ナビゲーション用に携帯スピーカー2種をテスト

この記事は約 9分で読めます。

iGPSPORTのサイコンに搭載された「クリス・フルームの声によるナビゲーション」を試すため、携帯スピーカーを2種類買ってテストしました。

目次

まえがき

まずは2台の携帯スピーカーを買った経緯から。

フルームボイスのナビを発見したものの…

先日、こんな記事を書きました。

iGPSPORTのサイコンでナビをさせると、実はクリス・フルームの声でのナビゲーションが可能なことが判明。早速試してみると、本当にフルームの音声でナビゲーションをしてくれました。

しかし問題が一点。「ただしナビ音声はスマホから出る」ということです。iGPSPORTのサイコンの多くはスピーカーが搭載されておらず、あらかじめプログラミングされたビープ音しか出すことが出来ません。このため、スマホアプリを通してナビ音声を出すということになったんだと思いますが……私の場合、スマホはバックポケットの中。かろうじて「何か言ってるな」と分かる程度で、内容まで聞き取ることは難しかったのです。

「じゃあスマホをハンドルにマウントすれば良いのでは」ということになりますが、スマホというのは自転車のような振動を常に受け続ける環境を想定した構造になっていません。特にカメラ部分はデリケートで、長時間の振動を受けると壊れてしまうこともあります。これは避けたい。

アンダー100gのスピーカーの存在を知る

そんなことを考えていたら、フルームのナビ音声の記事に対するリプライで、「早速試してみました」という反応を頂きました。

成亭さんのツイートより引用

フォロワーの成亭さんから送られてきた画像を見ると、ステムに謎の赤い物体。これは……見た目的にはスピーカー。しかし見た目はずいぶん小さい。

昨年、北海道で開かれる「霧立400」のブルベに参加するときにはクマの出没がかなり深刻になっており、対策について色々と調べました。最終的には熊鈴に落ち着きましたが、別の手段として「携帯スピーカーから音楽を流す」という方法も検討していました。ただ、どれも携帯スピーカーは3~400gとかなり重く、結局諦めて熊鈴にした経緯があります。

しかし、成亭さんの写真のスピーカーは明らかにその時点で検討していたものより小さい。下手すれば100gを切っていそうです。「それなんてスピーカーですか?」とお尋ねしてみると、「MONSTERのBlaster Atomです」とのお答え。スマホとBluetoothで接続し、ナビ音声をスピーカー側から出していたようでした。

重量を見てみると、なんと80g。100gを大きく下回っています。これならばハンドル周りにつけてもそこまで重さを感じないはず。最大稼働時間は9時間と少々短いですが、これは恐らく「それなりの音量で再生を続けた」場合のもの。ナビ音声のように「たまに喋る」程度であればもっと長く持つはずです。

発売は今年の3月。一年前は存在しなかった製品でした。まさかこんなに小さなスピーカーが出ていたとは。

Bluetoothを使う以上は技適を通っている必要があるので、そちらも確認。問題なく登録されていました。そうなれば、もう特に文句をつける点はありません。とりあえず買ってみることにしました。

気になるライバル機・TOZO「PM1」

とりあえずMonster「Blaster Atom」を注文したわけですが。せっかくなので、ChatGPTに「似たような製品で、もっと再生時間が長いものがあるか探してみて」とオーダー。

すると、出てきた候補の中に気になる製品が。TOZOというブランドの「PM1」という携帯スピーカーです。

重量は69g、再生時間はなんと20時間。Blaster Atomの倍です。カラーは黄色のみで少々好みから外れますが、このスペックは魅力的。

この時点では日本の通販サイトでの取扱はなく、直販のみ。こういう場合は技適が取得されていないケースが多いんですが、調べてみると取得済み。日本で売る計画があるのか、あったけどポシャったのか。その辺りは分かりませんが、日本で使うに当たっての問題もなさそうです。

届くまで10日前後掛かるということでしたが、こちらも注文してみました。

スペック比較

まずは今回購入した2つのスピーカーのスペック比較表を置いておきます。

項目TOZO
PM1
MONSTER
Blaster Atom
重量69g80g
サイズ縦: 71mm
横: 48mm
厚: 34mm
縦: 65mm
横: 49mm
厚: 29mm
Bluetooth5.45.4
最大出力非公表3W
音量
(15cm/実測)
67dBA75dBA
バッテリー容量560mAh400mAh
連続再生時間最大20時間約8時間(音量50%)
充電端子USB Type-CUSB Type-C
防水・防塵IP67IPX5
クリップ硬質クリップソフトタイプのクリップ
+マグネット
マイク
ハンズフリー通話
専用アプリTOZO App対応なし
EQ調整×
複数台接続なしパーティーコネクト対応
技適
実売価格の目安公式直販で約6,000円前後約4,000円
自転車への固定硬質クリップで固定しやすいクリップが柔らかく、
ステム固定では揺れやすい
ステレオ音源の処理Lのみ再生、Rは欠落L/Rをモノラル合成して再生

MONSTER「Blaster Atom」

まずは先に届いた、MONSTER「Blaster Atom」から見ていきます。

パッケージ

今回も技適を確認。ちゃんと記載があります。日本国内での使用OK。

パッケージの中身はシンプル。本体、ケーブル、説明書。以上。

重量

実測で81g。公称80gなので中々正確です。自転車関係で言うと、小型のサイコンくらいの重量。

各部詳細

前面は布です。濡れた時、大丈夫かな?という感じですが、一応内部は防水されている様子。

本体のボタンは電源とBluetoothペアリング用の2種類。音量調整のダイヤルも付いています。充電端子はフタなし。

裏面はクリップになっていますが……なんとソフトなクリップです。これは買うまで認識できていませんでした。クリップの丸部分には磁石が入っており、冷蔵庫などにくっつけて使うことも出来ます。

ペアリング

電源ボタンを押して起動後、スマホとペアリングすれば終了。専用のアプリなどはなく、イコライザー調整は出来ません。

ペアリング完了後は、ちゃんとスピーカー部分からフルームのナビ音声を聞くことが出来ました。

取り付け

自転車への取り付けは、成亭さんの方法を見習ってベルクロでステム上に取り付けました。

実走

さて、この状態で走ってみます。

音量は十分で、屋外の路上でもナビ音声はハッキリ聞こえます。ただ……段差のたびにスピーカーがボヨンボヨンと動いてしまうのが気になります。クリップ部がソフトなので、ベルクロで固定しても動いてしまうわけですね。これは買ってみないと分からなかった。

ちょっとこのボヨンボヨンは集中力が削がれるのでライド途中でステムから外すことになりました。これは固定方法を別途検討する必要がありそうです。

音量・音質

音量は十分なレベル。ナビ音声もちゃんと聞き取れます。

一応音楽も流してみましたが、このサイズにしては低音もしっかり出ています。これだけ音量が出るなら、クマ避けのために音楽を流すのにも使えそうです。

雨天対応

正面の布部分に水を掛けると、音がほとんど聞こえなくなります。これは布が水を含んで音の出口を塞いでしまうため。電子機器としては防水対応はちゃんとされているようですが、音響機器としては少々雨天時の使用は厳しそうに思えました。

TOZO「PM1」

Blaster Atomから一週間ほど遅れて届いたTOZO「PM1」も見ていきます。

パッケージ

こちらも技適番号を確認。ちゃんと取得されてます。

中身はシンプル。本体、ケーブル、説明書。

重量

公称重量は69gですが、実測60g。Blaster Atomより更に20g軽いということになります。これより軽いサイコンは、GPS式にはほとんどないはず。

各部詳細

音の出る部分はプラスチック。ボタンは3種類です。中央部のボタンを長押しで起動/終了します。

充電端子はカバー付き。

こちらのクリップは硬質です。ガタツキもなく、しっかり固定できそう。ただし、マグネットは内蔵されていません。

ペアリング

こちらも普通にスマホからのペアリングは可能ですが、TOZOのアプリからイコライザー調整が可能です。

取り付け

こちらも同じくベルクロで固定。クリップが動かないのでガッチリと固定されました。

実走

さて実走。段差を越えてもガタツキはなく、しっかり固定されています。硬質クリップ、流石です。

そしてちゃんとフルームの声でのナビ音声は流れるんですが……音が小さい。最大音量にしても物足りないです。やはりサイズが小さいのでパワー不足なのか。

音量・音質

野外でも何とか音は聞き取れますが、Blaster Atomに比べると明確に音が小さいです。

また、音質はそこそこ。低音があまり聞こえない気がします。ただ、イコライザーである程度は調整が可能です。

右チャンネルを捨てる仕様

さて、この機種最大の弱点は「右チャンネルの音を完全に捨てる仕様」であるということです。

たまたまツインギターのメタルバンドの音源を聞いていて気づいたのですが、片方のギターの音が完全に欠落しているのです。ハモリの下側の音しか聞こえない。

不良個体かと思ってサポートに問い合わせてみたのですが、「仕様です」という何ともガッカリなお返事。ソフトアップデートで今後直る可能性すら否定された格好です。サポートには、「そういう一般的ではない仕様はちゃんと製品ページに書いておいてくれ」と苦情を言いました。それから2日経ちますが、現時点ではまだ何も追記されていません。

普通は左右のチャンネルを合成した形でスピーカーから音を出すはずなのですが、その実装を行っていないということですね。スマホ側で左右合成してから音を飛ばすという設定に変えれば左右合成された音がスピーカーからも出ますが、ワイヤレスイヤホンとスマホを繋ぐときにはその設定を元に戻す必要があります。面倒で嫌です。なお、Blaster Atomはちゃんと左右のチャンネルが合成されます。

当初の目的通りナビ音声で使用するのであれば問題ないのですが、音楽を流そうと思った時には明確に弱点ということになります。

雨天対応

こちらもやはり音が出る部分に水を掛けると音が小さくなります。ただ、布であるBlaster Atomに比べると音量低下の具合は小さいです。

音量比較

さて、この2つの音量にどれくらいの差があるのか、比較を行ってみました。

Youtubeにあるテスト用の音源を使って、騒音計によるテストを実施しました。両スピーカーから15cmの場所に騒音計を置き、その音量を測定します。

Blaster Atomが75dBAに対し、PM1は67dBA。同じ音源なのに8dBの差が出ました。これは結構大きいです。10dBで2倍くらいの音量に聞こえるはずなので、1.5倍くらいの音量で聞こえている計算。野外での聞こえやすさの差にも納得です。

まとめ

軽量な携帯スピーカー2種を、自転車に取り付けてみたレポートでした。

どちらも「帯に短し襷に長し」と言った感じ。

Blaster Atomは、音量・音質ともに良い。でも、軟質クリップでしっかり固定ができない&雨天時は音が聞こえなくなる可能性が高い。

PM1は、硬質クリップでしっかり固定できるし、雨天時もそれほど音量が落ちない。ただ、音が小さくて更に右チャンネルが欠落する。

見事に両者の長所と短所が真逆という形。両方とも実走行に採用するには至らないという結論になりました。


……ということで、第三のスピーカーを先ほど発注しました。

MONSTER「Blaster Micro」。Blaster Atomの兄弟機です。

名前は「Micro」と「Atom」で、Microの方がだいぶ大きそうに見えますが、実際には重量は+5g、大きさもほぼ同じです。また、こちらは硬質クリップで、表面も布ではなくプラスチック。音量・音質が問題なければ、Blaster Atomの弱点を克服している可能性が高い。

これで携帯スピーカー沼から抜けられると良いのですが……。

著者情報

年齢: 42歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: GHISALLO GE-110(カーボン), QUARK ロードバイク(スチール)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)

# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせていただきました。
# これまでに著者が乗ってきたスポーツ自転車の履歴はこちらの記事にまとめています。

記事のシェアはこちらから
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

ロングライド系自転車乗り。昔はキャノンボール等のファストラン中心、最近は主にブルベを走っています。PBPには2015・2019・2023年の3回参加。R5000表彰・R10000表彰を受賞。

趣味は自転車屋巡り・東京大阪TTの歴史研究・携帯ポンプ収集。

【長距離ファストラン履歴】
・大阪→東京: 23時間02分 (548km)
・東京→大阪: 23時間18分 (551km)
・TOT: 67時間38分 (1075km)
・青森→東京: 36時間05分 (724km)

目次