シートポストの良い所は、「気に入らなかったら別のものに差し替えられる」ことです。もっとしなるシートポストが良ければSpecializedのTerraあたりを持ってきても良いし、もっとソリッドなのが好きならば他にいくらでもあります。今回からは完全に非レーサー仕様ということで、多少のエアロ性能よりも便利さを取ったということなんだろうと思います。
一方、登りはというと、「登れるけど気持ちよくはない」というのが私の感想。淡々と登る分には良いけれど、しっかり強度を掛けて登ろうとすると重心が後ろにありすぎて、ちょっと引っ張られる感じがあるというか。仮にブルベで峠を登るとすれば、そこまで強度は掛けずに淡々と登ることが多いので困らないと思いますが、「峠でタイムトライアルをしよう!」みたいな用途には向かないのではないかな……と思いました。
実走(未舗装路)
さて、今回多摩川を目指したのは高低差があるからだけではありません。未舗装路を走ってみる必要があると考えたからです。
Domaneの製品ページには「エアボリュームが大きいということは、高い快適性、グリップ力、そして舗装路から砂利道まで踏み出せる安心感をもたらすということ」という文章があります。すなわち、Gen5のDomaneは砂利道を走行するシーンを想定しているということです。

先日の記事で「エンデュランスロードの万能性には2つの軸がある」という話を書きました。ひとつは「時間方向の万能性」で、もうひとつは「路面方向の万能性」です。Domane Gen5は路面方向の万能性を主張しているバイクであり、それならば未舗装路で試乗しなければ片手落ちではないか……と考えました。

そんなわけで、やってきました多摩川グラベル。
と言っても私はグラベルを普段ほとんど走らないので、評価ポイントは良く分かりません。ただ、未舗装路経験が少ない私でも、全く危なげなく走れるほどDomane Gen5は安定した挙動でした。35Cのクワレモントタイヤは伊達ではないようです。
Domane SL 5

次に普及モデルのDomane SL5。105の機械式仕様で、アルミホイール(パラダイム)採用。公称重量8.84kg。税込価格37.9万円。
各部の観察


こちらもSLRと同形状のライズハンドルが付いていますが、アルミ製。SLRはカーボン製です。


クワレモントタイヤのPROグレードのTLR仕様・35Cを採用。公称重量は390g。意外にも上位グレードのRSLより10g重いだけ。


こちらもトップチューブ上と、トップチューブ裏にバッグ取り付け用のアイレットがあります。フェンダーマウントも付いてます。

SLRも同様ですが、ダウンチューブ裏には謎のゴム蓋が2つ。下側はDi2のバッテリー保持用のはずですが、上側はショップの人も分からないようです。今後、何らかの追加装備が発表されるのかもしれません。
実走(未積載)
まずは普通に走行。SLRでは多摩川まで行きましたが、今回は違うテストをしたかったのでショップの周りを走る5kmのコースを走りました。オール舗装路で多少のアップダウンがある程度のルートです。
車体を持ち上げてみると、重い。先程のSLRは公称7.6kgとかなり軽かったですが、こちらは実測したら9kgは超えていそうです。
乗ってみると、全体的な印象はSLRとあまり変わらず。SLRとキャラクターは同じで、一回り動作がモッサリした感じ。重心が低く、地面を滑るように走る感覚も同じでした。非常に重い105の紐油圧STIが付いていて、これだけ小さい差で済むのは意外でした。
実走(積載状態)
さて、SLRでは未舗装路での挙動を試しましたが、SLでは積載状態の挙動を試します。
先程書いた「万能性の2軸」の話ですが、未舗装路のテストでは「路面方向の万能性」を見ました。今回は「時間方向の万能性」を見るために、積載状態を試します。
私がDomaneを使うとしたら「ブルベ」であるわけですが、ブルベでは雨天走行もありますし寒暖差のある場所を走りることもあります。そうなると天候変化に備えた荷物(雨具や防寒具など)もかなり増え、大型サドルバッグやフロントバッグに荷物を詰め込んで走ることになります。こうした積載を行った時に車体が不安定になったり、走行性能に大きな影響を及ぼすようでは走行の継続が怪しくなります。荷物を積載しても、挙動に大きな影響を与えないことが理想なのです。
本来ならば純正のトップチューブバッグとフレームバッグに荷物を詰め込んだ状態でテストしたかったのですが、そういった用意はなさそう。ということで……

家から持ってきた大型サドルバッグを、ショップ側の許可を得て取り付けました。バッグが400g、中身として詰め込んだ衣類で600g程度。計1kgの荷物をサドル下に積載したことになります。
この状態でショップの周りを5分ほど走行してみたのですが……挙動に大きな変化はありませんでした。私の経験上、レーシングロードにこれだけの重量物を取り付けると挙動が怪しくなることが多いのですが、Domaneは泰然自若としています。安定感があり、重心が下の方にあることで、多少の重量物が取り付けられても動じないのでしょう。
ダウンチューブ下にアイレットが無いのは個人的にマイナスですが、ブルベのように多めの荷物を積載してのライドでもバランスを崩すこと無く走ってくれそうであることが分かりました。
まとめ
Domane Gen5の試乗レポートでした。
「どっしりした安定感」「低い重心」というキャラクターはGen1から変わらず今回も継続。メカニカルな快適機構とダウンチューブストレージを省いたことで軽量化し、踏み出しの軽さも手に入れています。積載のための装備はそれほど多くありませんが、重心が低いことで各種バッグを取り付けても挙動への影響は小さそう。ロングライドとの相性は良さそうです。
ただ、個人的には好みから外れる乗り味でした。重心が低いのは良いのですが、どうにも後ろ乗りを強いられる感じが気になりました。これはハンドルが高く設定された試乗車だからそう感じた可能性はありますが……なお、現行のSynapseも似た印象を受けました。
あと、ジオメトリ表に掲載されているトレイル値から推定すると、設計上は35C前後のタイヤを基準にしているようです。舗装路専用として見ると35Cタイヤはまだ重く、長い登りでは少し辛そう。一方で28Cまで細くするとトレイル値もかなり変わるため、ハンドリングのバランスまで変わりそうです。28Cタイヤで乗りたい私には、やはり少し合わなそうだなと思いました。
好みには合いませんでしたが、最新エンデュランスロードの代表作の現在地を体感できてよかったです。
やはり「路面方向の万能性」は伸びているものの、「軽快さ」あるいは「レーシー」さからは距離を置いているブランドが多い気はしますね。私自身はレースをするわけではないのですが、軽快でダイレクトに反応してくれるフレームを好みます。ちょっと欲しい方向とは違う方向に業界全体として動いているのは残念ですが、これも世の流れなのでしょう。
これからもエンデュランスロードの試乗会は積極的に参加していきたいと思っています。ただ舗装路での乗り味を見るだけではなく、未舗装路や積載状態での走行も可能な場合にはやっていきます。
著者情報
年齢: 42歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: GHISALLO GE-110(カーボン), QUARK ロードバイク(スチール)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)
# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせていただきました。
# これまでに著者が乗ってきたスポーツ自転車の履歴はこちらの記事にまとめています。
